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66 脂質の消化と吸収で誤っているのはどれか。
1.Langerhans〈ランゲルハンス〉島からリパーゼが分泌される。
2.リパーゼは脂質を脂肪酸とグリセリンに消化する。
3.胆汁酸は脂肪酸を乳化しミセルを形成する。
4.ミセルは小腸粘膜で吸収される。
5.小腸で吸収された胆汁酸は門脈を介して肝臓へ運ばれる。
解答1
解説
肝臓で合成されるアルカリ性の物質で、胆嚢で濃縮されたうえ、貯蔵される。
胆汁中には消化酵素は存在しない。しかし、胆汁中に含まれる胆汁酸は乳化作用とミセル形成作用を有するため、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たす。
胆汁はビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質からなり、消化酵素は含まれない。胆汁は消化酵素の働きを助ける作用がある。
1.× Langerhans〈ランゲルハンス〉島から「リパーゼ」ではなくホルモン(インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン)が分泌される。アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなどの消化酵素は、腺房の細胞から分泌されて膵管に流れ込む。
2.〇 正しい。リパーゼは脂質を脂肪酸とグリセリンに消化する。リパーゼとは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素である。
3~4.〇 正しい。胆汁酸は脂肪酸を乳化しミセルを形成する/ミセルは小腸粘膜で吸収される。中性脂肪は、十二指腸で、肝臓でつくられた胆汁酸と一緒になり、さらに、リパーゼという酵素によって遊離脂肪酸とモノグリセリドに分解されたあと、吸収されやすい形(ミセル)になって、小腸粘膜から吸収される。ちなみに、水に溶けやすいグリセロールはそのまま小腸上皮細胞から吸収される。
5.〇 正しい。小腸で吸収された胆汁酸は門脈を介して肝臓へ運ばれる。脂肪の消化、吸収という役目を果たした胆汁は、一部が便や尿として排泄されるが、90〜99%は小腸の下部で吸収され、門脈を通って肝臓に戻る。そして、再び胆汁として分泌され、胆嚢に蓄えられることになる。こうして胆汁がリサイクルされることを腸肝循環という。
膵臓は、消化酵素を含む体液(膵液)を膵管から十二指腸に出す外分泌と、血糖などをコントロールするホルモンを血中に出す内分泌の両方の働きをもつ。
膵液とは、膵臓から十二指腸に分泌される消化液である。糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素、核酸の分解酵素を含んでいる。
膵臓のランゲルハンス島からは、①インスリン、②グルカゴン、③ソマトスタチンが分泌される。
①インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖低下、②脂肪合成の作用がある。
②グルカゴンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるα細胞から分泌されるホルモンの一種で、①血糖上昇、②脂肪分解の作用がある。
③ソマトスタチンとは、膵臓のランゲルハンス島にあるγ細胞から分泌されるホルモンの一種で、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、セクレチンの分泌抑制の作用がある。
参考にどうぞ↓
67 近位尿細管における再吸収率が最も高いのはどれか。
1.水
2.グルコース
3.水素イオン
4.クレアチニン
5.ナトリウムイオン
解答2
解説
(図引用: 泌尿器のしくみと働き )
ネフロンは、糸球体、近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、集合管に分けられる。
①近位尿細管:低分子物質の再吸収(アミノ酸は糸球体で濾過され、100%が近位尿細管で再吸収される)
②遠位尿細管:Na+の再吸収、K+、H+の分泌。
③集合管:水の再吸収など
1.5.× 水/ナトリウムイオンは、80%程度再吸収される。
2.〇 正しい。グルコースが、近位尿細管における再吸収率が最も高い。近位尿細管では、低分子物質が再吸収される。グルコース・アミノ酸は糸球体で濾過され、ほぼ99%が近位尿細管で再吸収される。
3.× 水素イオンは、尿細管からほとんど再吸収されない。なぜなら、血液から水素イオンが尿細管に移動するプロセスをたどるため。このプロセスは、分泌という。水素イオンは酸性であるため、尿pH(基準値 6.0前後)をつかさどる。尿pHが低く、酸性に傾くと糖尿病を疑い、アルカリ性の場合は尿路感染症を疑う。
4.× クレアチニンは、尿細管からほとんど再吸収されない。なぜなら、老廃物の一つ(タンパク質をエネルギーとして使ったあとの代謝最終産物)であるため。クレアチニンとは、筋肉を動かすためのエネルギーを使った後に出てくる老廃物の一つで、体にとって不要なもので、尿として体の外に出す必要がある。したがって、尿の成分の一つである。腎不全の指標となる。本来は、尿素窒素と同様に腎臓の糸球体で濾過され尿中に排泄されるが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、血液中にクレアチニンが溜まる。
◎近位尿細管で再吸収されるもの
グルコース・アミノ酸・ビタミン・水・ナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオン・リン酸イオン・重炭酸イオン
◎ヘンレループで再吸収されるもの
水・ナトリウムイオン・クロールイオン
◎遠位尿細管で再吸収されるもの
水(抗利尿ホルモンにより促進される)・ナトリウムイオン(アルドステロンにより促進される)
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【共通のみ】腎・泌尿器(解剖)についての問題「まとめ・解説」
68 体温の調節機構で正しいのはどれか。
1.体温の調節中枢は間脳にある。
2.体温は午前より午後の方が低い。
3.精神性発汗によって体温は上昇する。
4.体温が上昇すると骨格筋は収縮する。
5.甲状腺ホルモンは熱生産を低下させる。
解答1
解説
セットポイントとは、設定値と直訳でき、体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあり、こうして設定された体温のことを指す。体温のセットポイント(設定値)が突然高く設定された場合(つまり、通常の体温が低く寒い)と認識するため、寒冷にさらされた場合と同様に体温を上昇させる反応が起こる。
1.〇 正しい。体温の調節中枢は間脳にある。間脳の視床下部が体温の調節機構を担う。視床下部とは、内分泌や自律機能の調節を行う総合中枢である。 ヒトの場合は脳重量のわずか0.3%、4g程度の小さな組織であるが、多くの神経核から構成されており、体温調節やストレス応答、摂食行動や睡眠覚醒など多様な生理機能を協調して管理している。
2.× 逆である。体温は「午後」より「午前」の方が低い。体温は、1日のうちで起床時がもっとも低く、夕方にかけて上昇し、夜にかけて徐々に下降する。食事や活動することによるためといわれている。
3.× 精神性発汗によって「体温上昇」ではなく変化ない(関わっていない)。なぜなら、精神性発汗は、手のひらや足の裏を中心に起こり、滑り止めの働きを持つため。体温調整の意味合いはない。ちなみに、精神性発汗とは、精神的緊張感や情動刺激に自律神経が反応して起こる発汗(いわゆる冷や汗)である。
4.× 体温が「上昇」ではなく低下すると、骨格筋は収縮する。この現象をふるえ熱産生という。小刻みな収縮:シバリングによって生体内で熱が産生される現象である。寒さによる「ふるえ」は骨格筋の不随意運動による筋収縮で発生するエネルギーが熱となるため、熱産生が増加する。
5.× 甲状腺ホルモンは熱生産を「低下」ではなく上昇させる。なぜなら、代謝亢進作用があるため。ちなみに、甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。
①温熱性発汗とは、体温調節に関わる発汗のこと。
②精神性発汗とは、精神的な緊張、痛み、窒息など、体温調節とは関係のない発汗のこと。
③味覚性発汗とは、香辛料が効いた辛い物を食べたときに鼻や額などにかく発汗のこと。
69 骨格筋の筋張力で正しいのはどれか。
1.全張力と静止張力の和が活動張力となる。
2.活動張力は筋長が長くなるほど大きくなる。
3.求心性運動では速度が速いほど最大筋張力が大きい。
4.筋張力が一定の場合、短縮速度は負荷が小さいほど速い。
5.求心性運動は遠心性運動より大きな筋張力を発揮することができる。
解答4
解説
1.× 「活動張力」と静止張力の和が「全張力」となる。活動張力とは、筋が収縮するときに得られる張力である。静止張力とは、筋の静止状態でその長さに従って大きくなる張力である。
2.× 活動張力は、筋長が長くなるほど大きくなるとはいえない。なぜなら、筋が生体内での長さ付近のとき活動張力は最大となり、それより短縮・伸張しすぎると低下する特性を持つため。
3.× 求心性運動では速度が「速い」ではなく遅いほど、最大筋張力が大きい。速度と最大筋張力は反比例する。求心性収縮とは、筋収縮時に筋の起始部と停止部が近づく関節運動であるため。つまり、筋力が抵抗より勝っている状態で起こる。
4.〇 正しい。筋張力が一定の場合、短縮速度は負荷が小さいほど速い。同じ力であれば、負荷が小さいほど速く動かせる。
5.× 逆である。「遠心性運動」は「求心性運動」より大きな筋張力を発揮することができる。遠心性運動>等尺性運動>求心性運動の順に大きな筋張力を発揮できる。遠心性収縮とは、筋が収縮しているにも関わらず筋の全長が伸びる状態である。加えられた負荷が筋張力よりも大きければ、筋は収縮しても伸びる。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。
静止性収縮(等尺性収縮)とは、筋が収縮しても筋の全長に変化のない状態である。拮抗筋間で同一の張力を発生したとき、負荷に抗して静止姿勢を保つときなどに起こる。
70 肩甲上腕関節の内旋作用をもつのはどれか。
1.棘下筋
2.広背筋
3.小円筋
4.三角筋後部線維
5.上腕二頭筋長頭
解答2
解説
1.× 棘下筋の【起始】肩甲骨の棘下窩、棘下筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の中部、【作用】肩関節外旋、上部は外転、下部は内転である。
2.〇 正しい。広背筋は、肩甲上腕関節の内旋作用をもつ。広背筋の【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、伸展、多少内旋である。
3.× 小円筋の【起始】肩甲骨後面の外側部上半、【停止】上腕骨大結節の下部、大結節稜の上端、【作用】肩関節外旋である。
4.× 三角筋の【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面、【作用】肩関節外転、前部は屈曲、後部は伸展、【支配神経】腋窩神経:(C4),C5,C6である。
5.× 上腕二頭筋の【起始】長頭:肩甲骨の関節上結節、短頭:肩甲骨の烏口突起、【停止】橈骨粗面、腱の一部は薄い上腕二頭筋腱膜となって前腕筋膜の上内側に放散、【作用】肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)である。
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