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91 Parkinson病の治療薬はどれか。
1.β遮断薬
2.L-ドーパ
3.インスリン
4.カルシウム拮抗薬
5.ペニシリン系抗菌薬
解答2
解説
1.× β遮断薬とは、主に高血圧や狭心症、不整脈(特に、心房細動)の治療に用いられる。交感神経を抑制し、慢性心不全の進行を防ぐ。
2.〇 正しい。L-ドーパは、Parkinson病の治療薬である。なぜなら、L-ドーパはドパミンの前駆体であるため。したがって、脳内でドパミンに変換されることで、Parkinson病に特徴的なドパミン不足を補える。
3.× インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。したがって、主に糖尿病患者の治療に使用される。
4.× カルシウム拮抗薬とは、血管の平滑筋にあるカルシウムチャネルの機能を拮抗し、血管拡張作用を示す薬剤のことである。適用症例として主に高血圧、狭心症があげられる。
5.× ペニシリン系抗菌薬は、細菌感染症(梅毒)の治療に用いられる。腸内細菌を抑制し、ビタミンK産生を減少させる。
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92 Guillain-Barré症候群の初期症状で特徴的なのはどれか。
1.体重減少
2.激しい関節痛
3.突然の視覚喪失
4.皮膚の色素沈着
5.遠位中心の筋力低下
解答5
解説
Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。
(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)
1.× 体重減少は、Guillain-Barré症候群の初期症状とはいえない。体重減少は、長期の病状や慢性疾患で見られる現象である。
2.× 激しい関節痛は、Guillain-Barré症候群の初期症状とはいえない。関節痛は、インフルエンザや急性灰白髄炎(ポリオ)で見られる現象である。
3.× 突然の視覚喪失は、Guillain-Barré症候群の初期症状とはいえない。視覚喪失は、多発性硬化症や視神経炎などで見られる現象である。
4.× 皮膚の色素沈着は、Guillain-Barré症候群の初期症状とはいえない。色素沈着は、全身性硬化症(強皮症)などで見られる現象である。強皮症とは、全身性の結合組織病変で、手指より始まる皮膚の硬化病変に加え、肺線維症などの諸臓器の病変を伴う。病因は不明であり、中年女性に多い。症状は、仮面様顔貌、色素沈着、ソーセージ様手指、Raynaud現象(レイノー現象)、嚥下障害、間質性肺炎、関節炎、腎クリーゼなどである。
5.〇 正しい。遠位中心の筋力低下は、Guillain-Barré症候群の初期症状である。なぜなら、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患であるため。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。※一般的に「遠位から始まり、その後近位に向かって進展する(上行性の筋力低下)」である。このことから、「選択肢5.遠位中心の筋力低下」だと、「遠位を中心に障害される=遠位のみ障害される」と覚えないようにしよう。
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。
(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)
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93 高齢者にみられる病態のうち低栄養と関連が少ないのはどれか。
1.褥瘡
2.貧血
3.サルコペニア
4.変形性膝関節症
5.大腿骨頸部骨折
解答4
解説
褥瘡とは、局所の持続的な圧迫により組織に虚血が生じて発生する皮膚の潰瘍あるいは皮下組織の損傷のことである。背臥位では、後頭骨や肩甲骨、肘頭、仙骨、踵部などの骨の突出している場所に好発する。側臥位の好発部位は、耳介部、肩外側、骨盤の腸骨部、大転子部、膝外側、足関節外果である。予防法としては、最も負担がかかりやすい骨突出部を除圧し、面で支持することで一点に圧をかけることなく、圧の分散に努める。褥瘡予防マットやクッションなどを活用する。また、清潔を心がけ、体位変換を行う。
1.〇 褥瘡は、高齢者にみられる病態のうち低栄養と密接に関連している。なぜなら、褥瘡は栄養状態の悪化やタンパク質不足により、皮膚や組織の修復能力が低下するため。
2.〇 貧血は、高齢者にみられる病態のうち低栄養と密接に関連している。なぜなら、貧血は低栄養、特に鉄やビタミンの不足が原因であるため。
3.〇 サルコペニアは、高齢者にみられる病態のうち低栄養と密接に関連している。なぜなら、不十分な栄養摂取(特にタンパク質不足)が骨格筋量と骨格筋力の低下に寄与するため。ちなみに、サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量と骨格筋力の低下によって身体的な障害やQOLの低下を招いている状態のことをいう。サルコペニアの診断には、四肢骨格筋量の低下があることに加えて身体機能(歩行速度)の低下または、筋力(握力)の低下、下腿周径、5回椅子立ち上がりテストがある。
4.× 変形性膝関節症は、高齢者にみられる病態のうち低栄養と関連が少ない。なぜなら、変形性膝関節症の原因は、主に加齢に伴い機械的な摩耗(肥満、体重)、関節の使用過多による変性であるため。
5.〇 大腿骨頸部骨折は、高齢者にみられる病態のうち低栄養と密接に関連している。なぜなら、高齢者で栄養状態が悪いと、骨密度が低下(骨粗鬆症)し、転倒時に大腿骨頸部骨折を起こしやすくなるため。
94 成人の熱傷で正しいのはどれか。
1.化学損傷には洗浄は避ける。
2.重症熱傷では蛋白質の異化は低下する。
3.受傷後早期には創傷被覆材は使用しない。
4.Ⅱ度20%の熱傷には初期輸液が行われる。
5.広範囲熱傷の壊死組織に対して早期手術は行わない。
解答4
解説
生体の代謝反応には大きく分けて、エネルギーを消費して単純な物質から複雑な物質を合成する「同化作用(アナボリズム)」と、複雑な物質を分解しエネルギーを取り出す「異化作用(カタボリズム)」がある。
1.× 化学損傷には洗浄は「避ける」のではなく推奨する。なぜなら、付着した有害物質を早急に洗い流さないと、組織損傷が増悪するため。したがって、大量の水で洗浄することが初期対応の基本である。
2.× 重症熱傷では蛋白質の異化は、「低下」ではなく亢進する。なぜなら、大きな侵襲(重症熱傷、敗血症、外傷など)が生じると、体は多量のエネルギーを急速に必要するため。したがって、体内の蛋白質を積極的に分解し、アミノ酸を供給する。この状態を「異化の亢進」という。
3.× 受傷後早期には創傷被覆材は、使用「する」。なぜなら、熱傷受傷後早期は、創部の保護や湿潤環境の維持が重要であるため。特にⅠ度~浅達性Ⅱ度熱傷では湿潤療法を目的に創傷被覆材を使用することで、疼痛軽減や感染予防、治癒促進が期待できる。
4.〇 正しい。Ⅱ度20%の熱傷には初期輸液が行われる。なぜなら、広範囲の熱傷は体液の喪失が大きく、循環血液量の維持や臓器機能保全のため。成人では熱傷面積が20%以上、小児では10%以上になると、創部からの体液喪失や血管透過性亢進による循環不全(ショック)を引き起こしかねない。したがって、早期から積極的に輸液療法が推奨される。
5.× 広範囲熱傷の壊死組織に対して早期手術は「行わない」と断言できない。むしろ、推奨されることが多い。なぜなら、早期切除により感染予防(壊死組織は感染の温床となるため)や全身状態の改善、後遺症の軽減が期待されるため。
Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。
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95 高齢者の歩行の特徴で正しいのはどれか。
1.歩隔の減少
2.歩幅の減少
3.歩行率の増加
4.遊脚期の延長
5.両脚支持期の短縮
解答2
解説
高齢者は若者よりもバランス障害や柔軟性の低下により、歩隔が拡大し、歩行速度が低下する。また股・膝・足関節の動きが小さくなり、二重支持期が延長する。ほかにも歩幅の減少、歩行率の低下、遊脚相/立脚相比は立脚期が延長し遊脚期が短縮する。重心の上下動は減少し骨盤回旋や頭部の上下動も減少する。
1.× 歩隔は、「減少」ではなく拡大する。なぜなら、支持基底面を広く保ち安定性を高めるため。ちなみに、歩隔とは、歩く時の両足間の横の幅のことである。
2.〇 正しい。歩幅の減少は、高齢者の歩行の特徴である。なぜなら、加齢によりバランス能力、股・膝・足関節の動きが小さくなるため。したがって、二重支持期が延長する。ちなみに、歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
3.× 歩行率は、「増加」ではなく減少する。なぜなら、歩行速度が低下することで、歩数も減少するため。ちなみに、歩行率とは、単位時間内の歩数(歩/分)である。歩行率(歩調、ケイデンスとも)とは、単位時間内(1分間)の歩数を表す。歩行率=歩数(歩)÷歩行時間(秒)で示され、一般的に幼児で高く(ヨチヨチ歩きで歩数が多いため)、年齢が高くなるにつれて減少していく。
4.× 遊脚期は、「延長」ではなく短縮する。なぜなら、加齢によりバランス能力が低下するため。遊脚相/立脚相比は立脚期が延長し遊脚期が短縮する。
5.× 両脚支持期は、「短縮」ではなく延長する。ちなみに、両脚支持期(二重支持期)とは、両脚での支持期間で、1歩行周期に2回あり、20~25%(70歩/分)を占めている。
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