第57回(R4) 作業療法士国家試験 解説【午後問題21~25】

 

21 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)に規定されるサービス利用方法について正しいのはどれか。

1.障害支援区分は6区分ある。
2.地域包括支援センターに申請する。
3.介護給付の申請に医師の意見書は必要ない。
4.家族はサービス利用計画書を作成できない。
5.障害区分の認定有無に関係なく訓練等給付に申請できる。

解答

解説

障害者総合支援法のポイント

障害者総合支援法は、2013年に障害者自立支援法から障害者総合支援法へと改正され、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策についてまとめられた法律である。これにより障害者の範囲が拡大され、身体障害者、精神障害者、知的障害者、障害児の全てが対象とされている。そして、対象となっている者は、認定調査というものを受け「障害支援区分」という障害の重症度分類によって7区分(非該当、区分1~6)に分けられる。それにより受けられるサービス内容が変わってくる。

①障害者も難病患者も自立できる社会をめざす。
②応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則。
③あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
④市区町村が事業の母体である。

1.× 障害支援区分は、6区分ではなく「7区分(非該当含む)」ある。障害支援区分とは、障害者総合支援法におけるサービス利用申請に対する支給を障害や心身の状態などにより必要な支援を(非該当)~1~6段階に分けた区分である。 1が支援の度合いが低く、6がもっとも高くなっている。
2.× 地域包括支援センターではなく、市町村(相談支援事業者)に申請する。ちなみに、地域包括支援センターは介護保険の申請場所である。地域包括支援センターとは、介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関である。
3.× 介護給付の申請に医師の意見書は必要である。ちなみに、訓練等給付を希望する場合、医師の意見書は不要である。
4.× 家族もサービス利用計画書を作成できる。ただし、手間と負担がのしかかるのでマネジメントしてくれる相談支援専門員が行うことが多い。
5.〇 正しい。障害区分の認定有無に関係なく訓練等給付に申請できる。訓練等給付は、機能訓練や生活訓練および就労移行支援などを提供するものである。訓練等給付及び地域生活支援事業については、障害支援区分認定は不要であるが、介護給付を受けるためには、障害支援区分1以上の認定が必要である。

 

 

 

 

 

22 図に示す神経支配領域と末神経の組合せで正しいのはどれか。

1.①:腋窩神経
2.②:肋間上腕皮神経
3.③:尺骨神経
4.④:橈骨神経
5.⑤:正中神経

解答

解説

(Redrawn from Anatomy,ed. 5, edited by R O’Rahilly. Philadelphia, WB Saunders Company, 1986; used with permission.)

1.〇 正しい。①は、腋窩神経(上外側上腕皮神経)である。
2.× ②は、肋間上腕皮神経ではなく「後上腕皮神経(橈骨神経)と下外側上腕皮神経」である。
3.× ③は、尺骨神経ではなく「内側前腕皮神経」である。
4.× ④は、橈骨神経ではなく「外側前腕皮神経(筋皮神経)」である。
5.× ⑤は、正中神経ではなく「橈骨神経」である。

 

 

 

 

23 痛みの種類について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.侵害受容性疼痛は器質的疾患に多い。
2.心因性疼痛は多くの要因が複雑に関与する。
3.神経障害性疼痛は非ステロイド性抗炎症薬が効果的である。
4.侵害受容性疼痛は痛み感覚の神経経路が障害され支配領域に痛みを感じる。
5.神経障害性疼痛は末梢の受容器が熱や機械的刺激で活性化し痛みを感じる。

解答1・2

解説

痛みの種類

①侵害受容性疼痛:器質的疾患に多い。怪我などの痛みである。末梢の受容器が熱や機械的刺激で活性化し痛みを感じる。
②心因性疼痛(中枢神経障害性疼痛):脳自体で感じている痛みである。仕事や日常生活の中において、慢性的もしくは強いストレスを蓄積することで身体に痛みを生じる病態である。不安やイライラなどの心理状態が、無意識下でこれらと向き合うことを避けるために身体の特定部位に疼痛を引き起こしている。
③(末梢)神経障害性疼痛:神経自体が痛んで出てくる痛みである。つまり、感覚神経が障害されて生じる痛みである。 神経が過敏になり、痛みの信号が出過ぎてしまう状態である。

1.〇 正しい。侵害受容性疼痛は器質的疾患に多い。器質的疾患は、感染や炎症、あるいは血管障害、変性疾患、などで細胞、あるいは組織が破壊、あるいは変化を受けた結果、症状として現れる疾患のことをさす。
2.× 心因性疼痛は、多くの要因が複雑に関与しているわけではない。心因性疼痛(中枢神経障害性疼痛)とは、脳自体で感じている痛みである。不安やイライラなどの心理状態が、無意識下でこれらと向き合うことを避けるために身体の特定部位に疼痛を引き起こしている。ちなみに、多くの要因が複雑に関与するのは、(末梢)神経障害性疼痛である。(末梢)神経障害性疼痛は、CRPS〈複合性局所疼痛症候群〉のⅡ型である。Ⅱ型は神経損傷後に発生して起こる慢性の神経障害性疼痛である。
3.× (末梢)神経障害性疼痛は、非ステロイド性抗炎症薬は有効ではない。非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。したがって、非ステロイド性抗炎症薬が効果的であるのは、侵害受容性疼痛である。
4.× 痛み感覚の神経経路が障害され支配領域に痛みを感じるのは、侵害受容性疼痛ではなく「(末梢)神経障害性疼痛」である。神経障害性疼痛とは、感覚神経が障害されて生じる痛みである。神経が過敏になり、痛みの信号が出過ぎてしまう状態である。
5.× 末梢の受容器が熱や機械的刺激で活性化し痛みを感じるのは、神経障害性疼痛ではなく「侵害受容性疼痛」である。

 

 

 

 

 

24 Barthel Indexの評価項目で車椅子とベッド間の移乗に含まれないのはどれか。

1.ベッドに移動する。
2.ブレーキをかける。
3.フットサポートを上げる。
4.靴を脱ぐ。
5.臥位になる。

解答

解説

車椅子とベッド間の移乗の評価項目

①車いすを安全にベッドに近づける。
②ブレーキをかける。
③フットレストを持ち上げる。
④ベッドへ安全に移る。
⑤臥位になる。
⑥ベッドの縁に腰掛ける。
⑦車椅子の位置を変える。
(※①~⑦以上の動作の逆。)

1~3/5.〇 ①ベッドに移動する、②ブレーキをかける、③フットサポートを上げる、⑤臥位になるは、Barthel Indexの評価項目で車椅子とベッド間の移乗に含まれる
4.× 靴を脱ぐことは、Barthel Indexの評価項目で車椅子とベッド間の移乗に含まれない。

 

参考にどうぞ↓

理学療法士国家試験 BIについての問題7選「まとめ・解説」

 

 

 

 

25 観察に基づく評価法はどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.AIMS
2.AMPS
3.COPM
4.MMSE
5.OSAⅡ(Occupational Self AssessmentⅡ)

解答1・2(複数の選択肢を正解として採点する)
理由:複数の正解があるため

解説
1.〇 正しい。AIMSの評価は、①(Arthritis Impact Measurement Scales:関節炎影響測定尺度)と②(Alberta Infant Motor Scale:運動発達検査法)がある。①Arthritis Impact Measurement Scales:関節炎影響測定尺度は、関節リウマチ患者自身による運動機能評価である。ADL関連6指標と社会活動、痛み、仕事など6指標の計12指標をアンケートでの自己記入により解答する。QOLの評価法として国際的に用いられている。②Alberta Infant Motor Scale:運動発達検査法は、観察による評価法である。生後0~18ヶ月までを対象年齢として、粗大運動発達を評価する。検査時間は10~20分で実施可能である。
2.〇 正しい。AMPS(Assessment of Motor and Process Skills:運動技能とプロセス技能の評価)は、観察に基づく評価法である。ADLとIADLに関わる16の運動技能と20の遂行技能を観察し、たとえば地域で自立生活を送るのが可能かどうかを評価する。
3.× COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)は、患者が現時点で改善したいと考える活動と、それらの重要度(出来栄え)、満足度をそれぞれ10点満点で、患者が主観的に評価する。
4.× MMSE(Mini Mental State Examination)は、認知障害の簡便な評価方法である。各項目を質問形式にこたえていく。見当識、記銘力、注意と計算、 想起、言語、組み立ての各項目がある。30点満点のうち、26点以下で軽度認知隊害の疑い、23点以下では認知障害の可能性が高いことを示す。
5.× OSAⅡ(Occupational Self AssessmentⅡ) (Occupational Self Assessment:作業に関する自己評価)は、人間作業モデルの作業に関する自己評価を行うための方法である。質問紙により、患者が現在の自分自身の作業機能状態を評価し、改善したい項目の優先度を記す。これに基づいて、患者が作業療法士と協働して作業機能を高めていくものである。

 

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