第56回(R3) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題71~75】

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71 嚥下反射時に活動する筋の中で舌骨下降作用があるのはどれか。

1.顎舌骨筋
2.顎二腹筋
3.茎突舌骨筋
4.甲状舌骨筋
5.オトガイ舌骨筋

解答

解説

舌骨上筋群と舌骨下筋群

舌骨上筋群:顎舌骨筋、顎二腹筋、茎突舌骨筋、オトガイ舌骨筋

舌骨下筋群:甲状舌骨筋、胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋

1.× 顎舌骨筋は、下顎骨の固定時には舌骨の挙上、舌骨の固定時には下顎骨の引き下げに働く。
2.× 顎二腹筋は、下顎骨の固定時には舌骨の挙上、舌骨の固定時には下顎骨の引き下げに働く。
3.× 茎突舌骨筋は、舌骨の挙上に働く。
4.〇 正しい。甲状舌骨筋は、嚥下反射時に活動する筋の中で舌骨下降作用(舌骨を引き下げて固定する作用)がある。舌骨が固定されているとき、喉頭蓋を閉じて食塊を咽頭へ送り込む作用があり嚥下反射に関与する。
5.× オトガイ舌骨筋は、下顎骨の固定時には舌骨の挙上、舌骨の固定時には下顎骨を後下方に引き下げる。

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72 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)における胸腰部回旋の基本軸で正しいのはどれか。

1.仙骨後面
2.肩峰を通る床への垂直線
3.両側の上後腸骨棘を結ぶ線
4.ヤコビー〈Jacoby〉線の中心に立てた垂直線
5.第7頚椎棘突起と第1仙椎の棘突起を結ぶ線

解答

解説

胸腰部回旋は、【基本軸】両側の後上腸骨棘を結ぶ線、【移動軸】両側の肩峰を結ぶ線である。したがって、選択肢3.両側の上後腸骨棘を結ぶ線を基本軸とするのは胸腰部回旋である。

1.× 【仙骨後面】を基本軸とするのは、胸腰部の屈曲・伸展である。
2.× 【肩峰を通る床への垂直線】を基本軸とするのは、頸部の屈曲・伸展肩関節の内転・外転である。
4.× 【ヤコビー〈Jacoby〉線の中心に立てた垂直線】を基本軸とするのは、胸腰部側屈である。
5.× 【第7頚椎棘突起と第1仙椎の棘突起を結ぶ線】を基本軸とするのは、頚部側屈である。

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73 上肢の筋と作用の組合せで正しいのはどれか。

1.上腕二頭筋:肩関節外旋
2.上腕三頭筋:肩関節内旋
3.腕橈骨筋:前腕回内
4.円回内筋:肘関節伸展
5.上腕筋:前腕回外

解答

解説
1.× 上腕二頭筋の作用は、肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)である。ちなみに、肩関節外旋筋は棘下筋、小円筋、三角筋(後部)である。
2.× 上腕三頭筋の作用は、肘関節伸展、肩関節伸展である。ちなみに、肩関節内旋筋は肩甲下筋、大円筋、広背筋、大胸筋、三角筋(前部)である。
3.〇 正しい。腕橈骨筋の作用は、肘関節屈曲のほか、前腕回外位では回内・前腕回内位では回外である。他にも、前腕回内筋は、円回内筋、方形回内筋である。
4.× 円回内筋の作用は、前腕回内・肘関節の屈曲補助である。ちなみに、肘関節伸展筋は、主に上腕三頭筋、肘筋である。
5.× 上腕筋の作用は、肘関節屈曲である。ちなみに、前腕回外は、主に上腕二頭筋、回外筋である。

 

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74 運動学習におけるパフォーマンスの知識はどれか。

1.フィギュアスケートの得点
2.投球のストライク判定
3.50m平泳ぎのタイム
4.サッカーのゴール数
5.宙返りの空中姿勢

解答

解説

運動学習

 運動学習に必要な外的フィードバックの中には、①KR(結果の知識)と、②KP(パフォーマンスの知識)が含まれる。①KR(結果の知識)は、運動終了後に与えられる結果に関するフィードバックのことである。②KP(パフォーマンスの知識)は、運動中の動きに関するフィードバックのことを指す。ちなみに、②KP(パフォーマンスの知識)は、運動学的フィードバックとも呼ばれる。

1~4.× フィギュアスケートの得点/投球のストライク判定/50m平泳ぎのタイム/サッカーのゴール数は、KR:結果に関するフィードバックである。なぜなら、運動後のその結果に対する情報であるため。
5.〇 正しい。宙返りの空中姿勢は、動きに対するフィードバック(運動中の特徴)であるため、KP(パフォーマンスの知識)である。

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75 心電図の房室ブロックの所見で正しいのはどれか。

1.Wenckebach型房室ブロックではPR間隔が不変である。
2.第1度房室ブロックではQRS波は脱落しない。
3.第1度房室ブロックではPR間隔が0.1秒以上になる。
4.第3度房室ブロックではP波が完全に脱落している。
5.MobitzⅡ型房室ブロックではPR間隔が徐々に延長する。

解答

解説

房室ブロックとは?

房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
・1度房室ブロック:心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
・2度房室ブロック
①ウェンケンバッハ型(モビッツⅠ型):PR間隔が徐々に延長してQRSが脱落する。
②モビッツⅡ型:心房から心室への伝導が突然途絶える。P波の後のQRSが突然脱落する。

・3度房室ブロック:心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。

1.× Wenckebach型房室ブロック(ウェンケンバッハ型)のPR間隔は、「不変」ではなく延長する。ちなみに、PR間隔が不変なのは、1度房室ブロックである。Wenckebach型房室ブロック(ウェンケンバッハ型)の特徴として、PP間隔は不変であるが、PR間隔が次第に延長してQRSが脱落する。
2.〇 正しい。第1度房室ブロックでは、QRS波は脱落しない。1度房室ブロックの特徴として、心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
3.× 第1度房室ブロックでは、PR間隔が0.2秒以上になっていることをいう。
4.× 第3度房室ブロックでは、P波は生じるものの、QRS波と対応しなくなる。つまり、心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。
5.× MobitzII型房室ブロック(モビッツⅡ型)では、P波の後のQRSが突然脱落する。PR間隔が徐々に延長するのは、ウェンケンバッハ型である。

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