第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午後問題61~65】

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61 細胞について誤っているのはどれか。

1.細胞膜は二重膜である。
2.細胞膜は主にリン脂質から構成される。
3.ミトコンドリアではATP生成を行っている。
4.リボソームは蛋白質とDNAから構成される。
5.Na+-K+ポンプにより細胞内のNaは低く保たれる。

解答
解説
1.△ 細胞膜は二重膜である「とはいえない」。正確には、細胞膜は、リン脂質二重層の単膜である(※ただし、厚生労働省の正式解答では正解扱いとなっている)。脂質二重層構造で、「二重膜」という表現は正しいとはいえない。

2.〇 正しい。細胞膜は主にリン脂質から構成される脂質二重層構造で、膜タンパク質やコレステロールが含まれる。

3.〇 正しい。ミトコンドリアではATP生成を行っている
・ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。

4.× リボソームは、蛋白質と、「DNA」ではなくRNAから構成されている。
・リボソームとは、RNAと特殊なたんぱく質を含む直径15~20nmのダルマ型の顆粒で、遺伝情報をもとにタンパク質を合成する場所である。粗面小胞体の表面に存在する。

5.〇 正しい。Na+-K+ポンプにより細胞内のNaは低く保たれる。Na⁺/K⁺ポンプはATPを使いNa⁺を3つ外へ、K⁺を2つ内へ能動輸送する。これにより細胞内Na⁺は低く、K⁺は高く保たれ、浸透圧調節と膜電位の維持に役立つ。

 

 

 

62 神経筋接合部における神経伝達物質はどれか。

1.ノルアドレナリン
2.アセチルコリン
3.アドレナリン
4.セロトニン
5.ドパミン

解答
解説

神経筋接合部とは?

神経筋接合部とは、神経の末端が骨格筋組織と交わる部分である。筋肉を収縮させる信号は、神経伝達物質であるアセチルコリンなどの化学物質によって発せられ、この物質が神経の末端(運動神経終板)から筋肉に送られる。

1.× ノルアドレナリンは、交感神経節に続く節後線維から情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質である。

2.〇 正しい。アセチルコリンは、神経筋接合部における神経伝達物質である。
・アセチルコリンとは、代表的な神経伝達物質であり、①運動神経の神経筋接合部、②交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで放出される。アセチルコリンは、中枢神経で働く場合と末梢神経で働く場合で作用が異なる。①運動神経の神経筋接合部では、筋収縮に作用する。

3.× アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎髄質で合成・分泌されるホルモンである。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがある。自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まる。

4.× セロトニンとは、主に脳幹縫線核由来の中枢神経伝達物質で、うつ病と関連が深い神経伝達物質である。気分・睡眠・痛み調節などに関与する。交感神経を刺激し、血圧を上昇させる作用がある。

5.× ドパミンとは、中脳黒質・線条体路など中枢で働く伝達物質で、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質である。脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられている。

神経伝達物質

【アセチルコリン】
・交感神経の節前線維
・副交感神経の節前線維
・副交感神経の節後線維

ノルアドレナリン
・交感神経系の節後線維

 

 

 

63 Brodmannにより決定された皮質領野で一次運動野に相当するのはどれか。

1. 1野
2. 4野
3. 17野
4. 22野
5. 44野

解答
解説

 
1.× 1野は、一次感覚野(中心後回)に該当する。

2.〇 正しい。4野は、一次運動野(中心前回)に該当する。

3.× 17野は、一次視覚野に該当する。

4.× 22野は、感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢)に該当する。

5.× 44野は、運動言語中枢(ブローカー中枢)に該当する。

 

 

 

 

 

64 筋紡錘の感覚神経線維で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.Ia
2.lb
3.II
4.α
5.γ

解答1,3
解説


1.〇 正しい。Ia群求心性線維は、 筋紡錘の感覚神経線維である。
・Ⅰa群線維は、筋紡錘の伸展を感知する。錐内線維である核袋線維と核鎖線維にⅠa線維の終末が存在する。

2.× lb群求心性線維は、腱器官を支配している。腱が伸張したことを伝える。
・Ⅰb線維は、ゴルジ腱器官から脊髄に情報を伝達する神経線維である(腱紡錘)。

3.〇 正しい。II群求心性線維は、 筋紡錘の感覚神経線維である。
・Ⅱ群線維は、主に触覚や圧覚などを伝達する線維である。

4.× α運動線維は、錘外筋線維を支配する。収縮命令を伝える遠心性線維である。

5.× γ運動線維は、錘内筋線維を支配する。
・γ運動線維とは、錘内筋線維の両端を支配しており、筋紡錘が正常に働くように調節する機能がある。

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65 心室収縮期に生じているのはどれか。2つ選べ。

1.三尖弁開放
2.僧帽弁閉鎖
3.大動脈弁閉鎖
4.肺動脈圧低下
5.肺動脈弁開放

解答2,5
解説

心周期とは?

心周期とは、心臓の収縮と弛緩からなる、心臓ポンプの1回の心拍動のことである。心周期は5つに分けられる。

①心房収縮期(心房が収縮し、左右の房室弁が開くことで、心房内の血液が心室に送られる)
②等容性収縮期(心室の収縮が始まる段階。心室内圧は上昇し、すべての弁は閉じる。血液に動きはない。)
駆出期(さらに心室が収縮し、心室内圧が動脈内圧を上まわる。動脈弁が開き、心室内の血液は動脈へと流れる。)
④等容性拡張期(心室筋が弛緩して拡張が始まる段階。血液が動脈へと流れ出た後、心室圧は低下する。心室圧が動脈圧を下回ると、すべての弁が閉じる。心房には血液が流れ込み始める。)
⑤充満期(心房と心室がさらに拡張し、心室内圧が低下して房室弁が開き、心房の血液が心室に流れ込む。)

1.× 三尖弁は、「開放」せず、閉鎖している。三尖弁開放するのは拡張期である。

2.〇 正しい。僧帽弁閉鎖する。僧帽弁とは、左心房と左心室の間にある弁である。

3.× 大動脈弁は、「閉鎖」せず、開放している。大動脈弁閉鎖するのは拡張期である。

4.× 肺動脈圧は、「低下」せず、上昇する。肺動脈圧低下するのは拡張期である。

5.〇 正しい。肺動脈弁開放する

 

4 COMMENTS

匿名

II群求心性線維(Aβ)は、筋紡錘を支配している。という文章はデタラメです。Aβ線維は触圧覚を伝える繊維です。筋紡錘を支配している繊維はAγ神経です。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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