【PT/OT/共通】骨格筋の収縮(収縮様式)についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

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【PT/共通】骨格筋、筋収縮、運動単位についての問題「まとめ・解説」

目次 非表示

PT専門

46回 午前18

18.姿勢保持練習とそれによって強化しようとしている筋で誤っているのはどれか。

1.下腿三頭筋
2.ハムストリングス
3.大腿四頭筋
4.中殿筋
5.腹直筋

解答5

解説

姿勢保持練習とは?

姿勢保持練習とは、目的とした筋に対する等尺性筋収縮による筋力トレーニングである。

例:座位保持練習
座位保持装置の最初は、支えた姿勢から徐々に身体を慣らす。座ったまま手を伸ばして物をとる訓練や、身体を捻って周囲を見渡すような訓練を重ねることで安定した姿勢を保つための筋力を鍛える。

1.〇 下腿三頭筋が強化される。立位姿勢で、体幹を屈曲位で保持すると、重心線が足関節よりも前方に位置する。したがって、下腿三頭筋が収縮し筋力トレーニングの効果をもたらす。
2〜3.〇 ハムストリングス/大腿四頭筋が強化される。立位姿勢で、膝関節を屈曲位で保持している。選択肢2の場合は、重心線が膝関節より前方に位置し、選択肢3の場合は、重心線が膝関節より前方に位置している。したがって、ハムストリングス/大腿四頭筋が等尺性収縮し筋力トレーニングの効果をもたらす。体幹の前傾角度で、重心位置が異なるためそれぞれの筋の負荷量は変化する。
4.〇 中殿筋が強化される。立位姿勢で、体幹を左へ側屈し、右股関節は内転位で保持すると、重心線が右股関節より大きく左側に位置する。したがって、体幹が左へ側屈し続けないように、右中殿筋が等尺性収縮し筋力トレーニングの効果をもたらす。
5.× 腹直筋は強化されない。立位姿勢で、左足を台の上に乗せている。体幹は前傾の姿勢であるため、重心線は体幹の前方に位置する。したがって、脊柱起立筋よりの筋力トレーニングであると考えられる。

 

 

 

46回 午前24

24.日常の動作では生じにくい筋収縮はどれか。

1.同時収縮
2.静止性収縮
3.求心性収縮
4.遠心性収縮
5.等速性収縮

解答5

解説

1.〇 同時収縮は日常生活動作で生じやすい。姿勢保持などの時に生じる。ちなみに、同時収縮とは、ある筋とそれに対する拮抗筋が同時に収縮している状態である。
2.〇 静止性収縮(等尺性収縮)は日常生活動作で生じやすい。静止性収縮(等尺性収縮)とは、筋が収縮しても筋の全長に変化のない状態である。拮抗筋間で同一の張力を発生したとき、負荷に抗して静止姿勢を保つときなどに起こる。
3.〇 求心性収縮は日常生活動作で生じやすい。求心性収縮とは、筋は負荷に打ち勝つだけの張力を発生して、筋の短縮が起こる。骨格はてこ・関節は支点として働く。
4.〇 遠心性収縮は日常生活動作で生じやすい。遠心性収縮とは、筋が収縮しているにも関わらず筋の全長が伸びる状態である。加えられた負荷が筋張力よりも大きければ、筋は収縮しても伸びる。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。
5.× 等速性収縮は日常生活動作で生じにくい。なぜなら、骨格筋による随意運動では、一般に動作に加速度が生じ、運動速度が一定に現実的ではないため。角速度を一定に保つことができる装置を使用すれば可能だが、日常の動作では生じにくい。関節の運動速度が一定に保たれており、可動域全般にわたり負荷が可能である。

 

 

 

50回 午前42

42 等尺性運動で誤っているのはどれか。

1. 関節運動を伴わない筋収縮である。
2. 等張性運動に比べて血圧が上昇しやすい。
3. 等運動性運動に比べて筋力の増強効果が小さい。
4. 等張性運動に比べて収縮時の筋血流は減少する。
5. 等張性運動に比べて筋持久力の増強効果が大きい。

解答5

解説

1.〇 正しい。等尺性運動は、関節運動を伴わない筋収縮である。
2.〇 正しい。等尺性運動は、等張性運動に比べて血圧が上昇しやすい。毛細血管圧迫による血流遮断が起こり血圧の上昇がしやすいのが特徴である。
3.〇 正しい。等尺性運動は、等運動性運動に比べて筋力の増強効果が小さい。等運動性運動とは、等速性運動と同義である。バイオデックスなどの特殊機器を用いた一定速度での運動である。
4.〇 正しい。等尺性運動は、等張性運動に比べて収縮時の筋血流は減少する。毛細血管圧迫による血流遮断が起こり血圧の上昇がしやすいのが特徴である。
5.× 等尺性運動は、等張性運動に比べて筋持久力の増強効果が小さい。等張性収縮は、筋の収縮と弛緩の反復によるポンプ効果で、血液循環はよくなる特徴を持つ。

 

 

53回 午後39

39.機器を使用しなければ実施できないのはどれか。

1.等尺性運動
2.漸増抵抗運動
3.等運動性運動
4.遠心性等張性運動
5.求心性等張性運動

解答:3

解説

1.× 等尺性運動は、機械を用いなくても実施できる。等尺性運動は、筋を収縮して聴力が増しても筋全長に変化なく、筋の起始・停止が一定の距離をキープしている状態である。
2.× 漸増抵抗運動とは、軽度の負荷から最終的に最大負荷を与える方法である。機械を用いなくても徒手抵抗で行える。
3.〇 正しい。等運動性運動(等速性運動)は、機械を使用しなければ実施できない。等運動性運動(等速性運動)は、関節運動時の加速度が等しくなるように調整された運動で、等速性筋力評価装置を必要とする。
4~5.× 遠心性等張性運動/求心性等張性運動は、機械がなくても行える。遠心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。求心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。

 

 

 

54回 午後37

37. 運動療法で正しいのはどれか。

1. 自動運動とは重力に抗して行う運動のことである。
2. 自動介助運動とは最小重力肢位で行う運動のことである。
3. 等尺性運動は等張性運動よりも筋持久力増強が大きい。
4. 等速性運動では低速運動の方が高速運動より大きな筋力が発揮できる。
5. 重錘を用いた運動では全可動域にわたって筋に加わる負荷が変化しない。

解答

解説
1. ×:自動運動とは、自分の力で動かす運動のことをいう。重力に抗して行う運動のことは抵抗運動である。つまり、抵抗がある・なしに関わらす、自動運動が可能である。
2. ×:自動介助運動とは、本人が筋収縮を起こし自力により動作を行いながら、徒手的な介助などで補助を加える運動のことである。つまり、重力の大・小(重力位・抗重力位)にかかわらず、介助を用いて行う運動のことである。
3. ×:等尺性運動は等張性運動よりも、筋持久力増強が「大きい」のではなく小さい。等張性運動は、心肺機能の維持・改善に適している。なぜなら、筋の収縮・弛緩の反復によるポンプ効果で血液循環が改善したり、強度を上げて時間を延長するにしたがって酸素消費量が多くなる特徴を持つため。
4. 〇:正しい。等速性運動では低速運動の方が高速運動より大きな筋力が発揮できる。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。それに伴い、筋力の発揮は低速運動の方が大きな筋力を発揮できる。
5. ×:重錘を用いた運動では全可動域にわたって筋に加わる負荷が、変化しないのは間違いで変化する。つまり、全可動域にわたって負荷は変化する。なぜなら、モーメントアーム(トルク)が大きくなると、筋に加わる負荷量が大きくなり、逆にモーメントアーム(トルク)が小さくなると、筋に加わる負荷量が小さくなるため。

 

 

 

55回 午前38

38 筋力増強運動として求心性収縮を用いた抵抗運動を行う際、対象筋と運動方向の組合せで正しいのはどれか。

1.ハムストリングス:膝関節屈曲90°位での股関節伸展
2.上腕二頭筋:肘関節伸展0°位かつ前腕回外位での肩関節伸展
3.上腕三頭筋:肘関節屈曲90°位での肩関節水平内転
4.前脛骨筋:足外がえし位での足関節背屈
5.中殿筋:股関節伸展0°位での股関節外転

解答
解説

1.× ハムストリングスは、「膝関節屈曲90°位での股関節伸展」ではなく、膝関節伸展位での股関節伸展もしくは膝関節屈曲である。ちなみに、膝関節屈曲90°位での股関節伸展は、大殿筋である。
2.× 上腕二頭筋は、「肘関節伸展0°位かつ前腕回外位での肩関節伸展」ではなく、肩関節中間位・前腕回外位での肘関節屈曲である。ちなみに、肘関節伸展0°位かつ前腕回外位での肩関節伸展は、上腕三頭筋や三角筋後部線維である。
3.× 上腕三頭筋は、「肘関節屈曲90°位での肩関節水平内転」ではなく、肘関節伸展である。肘関節屈曲90°位での肩関節水平内転は、大胸筋である。
4.× 前脛骨筋は、「足外がえし位」ではなく、足内返し位の足関節背屈である。足外がえし位での足関節背屈は、長趾伸筋・第三腓骨筋である。
5.〇 正しい。中殿筋は、股関節伸展0°位での股関節外転で求心性収縮を用いた抵抗運動を行える。

 

 

55回 午後41

41 筋力増強運動について正しいのはどれか。

1.等尺性筋力増強運動では1回あたり20~30秒間以上の収縮が必要である。
2.筋力を維持するためには最大筋力の70~80%以上の抵抗が必要である。
3.目的としていない筋に代償運動が起こる方がよい。
4.等速性筋力増強運動では重錘ベルトを使用する。
5.等尺性筋収縮では血圧上昇に留意する。

解答
解説
1.× 等尺性筋力増強運動では、負荷量も大切である。最大筋力で2~3秒、40~50%の強度であれば15~20秒の筋収縮が必要である。つまり、1回あたり「20~30秒間以上だけ」ではなく、負荷量の設定が必要である。
2.× 筋力を維持するためには、最大筋力の「70~80%以上」ではなく、20~30%以上必要である。一方、筋力増強の場合、最大筋力の2/3(66%)の抵抗が必要である。
3.× 目的としていない筋に代償運動が起こるのは良くない。なぜなら、目的の筋に正確にアプローチできないためである。トレーニング効果は減少する。
4.× 等速性筋力増強運動とは、運動速度が一定な筋収縮様態である。日常の生活では生じにくい。重錘ベルトでは行えず、各速度を一定に保つことのできる装置(バイオデックスシステム、等速性筋力評価装置など)を使用する。
5.〇 正しい。等尺性筋収縮では血圧上昇に留意する。なぜなら、毛細血管圧迫による血流遮断が起こるためである。

 

 

 

58回 午前38

38.筋力増強運動で正しいのはどれか。

1.等運動性運動は徒手的に行う。
2.等尺性運動は関節運動を伴う。
3.等張性運動では関節運動の速度を調整する。
4.閉鎖性連鎖運動は複数筋の筋力増強に適している。
5.開放性連鎖運動は四肢末端が地面に接した状態で行う。

解答

解説
1.× 等運動性運動は徒手的に、「行う」のではなく行うことができない。等運動性運動(等速性運動)は、機械を使用しなければ行えない特徴を持つ。なぜなら、等運動性運動とは、関節運動時の角速度が等しくなるように調整された運動のことであるため。
2.× 等尺性運動は関節運動を「伴う」のではなく伴わない。等尺性運動は、関節運動を伴わない筋収縮である。ちなみに、関節運動を伴う運動は等張性運動である。
3.× 等張性運動は、関節運動の速度を調整するものではない。等張性運動は、①遠心性等張性運動、②求心性等張性運動があげられる。遠心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋が収縮しながら筋長は伸びる状態である。求心性等張性運動とは、筋の張力は変化せずに筋の短縮が起こる状態である。ちなみに、関節運動の速度を調整が必要なのは、等運動性運動(等速性運動)である。
4.〇 正しい。閉鎖性連鎖運動は、複数筋の筋力増強に適している。閉鎖運動連鎖(CKC:closed kinetic chain)とは、連動する関節のうち、遠位部の自由な動きが外力によって制限(固定)されているような場合の運動のことを指す。つまり、身体の末端部分が床などに接した状態で、固定された運動のことである。例えば、懸垂スクワットなどのことである。
5.× 四肢末端が地面に接した状態で行うのは、「開放性連鎖運動」ではなく閉鎖性連鎖運動である。開放性連鎖運動とは、連動する関節のうち、遠位部の関節が自由に動くことができる場合の運動のことをいう。つまり、身体の末端部分(足や手)が固定されていない運動のことである。例えば、ベンチプレスチェストプレスなどのことである。

運動連鎖

①開放運動連鎖(OKC:open kinetic chain)とは?
定義:連動する関節のうち、遠位部の関節が自由に動くことができる場合の運動。つまり、身体の末端部分(足や手)が固定されていない運動のこと。
例:ベンチプレスやチェストプレスなど。

②閉鎖運動連鎖(CKC:closed kinetic chain)とは?
定義:連動する関節のうち、遠位部の自由な動きが外力によって制限(固定)されているような場合の運動。つまり、身体の末端部分が床などに接した状態で、固定された運動のこと。
例:懸垂、スクワットなど

 

 

 

OT専門

50回 午後30

30 筋力増強訓練で正しいのはどれか。

1.遠心性収縮は筋が短縮する。
2.等尺性収縮は関節の動きを伴う。
3.等張性収縮は心疾患に禁忌である。
4.求心性収縮は抵抗が筋張力より大きいときに生じる。
5.等運動性収縮は可動域全体で筋力強化が可能である。

解答5

解説
1.× 遠心性収縮は、「筋が短縮する」のではなく、筋が収縮しながら伸張されていく運動である。つまり、外力が筋力より勝っている状態である。遠心性収縮の特徴として、①筋力増強効果が高い、②筋損傷も起こりやすいことがあげられる。
2.× 等尺性収縮(静止性収縮)は、関節の動きを伴わない運動である。筋が収縮しているにもかかわらず筋の全長に変化のない状態で、負荷に対して静止姿勢を保つときなどに生じる。等尺性収縮の特徴として、毛細血管圧迫による血流遮断が起こり血圧が上昇しやすい。
3.× 心疾患に禁忌であるのは、「等張性収縮」ではなく等尺性収縮(静止性収縮)である。等張性収縮は、筋の収縮力(張力)が変化しないままに、筋の全長が変化する状態である。おもりなどをつけての筋力トレーニングに応用されている。等張性収縮の特徴として、筋の収縮・弛緩の反復によるポンプ効果で、血液循環がよくなる。
4.× 求心性収縮は抵抗が筋張力より、「大きい」のではなく小さいときに生じる。なぜなら、求心性収縮とは、筋収縮時に筋の起始部と停止部が近づく関節運動であるため。つまり、筋力が抵抗より勝っている状態で起こる。
5.〇 正しい。等運動性収縮(等速性収縮)は、可動域全体で筋力強化が可能である。等運動性収縮(等速性収縮)は、関節の運動速度が一定に保たれている運動である。したがって、可動域全般にわたり負荷が可能である。しかし、等運動性収縮(等速性収縮)の欠点として、バイオデックスなどの特殊な機器を必要とする。

 

 

57回 午前2

2 背臥位のまま右手でスマートフォンを持ち電子書籍を閲覧していた。図のように、この時の肩関節は屈曲40度、肘関節は屈曲90度であった。
 文字が見づらいためゆっくり肘を曲げて画面を顔に近づける際に活動する筋と収縮様式の組合せで正しいのはどれか。

1.上腕二頭筋:遠心性収縮
2.上腕二頭筋:等張性収縮
3.上腕三頭筋:遠心性収縮
4.上腕三頭筋:求心性収縮
5.上腕三頭筋:等張性収縮

解答

解説

それぞれの筋の作用

上腕二頭筋:肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)
上腕三頭筋:肘関節伸展、肩関節伸展

肘関節屈曲運動は、上腕二頭筋の求心性収縮により生じるが、拮抗筋である上腕三頭筋の遠心性収縮により、肘関節屈曲スピードを調整している。

1~2.× 上腕二頭筋は、遠心性収縮/等張性収縮ではなく求心性収縮である。ちなみに、遠心性収縮とは、筋は収縮しても筋長は伸びている収縮様式である。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。また、等張性収縮とは、筋張力が変化せずに収縮する状態である。筋自身は収縮あるいは伸長のいずれの状態でも起こりうる。求心性収縮と混同されやすいが、求心性収縮では短縮時に張力が変化することもある。等張性運動は心肺機能の維持・改善に適する筋の収縮・弛緩の反復によるポンプ効果で、血液循環がよくなる。
3.〇 正しい。上腕三頭筋は、遠心性収縮が起こっている。
4~5.× 上腕三頭筋は、求心性収縮/等張性収縮ではなく遠心性収縮である。ちなみに、求心性収縮とは、筋は負荷に打ち勝つだけの張力を発生して、筋の短縮が起こっている状態である。骨格はてこ・関節は支点として働く。

 

 

 

 

 

共通問題

48回 午前71

71 立位姿勢で、頭上からバーベルを肩まで下ろす時に遠心性収縮となる筋はどれか。

1.上腕二頭筋
2.腕橈骨筋
3.大菱形筋
4.前鋸筋
5.広背筋

解答4

解説

頭上からバーベルを肩まで下ろす動作:両肘関節屈曲両肩関節内転・伸展肩甲骨の内転などが必要になる。

遠心性収縮とは、筋が収縮しながら筋自身は伸張される状態である。

 

1~2.× 上腕二頭筋/腕橈骨筋(肘関節屈曲)は、求心性収縮である。
3.× 大菱形筋(肩甲骨を内上方にひく)は、求心性収縮である。
4.〇 正しい。前鋸筋は、遠心性収縮である。肩甲骨を外前方(外転:上方回旋)の作用を持つため。
5.× 広背筋(肩関節内転・伸展)は、求心性収縮である。

 

 

 

 

49回 午後69

69 骨格筋の筋張力で誤っているのはどれか。

1. 活動張力は筋長が長くなるほど大きくなる。
2. 全張力から静止張力を引くと活動張力が得られる。
3. 求心性運動では速度が速いほど最大筋張力が小さい。
4. 筋張力が一定の場合、短縮速度は負荷が小さいほど速い。
5. 遠心性運動は求心性運動より大きな筋張力を発揮することができる。

解答1

解説

1.× 活動張力(筋が収縮するときに得られる張力)は、筋長が長くなるほど大きくなるとは限らない。なぜなら、筋が生体内での長さ付近のとき活動張力は最大となり、それより短縮・伸張しすぎると低下する特性を持つため。
2.〇 正しい。全張力から静止張力(筋の静止状態でその長さに従って大きくなる張力)を引くと活動張力が得られる。
3.〇 正しい。求心性運動では、速度が速いほど最大筋張力が小さい。速度と最大筋張力は反比例する。
4.〇 正しい。筋張力が一定の場合、短縮速度は負荷が小さいほど速い。同じ力であれば、負荷が小さいほど速く動かせる。
5.〇 正しい。遠心性運動は、求心性運動より大きな筋張力を発揮することができる。遠心性運動>等尺性運動>求心性運動の順に大きな筋張力を発揮できる。

 

 

53回 午前69

69.等張性運動について正しいのはどれか。

1.角速度は一定である。
2.等尺性運動に比べ血圧が上昇しやすい。
3.等尺性運動に比べ収縮時の筋血流が増加しやすい。
4.等尺性運動に比べ心拍数が増加しやすい。
5.負荷に抗して姿勢を維持するときに起こる。

解答:3

解説

1.×:角速度は一定であるのは、等速性収縮である。
2.×:等尺性収縮は、屈曲伸展などの関節運動を伴わない運動である。したがって、等張性収縮より等尺性収縮の方が、毛細血管圧迫による血流遮断が起こるため、血圧の上昇がしやすいのが特徴である。
3.〇:正しい。等張性収縮は、筋の収縮・弛緩の反復によるポンプ効果で、血液循環が良くなる。よって、等尺性運動に比べ、等張性運動の収縮時の筋血流が増加しやすい。
4.△:等張性運動は、等尺性運動に比べ心拍数が、減少しやすい意見と増加しやすい意見の両方が存在する。そのため△とさせていただいているが、基本的に等張性運動は、等尺性運動に比べ心拍数が、減少しやすい。以下、理由を述べる。選択肢2.でも前述したとおり、等尺性収縮は、毛細血管圧迫による血流遮断が起こり血圧の上昇がしやすいのが特徴である。血液反射機能(圧受容器は、頚動脈洞と大動脈弓に存在し、血圧の変動を感知している。血圧が上昇すると、圧受容器が反応し、反射的に、心拍数が下がり、心筋の収縮力が低下し、結果的に、動脈が拡張し血圧が下がって正常値に復帰すること)によって、血圧が上昇すると心拍数は反射により下がる特徴がある。よって、等張性収縮の特徴は、等尺性収縮よりも血圧が上昇しにくく、心拍数は増加しやすい働きがある。
5.×:負荷の抗して静止姿勢を保つときは、静止性収縮(持続性収縮)である。

余談「等張性運動は、等尺性運動に比べ心拍数が、増加しやすい意見」

 獨協医科大学  リハビリテーション科学の古市照人先生の文献「運動機能のリハビリテーション」の「5. 筋力トレーニング時のリスク管理」を一部抜粋すると、”等張性運動では酸素摂取量,心拍数,心拍出量が増加して血管抵抗が低下するため,収縮期血圧の上昇と拡張期血圧の低下が生じ,平均血圧はほぼ一定である.しかし,等尺性運動では酸素摂取量,心拍数,心拍出量の増加は軽度であるが収縮期血圧と拡張期血圧ともに上昇するため,手技は簡単であるが注意が必要である.”とある。

 

 

 

57回 午前73

73 遠心性収縮が生じるのはどれか。2つ選べ。

1.頭上に手を挙げるときの三角筋前部線維
2.懸垂で体を下ろすときの上腕二頭筋
3.腕立て伏せで肘を伸ばすときの上腕三頭筋
4.椅子から立ち上がるときの大腿四頭筋
5.しゃがみ込むときのヒラメ筋

解答2・5

解説

遠心性収縮とは?

加えられた負荷が筋張力よりも大きく、筋は収縮しているが伸びる状態のこと。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。

1.3~4.× 頭上に手を挙げるときの三角筋前部線維/腕立て伏せで肘を伸ばすときの上腕三頭筋/は求心性収縮である。求心性収縮とは、筋は負荷に打ち勝つだけの張力を発生して、筋の短縮が起こる状態のこと。骨格はてこ・関節は支点として働く。
2/5.〇 正しい。懸垂で体を下ろすときの上腕二頭筋/しゃがみ込むときのヒラメ筋は遠心性収縮である。遠心性収縮とは、加えられた負荷が筋張力よりも大きく、筋は収縮しているが伸びる状態のこと。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。
4.× 椅子から立ち上がるときの大腿四頭筋は、等尺性収縮(離殿まで)と求心性収縮(伸展相)である。ただし、二関節筋である大腿直筋は、離殿までの相も求心性収縮である。

 

 

 

 

58回 午前73

73.鉄棒に肩関節屈曲90°、肘関節屈曲90°の肢位で懸垂している状態からゆっくりと体を下降させているとき、遠心性収縮をする筋はどれか。

1.棘上筋
2.広背筋
3.烏口腕筋
4.三角筋前部
5.大胸筋鎖骨部

解答

解説

本症例のポイント

【開始肢位】肩関節屈曲90°、肘関節屈曲90°
【終了肢位】肩関節屈曲180°、肘関節0°
→求心性:肩関節屈曲筋、肘関節伸展筋
→遠心性:肩関節伸展筋肘関節屈曲筋

遠心性収縮とは、筋が収縮しているにも関わらず筋の全長が伸びる状態である。加えられた負荷が筋張力よりも大きければ、筋は収縮しても伸びる。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。筋力増強効果は、遠心性→等尺性→求心性の順に大きい。

1.× 棘上筋の作用は、肩関節外転である。ちなみに、【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部である。
2.〇 正しい。広背筋が、遠心性収縮をする。広背筋の作用は、肩関節内転、伸展、多少内旋である。ちなみに、【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜である。
3.× 烏口腕筋の作用は、肩関節屈曲、内転である。ちなみに、【起始】烏口突起、【停止】上腕骨の内側面の中部である。
4.× 三角筋の作用は、肩関節外転前部は屈曲、後部は伸展である。ちなみに、【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面である。
5.× 大胸筋の作用は、肩関節内転・内旋鎖骨部:肩甲骨屈曲、腹部:肩関節下制である。ちなみに、【起始】鎖骨部:鎖骨内側1/2~2/3、胸肋部:胸骨前面と上5~7個の肋軟骨、腹部:腹直筋鞘前葉の表面、【停止】上腕骨の大結節稜である。

 

 

59回 午後69

69 骨格筋の筋張力で正しいのはどれか。

1.全張力と静止張力の和が活動張力となる。
2.活動張力は筋長が長くなるほど大きくなる。
3.求心性運動では速度が速いほど最大筋張力が大きい。
4.筋張力が一定の場合、短縮速度は負荷が小さいほど速い。
5.求心性運動は遠心性運動より大きな筋張力を発揮することができる。

解答

解説
1.× 「活動張力」と静止張力の和が「全張力」となる。活動張力とは、筋が収縮するときに得られる張力である。静止張力とは、筋の静止状態でその長さに従って大きくなる張力である。
2.× 活動張力は、筋長が長くなるほど大きくなるとはいえない。なぜなら、筋が生体内での長さ付近のとき活動張力は最大となり、それより短縮・伸張しすぎると低下する特性を持つため。
3.× 求心性運動では速度が「速い」ではなく遅いほど、最大筋張力が大きい。速度と最大筋張力は反比例する。求心性収縮とは、筋収縮時に筋の起始部と停止部が近づく関節運動であるため。つまり、筋力が抵抗より勝っている状態で起こる。
4.〇 正しい。筋張力が一定の場合、短縮速度は負荷が小さいほど速い。同じ力であれば、負荷が小さいほど速く動かせる。
5.× 逆である。「遠心性運動」は「求心性運動」より大きな筋張力を発揮することができる。遠心性運動>等尺性運動>求心性運動の順に大きな筋張力を発揮できる。遠心性収縮とは、筋が収縮しているにも関わらず筋の全長が伸びる状態である。加えられた負荷が筋張力よりも大きければ、筋は収縮しても伸びる。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。

MEMO

静止性収縮(等尺性収縮)とは、筋が収縮しても筋の全長に変化のない状態である。拮抗筋間で同一の張力を発生したとき、負荷に抗して静止姿勢を保つときなどに起こる。

 

 

 

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