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1 正常な小児の背臥位からの立ち上がりプロセスを図に示す。
このプロセスを辿る月齢はどれか。
1.8か月
2.13か月
3.24か月
4.30か月
5.60か月
解答5
解説
理学療法学 第38巻7号 研究論文『発達に伴う健常児の背臥位からの立ち上がり動作の変遷』より
・上肢は、4歳0ヶ月には「片側で両手押し」を示し、5歳0ヶ月では「片手または左右非対称な両手押し」に変化した。
・体幹は、5歳時には11名中7名(63.6%)が「わずかな回旋:頭部・体幹はわずかな回線を伴うかもしくは伴わずに前方へ屈曲する。」が可能となっていた。
・下肢は、4〜6歳0ヶ月時までにみられる動作パターンはばらつきが多いが、「左右対照的、支持基底面が狭い:両脚は踵を殿部に接近させながら屈曲し、基底面の幅が狭いスクワット姿勢になる。スクワット姿勢から立ち上がる間、もしくは対照的な立ち上がりに続いて、バランスをとるための足を踏み出す動作が見られる。」レベルである。
上記の研究論文を参考にすると、設問の図は4〜5歳レベルの運動に該当する事が考えられる。したがって、選択肢5.60か月が正しい。
1.× 8か月では、つかまり立ちが可能となる。
2.× 13か月では、背臥位から寝返りをして腹臥位位となり、四つ這い、高這いから立位となる。
3.× 24か月では、つかまるものがなくとも、片足立ち位を経て立位となる。
4.× 30か月(24か月)以降では、背臥位から完全な腹臥位にはならずに、部分的な体幹の回旋で起き上がりが可能となる。
月齢13か月:自分の手で支える台があると、片足立ち位を経て立位となる。
2歳:支える台がなくとも、片足立ち位を経て立位となる。その後、背臥位から完全な腹臥位にはならずに、部分的な体幹の回旋で起き上がりが可能となる。
5歳以降:背臥位から蹲踞の姿勢を経て立位となる。
(一部改変・引用:基礎運動学(中村隆一著)第6版 9運動発達 4胎児および小児の運動発達 P438より)
2 72歳の女性。心原性脳梗塞。入院時、血圧145/78mmHg、心拍数102/分、GCS:E4V5M6、Brunnstrom法ステージ左上肢II、左下肢II、左上下肢筋緊張低下。入院時のMRIを下図に示す。
翌日に理学療法を行う場合、離床練習を中止すべき所見はどれか。
1.心拍数105/分
2.GCS:E2V2M5
3.血圧160/72mmHg
4.左上下肢筋緊張軽度亢進
5.Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅲ、左下肢Ⅲ
解答2
解説
1.× アンダーソン・土肥の改定基準では、安静時心拍数が120/分以上であれば運動は行わない方が良いとされている。本症例の心拍数は102/分→105/分であるため離床中止基準には当てはまらない。
2.〇 正しい。前日のGCSはE4V5M6であったが、当日にGCSがE2V2M5と全ての項目でレベルダウンしていることから、意識障害が悪化している事が考えられる。したがって、離床を中止し、直ちに主治医に報告して指示を仰ぐ必要がある。
3.× アンダーソン・土肥の改定基準では、収縮期血圧が200mmHg以上・拡張期血圧が120mmHg以上であれば運動を行わない方が良いとされている。本症例の血圧は145/78mmHg→160/72mmHgであるため離床中止基準には当てはまらない。
4.× 左上下肢筋緊張軽度亢進は、脳梗塞の症例の回復段階であるため利用可能である。反対に、弛緩した場合は、離床を中止し、直ちに主治医に報告して指示を仰ぐ必要がある。
5.× Brunnstrom法ステージ左上肢II、左下肢II→左上肢Ⅲ、左下肢Ⅲと、前日よりも向上している。反対に、低下した場合は、離床を中止し、直ちに主治医に報告して指示を仰ぐ必要がある。
グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)とは、意識障害の指標となる。
GCSは外傷性脳障害による意識障害を評価することを目的にしている。
開眼(eye opening,E)
4. 自発的に開眼
3. 呼びかけにより開眼
2. 痛み刺激により開眼
1. 痛み刺激により開眼なし
最良言語反応(best verbal response、V)
5. 見当識あり
4. 混乱した会話(見当識障害あり)
3. 不適当な発語(単語)
2. 理解不明の音声(アーアーウーウー)
1. 発語みられず T. Tracheotomy(気管切開) A. Aphasia(失語症)
最良運動反応(best motor response、M)
6. 命令に応じて四肢を動かす
5. 痛み刺激に対し、手で払いのける
4. 痛み刺激に対し、四肢を引っ込める(逃避)
3. 痛み刺激に対して異常な屈曲運動(除皮質硬直)
2. 痛み刺激に対して異常な伸展運動(除脳硬直)
1. 運動みられず
3 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)の基本軸と移動軸で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.肩水平屈曲
2.胸腰部側屈
3.股外旋
4.手伸展(背屈)
5.母指橈側外転
解答2・3
解説
1.× 肩水平屈曲の【基本軸】肩峰を通る矢状面への垂直線、【移動軸】上腕骨である。ちなみに、【測定部位及び注意点】肩関節を90°外転位とするである。設問の基本軸が、肩峰を通る前額面への垂直線であるため不適切である。
2.〇 正しい。胸腰部側屈の【基本軸】ヤコビー線の中点に立てた垂直線、【移動軸】第1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線である。ちなみに、【測定部位及び注意点】体幹の背面で行う、腰かけ座位または立位で行うである。
3.〇 正しい。股外旋の【基本軸】膝蓋骨より下ろした垂直線、【移動軸】下腿中央線(膝蓋骨中心より足関節内外果を結ぶ線)である。ちなみに、【測定部位及び注意点】背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う、骨盤の代償を少なくするである。
4.× 手伸展(背屈)の【基本軸】橈骨、【移動軸】第2中手骨である。ちなみに、【測定部位及び注意点】前腕は中間位とするである。設問の基本軸が、尺骨であるため不適切である。
5.× 母指橈側外転の【基本軸】示指(橈骨の延長上)、【移動軸】母指である。ちなみに、【測定部位及び注意点】運動は手掌面とする以下の手指の運動は、原則として手指の背側に角度計を当てるである。設問の基本軸が、環指であるため不適切である。
参考にどうぞ↓
【暗記確認用】ROMのランダム問題
類似問題です↓
【PT専門のみ】ROMについての問題「まとめ・解説」
4 理学療法士が下肢を固定し、体幹の前屈を行わせた状態を図1に示す。
次に図2のように固定位置を変更して体幹前屈を行わせたところ、体幹前傾角度に違いがみられた。
この違いが生じた原因として、最も筋力低下が疑われる筋はどれか。
1.腹直筋
2.腸腰筋
3.大腿四頭筋
4.ハムストリングス
5.前脛骨筋
解答3
解説
図1と図2の違いは、膝関節を固定した場合、体幹前傾角度の増加がみられたことである。つまり、遠位部の固定の有無により異なっている。選択肢の中で体幹屈曲に関わる筋は、選択肢1~3腹直筋・腸腰筋・大腿四頭筋の3つである。その中でも膝関節に関与する筋は、二関節筋である大腿四頭筋となる。大腿四頭筋は直接体幹前屈の作用を持たないが、(大腿直筋)の起始が、下前腸骨棘、臼蓋上縁であるため収縮すると骨盤を前傾させる働きがある。したがって、選択肢3.大腿四頭筋が最も筋力低下が疑われる筋である。
1~2.× 腹直筋/腸腰筋の筋力低下の場合、図1・2ともに体幹前傾角度が低下する。
4.× ハムストリングスは、膝関節屈曲に作用する。
5.× 前脛骨筋は、足関節俳句に作用する。固定位置は足関節を跨いでいない。
5 56歳の男性。頭痛と複視を自覚し脳神経内科を受診した。頭部MRIで右脳幹部に腫瘍性病変を指摘された。対座法で観察した眼球運動を図に示す。
障害されている脳神経はどれか。
1.右動眼神経のみ
2.右滑車神経のみ
3.右外転神経のみ
4.右動眼神経と右滑車神経
5.右動眼神経と右外転神経
解答3
解説
本症例の眼球運動で異常が見られているのは、右方視運動である。右目だけ右方視運動できていないことから、右側の外直筋が機能していない事が考えられる。外直筋の支配神経は、右の外転神経であり障害を疑われる。したがって、選択肢3.右外転神経のみが障害されている脳神経として正しい。ちなみに、動眼神経麻痺では、眼瞼下垂、眼球外転、やや下方位をとり(外転と内転位における下転のみが保たれる)、また散瞳、退行・調節・輻輳反射障害が生じる。
1.× 右動眼神経は、右上直筋、右下直筋、右下斜筋、右内直筋を支配する。
2.× 右滑車神経は、右上斜筋を支配する。
4.× 右動眼神経と右滑車神経は、右上直筋、右下直筋、右下斜筋、右内直筋、右上斜筋を支配する。
5.× 右動眼神経と右外転神経は、右上直筋、右下直筋、右下斜筋、右内直筋、右外直筋を支配する。
眼球運動に関する脳神経は同側の筋を支配している。
(Ⅲ)動眼神経:上直筋、下直筋、下斜筋、内直筋
(Ⅳ)滑車神経:上斜筋
(Ⅵ)外転神経:外直筋
【眼球運動:筋】
外側:外直筋
内側:内直筋
外上方:外直筋+上直筋
内上方:内直筋+下斜筋
外下方:外直筋+下直筋
内下方:内直筋+上斜筋
質問失礼します。
眼球運動と筋肉の組み合わせで、
上斜筋は外下方、下斜筋は外上方ではなく、
上斜筋は内下方、下斜筋は内上方ですか??
コメントありがとうございます。
解説の通りで間違いないかと思います。
修正が必要でしたらお気軽にお申し付けください。
今後ともよろしくお願いいたします。