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26 切断の幻肢・幻肢痛について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.小児切断では幻肢痛が強い。
2.出現した幻肢は消失しない。
3.幻肢は近位部よりも遠位部を明確に感じる。
4.幻肢痛は精神的ストレスによって影響される。
5.ミラーセラピーは幻肢痛の軽減に効果がない。
解答3・4
解説
1.× 小児切断では幻肢痛が「強い」のではなく「弱い」。むしろ、4~6歳以下の小児切断の場合、知覚神経の発達が未熟であるため幻肢は出現しないといわれている。
2.× 出現した幻肢は「消失しない」のではなく「消失する」。残存することもあるが、多くの幻肢は6か月~2年で消失する。
3.〇 正しい。幻肢は近位部よりも遠位部を明確に感じる。指先やつま先などの先端を感じることが多い。
4.〇 正しい。幻肢痛は精神的ストレスによって影響される。心因性の要素が関係するため薬物療法以外の治療法も用いられる。主に、バイオフィードバック、リラクセーション訓練、認知行動療法、経皮的電気神経刺激法(TENS)などである。
5.× ミラーセラピーは幻肢痛の軽減に効果がある。他にも、脳卒中患者の麻痺改善や複合性局所性疼痛症候群、腕神経叢引き抜き損傷患者の疼痛軽減効果などが報告されている。ちなみに、ミラーセラピー(mirror therapy)とは、鏡を使用して運動の視覚フィードバックを与える治療法である。矢状面で両肢間に鏡を設置し、鏡に映された一側肢が鏡に隠れた反対側肢の位置と重なるようにする。切断や麻痺などの患側肢の遠位部に健側肢の映った鏡像がつながって見えることで、患側肢が健常な実像であるかのように感じさせながら運動を行う。
幻肢・幻肢痛とは、腕や足の切断後、失ったはずの感覚があり、かつそこに痛みを感じる状態である。切断をした人の約7割で生じるが、強い痛みは5~10%とまれである。幻肢痛のメカニズム(発生の機序)は解明されていない。下肢より上肢、近位部より遠位部に多く、電撃痛や、捻られるような痛み、ズキズキするような痛みなど様々である。一般的に、切断の手術後1週間以内に発症し、6か月~2年で消失することが多いが、それ以上長引くこともある。幻肢の大きさは健肢とほぼ同様で、幻肢痛が発生するのは、失った手や指、足などが多い。一方、肘や膝に感じることはまれで、4~6歳以下の小児切断例では出現しないことが多い。幻肢痛への一般的な治療方法として、薬物療法と非薬物療法に分けられる。幻肢痛は天候や精神的ストレスに左右されるため、薬物療法は、鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェン)、三環系抗うつ薬抗痙攣薬、プレガバリン(リリカ)などの抗てんかん薬が、神経痛の治療に使われる。非薬物療法としては、ミラーセラピーである。幻肢は断端の運動につれて移動し、断場の状態(神経や癒着など)に関連を持つ場合がある。
※幻視痛は、心因性の要素が関係するため薬物療法以外の治療法 (バイオフィードバック、リラクセーション訓練、認知行動療法、経皮的電気神経刺激法【TENS】 など)も用いられる。ちなみに、ミラーセラピー(mirror therapy)とは、鏡を使用して運動の視覚フィードバックを与える治療法である。矢状面で両肢間に鏡を設置し、鏡に映された一側肢が鏡に隠れた反対側肢の位置と重なるようにする。切断や麻痺などの患側肢の遠位部に健側肢の映った鏡像がつながって見えることで、患側肢が健常な実像であるかのように感じさせながら運動を行う。
(※参考:「幻肢痛」慢性通治療の専門医による痛みと身体のQ&A様HPより)
27 坐骨部褥瘡の既往がある脊髄損傷者の車椅子座位の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.アームサポートを通常よりも低くする。
2.フットサポートを通常よりも高くする。
3.移乗前にクッションのしわをのばす。
4.定期的に前屈み姿勢を取らせる。
5.リクライニングを禁止する。
解答3・4
解説
1~2.× アームサポートを通常よりも低く/高くする優先度は低い。なぜなら、アームサポートの高さが適切でないと、除圧動作が行いにくいため。また、坐骨に圧が集中し、褥瘡再発のおそれがある。
3.〇 正しい。移乗前にクッションのしわをのばす。なぜなら、しわがあることで特定の部位に圧がかかりやすいため。
4.〇 正しい。定期的に前屈み姿勢を取らせる。なぜなら、定期的に前屈みになることで、坐骨への圧を軽減することができるため。
5.× リクライニングを禁止する優先度は低い。なぜなら、リクライニングを行うことで、坐骨への圧を軽減できるため。
①一般に2時間ごとに体位変換を行うことが基本とされる。
②30°側臥位では体圧を分散させ身体を支えることができる。
③ベッドのキャッチアップは30°まで。
④予防にマッサージは効果的。ただし、骨突出部・突起部や発赤があるところには(摩擦を加えてしまうため)行わない。
⑤円座は接触部分が逆に圧迫されてしまい褥瘡の誘因となる。
28 筋萎縮性側索硬化症でみられる機能障害はどれか。2つ選べ。
1.知能障害
2.視野障害
3.嚥下障害
4.呼吸障害
5.感覚障害
解答3・4
解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋萎縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。
(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)
1~2.5.× 知能障害/視野障害/感覚障害は、筋萎縮性側索硬化症でみられにくい。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロン障害、下位運動ニューロン障害の両者を示す疾患である。全身に筋萎縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。
3~4.〇 正しい。嚥下障害/呼吸障害は、筋萎縮性側索硬化症でみられる。
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【OT/共通】筋萎縮性側索硬化症についての問題「まとめ・解説」
29 アテトーゼ型脳性麻痺児の症状と訓練課題との組合せで適切なのはどれか。
1.定頸不良:背臥位で下肢を挙上する。
2.体幹過伸展:座面の高い椅子で座位を保持する。
3.手指の過伸展:豆をつまむ。
4.目と手の協調障害:ボールプールで遊ぶ。
5.動的パランス不良:セラピーボールに乗って揺らす。
解答5
解説
アテトーゼ型は、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。筋緊張は低緊張と過緊張のどちらにも変化する。他にも、特徴として不随意運動が主体であることや、原始反射・姿勢反射が残存しやすいことがあげられる。
1.× 定頸不良に対し、背臥位で下肢を挙上する訓練の優先度は低い。なぜなら、より頭部の伸展筋が緊張を助長させるため。腹臥位で頭部を挙上することで頭部の伸展筋をストレッチするとよい。アテトーゼ型脳性麻痺児は姿勢筋緊張の動揺がみられ、姿勢や運動のコントロールが不良である。 リラクセーションで過緊張を取りながら、随意的な運動や反応を引き出す方法を模索する。
2.× 体幹過伸展に対し、座面の高い椅子で座位を保持する訓練の優先度は低い。なぜなら、より体幹の過伸展を助長させるため。体幹はなるべく垂直に保った状態(股関節・膝関節90°屈曲位)で座位訓練を行う。
3.× 手指の過伸展に対し、豆をつまむ訓練の優先度は低い。なぜなら、つまみ動作は難易度が高すぎるため。ちなみに、手指の過伸展に対しては、ビンの蓋の開け閉めなどの訓練のほうが有効である。
4.× 目と手の協調障害に対し、ボールプールで遊ぶ訓練の優先度は低い。なぜなら、主にボールプールは触覚刺激として感覚統合療法であるため。ちなみに、目と手の協調障害に対しては、ペグ差しの練習のほうが有効である。
5.〇 正しい。動的パランス不良に対し、セラピーボールに乗って揺らす訓練は有効である。セラピーボールに乗せて揺らして、立ち直り反応や平衡反応の誘発できる。
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30 筋疾患と症状との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.皮膚筋炎:叩打ミオトニア
2.筋強直性ジストロフィー:有痛性強直性けいれん
3.肢帯型筋ジストロフィー:動揺性歩行
4.Becker型筋ジストロフィー:floppy infant
5.Duchenne型筋ジストロフィー:翼状肩甲
解答3・5
解説
多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)
1.× 叩打ミオトニアは、「皮膚筋炎」ではなく「筋強直性ジストロフィー」である。ちなみに、ミオトニア(筋強直現象)とは、例えば、手をぎゅっと強く握ると、その直後に手を開くことが難しくなったり(把握ミオトニア)、診察用のハンマー(打鍵器)で舌や親指の付け根(母指球)を叩くと、筋肉が収縮して勝手に動いてしまったり(叩打ミオトニア)のことである。
2.× 有痛性強直性けいれんは、「筋強直性ジストロフィー」ではなく「多発性硬化症」である。有痛性強直性けいれんとは、自動的あるいは他動的に関節を動かす刺激が発作を誘発し、痛みやしびれを伴って四肢が強直発作を示すものである。
3.〇 正しい。動揺性歩行は、「肢帯型筋ジストロフィーやDuchenne型筋ジストロフィー」である。両側の障害で、左右に体幹をゆすって歩く動揺性歩行となる。
4.× floppy infantは、「Becker型筋ジストロフィー」ではなく「進行性筋ジストロフィーや筋強直性ジストロフィー」である。Becker(ベッカー)型筋ジストロフィーは5歳~25歳くらいに発症し、進行はゆっくりで生命予後は良い。フロッピーインファント(floppy infant )とは、全身の筋緊張が極度に低下し、やわらかで、だらりとしている乳幼児をさす用語である。Scarf徴候(スカーフ徴候)やfrog position(蛙様肢位)はその所見である。原因としては、脳性麻痺や染色体異常などの中枢神経障害のほか、脊髄前角細胞障害(脊髄性筋萎縮症など)、筋に原因がある場合(重症筋無力症、筋ジストロフィー)、代謝異常の場合(糖原病など)がある。
5.〇 正しい。翼状肩甲は、「Duchenne型筋ジストロフィー」である。翼状肩甲とは、肩甲骨内側縁が後方に突出して鳥の翼のような形状をとることをいう。原因として、長胸神経の障害である。長胸神経支配の前鋸筋麻痺や三角筋拘縮(短縮)症でみられる。過去問より肩甲背神経、長胸神経の両方を選択する問題があったが、一般的であるのは長胸神経の障害である。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
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