第53回(H30)理学療法士 国家試験解説【午前問題56~60】

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56.筋と支配神経の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.円回内筋:尺骨神経
2.深指屈筋:橈骨神経
3.長掌筋:正中神経
4.長母指伸筋:後骨間神経
5.腕橈骨筋:前骨間神経

解答:3,4

解説

1.× 円回内筋は、「尺骨神経」ではなく正中神経である。
2.× 深指屈筋は、「橈骨神経」ではなく、橈側部は正中神経、尺側部は尺骨神経である。
3.〇 正しい。長掌筋は、正中神経である。
4.〇 正しい。長母指伸筋は、後骨間神経である。
5.× 腕橈骨筋は、「前骨間神経」ではなく橈骨神経である。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】上肢筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

57.リンパ系について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.脾臓はリンパ液をろ過する。
2.胸管は右鎖骨下静脈に流入する。
3.腸管由来のリンパ液を乳糜という。
4.リンパ管には弁機構が存在しない。
5.右下肢のリンパ液は胸管に流入する。

解答:3,5


解説

1.× 脾臓は、リンパ液のろ過機能はない。脾臓の白脾髄は、リンパ球を産生するリンパ小節を持っている。リンパ液のろ過は、リンパ管が担う。
2.× 胸管は、右鎖骨下静脈に流入しない。胸管は、「右鎖骨下静脈」ではなく、左静脈角に流入する。胸管は左鎖骨下静脈と左内頸静脈の合流点である。右リンパ本幹は右鎖骨下静脈と右内頸静脈の合流点である右静脈角に流入する。
3.〇 正しい。腸管由来のリンパ液を乳糜という。乳糜とは、<にゅうび>と読む。乳糜は、腸から吸収された脂肪粒や脂肪酸、グリセリンを含んで乳白色をしているリンパ液のことを指す。
4.× リンパ管には弁機構が存在する。静脈と同様に、リンパ管にはきわめて多くの弁が存在する。なぜなら、リンパ流の動力源は周囲の筋による筋ポンプであるため。
5.〇 正しい。右下肢のリンパ液は胸管に流入する。胸管は最大のリンパ本幹であり、左上半身と下半身全体のリンパを集める。ちなみに右上半身からのリンパ管は右リンパ本幹に合流する。

 

過去問をまとめました。力試しにどうぞ。

【共通のみ】リンパ系ついての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

58.呼吸器の解剖について正しいのはどれか。

1.細気管支には軟骨がある。
2.胸膜腔は吸気時に拡大する。
3.肺の栄養血管は肺動脈である。
4.肺尖は鎖骨と同じ高さに位置する。
5.右主気管支は左主気管支よりも短い。

解答:5


解説

1.× 細気管支には軟骨がない。軟骨は気管から亜区域気管支までに存在する。
2.× 胸膜腔は吸気時に、「拡大」ではなく、ほぼ変わらない。胸膜とは肺を覆う臓側胸膜と胸壁の内側を覆う壁側胸膜のことであり、その空間が胸膜腔である。両者の胸膜は、ほとんどすき間なく密着しているが、胸膜腔には少量の漿液があり、これが胸膜の潤滑を助けている。吸気時も呼気時も胸膜腔はほぼ変わらない。
3.× 肺の栄養血管は、「肺動脈」ではなく、気管支動脈と気管支静脈である。
4.× 肺尖は、鎖骨と「同じ高さ」ではなく、鎖骨より2㎝ほど上方へ突出している
5.〇 正しい。右主気管支は左主気管支よりも短い。なぜなら、心臓があるため。

類似問題です↓
【共通問題のみ】胸部・気管支の解剖についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

59.解剖学的「嗅ぎタバコ入れ」で触診できるのはどれか。

1.月状骨
2.三角骨
3.舟状骨
4.小菱形骨
5.有頭骨

解答:3


解説

解剖学的嗅ぎタバコ入れとは?

 手背の母指基部の専用のタバコ粉末を置いて匂いをかぐ楽しみの一つで使用されていた部位であることから、その名がつけられた。手背には長母指伸筋の腱、掌側には短母指伸筋の腱長母指外転筋の腱が並んで走行している。

 解剖学的嗅ぎタバコ入れで、大菱形骨舟状骨を触れることができる。よって、選択肢3.舟状骨が正解である。

 

苦手な人向けに、まとめました。
【共通のみ】筋の作るくぼみや溝、走行についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

60.細胞内小器官の働きで正しいのはどれか。

1.滑面小胞体はATPを合成する。
2.Golgi装置は蛋白質を修飾する。
3.ミトコンドリアはグリコーゲンを分解する。
4.ライソソームは蛋白質を合成する。
5.リボソームは細胞内の物質を分解する。

解答:2


解説

1.× 滑面小胞体は、「ATPを合成する」のではなく、糖・脂質代謝、薬物代謝等に関与する。ATP合成するのは、ミトコンドリアである。
2.〇 正しい。Golgi装置(ゴルジ装置)は、蛋白質を修飾する。リボソームで生成され送り込まれてきた蛋白質に糖鎖を付け加える、濃縮するなどの修飾をする機能を持つ。
3.× グリコーゲンを分解するのは、「ミトコンドリア」ではなく細胞質である。ミトコンドリアは、ATPの合成を行う。
4.× ライソソーム(リソソーム)は、「蛋白質を合成する」のではなく、細胞質内代謝物の消化と貯蔵に関与する。タンパク質合成は、粗面小胞体である。
5.× リボソームは、「細胞内の物質を分解する」のではなく、タンパク質を合成する場所である。粗面小胞体の表面にいる。

 

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