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81 老年期における精神保健上の問題として正しいのはどれか。
1.自我同一性の獲得
2.エディプス葛藤
3.空の巣症候群
4.モラトリアム
5.社会的孤立
解答5
解説
1.× 自我同一性は、思春期の課題である。ちなみに、自己同一性とは、心理学や社会学において、「自分は何者なのか」という概念をさす。
2.× エディプス葛藤(エディプスコンプレックス)は、3〜6歳の幼児後期に迎え、これが同性の親への同一化へと進む。ジークムント・フロイトが提示した概念である。男根期に生じ始める無意識的葛藤として提示された。
3.× 空の巣症候群は、壮年期の課題である。多くの女性が通過するといわれている。空の巣症候群とは、子供が巣立ったり結婚した時に感じる憂うつ感や苦しみのことである。
4.× モラトリアムは、青年後期から成年に移行する時期の青年の特性を表す言葉である。『大人にも子供にも属さない猶予期間』という思春期特有の特性を指す。
5.〇 正しい。社会的孤立は、老年期の課題である。老年期は、社会的な役割が減り、身体的にも困難なことが多くなるため、外出も減り、社会的孤立を招きやすい。
82 Tinel徴候が陽性となるのはどれか。
1.視床症候群
2.手根管症候群
3.Cushing症候群
4.内側縦束症候群
5.Shy-Drager症候群
解答2
解説
Tinel徴候は、損傷神経を叩打すると支配領域にチクチク感や走感を生じる現象で、神経の回復状況を知る目安となる。機序は、末梢神経の切断後、近位端から軸索の再生が始まるが、再生軸索の先場はまだ髄鞘に覆われていないため起こる。絞扼性神経障害など神経の連続性が保たれている場合、Tinel様徴候とよばれる。
1.× 視床症候群は、視床の出血や梗塞が原因で起こることが多い。主な症状は、①病巣と反対側の軽度な弛緩性麻痺、②中心性疼痛(視床痛:病巣と反対側の顔面・四肢に生じる発作性で頑固な激痛)、③病巣と反対側の舞踏病ないしはアテトーゼ様運動などである。
2.〇 正しい。手根管症候群は、Tinel徴候が陽性となる。手根管症候群は、正中神経の圧迫によって手指のしびれや感覚低下などの神経障害が生じる。手根管(手関節付近の正中神経)を4~6回殴打すると、支配領域である母指から環指橈側および手背の一部にチクチク感や蟻走感が生じる(Tinel徴候陽性)。Tinel徴候のほか、ダルカン徴候(手根管部を指で圧迫するとしびれ感が増悪する)やファーレン徴候(Phalen徴候:手首を曲げて症状の再現性をみる)も陽性となる場合が多い。
3.× Cushing症候群(クッシング症候群)は、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールの過剰分泌により起こる内分泌系疾患である。満月様顔貌や中心性肥満などの特徴的な症状を呈する。主に、副腎腺腫、副腎癌、副腎過形成、ACTH産生下垂体腺腫などによりコルチゾールの過剰分泌が起こる。
4.× 内側縦束(MLF)は、脳幹の橋と中脳の間に存在し、眼球運動を調整する働きがある。脳梗塞などによって内側縦束(MLF)が障害されると、寄り目はできるが片側の眼球のみを内転することができなくなる、といった特徴的な症状を呈する。主に、血管障害、脳腫瘍、多発性硬化症などにより内側縦束(MLF)に障害が起こる。
5.× Shy-Drager症候群(シャイ・ドレーガー症候群)は、多系統萎縮症の一種である。自律神経障害が先行し、その後に小脳症状やパーキンソン症状が加わる。自律神経障害として、主に起立性低血圧や勃起障害、膀胱直腸障害などがみられる。
83 第7頚髄後根の障害で生じるのはどれか。
1.下垂手
2.Horner徴候
3.腕橈骨筋の萎縮
4.上腕三頭筋腱反射の低下
5.上腕二頭筋の線維束性収縮
解答4
解説
脊髄後根は求心性線維(感覚線維)で構成される。脊髄後角細胞とシナプスを形成する。ちなみに、遠心性線維(運動線維)は、脊髄前角でシナプスを形成し脊髄前根を経て各筋を支配する。
1.× 下垂手は、橈骨神経「高位」の麻痺によって生じる。ちなみに、橈骨神経は、C5~8支配である。第7頚髄後根の障害だけでは下垂手は起こらない。
2.× Horner徴候(ホルネル徴候)は、交感神経の遠心路が障害されることで生じる。主に、自律神経障害を呈し、三大徴候(眼瞼下垂、縮瞳、眼球陥凹)があげられる。
3.× 腕橈骨筋は、橈骨神経(C5~6)に支配される唯一の屈筋群である。
4.〇 正しい。上腕三頭筋腱反射の低下は、第7頚髄後根の障害で生じる。なぜなら、上腕三頭筋は、橈骨神経(C7~8)に支配されているため。後根が障害されると、筋紡錘からの求心性刺激の入力が障害され、脊髄前角細胞への情報が伝達されず、筋収縮が減弱、つまり腱反射が減弱する。
5.× 上腕二頭筋は、筋皮神経(C5~6)に支配される。線維束性収縮とは下位運動ニューロンの障害によって筋線維や単一運動単位が不規則に収縮することである。
交感神経遠心路の障害によって生じる。三大徴候:中等度縮瞳、眼瞼下垂(眼裂狭小)、眼球陥凹(眼球後退)とする症候群である。眼の徴候以外は、顔面の発汗低下と紅潮を特徴とする。
交感神経遠心路には、3つのニューロンがあり、そのいずれが障害されても発症する。交感神経遠心路は、①視床下部→脳幹→脊髄毛様脊髄中枢に至る。その後、②節前ニューロンは、肺尖部を通り上行し,上頸部交感神経節で終わる。③節後ニューロンは、顔面の血管、発汗神経は外頸動脈に沿って走り、一方眼瞼、眼球へのそれは内頸動脈に沿って頭蓋内にもどり各効果器を支配する。
①の領域の障害の代表例は、Wallenberg症候群。
②の領域の障害は、直接の外傷、頸胸部リンパ腺腫大による圧迫、腫大した甲状腺の圧迫、頸部胸部動脈瘤、癌の転移、頸部膿瘍の圧迫、肺尖部肋膜癒着などにより生じる。
③の領域の障害は、内頸動脈系の動脈瘤、閉塞などにより生じる。
84 切断について正しいのはどれか。
1.上腕切断(短断端)では肩内転拘縮を生じやすい。
2.前腕切断(中断端)では肘伸展拘縮を生じやすい。
3.Chopart関節離断では足内反変形を生じやすい。
4.Lisfranc関節離断では足外反変形を生じやすい。
5.大腿切断(標準切断)では股内転拘縮を生じやすい。
解答3
解説
上腕切断(短断端)は、肩外転位拘縮。
前腕切断(極短断端)は、前腕
前腕切断(中・長断端)は、前腕回内位拘縮が起こりやすい。なぜなら、円回内筋の回内作用が優位に働くため。
1.× 上腕切断(短断端)では、「肩内転拘縮」ではなく、肩関節の屈曲拘縮を生じやすい。なぜなら、上肢の重さが失われること、上肢は下肢に比べ皮下組織が少なく骨断端に皮膚癒着することがあるため。
2.× 前腕切断(中断端)では、「肘伸展拘縮」ではなく、前腕の回内拘縮を生じやすい。ちなみに、前腕切断の長断端でも同様で前腕の回内拘縮を生じやすい。なぜなら、円回内筋の回内作用が優位に働くため。
3.〇 正しい。Chopart関節(ショパール関節)離断では、足部の内反・尖足変形を生じやすい。
4.× Lisfranc関節離断(リスフラン関節)では、「足外反変形」ではなく、足部の内反・尖足変形を生じやすい。
5.× 大腿切断(標準切断)では、「股内転拘縮」ではなく、股関節の屈曲・外転拘縮を生じやすい。なぜなら、主に股関節内転筋群が切断され、拮抗筋(股関節外転筋)が優位となり筋の不均衡が起こるため。
85 悪性リンパ腫について正しいのはどれか。
1.腫瘤形成は稀である。
2.多発性骨髄腫はT細胞に由来する。
3.B細胞性リンパ腫が15%を占める。
4.非ホジキンリンパ腫が5%を占める。
5.リンパ球を発生母体とする腫瘍である。
解答5
解説
リンパ系腫瘍は、造血器腫瘍の中でリンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)に生じた遺伝子異常によって腫瘍性増殖を来し、白血病や悪性リンパ腫などの病態をとる。リンパ系腫瘍のうち、増殖した腫瘍細胞が末梢血や骨髄中で認めら
1.× 腫瘤形成が初期症状として認められる。悪性リンパ腫は、リンパ球が腫瘍化して増殖し、腫瘤を形成する疾
2.× 多発性骨髄腫は、「T細胞」ではなく「形質細胞」ががん化することによって生じる。「異型性の形質細胞=骨髄細胞」が骨髄で増殖す
3.× 非ホジキンリンパ腫のうち、B細胞性リンパ腫は、全体の約70%を占める最も発生頻度の高い病型である。
4.× 日本人の悪性リンパ腫のうち、非ホジキンリンパ腫が90%以上を占める。ちなみに、ホジキンリンパ腫は、約5%である。
5.〇 正しい。リンパ球を発生母体とする腫瘍である。リンパ球に生じた遺伝子異常によって起こる。
85の問題の解答は、5なので、間違ってます!
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正しましたのでご確認ください。
毎度分かりやすく丁寧な解説をありがとうございます。
是非作業療法士の55回の解説も、自分で考えたものと照らし合わせたいのでお作りいただけないでしょうか?宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
かしこまりました。
私自身が理学療法士であるため、作業療法士の国家試験の解説は需要ないだろうと勝手に思っていました。順番に書いていきますので、しばらくお待ちください。
今後ともよろしくお願いいたします。