第57回(R4) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題76~80】

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76 骨転移を最も生じやすいのはどれか。

1.胃癌
2.肝臓癌
3.前立腺癌
4.大腸癌
5.膀胱癌

解答3

解説

MEMO

骨転移を生じやすい代表的な癌には、乳癌・前立腺癌・肺癌・腎癌などがある。特に前立腺癌は、骨転移を生じやすい性質を持つことが知られている。

参考として、過去の剖検調査(1959~1997年)における骨転移の検出頻度は、前立腺癌75.0%、胃癌22.5%、肝臓癌16.8%、大腸癌22.7%、膀胱癌13.0%である。※これらは胸椎から腰椎の組織学的な骨転移を調べた過去の剖検例における数値であり、現在の一般的な癌患者における骨転移の発生率を示すものではない。

1.× 胃癌は、前立腺癌と比較すると骨転移を生じにくい。 胃癌では、骨よりも肝臓・リンパ節・腹膜などへの転移が多い傾向がある。胃の静脈血は主に門脈を通って肝臓へ流れるため、血液中に入り込んだ癌細胞が肝臓に到達しやすい。また、胃壁を越えた癌細胞が腹腔内に散らばる腹膜播種も特徴的である。ただし、進行した胃癌では骨転移を生じることもある。

2.× 肝臓癌は、前立腺癌と比較すると骨転移を生じにくい。 肝臓癌(肝細胞癌)では、肝臓内での再発・転移や肺への転移が多い傾向がある。肝臓は血管が豊富な臓器であり、癌細胞が血管を介して肝臓内に広がる肝内転移を生じやすい。また、肝臓の外へ転移する場合は、肺やリンパ節、骨などにも転移がみられるが、前立腺癌ほど骨への転移傾向は強くない。

3.〇 正しい。前立腺癌は、選択肢の中で骨転移を最も生じやすい。 なぜなら、前立腺癌の癌細胞は骨髄の環境に適応しやすく、骨で増殖しやすい性質を持つためである。また、前立腺周囲の静脈は脊椎周囲の静脈叢(バットソン静脈叢)とつながっており、癌細胞が脊椎などへ移動する経路の一つとなる。さらに、骨髄内の様々な物質が癌細胞の定着や増殖を促すことも関係している。特に脊椎・骨盤・肋骨などへの転移が多く、骨が新たに形成される造骨性骨転移が特徴的である。

4.× 大腸癌は、前立腺癌と比較すると骨転移を生じにくい。 大腸癌では、骨よりも肝臓や肺への転移が多い傾向がある。大腸から流れる静脈血の多くは門脈を通って肝臓へ運ばれるため、血液中に入り込んだ癌細胞が肝臓に到達しやすい。また、直腸癌では血流の経路によって肺への転移も起こりやすい。骨転移も生じるが、前立腺癌と比較すると頻度は低い。

5.× 膀胱癌は、前立腺癌と比較すると骨転移を生じにくい。 ただし、骨転移が少ない癌とはいえない。膀胱癌は進行すると、リンパ節や肺、肝臓、骨などに転移する。特に遠隔転移を伴う進行した膀胱癌では、骨転移が比較的高い頻度で認められる。一方、前立腺癌は骨髄の環境に適応して増殖しやすい性質を持つため、膀胱癌よりも骨への転移傾向が強い。

 

 

 

 

 

77 呼吸機能検査について正しいのはどれか。

1.呼吸筋力の低下で肺活量は低下する。
2.気道抵抗が増加すると1秒率は上昇する。
3.肺拡散能の低下では最大呼気流量は低下する。
4.肺コンプライアンスが低下すると機能的残気量は増加する。
5.換気血流比不均等では肺胞気-動脈血酸素分圧較差が低下する。

解答1

解説

1.〇 正しい。呼吸筋力の低下で肺活量は低下する。なぜなら、呼吸筋力が低下することで、十分な空気を吸い込むことが困難になるため(肺活量の低下)。他にも、血中酸素の低下(低酸素血症)、二酸化炭素の上昇(高炭酸血症)が起こる。ちなみに、肺活量とは、[最大吸気量 + 一回換気量 + 予備呼気量]のことをいう。つまり、限界まで吸い、限界まで吐いたときの空気の量である。

2.× 気道抵抗が増加すると1秒率は、上昇ではなく「低下」する。気道抵抗とは、気道を流れる空気の「通りにくさ」を意味し、気道内径の変化を伴う気道障害の指標となる。喘息など閉塞性換気障害のある人では、呼気時の気道抵抗は著明に上昇する。一方、1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。つまり、1秒率の上昇は「呼出される空気の量が増加」したこととなり良い指標となる。

3.× 必ずしも、肺拡散能の低下では、最大呼気流量は「低下しない」。肺拡散能と最大呼気流量とは必ずしも連動しない。肺拡散能とは、肺胞から毛細血管へのガス交換の効率を示す指標であり、主に肺胞壁の状態や毛細血管の機能に依存する。一方、最大呼気流量とは、気道の開放性や肺の弾性反発力に左右される。したがって、両者は直接連動しない。たとえば、間質性肺疾患では肺胞壁の肥厚や線維化により肺拡散能は低下するが、同時に肺の弾性反発力が増加する場合があり、その結果、努力呼気時の1秒率が相対的に上昇することがある。一方で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの閉塞性疾患では、気道狭窄の影響で肺拡散能も最大呼気流量もともに低下することが多いため、病態によってその関係性は異なる。

4.× 肺コンプライアンスが低下すると機能的残気量は、増加ではなく「低下」する。肺コンプライアンスとは、肺の膨らみやすさの指標である。肺、胸郭にはたえず縮まろうとする性質(弾性)があり、コンプライアンスは弾性の逆数で表される。肺が線維化して固くなる疾患では肺コンプライアンスは低下し、逆に肺の過膨張をきたす肺気腫等の疾患では上昇する。一方で機能的残気量とは、安静時呼気位の後に残っている空気量のことをいう。機能的残気量は、胸郭の弾性収縮力の障害が大きい疾患(肺線維症、胸郭変形、胸膜肥厚)で減少する。

5.× 換気血流比不均等では肺胞気-動脈血酸素分圧較差が、低下ではなく「増加」する。換気/血流比不均等とは、肺胞換気量と肺循環血流量の比がばらつき、ガス交換効率の低下した状態をいう。 例えば、血流が換気よりも大きく障害された場合には、換気は可能であるがガス交換のための血流に乏しい状態が生じる。これを死腔様効果と呼ぶ。一方、肺胞気/動脈血酸素分圧較差とは、肺胞レベルのガス交換障害を判定する際に用いられる数値である。 正常値は5~15(年齢によって異なる)。 肺疾患によってガス交換に異常をきたすと較差が開大し、数値が増加する。

 

 

 

 

78 下肢の深部静脈血栓症により塞栓をきたすことが最も多い臓器はどれか。

1.脳
2.肺
3.肝臓
4.心臓
5.腎臓

解答2

解説

 肺塞栓症とは、肺動脈に血栓が詰まる病気のこと。血栓の9割以上は脚の静脈内にでき、この血栓を「深部静脈血栓症」といい、それが血液の流れに乗って右心房、右心室を経由して肺動脈まで運ばれてきて、肺塞栓症の原因となる。肺塞栓症と深部静脈血栓症は、極めて関係が深い病気で、二つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる。深部静脈血栓症患者の約50%は潜在性の肺塞栓症を有し、肺塞栓症患者の30%以上は証明可能な深部静脈血栓症患者を有すると報告されている。したがって選択肢2.肺が下肢の深部静脈血栓症により塞栓をきたすことが最も多い臓器といえる。

 

 

 

 

 

79 欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛機制はどれか。

1.置き換え
2.合理化
3.反動形成
4.否認
5.抑圧

解答3

解説

1.× 置き換えは、受け入れ難い自己の感情を、対象を別のものに移すことで解消すること。例:親を攻撃する代わりに飼っているネコをいじめる。
2.× 合理化は、欲求が満たされないとき、その耐え難い感情をかなり強引な理屈づけを行って処理しようとすること。異性に振られたとき、「あんな奴と付き合わない方が自分のためになる」などと思い込む。
3.〇 正しい。反動形成は、欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛機制である。
4.× 否認は、容認したくない感情、経験を実際には存在しなかったかのように振る舞うこと。異性から振られたのに自分から振ったのだと思い込む。
5.× 抑圧は、容認し難い自分の欲求を無意識のうちに抑えつけてしまうこと。例:性的欲求、攻撃性などを無意識のうちに抑える。

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【OT/共通】防衛機制についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

80 自己暗示により催眠状態を作り出し心身をリラックスさせる方法はどれか。

1.コラム法
2.自律訓練法
3.自由連想法
4.漸進的筋弛緩法
5.マインドフルネス

解答2

解説

1.× コラム法(思考記録表)は、嫌な感情が起こったときの状況、 気分、 自動思考などを表(コラム)に記述し、それらを改めるような思考を促すものである。
2.〇 正しい。自律訓練法は、自己暗示により催眠状態を作り出し心身をリラックスさせる方法である。自律訓練法は、シュルツにより開発された。自己催眠により全身をリラックスさせ、心身のコントロールを行うものである。適応疾患は、成人の心身症・不安神経症・強迫性障害である。
3.× 自由連想法(精神分析療法)は、無意識のうちに抑圧されていた葛藤を意識化させ、洞察し解決に向かわせるというものである。神経症性障害に適応がある。
4.× 漸進的筋弛緩法は、筋肉の収縮と弛緩を繰り返すことで身体をリラックスさせるリラクセーション法の一つである。道具を使用しない。Jakobson(ヤコプソン)法ともいう。
5.× マインドフルネス(マインドフルネスストレス低減法:瞑想)とは、意図的に注意を「今この瞬間」の体験に向け、そこで起きていることを評価や判断をせず、手を加えずに観察する方法である。このように意識を現在の体験に集中することによって、心身の緊張が和らぎ、副交感神経が優位になることでリラックス状態が促進される。カバットジン,J.によって提唱された「注意集中」とも言い換えることができ、心の動きに惑わされることなく、刻一刻と変化する内的状態を冷静に観察することである。

 

4 COMMENTS

匿名

骨転移の頻度が特に高いのは、女性では乳癌・男性では前立腺癌である。各がん種の骨転移患者の割合は以下の通りである。①乳がん 21.6(%)、②肺がん 21.2(%)、③前立腺がん 7.6(%)、④腎がん 7.5(%)、⑤胃がん 6.8(%)、⑥子宮がん 6.6(%)、⑦肝臓がん 5.1(%)、⑧大腸がん 4.0(%)、⑨甲状腺がん 3.5(%)、⑩膀胱がん 1.7(%)、⑪食道がん 1.6(%)、⑫膵臓がん 1.4(%)である。

女性では乳癌・男性では前立腺癌が最多とあり、③では前立腺癌が7.6%となっているのですがどちらが正しいでしょうか?

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘の7.6%という数値は、男女を合わせた骨転移患者全体のうち、原発巣が前立腺癌である患者の割合を示したものです。
つまり、前立腺癌患者の7.6%が骨転移するという意味ではありません。
一方、前立腺癌は骨転移を生じやすい代表的な癌の一つであり、この点は正しい内容となります。

説明が分かりにくく、申し訳ございませんでした。誤解を招かないよう、解説も修正させていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
匿名

77 3の解説がメチャクチャです。最大呼気量の低下に肺拡散能は関与しません。あっても肺活量の減少です。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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