第56回(R3) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題86~90】

 

86 一次性の変形性関節症にみられるのはどれか。2つ選べ。

1.ボタン穴変形
2.Charcot関節
3.Bouchard結節
4.Heberden結節
5.スワンネック変形

解答3・4

解説

一次性の変形性関節症とは?

 一次性の変形性関節症は、「原因疾患のない特発性」でおこる変形性関節症のことである。ただ過用や関節軟骨のすり減りが要因となり生じることがある。通常は少数の関節で症状が始まることが多いが、複数の関節が侵される場合には全身性の変形性関節症に分類される。全身性関節症で最も侵されることが多いのは、DIP・PIP関節(Heberden結節およびBouchard結節)、母指手根中手関節、頸椎および腰椎の椎間関節、第一中足趾節関節、股関節、膝関節である。

1.× ボタン穴変形は、関節リウマチが原因で起こることが多い。MP関節過伸展、PIP関節屈曲、DIP過伸展、中央索の伸長・断裂が起こる。つまり二次性の変形性関節症である。
2.× Charcot(シャルコー)関節は、神経病性関節症とも呼ばれ、急速破壊型の関節症である。重度の神経障害(糖尿病などの基礎疾患を背景とした二次性の変形性関節症である。痛覚・深部感覚などの体性感覚の障害により、関節の過負荷を自覚しにくくなった結果、関節を酷使して、関節破壊と高度な変形を生じる。
3.〇 正しい。Bouchard(ブシャール)結節は、一次性の変形性関節症である。指の第二関節(PIP関節)が変形する病気である。Heberden結節に合併する場合もある。
4.〇 正しい。Heberden(ヘバーデン)結節は、一次性の変形性関節症である。指の第一関節(DIP関節)が変形する病気である。中年以降の女性に好発する。
5.× スワンネック変形は、関節リウマチが原因で起こることが多い。MP関節屈曲、PIP関節過伸展、DIP関節屈曲、手内在筋の拘縮・過緊張が起こる二次性の変形性関節症である。

神経病性関節症(Charcot関節)とは?

神経病性関節症(Charcot 関節)は、痛覚、深部感覚、位置覚が侵される神経疾患(脊髄癆、糖尿病、脊髄空洞症など)に合併して発症する。繰り返される外力から起こり、炎症性の関節の腫脹と、高度の関節変形を認める。関節変形は関節可動域制限より過伸展や内外反、脱臼などを呈する。ほとんど痛みがないため、無理な外力がかかり、関節の破壊を来す。反応性の炎症により滑膜が増殖する。炎症に伴い、関節液の貯留がみられる。軟骨は変性・壊死に陥っており、骨や関節の破壊が起こる。

 

 

 

 

 

 

87 炎症と原因の組合せで誤っているのはどれか。

1.外傷:物理的原因
2.日光:物理的原因
3.寄生虫:生物学的原因
4.放射線:化学的原因
5.アルカリ:化学的原因

解答

解説

炎症の原因

炎症が起こる原因には①生物学的因子、②物理的因子、③化学的因子、④免疫的因子の4つがある。
①生物学的因子は細菌、ウイルス、寄生虫などがある。
②物理的因子は機械的外力、電気や紫外線、高温や低音など一定レベル以上の刺激が要因となる。
③化学因子は重金属中毒や酸・アルカリによる腐食などの化学物質が要因となる。
④免疫的因子は抗原抗体反応、液性免疫、細胞性免疫などがある。

1.〇 外傷は、機械的外力であるため物理的原因である。
2.〇 日光は、紫外線であるため物理的原因である。
3.〇 寄生虫は、生物学的原因である。
4.× 誤っている。放射線は化学物質ではなく、物理的原因である。なぜなら、電気や紫外線と同類に分類されるため。
5.〇 アルカリは、化学物質であるため化学的原因である。

 

 

 

 

 

 

88 ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染で生じにくいのはどれか。

1.末梢神経障害
2.無菌性髄膜炎
3.Creutzfeldt-Jakob病
4.ニューモシスチス肺炎
5.進行性多巣性白質脳症〈PML〉

解答

解説

ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症について

ヒト免疫不全ウイルスは、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群を発症させるウイルスである。ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症に対する治療法は飛躍的に進歩しており早期に発見することでエイズの発症を予防できるようになってきている。しかし、治療を受けずに自然経過した場合、免疫力の低下により様々な障害が発現する。

1.〇 末梢神経障害は、免疫力の低下によりHIV感染慢性期に生じやすい。また、緑膿菌・クリプトコッカス・ニューモシスチス・カンジダ・サイトメガロウイルスなどに代表される弱毒菌、ウイルス、真菌による日和見感染を発生しやすくなる。
2.〇 無菌性髄膜炎は、HIV急性感染期に生じやすい。無菌性髄膜炎とは、髄膜炎症状の患者の髄液を培養しても細菌が検出されず、原因菌を明らかにできないものをいう。多くはウイルス性であるため、臨床では「ウイルス性髄膜炎」を指す場合が多い。
3.× 生じにくい。Creutzfeldt-Jakob病は、脳に異常蛋白であるプリオンが蓄積することで発症し、急速な認知症の進行、歩行障害、視覚障害などを呈する疾患である。発病から半年以内で寝たきりの状態となり、その後呼吸筋麻痺や全身衰弱などで死亡する。感染機序や遺伝性については明らかにされていない
4.〇 ニューモシスチス肺炎は、免疫力の低下により発症する日和見疾患の1つである。最も頻度の高いエイズ指標疾患である。
5.〇 進行性多巣性白質脳症〈PML〉は、免疫力の低下によりJCウイルスが脳内の乏突起膠細胞(オリゴデンドログリア)に感染し、脱髄病巣を作る疾患である。欧米ではこの疾患の80%以上がエイズ発病者であると言われている。

 

 

 

 

 

 

89 多発性硬化症について正しいのはどれか。

1.女性に多い。
2.高体温で症状が改善する。
3.低緯度地域で有病率が高い。
4.Phalenテストが陽性となる。
5.免疫不全状態で発症しやすい。

解答

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.〇 正しい。女性(特に15~50歳)に多く、男女比は1:2〜3である。
2.× 高体温で症状は悪化する。これをウートフ徴候という。したがって、入浴や運動には注意が必要である。
3.× 有病率が高いのは、高緯度地域である。欧米や寒冷地方に比較的多く、アジアやアフリカでは比較的少ない傾向がみられる。
4.× Phalenテスト(ファーレンテスト)は陰性である。ちなみにPhalenテストは、手根管症候群の診断に用いられ、正中神経障害によって陽性となる。
5.× 多発性硬化症の原因は不明とされている。自己免疫不全が発病の原因として有力ではあるが、まだはっきりとは解明されていない

 

 

 

 

 

 

90 頭部CTを下図に示す。
 出血部位はどれか。

1.後頭葉皮質下
2.頭頂葉皮質下
3.尾状核
4.被殻
5.視床

解答

解説

(※画像引用:画像解剖~どう伝える?~から)

1.× 後頭葉は、出血部位よりも後方である。
2.× 頭頂葉は、これより上部のスライスである。
3.× 尾状核は、出血部位よりも前方で、側脳室の後方にある。
4.× 被殻は、出血部位よりも前方にある。
5.〇 正しい。CTで視床の部分に高吸収域が見られるため、視床出血である。

 

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