第53回(H30)理学療法士 国家試験解説【午後問題71~75】

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71.肩関節外転90度での水平屈曲に作用する筋はどれか。

1.広背筋
2.大円筋
3.棘下筋
4.烏口腕筋
5.肩甲挙筋

解答:4


解説

1.×:広背筋は、上腕を内転後方にひく作用である。
2.×:大円筋は、肩関節内転・内旋・伸展である。
3.×:棘下筋は、肩関節外旋で、上部は外転、下部は内転の作用である。
4.〇:正しい。烏口腕筋は肩関節屈曲・内転の作用がある。
5.×:肩甲挙筋は、肩甲骨を上内方にひく作用である。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】上肢筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

72.下腿中央の横断面を図に示す。矢印の筋の作用で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.膝関節の屈曲
2.足の底屈
3.足の内がえし
4.母指の屈曲
5.第2~5指の屈曲

解答:2,3


解説

矢印が向いている筋は、後脛骨筋である。

後脛骨筋の作用は足関節底屈・足の内返しである。
したがって、選択肢2.足の底屈・3.足の内がえしが適切である。

ちなみに、①前脛骨筋、②長趾伸筋、③長腓骨筋、④ヒラメ筋、⑤長母指屈筋、⑥腓腹筋、⑦長趾屈筋である。

 

断面図の問題が苦手な人向けに、まとめました。参考にどうぞ。

【PT/OT/共通】解剖・横断図についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

 

73.安静時の呼吸運動で正しいのはどれか。

1.呼気時に腹圧は上昇する。
2.吸気時に横隔膜は下降する。
3.呼気時に外肋間筋は収縮する。
4.吸気時に気道抵抗は上昇する。
5.胸郭下部は前後方向の動きが左右方向より大きい。

解答:2


解説

1.× 呼気時に腹圧は、「上昇」ではなく下降する。呼気時は横隔膜が弛緩し、腹圧は低下し、胸腔内圧は上昇する。
2.〇 正しい。吸気時に横隔膜は下降する。
3.× 呼気時に収縮するのは、「外肋間筋」ではなく内肋間筋である。外肋間筋は、吸気時である。
4.× 「吸気時」ではなく、呼気時に気道抵抗は上昇する。気道抵抗とは、気道を流れる空気の「通りにくさ」を意味し、気道内径の変化を伴う気道障害の指標となる。喘息など閉塞性換気障害のある人では、呼気時の気道抵抗は著明に上昇する。
5.× 逆である。胸郭下部は左右方向の動きが前後方向より大きい。呼吸で上部肋骨がポンプハンドル(上下)、下部肋骨がバケツハンドル(左右)に運動する。

類似問題です↓
【OT/共通】呼吸(生理・運動など)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

74.運動学習について正しいのはどれか。

1.動機がけが高いほどパフォーマンスが向上する。
2.覚醒レベルが高いほどパフォーマンスが向上する。
3.学習によるパフォーマンスの向上は直線的に起こる。
4.2種類の運動課題間に類似性があるほど転移の影響は大きくなる。
5.パフォーマンスの向上がみられなくなることは運動学習の停止を意味する。

解答:4


解説

1.△:動機付けとはモチベーションのことである。個人的な満足感や喜びに基づく内的動機付けと、物品などの報酬による外的動機付けがある。動機づけがあるとパフォーマンスは向上する。動機付けの高さは関係ない。(※しかし、中村隆一らによる基礎運動学からすると、パフォーマンスに対して動機づけと技能は相乗効果を示し、パフォーマンス = 動機づけ × 技能 の式で示される。とも書かれている。過去問を見るとこれまで100%で×である。)
2.×:覚醒レベルとパフォーマンスの関係を「逆U字曲線」で表せる。パフォーマンスは覚醒レベルが中等度の時に最大となり、覚醒レベルが低すぎても高すぎても低下する。
3.×:学習曲線には様々な型がある。代表的な型として、学習初期に勾配が急で後期にゆるやかになる負の加速度曲線、学習の初期に勾配がゆるやかで後期に急になる正の加速度曲線、学習の初期および後期に勾配がゆるやかで、中期には急なS字型曲線などがあげられる。
4.〇:正しい。2種類の運動課題間に類似性があるほど転移の影響は大きくなる。学習の転移とは、以前行った学習が後に行う学習に影響を及ぼすことをいう。
5.×:運動学習の最終相では、運動は空間的、時間的に統合され、無駄なく早く滑らかになる。手続きは自動化され、運動に対する注意は減少していく。忘却しにくくなったりと運動学習に停止はない

類似問題です↓
【PT/OT/共通】運動学習ついての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

75.正常細胞と比較したときの悪性腫瘍細胞の特微はどれか。

1.増殖が遅い。
2.分化の程度は低い。
3.染色体異常は少ない。
4.核分裂の頻度は少ない。
5.核/細胞質比は小さい。

解答:2


解説

 悪性腫瘍は未熟構造であり、浸潤性があり異型性が強く、分化度が低く、分裂が活発で転移が見られる。悪性腫瘍は正常な細胞の増殖、成熟の制御を外れて増殖し、外部からの制御を受けない性質を持つ。

1.× 増殖が、「遅い」ではなく、速い(増殖能は高い)
2.〇 正しい。分化の程度は低い
3.× 染色体異常は、「少ない」ではなく多い
4.× 核分裂の頻度は、「少ない」のではなく活発である。
5.× 核/細胞質比は、「小さい」のではなく大きい。核 / 細胞質比とは、1つの細胞の「核の面積」を「細胞質の面積」割ったものである。つまり、細胞における核の面積割合のこと。活発に分裂すると核や細胞の形がイビツになり、核の面積が大きいのも特徴である。つまり、核/細胞質比は大きくなる。

 

2 COMMENTS

問73の問題の1番の解説が
1.× 呼気時に腹圧は上昇ではなく下降する。呼気時は横隔膜が弛緩し、胸腔内圧とともに上昇する。
と記載してありますが、胸腔内圧とともに上昇ではなく、腹圧は低下し、胸腔内圧は上昇、という書き方が正しいのではないでしょうか?

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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