第57回(R4) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題71~75】

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71 肩甲骨の上方回旋に作用する筋はどれか。

1.広背筋
2.前鋸筋
3.菱形筋
4.肩甲下筋
5.肩甲挙筋

解答

解説

1.× 広背筋の作用は、肩関節内転、伸展、多少内旋である。ちなみに、【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜である。
2.〇 正しい。前鋸筋の作用は、全体:肩甲骨を前方に引く。下2/3:下角を前に引いて肩甲骨を外方に回旋し、上腕の屈曲と外転を補助。最上部:肩甲骨をやや引き上げる。ちなみに、【起始】第1~8(~10)肋骨前外側面、【停止】第1,2肋骨とその間の腱弓からの筋束は肩甲骨上角。第2,3肋骨からは分散して広く肩甲骨内側縁。第4肋骨以下からは下角。である。
3.× 菱形筋(大・小ともに)の作用は、肩甲骨を内上方に引く。
4.× 肩甲下筋の作用は、肩関節内旋である。ちなみに、【起始】肩甲骨肋骨(肩甲下窩)と筋膜内面、【停止】上腕骨前面の小結節、小結節稜上端内側である。
5.× 肩甲挙筋の作用は、肩甲骨を内上方に引く。ちなみに、【起始】第1~(3)4頸椎の横突起後結節、【停止】肩甲骨の上角と内側縁の上部である。

 

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72 膝関節屈曲と足関節底屈の両方に作用する筋はどれか。2つ選べ。

1.足の長指屈筋
2.後脛骨筋
3.膝窩筋
4.足底筋
5.腓腹筋

解答4・5

解説

1.× 足の長指屈筋の作用は、足関節底屈・足趾屈曲である。【起始】脛骨後面、【停止】第2~5末節骨底である。
2.× 後脛骨筋の作用は、足関節底屈、内返しである。【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底である。内返しは、回外・内転・底屈の複合であるため、△とした。
3.× 膝窩筋の作用は、膝関節屈曲・脛骨内旋である。【起始】大腿骨外側上顆の外側面、【停止】脛骨後面上内側部(ヒラメ筋線より上)である。
4.〇 正しい。足底筋の作用は、下腿三頭筋の働きを助ける。【起始】大腿骨外側上顆および膝関節包、【停止】踵骨隆起である。
5.〇 正しい。腓腹筋の作用は、膝関節屈曲足関節底屈、踵の挙上である。【起始】外側頭:大腿骨外側上顆、内側頭:大腿骨内側上顆、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部である。

 

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73 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)の運動方向と移動軸の組合せで正しいのはどれか。

1.股屈曲:下腿中央線
2.股内旋:大腿骨
3.股外転:大腿中央線
4.膝屈曲:脛骨
5.足底屈:第1中足骨

解答

解説

1.× 股屈曲の【移動軸】は、下腿中央線ではなく「大腿骨(大転子と大腿骨外果の中心を結ぶ線)」である。ちなみに、【基本軸】体幹と平行な線、【測定部位及び注意点】は、①骨盤と脊柱を十分に固定する、②屈曲は背臥位(膝屈曲位で行う)、③伸展は腹臥位(膝伸展位で行う)。
2.× 股内旋の【移動軸】は、大腿骨ではなく「下腿中央線(膝蓋骨中心より足関節内外果中央線)」である。ちなみに、【基本軸】膝蓋骨より下した垂直線、【測定部位及び注意点】は、①背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う。②骨盤の代償を少なくする。
3.〇 正しい。股外転の【移動軸】は、大腿中央線(膝蓋骨中心を結ぶ線)である。ちなみに、【基本軸】両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線、【測定部位及び注意点】は、①背臥位で骨盤を固定する、②下肢は外旋しないようにする内転の場合は、反対側の下肢を屈曲挙上してその下を通して内転させる。
4.× 膝屈曲の【移動軸】は、脛骨ではなく「腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)」である。ちなみに、【基本軸】大腿骨、【測定部位及び注意点】は、屈曲は股関節を屈曲位で行う。
5.× 足底屈の【移動軸】は、第1中足骨ではなく「足底面」である。ちなみに、【基本軸】矢状面における腓骨長軸への垂直線、【測定部位及び注意点】は、膝関節を屈曲位で行う。(2022年改定)

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74 正常歩行について正しいのはどれか。

1.足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。
2.股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが2回生じる。
3.膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが1回生じる。
4.一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は7:3である。
5.高齢者では歩行比が大きくなる。

解答

解説

1.〇 正しい。足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。
2.× 股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが、2回ではなく「1回」生じる。
3.× 膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが、1回ではなく「2回(二重膝作用:ダズルニーアクション)」生じる。
4.× 一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は、7:3ではなく「6:4」ある。
5.× 高齢者では歩行比が、大きくなるではなく「下がる」。歩行比とは、歩幅と単位時間当たりの歩数との比のことである。歩行比=歩幅÷歩行率で求められる。ちなみに、高齢者の歩行では、「歩行速度・歩幅・歩行率」が減少する。

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75 組織の再生能力が最も高いのはどれか。

1.角膜
2.骨髄
3.心筋
4.神経
5.横紋筋

解答

解説

組織の再生能力

再生能力から細胞を分類すると3種類に分けられる。
①活発かつ一生細胞分裂を細胞。
例:平滑筋、線維芽細胞、血管内皮細胞など。

②ある条件(組織に障害が起きた場合など)で回復のため細胞分裂を始める細胞。
例:肝細胞など。

③細胞分裂しない細胞。
例:心筋細胞、骨格筋(横紋筋)、神経細胞など。

1.× 角膜(上皮)の基底細胞は、活発に細胞分裂を行っている。上皮細胞のターンオーバーは、通常7~10日といわれている。ただし、角膜内皮細胞は、一度死ぬと二度と再生することはない。
2.〇 正しい。骨髄の再生能力が選択肢の中で最も高い。骨髄は、骨の中心部のことを指し、血液細胞(白血球、赤血球、血小板)をつくる組織のことである。骨髄には、造血幹細胞と呼ばれる、すべての血液細胞に成長でき、かつ自分自身も複製することができる「血液の種」のような細胞が存在している。造血幹細胞はいろいろな血液細胞を作る能力だけでなく、自分自身を複製する能力も持っている。このため造血幹細胞は高い再生能力を示し、骨髄移植などの再生医療に用いられている。
3.5.× 横紋筋(骨格筋や心筋)は、③細胞分裂しない細胞である。心筋梗塞などによって壊死した心筋は再生しない。
4.× 神経の再生は、損傷の程度による。一過性神経伝導障害(ニューラプラキシア:neurapraxia)の場合、損傷部で伝導が障害されてはいるが一過性であり、早期に自然回復するため、末梢神経損傷で予後が最も良い。

神経損傷の分類

神経損傷の分類では、次の3段階に分類している。

①一過性神経伝導障害(ニューラプラキシア:neurapraxia)損傷部で伝導が障害されてはいるが一過性であり、早期に自然回復するため、末梢神経損傷で予後が最も良い。
②軸索断裂(アクソノトメーシス:axonotmesis)肉眼的には神経線維が連続しているが、軸索が断裂している。一部回復を見込める。
③神経断裂(ニューロトメーシス:neurotmesis)神経の連続性がたたれており、自然回復は見込めない。

 

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