第47回(H24) 理学療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

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26 Thomasテストが陽性の場合、可動域制限のある部位はどれか。

1.肩関節
2.腰椎
3.股関節
4.膝関節
5.足関節

解答3

解説

Thomasテストとは?

股関節の屈曲拘縮をみるための検査である。
①患者は、背臥位で測定する。
②検査者は、患者の膝を一側ずつ屈曲させ胸に近づける。
③胸に近づけた方と反対側の股関節が屈曲し膝が持ち上がれば、陽性である。
④胸に近づけた方と反対側の股関節の屈曲拘縮が生じていることを示す。

1〜2.4〜5.× 肩関節/腰椎/膝関節/足関節は、Thomasテストが陽性の場合、可動域制限のある部位とはいえない
3.〇 正しい。股関節は、Thomasテストが陽性の場合、可動域制限のある部位である

 

 

 

 

 

 

27 小脳失調で陰性所見になるのはどれか。

1.踵膝試験
2.指鼻指試験
3.線引き試験
4.前腕回内外試験
5.Romberg試験

解答5

解説

小脳運動失調症

①測定障害:目標物の距離を正確にとらえられない。
②反復拮抗運動障害:拮抗筋の動きの切り替えがスムーズにできない。
③運動分解:運動軌道が円滑ではない。
④協働収縮不能:複雑な動きを段階的かつ協調的に働かせることができない症状のことを指す。例えば、「後ろへ反り返る」という指示があった場合、同時に膝を曲げてバランスをとるという動作が障害され、後方へ転倒しそうになる。また、背臥位で腕を組んだまま起き上がることができない。
⑤企図振戦:随意運動しようとすると粗大な振戦が出現する。
⑥時間測定異常:動作が遅れる。

1〜3.× 踵膝試験/指鼻指試験/線引き試験は、小脳失調で陽性になる。測定障害・運動分解を疑う。
4.× 前腕回内外試験は、小脳失調で陽性になる。反復拮抗運動を疑う。
5.〇 正しい。Romberg試験(ロンベルク試験)は、小脳失調で陰性所見になる。Romberg試験(ロンベルク試験)は、前庭神経の障害や深部感覚障害で陽性になる。脊髄後索が障害される脊髄癆などの疾患で発生する。Romberg試験(ロンベルグ徴候)は、①はじめは開眼にて、患者に直立不動の姿勢をとらせ、安定した姿勢保持が可能であることを確かめる。②次に、閉眼させ、体幹の動揺が生じたり、動揺が明らかに増悪、あるいは転倒した場合を陽性とする。ちなみに、小脳障害の場合は、開眼時・閉眼時とも困難である。

 

 

 

 

 

28 正常歩行における関節運動の説明で正しいのはどれか。

1.着床初期には、足関節が最大背屈位となる。
2.荷重応答期には、膝関節に伸展モーメントが働く。
3.立脚終期には、足関節に底屈モーメントが働く。
4.前遊脚期には、股関節に伸展モーメントが働く。
5.遊脚初期には、膝関節に伸展モーメントが働く。

解答3

解説

1.× 着床初期(踵接地)には、足関節が軽く背屈している。最大背屈位となるのは踵離地である。ちなみに、最大底屈となるのはつま先離地である。
2.× 荷重応答期(踵接地〜足底接地の時期)には、膝関節に「伸展モーメント」ではなく屈曲モーメントが働く。なぜなら、接地の衝撃をやわらげるため。
3.〇 正しい。立脚終期(踵離地)には、足関節に底屈モーメントが働く。なぜなら、蹴り出しに働くため。
4.× 前遊脚期(つま先離地)には、股関節に「伸展モーメント」ではなく屈曲モーメントが働く。なぜなら、下肢を振り出そうと働くため。
5.× 遊脚初期(加速期)には、膝関節に「伸展モーメント」ではなく屈曲モーメントが働く。なぜなら、つま先を床から離すよう働くため。

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29 Barthel Indexで正しいのはどれか。

1.各項目の最高点は10点である。
2.物理的生活環境が得点に影響する。
3.会話ができないと最高得点を得られない。
4.介助を受けると各項目の得点は5点になる。
5.車椅子での移動が自立していれば移動の得点は最高点になる。

解答2

解説

Barthel Indexについて

Barthel Indexは、日常生活動作の評価である。評価項目は10項目(①食事、②椅子とベッド間の移乗、③整容、④トイレ動作、⑤入浴、⑥移動、⑦階段昇降、⑧更衣、⑨排便コントロール、⑩排尿コントロール)あり、100点満点で評価される。

1.× 各項目の最高点は、「10点」ではなく15点(椅子とベッド間の移乗・移動)ある。ちなみに、5点が最高点である項目もあり、整容・入浴である。項目によって最高点は異なり、5〜15点である。
2.〇 正しい。物理的生活環境が得点に影響する。物理的とは「空間・時間・重量など、数量に置き換えられる条件に関連するさま」のことであり、Barthel indexでは食事時間や歩行距離、更衣時間などの物理的生活環境が得点に影響する。
3.× 会話ができなくとも最高得点を得られる。また、会話は項目の中に含まれていない。
4.× 介助を受けても、各項目の得点は5点と断定できない。なぜなら、整容・入浴に至っては、最高点が5点であるため。また、反対に、移動に至っては、車椅子の移動が自立していても5点となる。
5.× 車椅子での移動が自立していれば、移動の得点は、「最高点(15点)」ではなく5点になる。15点(自立):介助や監視なしに45m以上歩ける。義肢・装具や杖、歩行器(車つきを除く)を使用してよい。装具使用の場合には立位や坐位でロック操作が可能なこと。装着と取りはずしが可能なこと。10点(部分介助):上記事項について、わずかの介助や監視があれば45m以上歩ける。5点(車椅子使用):歩くことはできないが「自力で車いすの操作ができる。角を曲がる、方向転換、テーブル、ベッド、トイレ等への操作等。45m以上移動できる。患者が歩行可能なときは採点しない。

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30 理学療法士の徒手抵抗によって対象者の動作を誘導する方法の説明で適切なのはどれか。

1.動作の開始時には抵抗を与えない。
2.動作中に与える抵抗は一定の強度に保つ。
3.抵抗を与える手掌のMP関節は伸展位とする。
4.抵抗によって運動速度を調節することができる。
5.接触面を広くすることで運動方向を正確に規定できる。

解答4

解説
1.× 動作の開始時には抵抗を与えないのはなく、動作開始時から抵抗を加える
2.× 動作中に与える抵抗は、「一定の強度」ではなく徐々に強めていく。非検査者が耐えられる最大抵抗を加え、最大筋力を測定する。
3.× 抵抗を与える手掌のMP関節は、「伸展位」ではなく屈曲位とする。手部の全面接地で、虫様筋握りが好ましい。
4.〇 正しい。抵抗によって運動速度を調節することができるは、理学療法士の徒手抵抗によって対象者の動作を誘導する方法の説明で適切である。理学療法士の抵抗の強さによって運動速度は調節できる。
5.× 接触面を広くすることでは、運動方向を正確に規定することはできない。むしろ、拮抗筋に触れてしまい運動方向が定まらないことが多い。したがって、運動方向を正確に規定したい場合は、接触面が狭い方が良い。

 

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