【OT/共通】筋萎縮性側索硬化症についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

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【PT共通】筋萎縮性側索硬化症についての問題「まとめ・解説」

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OT専門

45回 午後35

35 筋萎縮性側索硬化症で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.うつ症状はまれである。
2.眼球運動が障害されやすい。
3.食事動作にBFOが用いられる。
4.漸増抵抗訓練によって筋力を維持する。
5.食塊の咽頭への送り込みが障害されやすい。

解答3・5

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.× うつ症状は、「まれ」ではなく「合併」する。なぜなら、体の自由が効かないことや、病気に対する不安等から不眠、うつ、よだれが出るなどの症状があらわれる。
2.× 眼球運動が障害「されやすい」のではなく「されにくい」。4大陰性徴候として、①眼球運動、②膀胱直腸障害、③感覚障害、④褥瘡があげられる。
3.〇 正しい。食事動作にBFOが用いられる。BFO(Balanced Forearm OrthosisまたはBall bearing Feeder Orthosis)は、患者の前腕を支えてごくわずかの力で上肢の有益な運動を行なわせようとする補装具の一種である。食事・机上の動作において、上肢のリーチ機能を補うため、第4,5頸髄損傷者にも用いられる。
4.× 筋力を維持するには、「漸増抵抗訓練」ではなく「自動運動自動介助運動」を主に行う。なぜなら、病気の進行により筋萎縮や筋線維束攣縮(下位運動ニューロンの障害)が起こるため。筋疲労は避け、少なくとも攣縮が起きたらすぐに休息をとる必要がある。
5.〇 正しい。食塊の咽頭への送り込みが障害されやすい。球麻痺症状が認められ、①構音障害、②嚥下障害、③舌の萎縮などがみられる。

 

 

46回 午前28

28 筋萎縮性側索硬化症でみられる機能障害はどれか。2つ選べ。

1.知能障害
2.視野障害
3.嚥下障害
4.呼吸障害
5.感覚障害

解答3・4

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1~2.5.× 知能障害/視野障害/感覚障害は、筋萎縮性側索硬化症でみられにくい。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロン障害、下位運動ニューロン障害の両者を示す疾患である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。
3~4.〇 正しい。嚥下障害/呼吸障害は、筋萎縮性側索硬化症でみられる。

 

 

 

47回 午前12

12 55歳の女性。筋萎縮性側索硬化症。発症後5年経過し、在宅療養中。現在、座位時間は1日4〜5時間。錐体路徴候を認め、室内では車椅子での移動はかろうじて可能だが、患者の話す声はようやく聞き取れる程度である。夫と息子は、自宅で自営業を営んでいるため、仕事の忙しい時間帯の家事はヘルパーを頼んでいる。
 この患者の日常生活の支援で適切でないのはどれか。

1.コミュニケーション障害に備えて透明文字盤の導入を検討する。
2.下肢の痙縮を利用して、ツイスターで移動動作の介助を楽にする。
3.ベッド柵に鏡を取り付けて、入ってくる人が見えるようにする。
4.環境制御装置の導入を検討する。
5.介護者に連絡するための緊急連絡手段を検討する。

解答

解説

本症例のポイント

・55歳の女性(筋萎縮性側索硬化症)。
・発症後5年経過し、在宅療養中。
・現在:室内では車椅子での移動はかろうじて可能だが、患者の話す声はようやく聞き取れる程度である。
・夫と息子は、自宅で自営業を営んでいるため、仕事の忙しい時間帯の家事はヘルパーを頼んでいる。

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。コミュニケーション障害に備えて透明文字盤の導入を検討する。なぜなら、筋萎縮性側索硬化症は進行性疾患であるため。また、全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段(透明文字盤)が利用される。
2.× 下肢の痙縮を利用して、ツイスターで移動動作の介助を楽にする必要はない。ツイスターは、①股関節の回旋コントロール、②下肢の回旋変形を矯正する目的に用いる。特に、立位歩行時に下肢が内旋する場合に用いるものである。本症例の場合、発症5年経過しており、車椅子での移動がなんとか可能なレベルである。したがって、ツイスターの適応ではなく、歩行での移動手段は危険が伴うため難しいと考えられる。
3.〇 正しい。ベッド柵にを取り付けて、入ってくる人が見えるようにする。なぜなら、筋萎縮性側索硬化症は、眼球運動は残存するため。頭部の運動は難しい状態であると考えられるが、鏡を効果的に設置すれば眼球運動により多方向の視認も可能である。
4.〇 正しい。環境制御装置の導入を検討する。筋萎縮性側索硬化症は、眼球運動は残存するため視線入力装置を介しての環境制御装置の操作が可能である。環境制御装置とは、わずかな随意機能でセンサーやスイッチを作動させ、家電やパソコンなど複数の装置を制御できるようになっているものである。
5.〇 正しい。介護者に連絡するための緊急連絡手段を検討する。ナースコール同様、緊急時にすぐに人を呼べるシステムは整備するべきである。また本症例の場合、夫と息子は、自宅で自営業を営んでおり、早急な対応が困難と予想される。

ツイスター(※写真引用:厚生労働省様HP)

 

 

48回 午前10

10 45歳の女性。2〜3年前から上肢の筋力低下の進行と嚥下障害が認められ、筋萎縮性側索硬化症と診断された。現在、上肢の筋力はMMTで肩関節周囲2-、手指筋2、頸部・体幹筋と下肢は3。移動は車椅子介助、車椅子への移乗も軽介助を必要とする。食事はポータブルスプリングバランサーを使用して自立しており、その他のADLは全介助となっている。発声によるコミュニケーションは可能だが、呼吸機能は徐々に低下している。
 この患者に今後導入が予想されるコミュニケーション機器はどれか。2つ選べ。

解答3/5

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.× 人工喉頭である。喉頭摘出や気管切開術後の患者のための福祉用具である。筋委縮性側索硬化症では喉頭の異常により声が出せなくなるわけではなく、また上肢の筋力を考えると、図に示すように自身で機器を操作することも難しいので、適応ではない。 
2.× 助聴具(もしもしフォン)である。軽~中等度程度の難聴の高齢者のための福祉用具である。耳元で大きな声で話すことなく、声を大きく、聞き取りやすくすることができる。
3.〇 透明文字盤である。筋萎縮性側索硬化症では、末期まで眼球運動保持されるため、発声困難となった場合、透明文字盤を用いて会話(アイコンタクト)することができる。
4.× ボタンが大きく、操作性や視認性に配慮した福祉電話である。現在、発声によるコミュニケーションは可能であるが、呼吸機能が徐々に低下してきており、近しいと考えられるので、今後のコミュニケーション手段として適切ではない。
5.〇 意思伝達装置である。意思伝達装置は、指先や目のまばたき等でスイッチ操作し、文章を作成することのできるコミュニケーション手段である。図では、目の下部にセンサーが取り付けられている。この先、四肢の筋力は一層に低下し指先での操作は難しくなることが予想されるため、いずれこの意思伝達装置が導入されると考えられる。

 

 

 

 

49回 午前11

11 40歳の女性。筋萎縮性側索硬化症。上肢筋力はMMTで近位筋4、遠位筋3である。下肢は内反尖足位であるが歩行可能。最近、手指の疲労があり食事がしにくくなったと訴えている。
 この患者の食事での対応で適切なのはどれか。

1.吸口付コップを用いる。
2.食事支援ロボットを用いる。
3.ユニバーサルカフを用いる。
4.食器をターンテーブルに置く。
5.ポータブルスプリングバランサーを用いる。

解答3

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.× 吸口付コップは、倒しやすい時やコップから飲めない場合に用いる。本症例は、手の疲労が問題であるため、把持を補助できるコップホルダーを使用する。
2.× 食事支援ロボットの導入は時期尚早である。なぜなら、食事動作が困難になっていないため
3.〇 正しい。ユニバーサルカフを用いて、スプーンなどの把持を補助することは適切である。
4.× ターンテーブルを早急に導入する必要性は低い。なぜなら、本症例は、上肢の近位筋の筋力は保たれており、リーチ制限がないことが考えられるため。ただし、ターンテーブルを設置すれば食事動作の負担を軽減させることにはなるため検討すると良い。
5.× ポータブルスプリングバランサーやBFOの導入は、時期尚早である。なぜなら、現段階では上肢の近位筋の筋力が保たれているため。症状が進行した場合に検討する必要性はある。

 

 

 

49回 午前34

34 終末期の筋萎縮性側索硬化症の患者が環境制御装置を使用する際に最も適しているのはどれか。

1.眼瞼
2.口唇
3.呼気
4.舌
5.顎

解答1

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.〇 眼球・眼瞼運動は、終末期の筋萎縮性側索硬化症の患者が環境制御装置を使用する際に最も適している。なぜなら、眼球・眼瞼運動は、終末期でも保たれることが多いため。透明文字盤などを用いてのコミュニケーションや、視線入力装置を介しての環境制御装置の操作が可能である。
2~5.× 口唇/呼気/舌/顎運動は、終末期では障害される。四肢の動きが悪い程度であれば、マイクロスイッチなどのコミュニケーションツールは有用である。ちなみに、呼吸筋麻痺はALS患者の死因の一つである。

 

 

52回 午後11

11 57歳の男性。筋萎縮性側索硬化症と診断されて3年が経過。四肢や体幹に運動麻痺を生じてベッド上の生活となりADLは全介助。さらに球麻痺症状を認め、安静時も呼吸困難を自覚する。
 この患者がコミュニケーション機器を使用する際の入力手段として適切なのはどれか。

1. 舌
2. 手指
3. 口唇
4. 呼気
5. 外眼筋

解答5

解説

本症例のポイント

・57歳の男性(筋萎縮性側索硬化症)
・運動麻痺(四肢や体幹)、ベッド上の生活(ADL全介助)
・球麻痺症状、安静時も呼吸困難を自覚する。
→本症例は、ADL全介助・安静時の呼吸困難から筋萎縮性側索硬化症の終末期と考えられる。呼吸筋障害や球麻痺などにより発声困難になるため、比較的保たれることが多い眼球運動眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用されている。4大陰性徴候は、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡である。

1.× 舌の運動は困難である。なぜなら、球麻痺症状(舌の運動障害)がみられるため。
2~.× 手指の運動/口唇の運動は困難である。なぜなら、運動ニューロンの障害(手指の運動障害)がみられるため。終末期では障害されている場合が多い。終末期に至る前は、四肢の動きが悪くなってからもマイクロスイッチ等を操作するために有用ではある。
4.× 呼気は困難である。なぜなら、呼吸筋は障害されるため。本症例の問題文でもすでに、安静時も呼吸困難を自覚している。
5.〇 正しい。外眼筋眼球・眼瞼運動は、終末期でも保たれることが多い。そのため、透明文字盤などを用いてのコミュニケーションや、視線入力装置を介しての環境制御装置の操作が可能である。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

 

 

 

53回 午前13

13 55歳の男性。2年前に筋萎縮性側索硬化症と診断された。2ヶ月前に誤嚥性肺炎を指し起こして入院した。肺炎改善後、胃瘻が造設された。構音障害が重度で、発音は母音のみ可能、発声持続時間は8秒。湿性嗄声はない。唾液の空嚥下は可能である。上肢の筋力はMMTで4レベルであるが、体幹及び下肢の筋力は3。歩行のFIMは1、移乗のFIMは6及びトイレ動作のFIMは6であった。自宅退院を計画している。
 この患者に対する対応で正しいのはどれか。

1.食事を常食で再開する。
2.エアマットの使用を勧める。
3.透明文字盤の使用を勧める。
4.ポータブルトイレの使用を勧める。
5.チンコントロール電動車椅子を導入する。

解答4

解説

本症例のポイント

・55歳の男性(2年前:筋萎縮性側索硬化症)
・2ヶ月前:誤嚥性肺炎で入院。
・肺炎改善後、胃瘻が造設。
・構音障害重度、発音は母音のみ可能、発声持続時間8秒。湿性嗄声ない。
・唾液の空嚥下は可能。
・【MMT】上肢4、体幹・下肢3。
・【FIM】歩行1、移乗6、トイレ動作6。
・自宅退院を計画している。

1.× 食事を常食で再開する優先度は低い。なぜなら、本症例は「肺炎改善後、胃瘻が造設」しているため。胃瘻造設前からも「誤嚥性肺炎で入院」しており、進行性の特徴を持つ筋萎縮性側索硬化症(ALS)を考えると食事を常食で再開するのは困難と考えられる。
2.× エアマットの使用を勧める優先度は低い。なぜなら、エアマットは褥瘡予防などの際に用いるため。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の4大陰性徴候として、①眼球運動、②膀胱直腸障害、③感覚障害、④褥瘡がみられにくい。つまり、褥瘡は、末期までが現れにくいため、現段階でエアマットの使用を勧める優先度は低い。
3.× 透明文字盤の使用を勧めるのは時期尚早である。透明文字盤は上肢が動かせず、眼球運動かできないとき、伝えたい文字を相手との視線の中心に来るように動かして使うものである。本症例では「上肢筋力MMT4レベル」であるため通常の文字盤を使用できると考えられる。また、筆談、ジェスチャーも可能である。
4.〇 正しい。ポータブルトイレの使用を勧める。なぜなら、移乗・トイレ動作のFIMは6点(修正自立)であるため。6点は「補助具の使用、通常以上の時間、安全性の配慮が必要」なレベルである。
5.× チンコントロール電動車椅子を導入するのは時期尚早である。なぜなら、本症例では「上肢筋力MMT4レベル」であるため。チンコントロール電動車椅子の適応は、C4残存機能レベルである。チンコントロール電動車椅子は、上肢が使えない人のために、あごを使ったジョイスティック・レバーの操作や、頭の動きや呼気による主電源や速度切換えスイッチ、リクライニング用のスイッチ操作を可能にしたものである。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

 

 

 

53回 午後29

29 筋萎縮性側索硬化症について正しいのはどれか。

1.感覚障害が出現する。
2.筋の繊維束攣縮はない。
3.針筋電図で多相波は出ない。
4.脊髄前角細胞の障害がない。
5.上位運動ニューロンは障害される。

解答5

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.× 感覚障害は見られない。陰性症状である。
2.× 筋の繊維束攣縮はみられる。下位運動ニューロン障害がみられるためである。
3.× 針筋電図で多相波が起こる。他にも中枢潜時の延長、刺激閾値の上昇、誘発電位の振幅低下などが報告されている。
4.× 脊髄前角細胞の障害がある。肉眼的に脊髄前根や前角の萎縮、および前角の変性がみられる。
5.〇 正しい。上位運動ニューロンは障害される。上位運動ニューロン・下位運動ニューロンが同時に障害される。

 

 

56回 午前2

2 筋萎縮性側索硬化症の機能的予後を示しているのはどれか。
 縦軸は機能、横軸は時間を示す。

解答1

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。筋萎縮性側索硬化症は、機能の低下が徐々に進行する。リハビリテーションにより、機能の低下を遅らせることができても、選択肢2~5のように向上できる疾患ではない。
2.× 再発と寛解を繰り返すパターンがみられるのは、多発性硬化症である。
3~4.× 筋萎縮性側索硬化症は、機能の低下が徐々に進行する。機能が著明に低下した後、自然経過で改善するパターンは、脳卒中骨折である。
5.× 筋萎縮性側索硬化症は、機能の低下が徐々に進行する。

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

57回 午前11

11 57歳の男性。筋萎縮性側索硬化症。発症後5年が経過。四肢と体幹に重度の運動麻痺を生じてベッド上の生活となり、ADLは全介助。球麻痺症状を認め、安静時も呼吸困難を自覚している。
 この患者がコミュニケーション機器を使用する際の入力手段として適切なのはどれか。

1.舌
2.口唇
3.呼気
4.手指
5.外眼筋

解答

解説

本症例のポイント

・57歳の男性。
・筋萎縮性側索硬化症。
・発症後5年が経過。
・ADLは全介助(重度の運動麻痺、ベッド上の生活)。
・球麻痺症状を認め、安静時も呼吸困難。

球麻痺とは?

延髄にある神経核が障害された状態を指し、舌咽・迷走・舌下神経が障害される。

したがって、嚥下・構音障害、舌萎縮、線維束攣縮などがみられる。

1.× 舌での入力は困難である。なぜなら、本症例は球麻痺(舌の萎縮)が生じているため。自分での舌運動は負担が大きくかつ困難な可能性が高い。
2.4.× 口唇/手指での入力は困難である。本症例は発症から5年が経過しており、口唇/手指とも動かすことは困難と考えられる。上肢末端(母指球など)から筋萎縮が始まり緩徐に進行する。予後は極めて不良で、一般に発症から3~5年程度で呼吸筋麻痺や誤嚥性肺炎などで死亡する。
3.× 呼気での入力は困難である。なぜなら、本症例は設問から「安静時も呼吸困難を自覚している」状態である。したがって、呼気を使用するのは負担が大きいと考えられる。一般に発症から3~5年程度で呼吸筋麻痺や誤嚥性肺炎などで死亡する。場合によっては、本症例も人工呼吸器が必要な状態である。
5.〇 正しい。外眼筋は、この患者がコミュニケーション機器を使用する際の入力手段である。なぜなら、外眼筋をはじめ眼球運動を支配する筋は障害を受けにくいため。筋萎縮性側索硬化症の4大陰性徴候として眼球運動障害がある。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

 

 

共通問題

50回 午後93

93 筋萎縮性側索硬化症にみられるのはどれか。

1. 筋固縮
2. 痛覚脱失
3. 測定異常
4. 線維束攣縮
5. 筋の仮性肥大

解答4

解説

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

1.× 筋固縮は、パーキンソン病でみられる。
2.× 痛覚脱失は、糖尿病性神経障害など、末梢感覚神経障害でみられる。
3.× 測定異常は、小脳障害でみられる。
4.〇 正しい。線維束攣縮がみられる。なぜなら、筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上・下位の運動ニューロンのみが障害されるため。線維束攣縮とは、小さく、かつ局所的な、皮膚下に観察することが可能な不随意な筋肉の収縮及び弛緩運動である。
5.× 筋の仮性肥大は、Duchenne型筋ジストロフィーでみられる。

 

 

 

 

59回 午後91

91 筋萎縮性側索硬化症における典型的な筋電図検査所見で正しいのはどれか。

1.運動神経伝導検査における遠位潜時延長
2.感覚神経伝導検査における伝導ブロック
3.針筋電図検査における線維束攣縮の電位出現
4.反復刺激試験における漸減現象〈Waning〉
5.反復刺激試験における漸増現象〈Waxing〉

解答

解説

筋電図検査

筋電図検査とは、筋肉や神経に異常がないかについて、筋肉が収縮する時や神経を電気で刺激するなどの筋肉や神経の信号の伝わり方を記録する検査である。筋肉を随意的に収縮してもらったり、神経に電気的刺激をしたりすることにより、神経や筋肉に生じる電気的活動を記録する。この記録を評価することにより、神経や筋肉に疾患があるかを調べることができる。

・神経原性変化があると高振幅、長持続、多相性の波形に。
・筋原性変化があると低振幅、短持続、多相性の波形に。

1.× 運動神経伝導検査における「遠位潜時延長」は、絞扼性末梢神経障害で起こる。潜時とは、刺激を与えてからM波が立ち上がるまでの時間のことである。遠位の潜時の遅延があると、刺激部位より遠位での障害が考えられ、絞扼性末梢神経障害などの存在が示唆される。
2.× 「感覚神経」伝導検査における伝導ブロックは、脱髄性疾患(Guillain-Barré症候群)で起こる。ギラン・バレー症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)。本問題で問われている筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。つまり、運動ニューロン病であり、感覚神経は影響を受けにくい
3.〇 正しい。針筋電図検査における線維束攣縮の電位出現は、筋萎縮性側索硬化症における典型的な筋電図検査所見である。なぜなら、筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上・下位の運動ニューロンのみが障害されるため。線維束攣縮とは、小さく、かつ局所的な、皮膚下に観察することが可能な不随意な筋肉の収縮及び弛緩運動である。
4.× 反復刺激試験における漸減現象〈Waning〉は、重症筋無力症で起こる。重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。直ちに、気管内挿管・人工呼吸管理を行う。【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用される。(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
5.× 反復刺激試験における漸増現象〈Waxing〉は、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)で起こる。Lambert-Eaton症候群とは、肺小細胞癌を高頻度に合併する傍腫瘍性神経症候群で、神経終末部のアセチルコリン(Ach)の放出障害をその病態の基盤とする神経筋接合部・自律神経疾患である。四肢筋力の易疲労性を生じ、筋の反復運動により筋力が増強する(waxing現象)のがみられる。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

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