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※問題の引用:厚生労働省HPより、作業療法士国家試験の問題および正答について
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。
第37回 21問
骨格筋で誤っているのはどれか。
1.成人では体重の40%を占める。
2.筋収縮にはカルシウムイオンが関与する。
3.姿勢保持筋は赤筋線維が多い。
4.ミトコンドリアは白筋線維に多い。
5.筋線維に横紋がみられる。
解答4
解説
骨格筋は顕微鏡で横紋構造が認められる随意筋であり、各筋組織には体性神経与している。
1.〇 成人では体重の40~50%を占める。
2.〇 筋収縮にはカルシウムイオンが関与する。筋収縮にはカルシウムイオン濃度の上昇が引き金となってミオシンフィラメントとアクチンフィラメントのすべりが生じ筋肉が収縮する。
3.〇 姿勢保持筋は赤筋線維が多い。脊柱起立筋などの姿勢保持筋や、疲れて動かなくなると困る呼吸運動のための筋には赤筋が多い。対して、足・腕・指の筋肉などには白筋が多い。
4.× ミトコンドリアは白筋線維ではなく、赤筋線維に多い。
5.〇 筋線維に横紋がみられるのが骨格筋(横紋筋)の特徴である。
第49回 午前61問
筋におけるタイプⅡb線維と比べたタイプI線維の特徴はどれか。2つ選べ。
1.持久力のある筋肉において比率が高い。
2.周囲組織の毛細血管が密である。
3.ヒラメ筋において比率が低い。
4.ミオグロビン量が少ない。
5.ミトコンドリアが少ない。
解答1・2
解説
タイプⅡb線維は速筋線維(腓腹筋)。タイプⅠ線維は遅筋線維(ヒラメ筋)である。タイプⅠ線維(遅筋線維)の特徴は、ミトコンドリアやミオグロビンが多く、有酸素的エネルギー産生酵素も多いので持久力がある。
1.〇 正しい。タイプⅠ線維(遅筋線維)は、持久力のある筋肉において比率が高い。
2.〇 正しい。タイプⅠ線維(遅筋線維)は、周囲組織の毛細血管が密である。
3.× ヒラメ筋において比率が低いのは、タイプⅡb線維(速筋線維)である。タイプⅡb線維は速筋線維(腓腹筋)。タイプⅠ線維は遅筋線維(ヒラメ筋)である。
4.5.× ミオグロビン量/ミトコンドリアが少ないのは、タイプⅡb線維(速筋線維)である。
第44回 5問
骨格筋の構造で正しいのはどれか。 2つ選べ。
1.筋細胞の細胞膜を筋周膜という。
2.A帯を明帯という。
3.A帯は筋収縮時に短縮する。
4.I帯の中央部にZ帯がある。
5.Z帯の間を筋節という。
解答4,5
解説
1.× 筋細胞の細胞膜を筋周膜ではなく、筋内膜という。 筋細胞を束にしたものが筋線維、筋線維を束にしたものを筋束といい、筋束がさらにまとまって筋肉になる。筋線維を包むものが筋内膜、筋束を包むものが筋周膜、筋肉を包むものが筋外膜である。
2.× A帯を明帯ではなく、暗帯という。A帯は暗帯、I帯が明帯である。明帯はアクチンのみが存在し、ミオシンのある部分が暗帯である。暗帯のうち、アクチンのない部分は少し明るく、その部分をH帯と呼ぶ。
3.× A帯は筋収縮時に短縮する。収縮時、A帯は変化しないがI体が短縮する。H帶も短縮する。
4.〇 I帯の中央部にZ帯がある。収縮時にはZ帯とZ帯の間隔が短くなる。
5.〇 Z帯の間を筋節という。Z帯とZ帯の間のことを筋節(サルコメア)という。
第48回 午前61問
骨格筋の興奮収縮連関について正しいのはどれか。
1.筋小胞体からMg2+が放出される。
2.横行小管の中をCa2+が運搬される。
3.アクチンフィラメントのATPが加水分解を生じる。
4.筋線維膜の電位依存性Na+チャンネルが開いて脱介極が生じる。
5.トロポニンが移動してミオシンフィラメントの結合部位が露出する。
解答4
解説
1.× 筋小胞体からMg2+ではなく、Ca2+が放出される。横行小管(T管)から伝わった脱分極電位により筋小胞体から、Ca2+が放出される。一般的な筋収縮は、細胞外からもしくは、筋小胞体から放出されるCa2+に依存する。
2.× 横行小管(T管)の中を、Ca2+が運搬されるのではなく、細胞膜で発生した刺激が移動し筋小胞体へと伝わる。
3.× アクチンフィラメントではなく、ミオシンフィラメントのATPが加水分解を生じる。
4.〇 正しい。筋線維膜の電位依存性Na+チャネルが開いて脱分極が生じる。活動電位の発生には、Na+が関与する。
5.× トロポニンではなく、「トロポミオシン」が移動してミオシンフィラメントの結合部位が露出する。ちなみに、トロポニンとは、心筋に特異的に含まれる物質で、心筋が障害を受けたときに血液中で増える物質で、筋収縮の機序としては、①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
第53回 午後61問
骨格筋の構造で筋収縮時に長さが一定なのはどれか。2つ選べ。
1.A帯
2.H帯
3.I帯
4.Z帯
5.筋節
解答:1,4
解説
1.〇 正しい。A帯は、暗帯ともいい収縮時は変化しない。A帯(暗帯)とは、ミオシンフィラメントがある部分で、アクチンフィラメントと重なり合っている。筋収縮のメカニズム(滑り説)では、アクチンフィラメントがミオシンフィラメント側に滑り込むことで収縮が生じると説明しており、この際に短縮するのはアクチンフィラメントのみの部分であるI帯(明帯)である。
2.× H帯は、短縮する。H帯はA帯中央の明るい部分(ミオシンのみからなる部分)である。
3.× I帯(明帯)は、短縮する。
4.〇 正しい。Z帯は、変化しない。Z帯はI帯(明帯)の中央部分に存在し、アクチンを束ねている。
5.× Z体とZ体の間のことを筋節(サルコメア)といい、収縮時はその間が短くなる。
覚えておこう!!
骨格筋における白色線維と赤色線維の比較
白筋 | 赤筋 | |
別名 | 速筋線維、タイプII線維 | 遅筋線維、タイプI線維 |
筋収縮の特徴 | 速い収縮、速い疲労 | 遅い収縮、遅い疲労 |
太さ | 太い | 細い |
ATP | 解糖による | 酸化による |
ミオグロビン | 少ない(筋線維は白い) | 多い(筋線維は赤い) |
ミトコンドリア | 少ない | 多い |
グリコーゲン | 多い | 少ない |
毛細血管 | 粗 | 密 |
適した運動 | 無酸素運動、短距離 | 有酸素運動、長距離 |
部位 | 指の筋肉 | 脊柱起立筋 |
これを覚えたら次は運動単位もしっかり覚える。
5.× トロポニンが移動して、ミオシンフィラメントではなく、アクチンフィラメントの結合部位が露出する。Ca2+がトロンポニンに結合すると、ATPのエネルギーを利用して、アクチンフィラメントの結合部位が露出し、アクチンがミオシンに引き寄せながら滑走することで筋収縮が起こる。
⭐️トロポニンが移動じゃなくて、トロポミオシンが移動することにより、ミオシンフィラメントの結合部が露出されると思います。
参考文献
標準理学療法学・作業療法学
生理学 第5版 p.57 骨格筋の収縮メカニズム
コメントありがとうございます。
ご指摘どおり間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。