理学療法士国家試験 伸張反射についての問題5選「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省HPより、作業療法士国家試験の問題および正答について
※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

 

 

第45回 午後54問

伸張反射の反射弓を構成するのはどれか。2つ選べ。

1.α運動線維
2.Ia群求心性線維
3.Ib群求心性線維
4.Ⅲ群求心性線維
5.Ⅳ群求心性線維

解答1,2

解説
伸張反射は、筋紡錘に存在する一次終末からのIa線維を介してα運動ニューロンにシナプスを形成するもので、単シナプス性の反射経路をとる。筋を伸張すると筋紡錘も引き伸ばされ、感覚神経の終末が変形する。この機械的刺激が感覚神経に求心性発射活動を引き起こす。
1.〇 α運動線維は、伸張反射の遠心性線維である。
2.〇 Ia群求心性線維は、伸張反射の求心性線維である。
3.× Ib群求心性線維は、腱紡錘に存在するIb自己抑制に働く求心性線維である。
4.× Ⅲ群求心性線維は、温度感覚・痛覚刺激の求心性線維である。
5.× Ⅳ群求心性線維は、温度感覚・遅い痛覚刺激の求心性線維である。

 

 

 

43回 21問

γ運動ニューロンについて誤っているのはどれか。

1.筋紡錘の感受性を調節する。
2.核袋線維と核鎖線維を支配する。
3.前根の約30%を占める。
4.α運動ニューロンよりも細い。
5.α運動ニューロンから抑制性支配を受ける。

解答5

解説
γ運動ニューロンの生理に関する問題。γ運動ニューロンは,筋紡錘内の筋線維(錘内筋)を支配し筋紡錘の感受性を調整, 筋長を制御している.
1.〇 正しい。γ運動ニューロンは、筋紡錘内の筋線維を支配する。
2.〇 正しい。動的γ運動ニューロンが核袋線維を、静的γ運動ニューロンが核鎖線維を支配する。
3.〇 前根の約30%を占める。前根には、α運動ニューロンとγ運動ニューロンがあり、前者のほうが多い。
4.〇 正しい。α運動ニューロンよりもγ運動ニューロンの方が細い。
5.× α運動ニューロンにγ運動ニューロンを抑制する作用はない。γ運動ニューロンにはα運動ニューロンを興奮させる作用がある(γ環)

 

 

 

第47回 午後62問

自原抑制について正しいのはどれか。

1.受容器は筋紡錘である。
2.単シナプス反射である。
3.効果器は同名筋である。
4.反射の中枢は中脳にある。
5.求心性神経はIa群である。

解答

解説

自原抑制とは?

自原抑制(自己抑制)とは、筋が過剰に収縮し、健にかかる張力が大きくなったときに腱紡錘(ゴルジ腱器官)がそれを感知し、その健の筋が弛緩しにかかる張力を小さくする反射である。動筋の抑制性2シナプス反射となる。Ⅰb線維による。

1.× 受容器は、筋紡錘ではなく、腱紡錘(ゴルジ腱器官)である。
2.× 単シナプス反射ではなく、抑制性2シナプス反射である。Ⅰb線維とα運動神経の間に抑制性介在ニューロンが存在する。ちなみに、 Ⅰα線維による伸張反射は、単シナプス反射である。
3.〇 正しい。効果器は同名筋である。ちなみに、自原抑制(自己抑制)のほかに、伸張反射の効果器も同名筋である。
4.× 反射の中枢は、中脳ではなく脊髄にある。
5.× 求心性神経は、Ⅰα群ではなく、Ⅰb群ある。

 

 

 

第40回 38問

正しいのはどれか。

1.筋紡錘の求心性神経にはIb群線維がある。
2.筋紡錘と錘外筋線維は直列関係にある。
3.錘内筋線維を支配する運動神経はAa群である。
4.I群線維よりⅡ群線維の方が伝導速度は速い。
5.H波はIa群線維の刺激によって得られる。

解答

解説
脛骨神経を電気刺激したときに下腿三頭筋に誘発される反射をホフマン反射といい、これにより誘発された単シナプス反応をH波という。これはIa群線維への刺激で得られる。
1.× 筋紡錘の求心性神経にはIb群線維はない。筋紡錘の求心性線維はIa群線維とⅡ群線雄である。
2.× 腱器官は、錘外筋線維と直列関係にある。筋紡錘の両端は、平行に並ぶ錘外筋線維に付着している。
3.× 錘内筋線維(核鎖線維、核袋線維)を支配するのはγ運動ニューロンである。
4.× I群線維は太く、Ⅱ群線維は細い。そのためI群線維のほうが伝達速度が速い。
5.〇 錘内筋を支配する紡錘運動線維はAγ群に属する細い線維から成るため、紡錘運動線維をγ運動線維といい、その脊髄内の起始細胞をγ運動ニューロンという。γ運動線維の伝導速度は、錘外筋を支配するα運動線維の伝導速度より遥かに遅い。

 

 

 

第53回 午前62問

伸張反射について正しいのはどれか。

1.侵害受容反射である。
2.単シナプス反射である。
3.求心性線維はIb群線維である。
4.遠心性線維はγ運動線維である。
5.筋紡錘内の錘内線維を支配するのはα運動線維である。

解答:2

解説
1.× 侵害受容反射ではない。侵害反射は、痛みや組織の損傷をするような刺激が与えられた時に生じる反射である。筋紡錘は骨格筋の収縮を感知する感覚器(筋の長さとそれが変化する速さを感知する感覚器)として機能する。
2.〇 正しい。単シナプス反射である。
3.× 求心性線維は、Ib群線維ではなく、Ia群線維ある。ちなみに、Ib群線維は腱受容器の求心性線維である。
4.× 遠心性線維は、γ運動線維ではなく、α運動線維ある。
5.× 筋紡錘内の錘内線維を支配するのは、α運動線維ではなく、γ運動線維である。

 

まとめ

①Ia線維(伸張反射):筋紡錘で筋の伸張を感知し伸張反射をおこす求心性線維(感覚)。
Ia群線雄からの興奮は脊髄でα運動神経に単シナプス性に伝わるので、伸張反射は単シナプス反射である。例えば、膝蓋腱反射がこれにあたる。その際に、主動作筋の興奮と同時に拮抗筋の弛緩を起こす反射を相反性抑制という。相反性抑制は、抑制性介在ニューロンを介するため、2シナプス反射である。
②Ib線維(自己抑制):腱紡錘で腱にかかる張力を感知し自原抑制をおこす求心性線維。自原抑制は、2シナプス反射である。

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