第56回(R3) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題81~85】

 

81 オペラント条件付けが用いられる認知行動療法の技法はどれか。

1.系統的脱感作法
2.漸進的筋弛緩法
3.暴露反応妨害法
4.フラッディング法
5.トークンエコノミー法

解答

解説

オペラント条件付けとは?

オペラント条件付けとは、好ましい行動が行われたときに報酬を与えることによって、好ましい行動をより強化していく技法のことをいう。「道具的条件付け」ともいう。これと対になるものとして、レスポンド条件付け(古典的条件付け)がある。これはいわゆる「パブロフの犬」のことである。食べ物とベルを同時に刺激として与え続けると、食べ物という誘発刺激がなくてもベルの音を聞いただけで唾液が分泌されるような条件付けのことである。

1.× 系統的脱感作法は、古典的条件付けに基づく認知行動療法である。ウォルピにより創始された。不安を感じる刺激を与えて徐々に慣れさせる方法をとる。道具を使用しない。適応疾患は、神経症性障害や摂食障害である。
2.× 漸進的筋弛緩法とは、筋肉の収縮と弛緩を繰り返すことで身体をリラックスさせるリラクセーション法の一つである。道具を使用しない
3.× 曝露反応妨害法は、強迫性障害や恐怖症の治療法の一つである。ある強迫観念に曝された時に、それに対する強迫行為を我慢することで徐々に不安を受け入れていくことが可能となる。不安の弱い曝露反応から順番に繰り返していくことで効果を発揮していく。道具を使用しない
4.× フラッディング法とは、あえて患者に強い恐怖や不安を覚えさせることで治療していく方法であり、曝露反応妨害法に似ている。両者の違いは、曝露反応妨害法が徐々に刺激を強くしていくのに対し、フラッディング法ではいきなり最強の刺激を加える点にある。道具を使用しない
5.〇 正しい。トークンエコノミー法は、オペラント条件付けに関連する物で、良いことをすれば報酬としてトークン(代用通貨)を与え、良い体験として記憶させるものである。

 

 

 

 

 

 

82 左小脳半球梗塞で生じやすい症状はどれか。

1.右半身感覚障害
2.右上下肢失調症
3.左片麻痺
4.聴覚障害
5.構音障害

解答

解説

小脳の働き

・小脳半球(新小脳)は、四肢(特に上肢)の協調運動を司っている(失調性歩行、企図振戦、構音障害など)。失調性歩行は、ワイドベースや酩酊歩行、よろめき歩行ともいう。

・小脳虫部は、体幹と下肢の協調運動、片葉小節葉を含む古小脳は身体のバランス維持と頭頸部の協調運動を司る(主に体幹失調)。

1.× 左右に関係なく小脳梗塞では、感覚障害は生じない。ちなみに、感覚障害は、主に視床・視床脊髄路・大脳感覚野の障害で見られる症状である。
2.× 上下肢失調症は、右上下肢ではなく、左上下肢に起こる。小脳半球の障害では、病巣と同側の上下肢に運動失調を呈する。
3.× 左右に関係なく小脳梗塞では、運動麻痺は生じない。ちなみに、運動麻痺は、錐体路(大脳皮質運動野-放線冠-内包後脚-大脳脚-延髄-脊髄交叉-脊髄前角細胞)で生じる。
4.× 聴覚障害は生じない。なぜなら、聴覚を司る内耳神経核は橋〜延髄にかけて存在するため。ちなみに、聴覚障害は、①内耳孔付近の障害で聴覚を司る内耳神経が障害された場合(聴神経鞘腫など)は難聴となり、②一次聴覚野、聴覚野周辺の障害では、聴覚聾(ちょうかくろう:極めて重度の難聴)、環境音失認(動物の鳴き声が認識できないなど)が起こる。
5.〇 正しい。小脳障害では構音障害が生じる。流暢に話すことができず発語が不明瞭であったり、爆発性言語、爆発性言語が聞かれる。

 

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83 ASIAの評価法における脊髄の髄節とその感覚支配領域検査ポイントの組合せで正しいのはどれか。

1.C5:鎖骨上窩
2.T4:乳頭
3.T12:臍
4.L3:鼠径靭帯
5.S4:膝窩

解答

解説

1.× C5は、鎖骨上窩ではなく肘窩外側(腕橈骨筋起始:上腕骨外側顆)である。ちなみに、鎖骨上窩はC3である。
2.〇 正しい。T4は、乳頭(第4肋間)である。
3.× T12は、臍ではなく鼠径靭帯の中点である。ちなみに、臍はT10である。
4.× L3は、鼠径靭帯ではなく大腿骨内側上窩である。ちなみに、鼠径靭帯はT12である。
5.× S4は、膝窩ではなく肛門周囲(肛門皮膚粘膜移行部)である。ちなみに、膝窩はS2である。

 

 

 

 

 

 

84 筋量減少が診断基準に含まれるのはどれか。

1.フレイル
2.サルコペニア
3.ポストポリオ症候群
4.メタボリックシンドローム
5.ロコモティブシンドローム

解答

解説
1.× フレイルとは、「虚弱」「脆弱」という意味であり、加齢するにつれて体力や活力が弱まっている状態のことを指す。診断基準に含まれるのは【①体重減少、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。
2.〇 正しい。サルコペニアは、筋量減少が診断基準に含まれる。サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量と骨格筋力の低下によって身体的な障害やQOLの低下を招くものである。サルコペニアの診断には、四肢骨格筋量の低下があることに加えて身体機能(歩行速度)の低下または、筋力(握力)の低下、下腿周径、5回椅子立ち上がりテストである。
3.× ポストポリオ症候群は、ポリオの後遺症として60歳前後で筋力低下や手足のしびれ、疼痛などの症状が現れる障害である。診断基準はポリオの確実な既往があること、機能的・神経学的にほぼ完全に回復し、15年以上も安定した期間を過ごせていたにも関わらずその後に疲労や関節痛、筋力低下などの症状が発現した場合である。Halstead(ハルステッド)の診断基準を使用されることもある。
4.× メタボリックシンドロームは肥満、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が蓄積された状態にあることをいう。特に内臓脂肪型の肥満が問題とされることが多い。診断基準には【①ウエスト周計、②中性脂肪とコレステロール値、③血圧、④空腹時血糖値】が含まれる。
5.× ロコモティブシンドローム(運動器疾患)は、運動器自体の障害や加齢に伴う身体機能の低下が原因で移動能力の低下をきたした状態を表す。診断には実際の日常生活動作(片足立ちで靴下を履く、階段を登る、時間内に横断歩道を渡り切るなど)が遂行可能かが用いられる。

Halstead診断基準

1.麻痺性ポリオの確実な既往
2.部分的または完全な神経学的・機能的回復
3.少なくとも15年間の神経学的・機能的安定期間
4.安定期間を経過した後に,以下の健康問題が2つ以上発生
・普通でない疲労
・関節痛/筋肉痛
・麻痺側または非麻痺側の新たな筋力低下
・機能低下
・寒冷に対する耐性の低下
・新たな筋萎縮
5.以上の健康問題を説明する他の医学的診断がない

 

 

 

 

 

 

85 中脳が中枢となるのはどれか。

1.Moro反射
2.Galant反射
3.Landau反応
4.陽性支持反射
5.非対称性緊張性頚反射

解答

解説

原始反射とは?

原始反射は知覚や姿勢に入力された刺激が大脳の指令を受けずに脊髄や脳幹レベルで処理されることで、無意識下で筋肉が動く現象である。随意運動が発達すると徐々に原始反射は消失する。これは、新生児期の反射中枢は脊髄レベルであり、月齢とともに、脳幹部、中脳、大脳皮質と反射中枢は高次に達するため。

1.× Moro反射(モロー反射)の中枢は、脳幹である。Moro反射(モロー反射)は、背臥位の子どもの後頭部に手をやって15 cmほど頭を持ち上げ、頭を落下させると、両上肢が伸展、外転し、続いて内転が起こる。
2.× Galant反射(ガラント反射)の中枢は、脊髄である。Galant反射(ガラント反射)は、脊柱の外側に沿って上から下へこすると刺激側の背筋が収縮して側屈する。
3.〇 正しい。Landau反応(ランドウ反応)の中枢は、中脳である。Landau反応(ランドウ反応)は、乳児の腹部を検者の手掌で支えて水平にすると、頭を上げ体幹をまっすぐにし,さらに下肢を伸展する。3つの頭部の立ち直り反応すべての効果が合わさった反応。第1相:頸部、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第2相:頸部水平、体幹軽度屈曲、四肢軽度屈曲。第3相:頸部伸展挙上、体幹伸展、四肢伸展傾向。
4.× 陽性支持反射の中枢は、脊髄である。陽性支持反射は、新生児の腋窩を支えて抱き上げて足底を床につけると下肢、体幹が伸展し、起立する反応。これに対し新生児を同姿勢で空中に抱き上げると下肢を逆に屈曲する反応を陰性支持反射という。
5.× 非対称性緊張性頚反射の中枢は、脳幹である。非対称性緊張性頚反射は、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。

 

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