第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午前問題36~40】

 

36 6分間歩行テストで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.自覚症状の変化を記録する。
2.被験者の斜め前方に並んで歩く。
3.6分間の総歩行距離で評価する。
4.被験者に残りの時間を伝えることはできない。
5.被験者が途中で立ち止まった場合にはテストを中止する。

解答1,3
解説

 6分間歩行テストは、特別な器具を用いることなく運動耐容能を調べることができる。標準的には、30mの直線コースを往復する方法がとられ、歩行距離だけでなく血圧心拍数SPO2自覚的運動強度(Borgスケールなどで評価)なども併せて測定する。歩行が開始したら、検査者は1分ごとに声掛けをする。(「いい調子です。残り2分ですよ。」といった具合に声のかけ方には標準的なものが示される。)被験者は、疲労や息切れを感じたらペースを落としたり、立ち止まって休むこともできる。大きくふらついたり、胸痛を訴えたり、呼吸困難感が増悪した場合は試験を中止する。高齢者で500m歩行できれば正常とされ、400m以下では日常的な外出に制限が生じ、300m以下では活動が室内に限られ、200m以下では生活範囲がごく身近に限られると評価できる。

1.〇 正しい。自覚症状の変化を記録する。自覚症状の変化以外にも、歩行距離、血圧、心拍数、SPO2なども併せて記録する。
2.× 検者は基本的には一緒に歩かない。
3.〇 正しい。6分間の総歩行距離で評価する。途中で立ち止まって休むこともできる。
4.× 被験者に残りの時間を伝えることはできないのではなくできる。検査者は1分ごとに声掛けして、残り何分か伝える。
5.× 被験者が途中で立ち止まった場合でもテストは中止することなく続けられる。主な中止の基準として、大きくふらついたり、胸痛を訴えたり、呼吸困難感が増悪した場合である。

 

 

 

37 関節可動域運動で正しいのはどれか。

1.筋収縮を伴ってはならない。
2.意識障害がある場合は行わない。
3.運動麻痺の改善を目的として行う。
4.拘縮の予防・改善を目的として行う。
5.深部感覚障害がある場合は行わない。

解答
解説
1.× 筋収縮を伴ってもよい。関節可動域を改善させるには自動他動による運動が重要である。
2.5× 意識障害や深部感覚障害がある場合でも行い、拘縮の予防・改善などに努める。骨折脱臼部位手術直後著明な炎症部位は禁忌となる。
3.× 運動麻痺の改善ではなく、拘縮の予防・改善を目的として行う。
4.〇 正しい。拘縮の予防・改善を目的として行う。

関節可動域運動の目的

① 非活動性によっておこる拘縮の予防、及び改善
② 固有受容器を刺激することによる運動覚、位置覚の再教育
③ 関節を動かすことによる関節機能の正常化
④ 肢位の変化による血流の改善
⑤ 筋の短縮の予防、及び改善
⑥ 日常生活動作能力の改善

 

 

 

38 筋力増強運動として求心性収縮を用いた抵抗運動を行う際、対象筋と運動方向の組合せで正しいのはどれか。

1.ハムストリングス———膝関節屈曲90°位での股関節伸展
2.上腕二頭筋——————肘関節伸展0°位かつ前腕回外位での肩関節伸展
3.上腕三頭筋——————肘関節屈曲90°位での肩関節水平内転
4.前脛骨筋———————足外がえし位での足関節背屈
5.中殿筋————————股関節伸展0°位での股関節外転

 

解答
解説

1.× ハムストリングスは、膝関節屈曲90°位での膝関節伸展ではなく、膝関節屈曲である。膝関節屈曲90°位での股関節伸展は、大殿筋である。
2.× 上腕二頭筋は、肘関節伸展0°位かつ前腕回外位での肩関節伸展ではなく、肘関節屈曲である。肘関節伸展0°位かつ前腕回外位での肩関節伸展は、上腕三頭筋である。
3.× 上腕三頭筋は、肘関節屈曲90°位での肩関節水平内転ではなく、肘関節伸展である。肘関節屈曲90°位での肩関節水平内転は、大胸筋である。
4.× 前脛骨筋は、足外がえし位ではなく足内返し位の足関節背屈である。足外がえし位での足関節背屈は、長・短腓骨筋である。
5.〇 正しい。中殿筋は、股関節伸展0°位での股関節外転で求心性収縮を用いた抵抗運動を行える。

 

 

 

 

39 神経筋再教育で正しいのはどれか。

1.随意運動を促通する。
2.神経断裂に適応される。
3.自動介助運動は用いない。
4.関節障害には適応されない。
5.意識レベルがJCSⅢ-200にも適応される。

解答
解説

1.〇 正しい。随意運動を促通する。 筋再教育とは、片麻痺の麻痺筋に対する筋の活動性を再獲得させる手技全般を筋再教育という。多数ある手技の一つとして、固有受容性神経筋促通法(PNF)がある。PNFでは、PNF運動パターンや伸長、牽引、圧縮などが固有感覚受容器を刺激し、これによって筋力増強や協調性改善、関節可動域増大などの効果が得られるとされている。
2.× 神経断裂に適応されない。
3.× 自動介助運動は用いる。
4.× 関節障害には適応される。
5.× 意識レベルがJCSⅢ-200(痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる)には適応されず、最低でもJCS一桁である必要がある。

 

JCSをしっかり覚えたい方用にまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】意識障害の評価(JCS・GCS)を完璧に覚えよう!

 

 

 

40 寒冷療法の作用で正しいのはどれか。

1.滑液粘性の低下
2.疼痛闘値の低下
3.神経伝導速度の増加
4.筋紡錘の感受性の減弱
5.毛細血管透過性の亢進

 

解答
解説
1.× 滑液粘性の低下ではなく、増大する
2.× 疼痛闘値の低下ではなく、上昇する。そのため痛みを感じにくくなる。
3.× 神経伝導速度の増加ではなく、低下する
4.〇 正しい。筋紡錘の感受性の減弱が起こる。
5.× 毛細血管透過性の亢進ではなく、低下する。血管透過性とは、血管とその周りの組織との間で起こる水分や栄養分などの移動のことである。

寒冷療法の目的・効果

筋・骨格系障害の疼痛軽減、筋スパズムの軽減
②局所新陳代謝の低下
③二次的循環改善による外傷性浮腫、腫脹、炎症の緩和
④中枢神経障害による異常筋緊張(痙縮)の抑制、筋再教育
⑤褥瘡治療の促進
⑥筋疲労の軽減
神経伝導速度の低下

寒冷療法の生理学的反応

①表層末梢血管の収縮、血流量の減少、組織リンパ液の減少
②組織細胞の代謝低下、酸素消費量低下、消費エネルギー低下
滑液粘性の増大、組織弾性力の低下
④神経伝導速度の低下、筋緊張減少
⑤呼吸速度の低下
⑥赤血球数・白血球数の増加、血糖値の低下など・・・。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)