第56回(R3) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題76~80】

 

76 腱板断裂の範囲の把握に最も有用な検査はどれか。

1.MRI
2.単純CT
3.血管造影
4.単純エックス線
5.骨シンチグラフィー

解答

解説

腱板断裂とは、肩のインナーマッスルである棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の腱が損傷・断裂していることをいう。肩峰や上腕骨頭とのインピンジメント(衝突)で損傷されやすい棘上筋腱の損傷がほとんどである。画像所見やインピンジメントの誘発テストによって診断される。また、断裂と断裂部に関節液の貯留を認めるため、超音波(エコー)やMRI検査で診断することが多い。MRIは時間がかかることや体内に磁性体がある場合は行うことができない。また画像をスライスでしか確認できないため連続性を追いにくいといった特徴がある。

1.〇 正しい。MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)では、T2強調像により診断することが多く、腱板は黒、断裂部(関節液)は白く映る。MRIは、軟部組織の病変(ヘルニア)や、小さな病変(脳腫瘍、小梗塞、脱髄巣など)の診断能力に優れている。T1強調像は、高信号(白)は脂肪(亜急性期の出血)・低信号(黒)は水(慢性期の出血)となる。脳回の萎縮、側室の拡大といった解剖構造を診るのに適している。T2強調像は、高信号(白)は水・脂肪(ほとんどの病変)・低信号(黒)は空気(慢性期の出血、線維化、石灰化)となる。多くの病変を鋭敏に診るのに適している。
2.× 単純CTでは、腱板は映らない。単純CT像は、急性期のくも膜下出血の診断に最も有用である。また、急性期の脳出血や石灰化、骨折などの骨の形態変化などに適している。急性期のくも膜下出血の診断の際に、MRIでも病巣の確認は行えるが、撮影時間を比較すると、CTは数秒、MRIは数分~数十分かかるためCTを選択されることが多い。
3.× 血管造影では、腱板は映らない。血管造影とは、血管の状態や血液の流れ、血管病変、腫瘍を調べるための検査である。
4.× 単純エックス線では、腱板は映らない。単純エックス線では、骨を中心とした検査であり、骨に変形が生じている場合や骨棘の有無は確認できる。基本的な撮影メカニズムはCTと同じだが基本的に胸部や骨折部位の特定など一枚の撮影に用いられることが多い。単純CTのように断層として見ることができない。
5.× 骨シンチグラフィーでは、腱板は映らない。なぜなら、骨を中心とした検査であるため。骨シンチグラフィーは、骨代謝マーカー(放射性物質)を注射して、全身の骨のようすを写真に撮って、癌の骨転移、外傷等による微小骨折など、X線検査ではわかりにくい様々な骨の状態を見る検査である。治療の前後で調べて治療の効果をみたり、疲労骨折や骨粗鬆症による骨折を早期に発見したりするのに適している。

 

 

 

 

 

 

77 機能的イレウスの原因となるのはどれか。

1.大腸癌
2.腸重積
3.長期臥床
4.内ヘルニア
5.腹腔内癒着

解答

解説

イレウス(腸閉塞)とは?

 イレウス(腸閉塞)とは、何らかの原因により、腸管の通貨が障害された状態である。主に、①機械的イレウス(腸閉塞とも呼び、腸内腔が機械的に閉塞されて起こる)、②機能的イレウス(腸管に分布する神経の障害により腸内容が停滞する)に大別される。

①機械的イレウスには、器質的異常を伴うものをいい、単純性イレウスと絞扼性(複雑性)イレウスに分類される。機械的イレウスは血流障害の有無によって、さらに単純性イレウスと複雑性イレウスに分類される。絞扼性(複雑性)イレウスは、腸間膜血行の停止により腸管壊死を伴うイレウスであり、急激に病状が悪化するため緊急に手術を要する。

②機能的イレウスとは、器質的な異常がなく、腸管の運動麻痺や痙攣により腸管の内容物が停滞することである。長期臥床、中枢神経疾患、腹膜炎、偽性腸閉塞が原因となることが多い。麻痺性イレウスと痙攣性イレウスに分けられる。

1.× 大腸癌は、機械的イレウス(単純性腸閉塞)に分類される。大腸癌は、良性のポリープががん化したり、大腸壁の粘膜から発生した癌細胞が深く浸潤することで発生する。
2.× 腸重積は、機械的イレウス(複雑性腸閉塞)に分類される。腸重積は、回腸(小腸の一部)が大腸にはまり込んでしまう病気である。
3.〇 正しい。長期臥床によるイレウスでは、機能的イレウス(麻痺性イレウス)に分類される。なぜなら、腸管自体の損傷はないため。長期臥床に伴い、慢性的な腸管麻痺をきたす。
4.× 内ヘルニアは、機械的イレウス(複雑性腸閉塞)に分類される。内ヘルニアは、腹腔内に存在する裂孔や嚢状部に腹腔内臓器が陥入した状態のことである。腸管膜を突き抜けることもあるため器質的な異常を伴う機械的イレウスに分類される。
5.× 腹腔内癒着は、機械的イレウス(単純性・複雑性どちらともの原因となる)に分類される。腹腔内が癒着することによって、腸と腹腔壁もしくは腸管同士がくっついて塞がったりすることがある。

 

 

 

 

 

 

78 記憶過程の要素として正しいのはどれか。2つ選べ。

1.記銘
2.計画立案
3.想起
4.転換
5.配分

解答1・3

解説

長期記憶の過程

長期記憶の過程は、三段階に分かれる。

①記銘(符号化):外部の刺激がもつ情報を意味に変換して記憶として取り込むこと。
②保持(貯蔵):記銘したものを保存しておくこと。
③想起(保持):保存されていた記憶をある期間後に外に表すこと。

1/3.〇 正しい。「記銘」・「想起」は、記憶過程の要素として正しい。記銘(符号化)は、外部の刺激がもつ情報を意味に変換して記憶として取り込むこと。想起(保持)は、保存されていた記憶をある期間後に外に表すことである。
2.× 計画立案は、遂行機能の要素である。ちなみに、具体的には、①目標設定、②計画立案、③計画実行、④効果的遂行などの要素から成り立っている。
4~5.× 転換/配分は、注意機能の要素である。転換性が低下すると、1つのことに注意を向けているときに、他の別のことに気付いて注意を切り替えることが難しく、課題を変えることが苦手になったり、直前にやっていたことと混乱したりする。また、転換は、防衛機制の1つとして使われることもある。受け入れがたい自己の感情を別の対象に向けることで解消すること。配分性が低下すると、いくつかのことに対し、同時に注意を向けながら行動するという能力が低下する。(電話をしながらメモが取れない、料理の途中で他のことをして料理が焦げてしまったなど)

 

 

 

 

 

 

79 イラスト風に描かれた人物のセリフを書き込む形式の心理検査はどれか。

1.SCT
2.P-Fスタディ
3.バウムテスト
4.モーズレイ性格検査〈MPI〉
5.Revised NEO Personality Inventory〈NEO-PI-R〉

解答

解説

(画像引用:当施設HPより:第48回(H25) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題81~85】「P-Fスタディ」)

1.× SCT(sentence completion technique:文章完成テスト)は、投影法の心理検査(性格検査の1つ)である。用紙にはいくつかの単語や不完全な文章があり、それらの続きを患者が完成させてもらうことで、人格を検査する。対象は小学生以上で、用紙は3種類あり、小学生・中学生・高校生以上用である。
2.〇 正しい。P-Fスタディ(Picture Frustration Study:絵画欲求不満テスト)は、心理検査(性格特性を把握する検査)である。欲求不満の場面の柄を24枚見せて応答する場面を想定して文章を書いてもらう。ある場面が描かれており、それにどのような対応をするのか吹き出しの空欄にセリフを書き込む。用紙は3種類あり、児童用・青年用・成人用である。
3.× バウムテストとは、「実のなる木」を1本自由に描いてもらう描画検査(投影法の人格検査)である。コッホによって開発された。「バウム(Baum)」がドイツ語で「木」という意味である。幼児以上の幅広い年齢が対象となる。
4.× モーズレイ性格検査〈MPI〉は、質問紙法による性格検査である。「内向性-外向性」と「神経症的特性」に関して24項目ずつの質問票に答えてもらうことで、人格を検査する。実際の検査は、虚偽発見尺度20項目などを含み、計80項目からなる。
5.× Revised NEO Personality Inventory〈NEO-PI-R〉は、質問紙法による性格検査である。240項目の質問を通じて、神経症傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性の5因子の観点で人格を診断するものである。大学生・成人が対象となる。

 

 

 

 

 

 

80 認知療法を発展させたのは誰か。

1.A.Beck
2.S.Freud
3.C.Rogers
4.H.Eysenck
5.H.Sullivan

解答

解説
1.〇 正しい。A.Beck(アーロン・ベック)は、うつ病に対する認知療法(認知行動療法)を発展させた。認知行動療法は、精神症状をもたらす原因となる否定的思考を認知の歪みと捉え、その誤りを修正することによって症状の軽快を図るものである。
2.× S.Freud(フロイト)は、精神分析の創始者であり、自由連想や精神・性的な発達理論、人格形成などである。自由連想とは、患者の頭に浮かんだことを隠さずに自由に語ってもらうことで、無意識のうちに抑制されていた葛藤を意識化させ、洞察し解決に向かわせることである。
3.× C.Rogers(ロジャース)は、クライエント(来談者)中心療法の創始者で、非指示的態度(パターン・センター・アプローチ)などである。これは、治療者が来談者の話に関心を持って傾聴し、共感していくことによって、来談者自身が自ら気づき、成長していけるとするものである。
4.× H.Eysenck(アイゼンク)は、不適切な学習によって神経症が引き起こされると考え、1975年にアイゼンク性格検査を考案した。 行動療法および人格論の研究を行い、パーソナリティ研究の分野で活躍した。「モーズリー性格検査(MPI)」を作った。モーズレイ性格検査〈MPI〉は、質問紙法による性格検査である。「内向性-外向性」と「神経症的特性」に関して24項目ずつの質問票に答えてもらうことで、人格を検査する。実際の検査は、虚偽発見尺度20項目などを含み、計80項目からなる。
5.× H.Sullivan(サリヴァン)は、アメリカ合衆国の精神科医、社会心理学者である。WHO設立など精神保健の国際化、また操作的診断基準を導入したことによって現代精神医療の基礎を築いた。積極的精神療法で、統合失調症の治療論に影響を及ぼした。人間のパーソナリティはその人の対人関係からのみ理解できるとし、精神療法を行うに際しては、患者と治療者自身との関係を観察しつつ患者に関与すること(関与しながらの観察)の重要性を指摘した。

 

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