第47回(H24) 理学療法士国家試験 解説【午前問題31~35】

 

31 練習方法の説明で正しいのはどれか。

1.1つのスキルを試行間で速度を変えずに練習するのは恒常練習である。
2.1つのスキルを様々な速度で練習するのはランダム練習である。
3.練習時間を短時間に分けて練習するのは部分練習である。
4.1つのスキルを細分化して練習するのは分散練習である。
5.複数のスキルを混ぜて練習するのは多様練習である。

解答1

解説

1.〇 正しい。1つのスキルを試行間で速度を変えずに練習するのは恒常練習である。恒常練習とは、同じ動きを繰り返して練習することである。野球の素振りなどがこれにあたる。
2.× 1つのスキルを様々な速度で練習するのは、ランダム練習ではなく、多様練習である。ランダム練習とは、複数のスキルを混ぜて交互に練習する方法である。例えば、短距離歩行練習→長距離歩行練習などである。
3.× 練習時間を短時間に分けて練習するのは、部分練習ではなく、分散練習である。部分練習とは、間違いやすい部分を徹底的に繰り返し練習することである。移乗の立ち上がりを繰り返すといったもの。
4.× 1つのスキルを細分化して練習するのは、分散練習ではなく、部分練習である。分散練習とは、休憩時間をはさみながら行う練習方法である。一回の練習を短く、試行回数を少なくして、練習回数を増やす練習方法である。例えば、縄跳びを朝・昼・夜に10回やるといったようなもの。
5.× 複数のスキルを混ぜて練習するのは、多様練習ではなく、ランダム練習である。多様練習とは、1つのスキルを多様な方法で練習することである。例えば、移乗練習でベッドを変えて練習したり、歩行練習を屋外やでこぼこ道・坂道などに行ったりして練習すること。

 

 

 

 

 

 

32 寒冷療法が痙縮を低下させる機序で正しいのはどれか。

1.筋紡錘からの求心性放電の増大
2.γ 神経線維の伝導速度の低下
3.δ 神経線維の伝導速度の低下
4.毛細血管透過性の増大
5.筋組織の代謝の増大

解答2

解説

1.× 筋紡錘からの求心性放電(インパルス発射頻度)は、増大するのではなく減少する
2.〇 正しい。γ神経線維の伝導速度の低下は、寒冷療法が痙縮を低下させる機序である。寒冷によって、α運動ニューロンが活性化する一方で、γ運動ニューロンが抑制され筋紡錘の感受性が減弱することで筋緊張減少が起こる。
3.× δ神経(Aδ神経)線維の伝導速度の低下は起こるが、痙縮の低下とは関連がない。なぜなら、神経線維は痛覚伝導に関与する神経線維であるため。
4.× 毛細血管透過性は、増大ではなく低下する。したがって、急性浮腫や腫脹を抑制する。
5.× 筋組織の代謝は、増大ではなく低下する。したがって、炎症を鎮静させる。

 

 

 

 

 

33 リンパ浮腫に対する理学療法で適切なのはどれか。2つ選べ。

1.クライオセラピー
2.患肢の挙上
3.弾性包帯圧迫下での患肢の運動
4.収縮期血圧を超える圧での間欠的圧迫法
5.中枢側から末梢方向へリンパ液を誘導するマッサージ

解答2/3

解説

リンパ浮腫の治療

リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法といわれ、以下の4つの治療を組み合わせながら行う。①リンパドレナージ、②圧迫療法、③圧迫下における運動療法、④スキンケアである。リンパ液を流してあげることで突っ張った皮膚を緩め、硬くなった皮膚を柔らかくする。この状態で弾性包帯を巻いたり、スリーブといわれるサポーターのようなものや、弾性ストッキングを着用し、リンパの流れの良い状態を保ち、さらにむくみを引かせて腕や脚の細くなった状態を保つ。そして、圧迫した状態でむくんだ腕や脚を挙上する、動かすことでさらにむくみを軽減・改善をはかる。

1.× クライオセラピー(cryotherapy:冷却療法)は行わない。なぜなら、冷却によりさらに血流の流れが悪くなるため。リンパドレナージなどリンパの流れの良い状態を保てるようアプローチする。ただし、リンパ浮腫の治療中に蜂窩織炎などの炎症が生じた場合は思肢を冷却する場合もある。選択肢の中では優先度は低い。
2~3.〇 正しい。患肢の挙上/弾性包帯圧迫下での患肢の運動を実施する。なぜなら、リンパ流のうっ滞を除くことができるため。4.× そもそもリンパ浮腫に限らず、収縮期血圧を超える圧での間欠的圧迫法は行わない。間欠的圧迫法とは、はじめは弱く、徐々に圧を上げていき、痛くない程度(40mmHg以下)で圧迫する方法をいう。収縮期血圧を超える圧では血流が遮断され、さらにリンパ流のうっ滞を助長する。
5.× 逆である。末梢側から中枢方向へリンパ液を誘導するマッサージを行う。血流を循環させるように行う。

 

 

 

 

 

 

34 関節リウマチで起こりにくいのはどれか。

1.環軸関節亜脱臼
2.肘関節の屈曲拘縮
3.尺骨遠位の背側脱臼
4.股関節の中心性脱臼
5.膝関節の内反変形

解答5

解説

関節リウマチの関節破壊と変形

①環軸椎亜脱臼、②肩関節可動域制限、③肘関節屈曲拘縮、④手関節尺側偏位、⑤手指変形、⑥股関節屈曲拘縮、⑦膝関節内外反変形・屈曲拘縮、⑨足・足趾変形などがある。

1.〇 環軸関節亜脱臼は生じやすい。関節リウマチの死因としても知られ、頚椎可動域運動を行わないほうが良い。特に、頸部の屈曲は禁忌である。
2.〇 肘関節の屈曲拘縮は生じやすい。①環軸椎亜脱臼、②肩関節可動域制限、③肘関節屈曲拘縮、④手関節尺側偏位、⑤手指変形、⑥股関節屈曲拘縮、⑦膝関節内外反変形・屈曲拘縮、⑨足・足趾変形などがある。
3.〇 尺骨遠位の背側脱臼は生じやすい。尺骨頭が背側脱臼し、疼痛や前腕回外障害、伸筋腱断裂の原因となる。
4.〇 股関節の中心性脱臼は生じやすい。中心性脱臼とは、大腿骨頭が寛骨臼を突き破るような脱臼のことである。長年放置していると、股関節部の骨破壊が進み、脆弱した臼底が微小な骨折と修復を繰り返し菲薄化して寛骨臼底突出(股関節の中心性脱臼)が起こる。
5.× 膝関節の内反変形は起こりにくい。リウマチの膝変形の典型例として外反膝変形があげられるが、必ずしも内反膝変形が起こらないといったことはない。内反膝変形は、よく変形性膝関節症に起こる。

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は7:3前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

 

35 野球肘と診断された患者が、スポーツ復帰を目指して、外反ストレスに対する肘関節保護を目的とした筋力訓練を行うことになった。
 対象とすべき筋はどれか。

1.尺側手根屈筋
2.橈側手根伸筋
3.腕橈骨筋
4.円回内筋
5.指伸筋

解答1

解説

野球肘とは?

野球肘とは、成長期にボールを投げすぎることによって生じる肘の障害のことである。肘関節の外反ストレスにより、内側側副靭帯が損傷しやすい。内側側副靭帯は、3つ靭帯(前斜走靭帯、後斜走靭帯、横走靭帯)で、肘の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ。内側上顆から起始しており、靭帯の走行と比較的似ている筋を強化することによって靭帯の運動制限作用を補助することができる。

1.〇 正しい。尺側手根屈筋は、外反ストレスに対する肘関節保護を目的とした筋力訓練を行う。尺側手根屈筋は、【起始】上腕頭:内側上顆と前腕筋膜、尺骨頭:肘頭から尺骨中部までの後縁、【停止】豆状骨、豆鉤靭帯、豆中手靭帯、有鉤骨、第5中手骨底、【作用】手関節の掌屈、尺屈である。内側上顆から起始しており、靭帯の走行と比較的似ている筋を強化することによって靭帯の運動制限作用を補助することができる。
2.× 橈側手根伸筋は、長・短あり、長橈側手根伸筋は、【起始】上腕骨外側縁、外側上顆および外側上腕筋間中隔、【停止】第2中手骨底の背面橈側、【作用】手関節の背屈、橈屈である。短橈側手根伸筋は、【起始】上腕骨外側上顆、橈骨輪状靭帯、総指伸筋との間の腱膜、【停止】第3中手骨底の背面橈側、【作用】手関節の背屈、橈屈である。
3.× 腕橈骨筋は、【起始】上腕骨外側縁の下部、外側上腕筋間中隔、【停止】橈骨遠位下端、茎状突起、【作用肘関節屈曲
回内位での回外、回外位での回内である。
4.× 円回内筋は、【起始】上腕頭:上腕骨内側上顆と内側上腕筋間中隔、尺骨頭:尺骨鈎状突起内側、【停止】橈骨外側面の中央部、【作用】肘関節回内、屈曲である。起始は上腕骨内側上顆であるが、走行が内側側副靭帯と異なるため優先度は低い。
5.× (総)指伸筋は、【起始】上腕骨の外側上顆、前腕筋膜の内面と肘関節包、【停止】中央は中節骨底、両側は合して末節骨底、【作用】手関節の背屈、第2~5指の伸展、外転である。

 

2 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
「起きない」と「起きにくい」は意味が異なります。
解説にも「起きない」とは書いてありませんので、再読してくださりますようお願いいたします。
今後ともよろしくお願いいたします。

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