【OT/共通】歩行周期についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

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【PT専門】歩行周期についての問題「まとめ・解説」

目次 非表示

OT専門

58回 午前25

25 歩行周期の立脚期において常に筋活動がみられるのはどれか。

1.大殿筋
2.前脛骨筋
3.股内転筋群
4.大腿四頭筋
5.ハムストリングス

解答

解説

(図引用:Eberhart,H. D. et al.:「Human Limbs and their Substitutes」Mc Graw Hill Book Co. Inc 1954より)

1.× 大殿筋は、①遊脚後期と②立脚中期に筋活動がみられる。それぞれ役割は異なり、①遊脚後期の筋活動は、前方へ振り出された下肢の減速に寄与する。②立脚中期までの筋活動は、過度の体幹屈曲を防ぐこと、股関節を伸展させることである。
2.〇 正しい。前脛骨筋は、歩行周期の立脚期において常に筋活動がみられる。主な役割として、踵接地により生じる足関節の底屈を減速させ、遊脚相で足関節を背屈させクリアランスを確保する。ほかにも、歩行周期の立脚期において常に筋活動がみられるのは、脊柱起立筋があげられる。主な役割は、歩行時には抗重力姿勢を維持する。
3.× 股内転筋群は、①立脚初期と②立脚後期に筋活動がみられる。股関節外転筋と協力して、①立脚初期は股間セ鬱の安定に、②立脚後期は股関節屈曲の補助として働く。
4.× 大腿四頭筋は、主に、①立脚初期と②立脚後期から遊脚初期にかけ活動する。①立脚初期は、衝撃吸収(膝折れ防止)のために、②立脚後期から遊脚初期は股関節屈曲の補助として働く。
5.× ハムストリングスは、遊脚相後期から立脚相初期に働く。主な役割として、振り出した下肢の制御に寄与する。

歩行周期

【立脚期】

 1. 初期接地(Initial Contact;以下,IC):観測肢の接地の瞬間
 2. 荷重応答期(Lording Response;以下,LR):IC から対側爪先離地まで
 3. 立脚中期(Mid Stance;以下,MSt):対側爪先離地から対側下腿下垂位まで
   立脚中期前半:対側爪先離地から両下腿の交差まで
   立脚中期後半:両下腿交差から対側下腿下垂位まで
 4. 立脚終期(Terminal Stance;以下,TSt):対側下腿下垂位から対側 IC まで
 5. 前遊脚期(Pre Swing;以下,PSw):対側 IC から観測肢爪先離地まで

【遊脚期】

 6. 遊脚初期(Initial Swing;以下,ISw):観測肢爪先離地から両下腿の交差まで
 7. 遊脚中期(Mid Swing;以下,MSw):両下腿交差から下腿下垂位まで
 8. 遊脚終期(Terminal Swing;以下,TSw):下腿下垂位から IC まで

 

 

共通問題

45回 午前74

74.歩行中の矢状面上の関節運動を図に示す。
 この関節はどれか。

1.肩関節
2.肘関節
3.股関節
4.膝関節
5.足関節

解答5

解説


1.3.× 肩関節/股関節は、1回の歩行周期に屈曲・伸展を各1回行う。
2.4.× 肘関節/膝関節の場合、伸展10°以上の可動域を示すことは考えにくい。
5.〇 正しい。足関節は、図のような矢状面上の関節運動を示す。1回の歩行周期に2回の背屈と底屈を行う。踵接地前に背屈している足関節は垂接地直後に背屈から足底接地するため底屈する。足関節の運動は背屈から底屈へと反転して蹴りだす。足尖離地後は、クリアランスの確保のため急速に背屈運動へと変わる。

 

 

 

 

 

46回 午後74

74.正常歩行で求心性収縮を示すのはどれか。2つ選べ。

1.立脚初期の中殿筋
2.踵接地期の前脛骨筋
3.踵離地期の下腿三頭筋
4.つま先離地期の腸腰筋
5.踵接地期直前のハムストリングス

解答3/4

解説

1.× 立脚初期の中殿筋は遠心性収縮している。股関節内転し反対側(遊脚期)の骨盤が過度に傾くことを防いでいる。
2.× 踵接地期の前脛骨筋は遠心性収縮している。踵接地直後にすぐ足底接地にならないように足関節の底屈するスピードを抑えている。
3.〇 正しい。踵離地期の下腿三頭筋は求心性収縮している。なぜなら、踵離地時に足関節底屈により床を蹴り、前方への推進力を生み出すため。
4.〇 正しい。つま先離地期の腸腰筋は求心性収縮している。なぜなら、下肢の振り出しのために股関節を屈曲させるため。
5.× 踵接地期直前のハムストリングスは遠心性収縮している。踵接地期直前のハムストリングスは、踵設置に備え膝関節伸展しながら活動する。

(図引用:Eberhart,H. D. et al.:「Human Limbs and their Substitutes」Mc Graw Hill Book Co. Inc 1954より)

 

 

 

 

49回 午前74

74 正常歩行時の矢状面における重心移動について正しいのはどれか。

1. 歩行速度が増すと重心軌道の高低差は小さくなる。
2. 1 歩行周期において重心軌道は一峰性を示す。
3. 重心の移動速度は立脚中期で最も速くなる。
4. 重心が最も高くなるのは荷重反応期である。
5. 重心が最も低くなるのは踵接地期である。

解答5

解説

1.× 歩行速度が増すと重心軌道の高低差は大きくなる。ちなみに、小さくなるのは左右移動である。
2.× 1 歩行周期において重心軌道は、「一峰性」ではなく二峰性を示す。なぜなら、歩行周期には左右の立脚相が含まれており、重心が最も高くなる立脚相中期が2回あるため。
3.× 重心の移動速度は立脚中期で最も速くなるのはなく、遅くなる(推進力が少ない)。重心の移動速度が速い(推進力が大きい)のは、踵離地期から両脚支持期にかけてである。
4.× 重心が最も高くなるのは、「荷重反応期」ではなく立脚中期である。なぜなら両下肢がそろうため。
5.〇 正しい。重心が最も低くなるのは踵接地期である。なぜなら、股関節が最も開くため。

 

 

49回 午後73

73 正常歩行の全歩行周期に渡って筋活動がみられるのはどれか。

1. 下腿三頭筋
2. 大腿四頭筋
3. ハムストリングス
4. 中殿筋
5. 脊柱起立筋

解答5

解説

1.× 下腿三頭筋は、遊脚相では筋活動がない。立脚相で筋活動(蹴りだし時は著明)している。
2.× 大腿四頭筋は、遊脚相の一部で筋活動がない。立脚相初期(接地時の衝撃吸収)に活動する。
3.× ハムストリングスは、立脚相中期から後期で筋活動がない。遊脚相後期から立脚相初期(振り出した下肢の制御)に働く。
4.× 中殿筋は、遊脚相初期から中期で筋活動がない。立脚相での左右方向の安定(骨盤安定)のため活動している。
5.〇 正しい。脊柱起立筋は、全歩行周期で筋活動がみられる。なぜなら、歩行時には抗重力姿勢を維持するため。

(図引用:Eberhart,H. D. et al.:「Human Limbs and their Substitutes」Mc Graw Hill Book Co. Inc 1954より)

 

 

50回 午前74

74 正常歩行時の重心移動幅の減少への関与が小さいのはどれか。

1. 骨盤傾斜
2. 二重膝作用
3. 膝関節の回旋
4. 骨盤の回旋運動
5. 骨盤の側方移動

解答3

解説

 重心位置の振幅が少ない歩行は、一般的に効率の良い歩行といわれる。重心移動幅の減少の5つの要素には、①骨盤回旋、②骨盤傾斜、③膝関節屈伸、④足関節の底背屈、⑤骨盤の側方移動があげられる。

 

1.〇 骨盤傾斜は、重心の上下移動を減らす。遊脚側が下方に5°傾斜する。
2.〇 二重膝作用(ダブルニーアクション)は、重心の上下移動を減らす。膝関節が1歩行周期に2回屈伸する作用の事である。踵接地時(一度目の膝屈曲時)の衝撃を軽減し、重心の上下移動を減らす。
3.× 膝関節の回旋(終末強制回旋運動:膝関節最終伸展時に脛骨が大腿骨に対し軽度の外旋運動を起こす現象)により、膝関節の安定性が増加する。しかし、歩行時の重心位置の振幅の関与は、選択肢の中から関与が小さい
4.〇 骨盤の回旋運動は、重心の上下移動を減らす。片側に4°両側合計8°回旋する。
5.〇 骨盤の側方移動は、重心の上下移動を減らす。片側に約3cm移動し、左右方向の重心移動の振幅を減らす。

 

 

 

 

51回 午前74

74 次の歩行周期で足関節が最も底屈位となるのはどれか。(※不適切問題:解答なし)

1. 踵接地
2. 足底接地
3. 立脚中期
4. 爪先離地
5. 遊脚中期

解答(解なし:採点除外)
理由:選択肢において正解を得ることが困難なため

解説

 歩行周期の足関節は、爪先(足尖)離地期(爪先離地の直後)に最大底屈となり、踵離地期に最大背屈となる。不適切問題になった具体的な理由として、「爪先離地」と「爪先離地””」の違いによるものと考えられる。前者はその一瞬を指すが、爪先離地期とすると爪先離地の前後を示すことになる。足関節は、爪先離地の直後に最大底屈になるため不適切問題となった。よって、選択肢の中では、選択肢4. 爪先離地が正しい。

 

 

53回 午前74

74.正常歩行について正しいのはどれか。

1.肩関節は同側の踵接地時に最大屈曲位となる。
2.膝関節は踵接地直後に伸展する。
3.骨盤は水平面において回旋運動をする。
4.骨盤は前額面において水平に保たれる。
5.骨盤は遊脚側へ側方移動する。

解答:3


解説

1.× 肩関節は、同側の踵接地時に、「最大屈曲位」ではなく伸展位となる。
2.× 膝関節は、踵接地直後と遊脚期に膝関節は2度屈曲(膝関節のダブルニーアクション)する。踵接地直後の膝関節屈曲は、床の衝撃を和らげるために起こる。ちなみに、遊脚期の膝関節屈曲は、床とのクリアランス確保のために起こる。
3.〇 正しい。骨盤は水平面・垂直面において回旋運動をする。
4.× 骨盤は、前額面において、「水平に保たれる」のではなく、左右に約5°傾斜する。
5.× 骨盤は、「遊脚側」ではなく、荷重脚測へ側方移動(約3㎝)する。片足でも指示できるように左右への重心移動が起こる。

 

 

 

57回 午後74

74 正常歩行について正しいのはどれか。

1.足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。
2.股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが2回生じる。
3.膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが1回生じる。
4.一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は7:3である。
5.高齢者では歩行比が大きくなる。

解答

解説

1.〇 正しい。足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。
2.× 股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが、2回ではなく「1回」生じる。
3.× 膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが、1回ではなく「2回(二重膝作用:ダズルニーアクション)」生じる。
4.× 一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は、7:3ではなく「6:4」ある。
5.× 高齢者では歩行比が、大きくなるではなく「下がる」。歩行比とは、歩幅と単位時間当たりの歩数との比のことである。歩行比=歩幅÷歩行率で求められる。ちなみに、高齢者の歩行では、「歩行速度・歩幅・歩行率」が減少する。

 

 

 

 

 

 

58回 午前74

74.正常歩行で遠心性収縮をする筋はどれか。2つ選べ。

1.踵接地から足底接地までの前脛骨筋
2.足底接地から立脚中期までの下腿三頭筋
3.立脚中期から踵離地までの大殿筋
4.加速期から遊脚中期までの内側広筋
5.遊脚中期から減速期までの腸腰筋

解答1・2

解説

(図引用:Eberhart,H. D. et al.:「Human Limbs and their Substitutes」Mc Graw Hill Book Co. Inc 1954より)

1.〇 正しい。踵接地から足底接地までの前脛骨筋は、正常歩行で遠心性収縮をする。踵接地直後にすぐ足底接地にならないように足関節の底屈するスピードを抑えている。
2.〇 正しい。足底接地から立脚中期までの下腿三頭筋は、正常歩行で遠心性収縮をする。過度な下腿前方傾斜を防ぐため遠心性収縮で前方回転にブレーキをかける働きをする。その後、踵離地期の下腿三頭筋は、踵離地時に足関節底屈により床を蹴り、前方への推進力を生み出すため求心性収縮する。
3.× 立脚中期から踵離地までの大殿筋は、正常歩行で求心性収縮をする。大殿筋は求心性収縮することで股関節伸展が強くなる。ただし、文献によって、立脚中期から踵離地までの大殿筋の収縮はわずかもしくは働かないとされている。
4.× 加速期から遊脚中期までの内側広筋は、正常歩行でほとんど収縮はみられない。立脚相の踵接地期から足底接地期にかけて、膝の衝撃を遠心性収縮で吸収し、ダブルニーアクションの作用の1つとして働く。また、立脚相から遊脚相にかけては下肢の振り子運動を誘導する動きを調整している。
5.× 遊脚中期から減速期までの腸腰筋は、正常歩行でほとんど収縮はみられない。なぜなら、下腿の勢いによって、股関節屈曲方向へのモーメントが生じるため。その後、つま先離地期の腸腰筋は、下肢の振り出しのために股関節を屈曲させるため求心性収縮する。

歩行周期

【立脚期】

 1. 初期接地(Initial Contact;以下,IC):観測肢の接地の瞬間
 2. 荷重応答期(Lording Response;以下,LR):IC から対側爪先離地まで
 3. 立脚中期(Mid Stance;以下,MSt):対側爪先離地から対側下腿下垂位まで
   立脚中期前半:対側爪先離地から両下腿の交差まで
   立脚中期後半:両下腿交差から対側下腿下垂位まで
 4. 立脚終期(Terminal Stance;以下,TSt):対側下腿下垂位から対側 IC まで
 5. 前遊脚期(Pre Swing;以下,PSw):対側 IC から観測肢爪先離地まで

【遊脚期】

 6. 遊脚初期(Initial Swing;以下,ISw):観測肢爪先離地から両下腿の交差まで
 7. 遊脚中期(Mid Swing;以下,MSw):両下腿交差から下腿下垂位まで
 8. 遊脚終期(Terminal Swing;以下,TSw):下腿下垂位から IC まで

 

 

 

 

59回 午前74

74 健常成人の歩行で重心が最も高くなる時期はどれか。

1.初期接地
2.荷重応答期
3.立脚中期
4.立脚終期
5.前遊脚期

解答

解説


1.× 初期接地は、観測肢の接地の瞬間である。健常成人の歩行で重心が最も低くなる。
2.× 荷重応答期は、初期接地から対側爪先離地までである。
3.〇 正しい。立脚中期は、健常成人の歩行で重心が最も高くなる。重心の側方方向にも最も移動する。ちなみに、2cmほど揺れる。
4.× 立脚終期は、対側下腿下垂位から対側初期接地までである。
5.× 前遊脚期は、対側初期接地から観測肢爪先離地までである。

歩行周期

【立脚期】

 1. 初期接地(Initial Contact;以下,IC):観測肢の接地の瞬間
 2. 荷重応答期(Lording Response;以下,LR):IC から対側爪先離地まで
 3. 立脚中期(Mid Stance;以下,MSt):対側爪先離地から対側下腿下垂位まで
   立脚中期前半:対側爪先離地から両下腿の交差まで
   立脚中期後半:両下腿交差から対側下腿下垂位まで
 4. 立脚終期(Terminal Stance;以下,TSt):対側下腿下垂位から対側 IC まで
 5. 前遊脚期(Pre Swing;以下,PSw):対側 IC から観測肢爪先離地まで

【遊脚期】

 6. 遊脚初期(Initial Swing;以下,ISw):観測肢爪先離地から両下腿の交差まで
 7. 遊脚中期(Mid Swing;以下,MSw):両下腿交差から下腿下垂位まで
 8. 遊脚終期(Terminal Swing;以下,TSw):下腿下垂位から IC まで

 

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