第59回(R6) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題71~75】

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71 手の運動で正しいのはどれか。

1.橈骨手根関節の運動軸は2つである。
2.PIP関節の側副靱帯は伸展位で弛緩する。
3.手関節背屈には長母指外転筋が作用する。
4.手関節橈屈の可動域は前腕回外位より回内位で大きい。
5.対立運動における横アーチの変化には第2CM関節が関与する。

解答

解説
1.〇 正しい。橈骨手根関節の運動軸は2つである。手関節の底・背屈、橈・尺屈である。
2.× 「PIP関節」ではなくMP関節の側副靱帯は伸展位で弛緩する。MP関節屈曲位では、側副靱帯が緊張しているため、MP関節外転に制限をきたす。一方、PIP関節の側副靱帯は、「伸展位」ではなく屈曲位で弛緩する。
3.× 手関節背屈には長母指外転筋が作用することもある。必ずしも、手関節背屈には長母指外転筋が作用するとは言い切れない。長母指外転筋の【起始】尺骨と橈骨の中部背側面、前腕骨間膜背面、【停止】第1中手骨底背面外側付近、【作用】母指外転(※手関節橈屈)である。手関節背屈の主動作筋には、長・短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋である。
4.× 逆である。手関節橈屈の可動域は前腕「回内位」より「回外位」で大きい。なぜなら、前腕回外位では、橈骨と尺骨が交差しないため。橈骨と尺骨が交差することで、土台となる尺骨・橈骨の配列が崩れる。また、回外位のほうが橈骨の構造上、滑りと転がりの余裕ができるため。ちなみに、手関節橈屈作用を持つ筋は、長・短橈側手根伸筋、橈側手根屈筋があげられる。
5.× 対立運動における横アーチの変化には、「第2CM関節」ではなくMP関節が関与する。対立運動における横アーチの変化は、遠位横アーチが関与するため。手の横アーチには①近位横アーチ(遠位手根骨列で形成される)、②遠位横アーチ(中手骨頭列で形成される)がある。ちなみに、他にも手には、斜めアーチ(母指と他4指で形成される)、縦アーチ(手根骨-中手骨-指骨で形成される)がみられる。

 

 

 

 

 

72 足関節で正しいのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.距腿関節は2度の運動自由度をもつ。
2.後脛骨筋は外がえしの共同筋である。
3.ヒラメ筋は足部内がえしに作用する。
4.足根中足関節の主な運動は滑りである。
5.立方骨は内側縦アーチを構成する骨の一つである。

解答3・4

解説

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1.× 距腿関節は、「2度」ではなく1度の運動自由度をもつ。距腿関節は、足関節の底・背屈である。
2.× 後脛骨筋は、「外がえし」ではなく内がえしの共同筋である。後脛骨筋の【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底、【作用】足関節底屈、内返しである。
3.〇 正しい。ヒラメ筋は足部内がえしに作用する。ただし、ヒラメ筋の【起始】腓骨頭と腓骨後面、脛骨のヒラメ筋線と内側縁、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節底屈、踵の挙上である。様々な文献や資料には、ヒラメ筋や腓腹筋は足部内がえしに作用すると書かれているものも確かにあるが、国家試験であるのでオーソドックスに選択肢の中で優先度が最も確実なものを選んでいこう。
4.〇 正しい。足根中足関節の主な運動は「滑り」である。なぜなら、平面関節であるため。足根中足関節は足根骨(楔状骨・立方骨)と中足骨の間の平面関節であり、リスフラン関節と呼ばれる。(過去出題されている)
5.× 立方骨は、「内側縦アーチ」ではなく外側縦アーチを構成する骨の一つである。内側縦アーチは、踵骨・距骨・舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨からなる。外側縦アーチは、踵骨・立方骨・第5中足骨からなる。

 

参考にどうぞ↓

【PT/OT/共通】足関節の構造についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

73 片側の筋収縮と体幹運動の組合せで正しいのはどれか。

1.外腹斜筋:同側への側屈
2.脊柱起立筋:対側への側屈
3.内腹斜筋:対側への回旋
4.腹直筋:対側への回旋
5.腰方形筋:同側への回旋

解答

解説
1.〇 正しい。外腹斜筋は、同側への側屈である。肋骨の引き下げ・脊柱の屈曲・骨盤の引き上げ・また脊柱を同時に曲げ、上体を対側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。
2.× 脊柱起立筋は、「対側」ではなく同側への側屈である。脊柱起立筋は、腸肋筋、最長筋、棘筋があげられる。片側が働けば体を同側へ曲げる。両側が働けば体を背屈する。
3.× 内腹斜筋は、「対側」ではなく同側への回旋である。肋骨の引き下げ、脊柱の屈曲、骨盤の引き上げ、また脊柱を同時に曲げ、上体を対側に回す。
腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。
4.× 腹直筋は、「対側への回旋」ではなく同側への屈曲である。胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。
5.× 腰方形筋は、同側への「回旋」ではなく側屈である。腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】体幹筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

74 健常成人の歩行で重心が最も高くなる時期はどれか。

1.初期接地
2.荷重応答期
3.立脚中期
4.立脚終期
5.前遊脚期

解答

解説


1.× 初期接地は、観測肢の接地の瞬間である。健常成人の歩行で重心が最も低くなる。
2.× 荷重応答期は、初期接地から対側爪先離地までである。
3.〇 正しい。立脚中期は、健常成人の歩行で重心が最も高くなる。重心の側方方向にも最も移動する。ちなみに、2cmほど揺れる。
4.× 立脚終期は、対側下腿下垂位から対側初期接地までである。
5.× 前遊脚期は、対側初期接地から観測肢爪先離地までである。

歩行周期

【立脚期】

 1. 初期接地(Initial Contact;以下,IC):観測肢の接地の瞬間
 2. 荷重応答期(Lording Response;以下,LR):IC から対側爪先離地まで
 3. 立脚中期(Mid Stance;以下,MSt):対側爪先離地から対側下腿下垂位まで
   立脚中期前半:対側爪先離地から両下腿の交差まで
   立脚中期後半:両下腿交差から対側下腿下垂位まで
 4. 立脚終期(Terminal Stance;以下,TSt):対側下腿下垂位から対側 IC まで
 5. 前遊脚期(Pre Swing;以下,PSw):対側 IC から観測肢爪先離地まで

【遊脚期】

 6. 遊脚初期(Initial Swing;以下,ISw):観測肢爪先離地から両下腿の交差まで
 7. 遊脚中期(Mid Swing;以下,MSw):両下腿交差から下腿下垂位まで
 8. 遊脚終期(Terminal Swing;以下,TSw):下腿下垂位から IC まで

類似問題です↓
【OT/共通】歩行周期についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

75 病因のうち化学的要因はどれか。

1.熱
2.圧力
3.紫外線
4.放射線
5.アスベスト

解答

解説

病因とは?

病因とは、病気の原因をといい、①内因と②外因に分けられる。

①内因とは、生体側の因子で,病気にかかりやすい準備状態を指す。内因のみでは病気は発現しない。内因は素因ともいう。
例:①生理的素因(年齢、人種、性など)、②病理的素因(個人的素因:皮膚癌を生じやすい紅皮症、アレルギー体質、糖尿病の易感染性など)

②外因とは、外部から生体に対し障害性に働くものをいう。
例:①栄養的外因(蛋白質過剰による痛風、ビタミンB1欠乏による脚気など)、②物理的外因(外傷、熱傷、放射線障害など)、③化学的外因(重金属中毒、医薬品、体内で産生されるエンドトキシン、アンモニア、アセトンなど)、④病原微生物(ウイルス、細菌、原虫など)

1.× 熱は、物理的要因である。物理的外因とは、外傷、熱傷、放射線障害などである。
2.× 圧力は、物理的要因である。過度の圧力が組織や細胞に損傷を与える。
3.× 紫外線は、物理的要因である。紫外線は皮膚や目に損傷を与え、皮膚がんや白内障などの病気の原因となる。
4.× 放射線は、物理的要因である。放射線は細胞やDNAに損傷を与え、発がんや放射線障害などの病気の原因となる。
5.〇 正しい。アスベストは、化学的要因である。アスベストとは、天然にできた鉱物繊維で「石綿(せきめん、いしわた)」とも呼ばれている。石綿関連疾患には、石綿肺、肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚や、病態として、胸膜プラークなどがある。

じん肺とは?

じん肺とは、主に小さな土ホコリや金属の粉などの無機物または鉱物性の粉塵の発生する環境で仕事をしている人が、その粉塵を長い年月にわたって多量に吸い込むことで肺組織が線維化してしまった状態である。肺線維症のひとつで、微細な無機粉じんに分類される鉱物由来の粒子(ケイ酸、アスベスト)などを長期にわたり吸入したことで肺胞に沈着し、肺が線維化して呼吸困難が生じる。

 

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