第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午後問題56~60】

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56 動脈と触知可能な部位との組合せで誤っているのはどれか。

1.上腕動脈:上腕二頭筋後内側縁
2.橈骨動脈:前腕掌側面の外側遠位部
3.大腿動脈:Scarpa三角内
4.足背動脈:足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間
5.後脛骨動脈:外果後方

解答
解説
1.〇 正しい。上腕動脈は、上腕二頭筋後内側縁(上腕二頭筋腱の内側)で触知する。

2.〇 正しい。橈骨動脈は、前腕掌側面の外側遠位部で触知する。

3.〇 正しい。大腿動脈は、Scarpa三角(大腿三角)内で触知する。スカルパ三角(Scarpa三角)とは、①鼠径靭帯②縫工筋(内側縁)③長内転筋(外側縁)で囲まれた部分である。

4.〇 正しい。足背動脈は、足背の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間で触知する。

5.× 後脛骨動脈は、「外果後方」ではなく内果後方で触知する。

(※図引用:ながさき整骨院HP様)

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【共通のみ】筋の作るくぼみや溝、走行についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

57 胃について正しいのはどれか。

1.幽門は食道に連なる。
2.胃切痕は大弯側にある。
3.胃体の下端部を胃底という。
4.噴門は第一腰椎の右側にある。
5.胃の大弯は大網を介して横行結腸と結合する。

解答
解説

(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)

1.× 幽門は、「食道」ではなく十二指腸に連なる。食道に連なるのは噴門である。

2.× 胃切痕は、「大弯側」ではなく小弯側にある。胃切痕とは、角切痕ともいい、小彎の鋭く凹んだ部位である。

3.× 胃体の下端部を「胃底」ではなく前庭部という。胃底とは胃の上方にある。

4.× 噴門は第11胸椎第7肋骨の位置に、第一腰椎の高さにあるのは幽門である。

5.〇 正しい。胃の大弯は、大網を介して横行結腸と結合する。胃の小弯は小網を介して肝臓と結合する。このように間膜を2種類有するのは胃のみである。
・大弯とは、大網を介して横行結腸と結合する胃の左縁のことをいう。胃の下側から下方へエプロンのように腸の前面に垂れ下がった腹膜である。胃の小弯で前後2葉に分かれて胃の前面と後面を包んだ後、大弯で再び合して再度間膜をつくる。一方、小網とは、肝臓の下面を覆う腹膜をいい、胃の凹状表面側、つまり上部(小弯)と十二指腸の始部へと続いている。胃の小弯は小網を介して肝臓と結合する。

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【PT/OT/共通】胃(解剖・生理・病態)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

58 泌尿器について正しいのはどれか。

1.尿管口は膀胱尖に開く。
2.尿管内部には逆流防止弁がある。
3.男性の尿道は女性に比べて短い。
4.男性の尿道は前立腺を貫いている。
5.内尿道口は膀胱三角の中央に開く。

解答
解説

1.× 尿管口は、「膀胱尖」ではなく膀胱底部に開く。膀胱尖は膀胱頂部に位置する。

2.× 尿管内部には逆流防止弁は「存在しない」。尿管が膀胱壁を斜走して粘膜下トンネルを形成することで、排尿時にフラップ弁様に働き逆流を防止する。

3.× 男性の尿道は女性に比べて、「短い」のではなく長い。男性は約20cm、女性は約3cmである。したがって、女性の方が男性より下部尿路感染が起こりやすい。

4.〇 正しい。男性の尿道は前立腺を貫いている(※上図参照)。したがって男性は、加齢などにより、前立腺が肥大すると尿道が塞がってしまい、尿閉になる。

5.× 内尿道口は、膀胱三角の「中央」ではなく下角(頂点であり1点)に開く。三角の3点は左右尿管口+内尿道口で、中央ではない。
・膀胱三角とは、左右の尿管口と内尿道口の3点を結んだ三角形のことである。

 

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【共通のみ】腎・泌尿器(解剖)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

59 内耳に含まれるのはどれか。

1.鼓室
2.耳管
3.キヌタ骨
4.膜半規管
5.アブミ骨筋

解答
解説

(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)

中耳とは?

・内耳とは、聴覚に関わる蝸牛と平衡覚をつかさどる前庭や3つの半規管(三半規管)からなる部分である。
・中耳とは、外耳と内耳にある空間のことである。構成は、鼓膜・鼓室・耳管・乳突洞・乳突蜂巣からなる。

1.3.5.× 鼓室/キヌタ骨/アブミ骨筋は、中耳である。鼓室には3つの耳小骨(ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨)があり、鼓膜から内耳へ音の振動を伝える。

2.× 耳管は、中耳である。耳管とは、鼓膜の前壁から始まり、中耳と上咽頭を連絡する管である。中耳にあり、①鼓室内の圧調整、②惨出液を咽頭へ流す機能がある。

4.〇 正しい。膜半規管は内耳である。膜半規管とは、半規管の外側は骨でできており(骨半規管)、そのすぐ内側に膜がある。その膜の事である。 

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【共通問題のみ】平衡聴覚器(内耳・中耳)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

60 Scarpa三角の内で触知できる筋はどれか。2つ選べ。

1.大腿直筋
2.恥骨筋
3.腸腰筋
4.内閉鎖筋
5.梨状筋

解答2,3
解説

(※図引用:ながさき整骨院HP様)

 スカルパ三角(Scarpa三角)とは、①鼠径靭帯②縫工筋(内側縁)③長内転筋(外側縁)で囲まれた部分である。よって、選択肢2.3.恥骨筋・腸腰筋が正しい。

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2 COMMENTS

匿名

第55回午後59番の解説2
時間の役割→耳管の役割
上記誤字が見られましたので報告させて頂きます。
修正のほどよろしくお願い致します。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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