【PT/OT/共通】運動学習ついての問題「まとめ・解説」

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。

・当HPに「キーワード検索」の機能がありますので、そちらも積極的にお使いください。

類似問題です↓
【PT/OT/共通】結果の知識についての問題「まとめ・解説」

目次 非表示

PT専門

第45回PT 午前50問

指導者が与えるKR (Knowledge of Results)の持つ作用でないのはどれか。

1.運動反応の変化を引き起こす。
2.運動感覚への注意を喚起する。
3.指導者への依存心を誘発する。
4.学習者の動機付けを高める。
5.認知的負荷を高める。

解答

解説

1.〇 正しい。運動反応の変化を引き起こす。運動の結果に関する情報を得ることで、運動反応の変化を引き起こす。
2.× 運動感覚への注意を「喚起する」のではなく「低下」する。結果の知識(KR)は、付加的フィードバック(外在的フィードバック)と同義語としてとらえられる。『運動感覚』という定義が曖昧な言葉であるが、『感覚』は内在的フィードバックである。指導者が与えるものではない。また結果の知識(KR)を与え、学習が進むにつれて運動・感覚への注意は低下し、特に意識しなくとも運動可能になる。
3.〇 正しい。指導者への依存心を誘発する。KRが頻回に与えられると学習者はKRに依存的になり、運動反応生成のための内在的な情報処理に十分な注意を向けなくなる。
4.〇 正しい。学習者の動機付けを高める。KRには動機付けの働きがある。
5.〇 正しい。認知的負荷を高める。結果の知識を与えることによって、学習者に「考える」ことを要求し、認知的負荷は高くなる。

 

 

 

 

 

第46回PT 午前48問

運動学習が進んだ段階で生じる変化で誤っているのはどれか。

1.視覚的手がかりへの依存度が減る。
2.別の課題への転移が容易になる。
3.注意の集中がより必要になる。
4.試行間のばらつきが減少する。
5.自己修正の精度が高くなる。

解答

解説
1.〇 正しい。視覚的手がかりへの依存度が減る。なぜなら、運動学習が進むことで、視覚的なもの以外(触覚、聴覚、関節覚)にも様々な手がかりを種々のものから得られるようになるため。
2.〇 正しい。別の課題への転移が容易になる。ある場面で学んだことを別の場面にも応用することができるようになる。これを学習の転移という。
3.× 運動学習が進むにつれ、注意の集中が徐々に必要なくなる。空間的・時間的に統合され、無駄がなく早くなめらかになる。つまり、手続きは自動化され、運動に対する注意は減少していく。
4.〇 正しい。試行間のばらつきが減少する。課題を均一に試行できるようになる。初期の理解の誤りが見直し・修正されるため余剰の運動は省かれる。
5.〇 正しい。自己修正の精度が高くなる。なぜなら、知識の集積や経験から行われるため。

 

 

 

 

 

 

第47回PT 午後22問

運動学習について正しいのはどれか。

1.理学療法士は患者に内在的フィードバックを与える。
2.内部モデルの形成には感覚フィードバックが必要である。
3.感覚情報がなくても新たな運動課題を学習することができる。
4.フィードフォワードは遂行中の運動の軌道修正に使用される。
5.指導者が与えるフィードバックは運動学習の成立に必須である。

解答

解説
1.× 理学療法士は患者に、「内在的フィードバック」ではなく外在的フィードバックを与える。外在的フィードバックは、例えば、100m走のタイムの確認、体操競技における採点結果の確認、フォームを動画で確認することなどである。ちなみに、内在的フィードバックは、自己の感覚情報によるものである。
2.〇 正しい。内部モデルの形成には、感覚フィードバック(内在的フィードバック)が必要である。内部モデルとは、運動に見合った運動指令を出力するシステムのことである。つまり、運動学習が必要不可欠となり、そのためには感覚フィードバック(内在的フィードバック)が必要になる。
3.× 感覚情報がない場合は、新たな運動課題を学習できない。なぜなら、運動学習には感覚フィードバック(内在的フィードバック)が必要であるため。
4.× 遂行中の運動の軌道修正に使用されるのは、「フィードフォワード」ではなく、フィードバックである。ちなみに、フィードバックは、結果を受けて調節する振り返り型の制御である。ちなみに、フィードフォワードは、目標を先に決めて外部要因を評価しつつ、達成に向けて修正を加える制御である。
5.× 指導者が与えるフィードバックは、運動学習の成立に必ずしも必須とはいえない。なぜなら、指導者が頻回に与えるフィードバックは、時に運動反応の過剰修正を引き起こすことがあるため。また、学習者のフィードバックへの依存を招きかねない。つまり、運動学習の成立の妨げになるときもある。

 

 

第47回PT 午前31回

練習方法の説明で正しいのはどれか。

1.1つのスキルを試行間で速度を変えずに練習するのは恒常練習である。
2.1つのスキルを様々な速度で練習するのはランダム練習である。
3.練習時間を短時間に分けて練習するのは部分練習である。
4.1つのスキルを細分化して練習するのは分散練習である。
5.複数のスキルを混ぜて練習するのは多様練習である。

解答1

解説
1.〇 正しい。1つのスキルを試行間で速度を変えずに練習するのは恒常練習である。恒常練習とは、同じ動きを繰り返して練習することである。野球の素振りなどがこれにあたる。
2.× 1つのスキルを様々な速度で練習するのは、「ランダム練習」ではなく多様練習である。ランダム練習とは、複数のスキルを混ぜて交互に練習する方法である。例えば、短距離歩行練習→長距離歩行練習などである。
3.× 練習時間を短時間に分けて練習するのは、「部分練習」ではなく分散練習である。部分練習とは、間違いやすい部分を徹底的に繰り返し練習することである。移乗の立ち上がりを繰り返すといったもの。
4.× 1つのスキルを細分化して練習するのは、「分散練習」ではなく部分練習である。分散練習とは、休憩時間をはさみながら行う練習方法である。一回の練習を短く、試行回数を少なくして、練習回数を増やす練習方法である。例えば、縄跳びを朝・昼・夜に10回やるといったようなもの。
5.× 複数のスキルを混ぜて練習するのは、「多様練習」ではなくランダム練習である。多様練習とは、1つのスキルを多様な方法で練習することである。例えば、移乗練習でベッドを変えて練習したり、歩行練習を屋外やでこぼこ道・坂道などに行ったりして練習すること。

 

 

 

 

第48回PT 午前41問

運動学習理論で練習の後に与えられるのはどれか。

1.言語教示
2.ガイダンス
3.結果の知識
4.ハンドリング
5.デモンストレーション

解答

解説
1.× 言語教示は、練習前に与えられる。言語教示とは、運動課題を伝えることである。
2.× ガイダンスは、練習前~練習中に与えられる。ガイダンスとは、指導のことである。
3.〇 正しい。結果の知識は、練習の後に与えられる。結果の知識とは、何らかの運動学習をした際、運動がうまくいったか否かのフィードバックである。
4.× ハンドリングは、練習中に与えられる。ハンドリングとは運動者の動きを徒手的に誘導する援助技術である。
5.× デモンストレーションは、練習前に与えられる。デモンストレーションとは、実物に即して示すこと。

 

 

 

第48回PT 午後40問

運動学習の転移が関係していると考えられるのはどれか。

1.ゆっくりした歩行を練習した後に速い歩行が改善した。
2.温熱療法で痙縮を軽減させた後に階段昇降動作が改善した。
3.片麻痺患者にCI療法を行った後に麻痺側上肢の機能が向上した。
4.椅子からの立ち上がり練習を行った後に下肢伸筋群の筋力が向上した。
5.ハムストリングスを徒手的に伸張した後にプッシュアップ動作が改善した。

解答

解説

運動学習とは、訓練や練習を通して獲得される運動行動の変化で、状況に適した協調性が改善していく過程である。
学習の転移とは、以前行った学習が、後に行う学習に影響を与えることである。

 

1.〇 正しい。ゆっくりした歩行を練習した後に速い歩行が改善した。前の学習が後の学習を促進しており、正の転移である。
2.× 温熱療法で痙縮を軽減させた後に、階段昇降動作が改善したのは、運動学習の転移とは関係が低い。温熱療法は物理療法であり、物理療法の効果で改善しているため不適切である。
3.× 片麻痺患者にCI療法を行った後に、麻痺側上肢の機能が向上したのは、運動学習の転移とは関係が低い。運動学習は、運動行動の変化であるため、麻痺側上肢の機能向上は運動学習とはいいにくい。ちなみに、CI療法とは、非麻痺側の運動を制限することで麻痺側の運動を促す方法である。
4.× 椅子からの立ち上がり練習を行った後に、下肢伸筋群の筋力が向上したのは、運動学習の転移とは関係が低い。運動学習は、運動行動の変化であるため、下肢伸展筋群の筋力向上は運動学習とはいいにくい。
5.× ハムストリングスを徒手的に伸張した後に、プッシュアップ動作が改善したのは、運動学習の転移とは関係が低い。ハムストリングスの徒手的伸張は、ストレッチ効果であるため、運動学習とはいいにくい。

 

 

第49回PT 午前48問

運動学習が成立する過程で起こるのはどれか。2つ選べ。

1.誤差の平均値が減少する。
2.誤差のばらつきが大きくなる。
3.課題遂行に向ける注意の量が増大する。
4.結果の知識(KR)への依存度が増大する。
5.練習効果の翌日への持越しが容易になる。

解答1,5

解説
1.〇 正しい。誤差の平均値が減少する。なぜなら、学習が進むと運動の正確性が増すため。
2.× 誤差のばらつきが、「大きくなる」のではなく小さくなる。課題を正確に試行できるようになるため。
3.× 課題遂行に向ける注意の量は、学習が進むにつれて、「増大」ではなく減少し、徐々に必要なくなる。
4.× 結果の知識(KR)への依存度が、「増大」ではなく減少する。なぜなら、自己感覚情報が利用でき、自己修正可能になるため。
5.〇 正しい。練習効果の翌日への持越しが容易になる。

 

 

第50回PT 午前48問

48 運動学習について正しいのはどれか。

1. 野球のスウィングは連続的スキルに分類できる。
2. 覚醒レベルとパフォーマンスの向上との関係はない。
3. 運動技能の向上に伴い運動に対する注意は増加する。
4. 前の学習が後の学習を促進することを正の保持という。
5. 学習を促すために結果の知識(KR)の相対頻度を低下させる。

解答5

解説

1.× 野球のスウィングは、「連続的スキル」ではなく不連続的スキルである。不連続的スキル(クローズドスキル)とは、1回行うのに明確な始まりと終わりがあるものをいう。一方、連続的スキル(オープンスキル)とは、明らかな始まりと終わりがないものをいい、自転車の運転などが例である。
2.× 覚醒レベルとパフォーマンスの向上との関係はある(逆U字曲線)。覚醒レベルが上昇するとパフォーマンスは向上する。しかし、覚醒レベルが高すぎると、パフォーマンスは低下する。
3.× 運動技能の向上に伴い運動に対する注意は、「増加する」のではなく低下する。注意の集中は、運動学習が進むにつれて徐々に必要なくなる。
4.× 前の学習が後の学習を促進することを、「正の保持」ではなく学習の転位という。正の転移とは、前の学習が後の学習を促進することである。一方、前の学習が後の学習を後退させることを負の転移という。
5.〇 正しい。学習を促すために結果の知識(KR)の相対頻度を低下させる。なぜなら、結果の知識(KR)がなくても自己修正できるようになるため。

 

 

 

 

第56回PT 午前25問

25 運動学習について正しいのはどれか。

1.固有感覚情報は影響しない。
2.言語学習よりも保持期間が短い。
3.学習課題の類似性に影響を受ける。
4.前の学習が後の学習を妨害することを正の転移という。
5.課題の種類にかかわらず覚醒レベルが高いと学習効果が高くなる。

解答

解説

運動学習とは?

運動学習とは、訓練や練習を通して獲得される運動行動の変化で、状況に適した協調性が改善していく過程である。感覚運動学習とも呼ぶ。

1.× 固有感覚情報も運動学習に影響する。固有感覚情報は、筋・腱・関節にある固有受容器により提供される身体の運動や位置についての情報である。身体がどのように動いたかなどの変化を捉える重要な情報である。したがって、運動学習には欠かせない要素である。
2.× 運動学習は、言語学習よりも保持期間は長い。なぜなら、言語学習よりも運動学習のほうが、多くの感覚を受容しており、比較的永続する能力の変化をもたらすため。
3.〇 正しい。学習課題の類似性に影響を受ける。2種類の運動課題の間に類似性があればあるほど転移の影響は大きくなる。テニスプレーヤーが、バドミントンやその他のラケット競技を練習に取り入れるのはこのためである。
4.× 前の学習が後の学習を妨害すること(うまくいかないこと)を、「正の転移」ではなく、負の転移という。反対に、前の学習が後の学習をうまくいくようになったことを、正の転移という。例えば、トランペットを吹いていた経験がトロンボーンの練習に役立つことは正の転移である。
5.× 一般的に課題の種類にかかわらず、覚醒レベルが高くても学習効果が高くはならない。なぜなら、覚醒レベルとパフォーマンスの関係は「逆U字曲線」で表すことができるため。覚醒レベルが中等度の時に最大(至適覚醒水準)となり、覚醒レベルが高すぎても低すぎても低下する。

 

 

第57回PT 午前22問

22 歩行導入初期における運動学習の方法として適切なのはどれか。2つ選べ。

1.ハンドリングを行う。
2.休憩を入れずに練習する。
3.踵接地の練習を繰り返し行う。
4.後ろ歩きや横歩きの練習を取り入れる。
5.フィードバックを与える頻度は少なくする。

解答1・3

解説

1.〇 正しい。ハンドリング(handling)を行うことは、歩行導入初期における運動学習の方法として適切である。ハンドリング(handling)とは、操作・手で扱うことである。運動学習をする上での導入として、①正しい運動で、②難易度が低い内容から始める必要がある。歩行導入初期の場合であれば、ハンドリング(handling)=歩行介助は、歩容の改善、歩行の難易度を下げるということに繋がる。
2.× 休憩を入れずに練習する必要はない。なぜなら、休憩を入れずに練習を行うことは疲労による運動パフォーマンス低下が考えられ、正しい運動を行うことから逸脱するため。
3.〇 正しい。踵接地の練習を繰り返し行うことは、歩行導入初期における運動学習の方法として適切である。なぜなら、踵接地の練習を繰り返すことは正常歩行、つまり正しい運動を反復して行うことにつながるため。
4.× 後ろ歩きや横歩きの練習を取り入れるのは時期尚早である。なぜなら、後ろ歩きや横歩きの練習は応用歩行であり、通常歩行より難易度が高い内容であるため。主に、運動技能学習の③最終相(自動相)で行う。
5.× フィードバックを与える頻度は少なくするのは時期尚早である。なぜなら、フィードバックを与える頻度を少なくすることは、正しい運動から逸脱した時に修正する機会を減らすため。つまり、正しい運動から逸脱しやすい環境といえる。主に、運動技能学習の②中間相(連合相)で行う。

運動技能学習

①初期相(認知相)
何を行うかを理解し、技能獲得のための戦略を立てる時期。

②中間相(連合相)
個々の運動が滑らかな協調運動へと融合して系列動作へと移行する。初期の理解の誤りが見出され、修正され余剰の運動は省かれる。

③最終相(自動相)
運動は空間的・時間的に統合され、無駄がなく、速く滑らかになる。手続きは自動化され、運動に対する注意は減少していく。運動技能は完成に近づくが、さらに高度な技能を身につけたい場合には過剰学習によって下位技能を身につけなければならない。

 

 

 

第59回PT 午後23問

23 運動制御における内部モデル形成で重要な役割をもつ中枢神経系はどれか。

1.小脳
2.中脳
3.視床下部
4.大脳皮質
5.大脳辺縁系

解答

解説

内部モデルとは?

内部モデルとは、運動に見合った運動指令を出力するシステムのことである。小脳内に作られ、運動目標を達成するための運動指令の生成などに使われる。つまり、運動学習が必要不可欠となり、そのためには感覚フィードバック(内在的フィードバック)が必要になる。すなわち、「経験により学習した事象の関係に推論や思考による結果を加えて作られる出来事の因果関係に関する主観的な予測図式(スキーム)」のことを指す。要は、体が覚えている記憶(手続き記憶)のこと。

1.〇 正しい。小脳が、運動制御における内部モデル形成で重要な役割をもつ中枢神経系である。小脳とは、後頭部の下方に位置し、筋緊張や身体の平衡の情報を処理し運動や姿勢の制御(運動系の統合的な調節)を行っている。
2.× 中脳とは、間脳と橋の間に位置する脳構造である。中脳水道より背側の中脳蓋と、腹側の中脳被蓋、大脳脚の3つの部分に大別される。主な働きとして、間脳と小脳の中継路、姿勢を保つ反射神経、眼球運動、瞳孔の拡大縮小調節などである。
3.× 視床下部とは、間脳に位置し、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。つまり、視床下部は自律神経の最高中枢である。
4.× 大脳皮質とは、大脳の表層を覆うシワシワの部分で、前頭葉、頭頂葉、側頭葉などと呼ばれる部位の総称である。全身から送られてくる外界の情報を処理して思考・判断を行い、随意運動の指令を送り出している。
5.× 大脳辺縁系とは、脳梁を取り囲むように大脳の内側部に存在し、本能・情動・記憶などを司る構造物の総称である。構成要素としては、辺縁葉(梁下野、帯状回、海馬傍回)、海馬、扁桃体、乳頭体、中隔核などがあげられる。

 

 

OT専門

第45回OT 午前27問

27 運動学習の結果の知識(KR:Knowledge of Results)の提示による結果効率で正しいのはどれか。

1.提示が遅延すると効率は向上する。
2.提示の頻度が高ければ効率は低下する。
3.提示の内容の正確さが高ければ効率は向上する。
4.提示の後に別の運動を挿入すると効率は向上する。
5.提示が遅延している間に別の運動を挿入すると効率は向上する。

解答

解説

結果の知識とは?

結果の知識(付加的フィードバック)は、運動の結果に関する情報であり、運動終了後に与えられる。つまり、何らかの運動学習をした際、運動がうまくいったか否かのフィードバックである。ちなみに、運動それ自体に与えられる付加的フィードバックは、パフォーマンスの知識という。

1.× 提示が遅延すると効率は、「向上する」のではなく「減少する」。ただし、わずかな遅延は不変とされている。
2.× 提示の頻度が高ければ効率は、「低下する」のではなく「向上する」。頻度が高いほど運動学習の効率は増加する。
3.〇 正しい。提示の内容の正確さが高ければ効率は向上する
4.× 提示の後に別の運動を挿入しても効率は、「向上する」のではなく「不変」とされている。
5.× 提示が遅延している間に別の運動を挿入すると効率は、「向上する」のではなく「低下する」。

 

 

第54回OT 午後34問

34 車椅子とベッドとの移乗動作の練習方法で正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 疲労度を同程度に保って練習するのは恒常練習である。
2. 車椅子からの立ち上がりのみ練習するのは部分練習である。
3. 動作手順を正しく言えるように練習するのは全体練習である。
4. アプローチ角度やベッドの高さを変えて練習するのは多様練習である。
5. 車椅子のブレーキ操作と移乗に区切って練習するのは分散練習である。

解答2.4

解説
1.× 恒常練習は、「疲労度を同程度に保って練習する」のではなく、同じ動きを繰り返して練習する方法である。疲労度を同程度に保って練習する運動学習の方法は、「分散練習」のひとつともいえる。なぜなら、疲労度を同程度に保って練習するには、分散練習のように適宜休憩を取り、 課題内容を分けて行う必要があるため。
2.〇 正しい。車椅子からの立ち上がりのみ練習するのは部分練習である。部分練習は、一つの動作をそれぞれの相に分けて一相ずつ練習していく方法である。
3.× 全体練習は、「動作手順を正しく言えるように練習する」のではなく、ひとつの動作を始めの相から最後の相まで続けて練習していく方法である。動作手順を正しく言えるように練習する運動学習の方法の名前を知っている方はコメント欄にて教えてください( ;∀;)
4.〇 正しい。アプローチ角度やベッドの高さを変えて練習するのは多様練習である。多様練習は、運動を様々に変化させて行う練習方法である。他にも、ベッドを変えて(リハ室のベッドと病室のベッド)の移乗練習などのことをいう。
5.× 車椅子のブレーキ操作と移乗に区切って練習するのは、「分散練習」ではなく部分練習である。分散練習は、1回の練習を短く、 試行回数を少なくして、練習回数を増やす練習方法のことである。例えば、縄跳びを朝昼晩に30回ずつとんで練習するといったことである。

 

 

 

共通問題

第47回共通 午後74問

74 運動学習における結果の知識(KR)の提示について正しいのはどれか。

1.動機付けには効果がない。
2.誤りの大きさを提示すると有効である。
3.成人では学習パフォーマンスを向上させない。
4.難しい課題では1試行ごとに提示すると学習効率が低下する。
5.運動の誤差修正を行えるようになっても継続する必要がある。

解答2

解説

1.× 動機付けに効果がある。なぜなら、結果を知ることで学習者のやる気に繋がるため。ちなみに、結果の知識(KR)とは、付加的フィードバック(FB)と同義語としてとらえられる。『うまくいったか?否か?』である。
2.〇 正しい。誤りの大きさを提示すると有効である。誤りの大きさは、結果の知識(KR)に含まれ、修正していくことでパフォーマンスの向上につながる。
3.× 成人でも学習パフォーマンスを向上させる。年齢関係なく結果の知識(KR)は有効である。
4.× 難しい課題では1試行ごとに提示すると学習効率が、「低下する」のではなく向上する。なぜなら、次の練習までに誤差修正が行えるため。
5.× 運動の誤差修正を行えるようになれば、継続する必要はない。運動学習の初期では、付与された結果の知識(KR)によって学習者は運動の誤差修正を行う。しかし、自己の固有感覚情報を利用して運動の誤差修正を行えるようになれば、結果の知識(KR)は不要である。

 

 

 

 

 

第49回共通 午前64問

64 随意運動に関与しないのはどれか。

1. 小脳
2. 内包
3. 大脳脚
4. 視床下部
5. 中心前回

解答4

解説

1.× 小脳運動は、運動の調節や運動学習に関与している。
2.3.5.× 内包錐体/大脳脚/中心前回は、錐体路である。錐体路は、大脳皮質運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→延髄→(錐体交叉)→脊髄側索→脊髄前角細胞という経路をたどる。
4.〇 正しい。視床下部は、自律神経内分泌系を司る高次中枢である。

 

 

第49回共通 午後74問

74 運動学習において部分法に最も適している動作はどれか。

1. 歩行
2. 食事動作
3. 階段の降段
4. リーチ動作
5. 立ち上がり動作

解答2

解説

 部分法とは、運動課題をいくつかの部分に分けて訓練を行う方法である。運動課題が複雑で難しい場合や、運動課題での連続性が重要でない場合、動作の一部分を強調して行う場合などに用いられる。一方、全体法とは、運動課題を初めから終わりまで一連の動作を続けて行う方法である。一般的には全体法の方が能率的とされている。

 

1.3.5.× 歩行/階段昇降/立ち上がり動作は、全体法の方が適している。なぜなら、歩行は自動的かつ連続的な動作であるため。問題文の最も優先度が高い動作ではない。
2.〇 正しい。食事動作は、部分法の方が適している。なぜなら、食事動作は多種類の動作を含む複合動作であり、各動作(食器を持つ、スプーンですくうなど)は、独立して実施可能であるため。
4.× リーチ動作は、全体法の方が適している。なぜなら、リーチ動作自体、短時間で終了する比較的単純な動作のため。

 

 

 

第51回共通 午後74問

74 運動学習における結果の知識(KR)の提示について正しいのはどれか。

1. 難しい課題では1試行ごとに提示すると学習効率が低下する。
2. 運動の誤差修正を行えるようになっても継続する必要がある。
3. 成人では学習パフォーマンスを向上させない。
4. 誤りの大きさを提示すると有効である。
5. 動機付けには効果がない。

解答4

解説

1.× 難しい課題は、1試行ごとに結果の知識(KR)を提示すると学習効率が、「低下する」のではなく上昇する。なぜなら、次の練習までに誤差修正が行えるため。
2.× 運動の誤差修正を行えるようになれば、継続する必要はない。運動学習の初期では、付与された結果の知識(KR)によって学習者は運動の誤差修正を行う。しかし、自己の固有感覚情報を利用して運動の誤差修正を行えるようになれば、結果の知識(KR)は不要である。
3.× 成人でも学習パフォーマンスを向上させる。年齢関係なく結果の知識(KR)は有効である。
4.〇 正しい。誤りの大きさを提示すると有効である。動作や運動の誤りを具体的に伝える事で運動パフォーマンスは向上につながる。
5.× 動機付けに効果がある

 

 

 

第52回共通 午前58問

58 大脳辺縁系とその働きの組合せで正しいのはどれか。

1. 海馬:体温調節
2. 嗅球:内分泌
3. 視床下部:長期記憶
4. 帯状回:運動学習
5. 扁桃体:短期記憶

解答:

解説

1. ✖ 海馬は、記憶情報の取捨選択、陳述記憶などを司る。体温調節の中枢は視床下部にある。
2. ✖ 嗅球は、嗅覚情報処理などを司る。
3. ✖ 視床下部は、自律神経の中枢、内分泌の中枢などを司る。長期記憶は、大脳新皮質に保存される。
4. 〇 正しい。帯状回は、運動学習のほかにも呼吸器の調節、意思決定、共感、感情による記憶に関与する。
5. ✖ 扁桃体は、情動に伴う現象などを司る。短期記憶は、海馬に一時的に蓄えられる。

大脳辺縁系とは?

大脳辺縁系は脳梁を取り囲むように大脳の内側部に存在し、本能・情動・記憶などを司る構造物の総称である。構成要素としては、辺縁葉(梁下野、帯状回、海馬傍回)、海馬、扁桃体、乳頭体、中隔核などがあげられる。

 

 

第53回共通 午後74問

運動学習について正しいのはどれか。

1.動機がけが高いほどパフォーマンスが向上する。
2.覚醒レベルが高いほどパフォーマンスが向上する。
3.学習によるパフォーマンスの向上は直線的に起こる。
4.2種類の運動課題間に類似性があるほど転移の影響は大きくなる。
5.パフォーマンスの向上がみられなくなることは運動学習の停止を意味する。

解答:4

解説
1.△:動機付けとはモチベーションのことである。個人的な満足感や喜びに基づく内的動機付けと、物品などの報酬による外的動機付けがある。動機づけがあるとパフォーマンスは向上する。動機付けの高さは関係ない。(※しかし、中村隆一らによる基礎運動学からすると、パフォーマンスに対して動機づけと技能は相乗効果を示し、パフォーマンス = 動機づけ × 技能 の式で示される。とも書かれている。過去問を見るとこれまで100%で×である。)
2.×:覚醒レベルとパフォーマンスの関係を「逆U字曲線」で表せる。パフォーマンスは覚醒レベルが中等度の時に最大となり、覚醒レベルが低すぎても高すぎても低下する。
3.×:学習曲線には様々な型がある。代表的な型として、学習初期に勾配が急で後期にゆるやかになる負の加速度曲線、学習の初期に勾配がゆるやかで後期に急になる正の加速度曲線、学習の初期および後期に勾配がゆるやかで、中期には急なS字型曲線などがあげられる。
4.〇:正しい。2種類の運動課題間に類似性があるほど転移の影響は大きくなる。学習の転移とは、以前行った学習が後に行う学習に影響を及ぼすことをいう。
5.×:運動学習の最終相では、運動は空間的、時間的に統合され、無駄なく早く滑らかになる。手続きは自動化され、運動に対する注意は減少していく。忘却しにくくなったりと運動学習に停止はない

 

 

 

第56回共通 午前74問

74 運動学習におけるパフォーマンスの知識はどれか。

1.フィギュアスケートの得点
2.投球のストライク判定
3.50m平泳ぎのタイム
4.サッカーのゴール数
5.宙返りの空中姿勢

解答

解説

運動学習

 運動学習に必要な外的フィードバックの中には、①KR(結果の知識)と、②KP(パフォーマンスの知識)が含まれる。①KR(結果の知識)は、運動終了後に与えられる結果に関するフィードバックのことである。②KP(パフォーマンスの知識)は、運動中の動きに関するフィードバックのことを指す。ちなみに、②KP(パフォーマンスの知識)は、運動学的フィードバックとも呼ばれる。

1~4.× フィギュアスケートの得点/投球のストライク判定/50m平泳ぎのタイム/サッカーのゴール数は、KR:結果に関するフィードバックである。なぜなら、運動後のその結果に対する情報であるため。
5.〇 正しい。宙返りの空中姿勢は、動きに対するフィードバック(運動中の特徴)であるため、KP(パフォーマンスの知識)である。

 

 

 

 

 

 

 

第58回共通 午後74問

74.運動学習の効率で正しいのはどれか。

1.覚醒度は高いほどよい。
2.フィードバックは多いほどよい。
3.練習動作の難度は低いほどよい。
4.多様練習は学習初期に行うとよい。
5.練習動作は基準課題に似ているほどよい。

解答

解説

運動学習とは?

運動学習とは、訓練や練習を通して獲得される運動行動の変化で、状況に適した協調性が改善していく過程である。感覚運動学習とも呼ぶ。運動学習をする際には、①口頭指示(文字のみ)→②模倣→③介助(誘導)の順で難易度が下がっていく。

1.× 覚醒度は、「高いほどよい」のではなく、適切なレベルであることが重要である。なぜなら、覚醒度が高すぎる場合、過度の緊張や焦りを引き起こすため。逆に、覚醒度が低すぎる場合、注意力の低下ややる気の喪失につながる。両方とも、運動学習の効率を低下させる要因となりえる。
2.× フィードバックは、「多いほどよい」のではなく、適切なレベルであることが重要である。なぜなら、過剰であると、学習者が自己評価や自己修正の能力を育てることを妨げるため。適度なフィードバックを提供することで、学習者は自分自身で問題点を発見し、改善する力を身につけることができる。
3.× 練習動作の難度は、「低いほどよい」のではなく、適切なレベルであることが重要である。なぜなら、難度が低すぎると、新たな技術の獲得につながらないだけでなく、練習に飽きやすくなり、運動学習の効率が低下することがあるため。逆に、難度が高すぎると、挫折感や不安感が生じ、同様に学習効率が悪化することがある。適切な難度で練習を行うことが効率的な運動学習につながる。
4.× 多様練習は、「学習初期」ではなく学習後期に行うとよい。なぜなら、学習後期は基礎が身に付きある程度技術を獲得できた段階(自動化段階)で、違った環境でも行えるようにする必要があるため。多様練習とは、1つのスキルを多様な方法で練習することである。例えば、移乗練習でベッドを変えて練習したり、歩行練習を屋外やでこぼこ道・坂道などに行ったりして練習すること。
5.〇 正しい。練習動作は基準課題に似ているほどよい。なぜなら、学習課題の類似性に影響を受けるため。2種類の運動課題の間に類似性があればあるほど転移の影響は大きくなる。テニスプレーヤーが、バドミントンやその他のラケット競技を練習に取り入れるのはこのためである。

 

 

第59回共通 午後74問

74 運動学習で最も適切なのはどれか。

1.学習初期から二重課題法を取り入れる。
2.学習課題の難易度は高いほど効果がある。
3.療法士の助言は内在的フィードバックである。
4.記憶障害がある場合は試行錯誤学習を適応する。
5.運動技能が向上すればエネルギー効率が良くなる。

解答

解説

運動学習とは?

運動学習とは、訓練や練習を通して獲得される運動行動の変化で、状況に適した協調性が改善していく過程である。感覚運動学習とも呼ぶ。運動学習をする際には、①口頭指示(文字のみ)→②模倣→③介助(誘導)の順で難易度が下がっていく。

1.× 学習初期から二重課題法を取り入れる必要はない。なぜなら、二重課題は難易度が高い可能性があるため。二重課題法では、練習課題とそれ以外の課題とを同時に遂行させる。練習課題に加えて注意力を分散させる課題を同時遂行させる方法である。例えば、歩行中に計算やしりとりなどをすることである。
2.× 学習課題の難易度は高いほど効果があるとはいえない。なぜなら、難易度はその人に合わせる必要があるため。野球初心者がバッティングの練習の際、大谷選手から投げられたボールを打ち続ける練習をするより、素振りや構えから練習する必要がある。
3.× 療法士の助言は、「内在的」ではなく外在的フィードバックである。外在的フィードバックとは、例えば、100m走のタイムの確認、体操競技における採点結果の確認、フォームを動画で確認することなどである。ちなみに、内在的フィードバックは、自己の感覚情報によるものである。
4.× 記憶障害がある場合は、試行錯誤学習を適応する必要はない。なぜなら、記憶障害がある場合、試行錯誤を繰り返すことによる刺激と反応の結びつきの強化は見込みにくいため。つまり忘却が学習を阻害する可能性が高い。ちなみに、試行錯誤学習とは、試行錯誤学習とは、Thorndike,E. L(ソーンダイク)が提唱し、「試行の積み重ねによって問題の解決に至ることから生じる学習」をいう。一般的に、試行錯誤を繰り返すことにより、刺激と反応の結びつきか徐々に強くなり、問題解決にかかる時間は短くなっていく。
5.〇 正しい。運動技能が向上すればエネルギー効率が良くなる。運動技能学習の③最終相(自動相)ともなれば、運動は空間的・時間的に統合され、無駄がなく、速く滑らかになる。手続きは自動化され、運動に対する注意は減少していく。運動技能は完成に近づくが、さらに高度な技能を身につけたい場合には過剰学習によって下位技能を身につけなければならない。

運動技能学習

①初期相(認知相)
何を行うかを理解し、技能獲得のための戦略を立てる時期。

②中間相(連合相)
個々の運動が滑らかな協調運動へと融合して系列動作へと移行する。初期の理解の誤りが見出され、修正され余剰の運動は省かれる。

③最終相(自動相)
運動は空間的・時間的に統合され、無駄がなく、速く滑らかになる。手続きは自動化され、運動に対する注意は減少していく。運動技能は完成に近づくが、さらに高度な技能を身につけたい場合には過剰学習によって下位技能を身につけなければならない。

 

類似問題です↓
【PT/OT/共通】結果の知識についての問題「まとめ・解説」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)