第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

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26 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)における股関節の参考可動域角度で正しいのはどれか。

1.外旋:20°
2.外転:20°
3.屈曲:110°
4.伸展:15°
5.内旋:20°

解答
解説
1.× 外旋は、「20°」ではなく、45°である。
2.× 外転は、「20°」ではなく、45°である。ちなみに内転は20°である。
3.× 屈曲は、「110°」ではなく、125°である。
4.〇 正しい。伸展は15°である。
5.× 内旋は、「20°」ではなく、45°である。

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27 「歯を磨くまねをしてください」という口頭命令ではうまくできないが、自発的には歯磨きができる状態はどれか。

1.観念失行
2.拮抗失行
3.構成失行
4.観念運動失行
5.肢節運動失行

解答
解説
1.× 観念失行は、一連の運動連鎖が必要な行為が障害される。 道具の名前、使用方法も分かるが、「紙を折って封筒に入れる」といった一連の動作ができない状態である。優位半球の角回の障害で見られる。
2.× 拮抗失行は、脳梁幹障害でみられる。拮抗失行とは、右手の行動に対して左手が不随意に反対目的の行動をとるという特異な異常行動がみられる左手のことをいう。
3.× 構成失行は、簡単な図柄の模写ができない、特に立体的な図柄を描いたり、積み木がつめないなどの症状である。頭頂連合野の比較的広範な領域障害で見られる。
4.〇 正しい。「歯を磨くまねをしてください」という口頭命令ではうまくできないが、自発的には歯磨きができる状態は観念運動失行である。単一物品の操作の問題である。優位半球の縁上回の障害で見られる。
5.× 肢節運動失行は、洋服のボタンを掛ける時や手袋を着用する等の単純な動作、歩行の際の特に歩き出しが拙劣となる症状で、運動拙劣症とも呼ぶ。優位半球の頭頂葉~前頭葉の障害で見られる。

 

 

 

 

28 歩行周期と筋活動パターンの関係を図に示す。
このグラフが示す特徴をもつ筋はどれか。

1.大殿筋
2.中殿筋
3.大腿四頭筋
4.ハムストリングス
5.下腿三頭筋

解答
解説

(図引用:Eberhart,H. D. et al.:「Human Limbs and their Substitutes」Mc Graw Hill Book Co. Inc 1954より)

1~4.× 図を参照。いずれも該当しない。
5.〇 正しい。下腿三頭筋である。遊脚相で唯一筋活動がないのが特徴的である。

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29 義足の遊脚相において下腿部の振り出し速度を制御する膝継手はどれか。

1.固定膝
2.可変摩擦膝
3.荷重ブレーキ膝
4.バウンシング機構付き
5.イールディング機構付き

解答
解説
1.× 固定膝は、歩くときの膝関節は固定(伸展位でロック)になる。立位時、歩行時には膝継手にロックをかけて固定し、遊脚相で膝関節は曲がらない。
2.〇 正しい。可変摩擦膝は、遊脚相において下腿部の振り出し速度を制御する機能があり、スムーズな膝の振り出しを可能にしている。膝継手伸展時に起こるターミナルインパクトを抑えるために用いられる。
3.× 荷重ブレーキ膝は、立脚相時に膝関節の制御に働き、膝折れを防止するものである。安定膝とも呼ばれ、体重がかかると摩擦力が発生する作りとなっている。
4.× バウンシング機構付きとは、立脚相で特定の角度まで膝継手が屈曲し、それ以上曲がらない機能のこと。角度は膝継手の種類によって異なるが、最大でも15度程度の軽度屈曲する。それ以上は曲がらないため安定感がある。さらに踵接地した際の衝撃を緩和する機能を持つ。つまり、ダブルニーアクション(二重膝作用)に近い動きが可能である。
5.× イールディング機構付きとは、膝継手の機能の一つで、義足に体重をかけることで、適度な油圧抵抗を伴いながら膝が曲がる機能のことである。急激な膝折れを防ぎ、階段を交互に降りたり、坂道を滑らかに交互に下れたり、プラスαの動作が可能である。

義足の遊脚相の制御

義足の遊脚相の制御には、①固定、②ばね式、③機械的摩擦、④流体制御といった機構がある。その中の③機械的摩擦には、(1)定摩擦、(2)可変摩擦があり、④流体制御には、(1)空圧、(2)油圧がある。

 

 

 

 

30 胸腰仙椎装具で正しいのはどれか。

1.後方支柱は棘突起の直上に位置させる。
2.骨盤帯の位置は大転子と腸骨稜の間である。
3.側方支柱は骨盤帯と肩甲間バンドを結合する。
4.胸椎バンドの位置は肩甲骨の下1/3の高さである。
5.腹部前当ての上縁の位置は剣状突起の高さである。

解答
解説

 胸腰仙椎装具は、①テーラー型、②ナイト・テーラー型、③ジュエット型、④スタインドラー型、⑤カウホーン型がある。その中ですべて当てはまるものを選ぶ。

1.× 後方支柱は、「棘突起の直上」ではなく棘突起を避け二本で構成されている。
2.〇 正しい。骨盤帯の位置は大転子と腸骨稜の間である。
3.× 側方支柱は、骨盤帯と「肩甲間バンド」ではなく胸椎バンドを結合する。ちなみに、胸腰仙椎装具のなかでも側方支柱があるのは、⑤カウホーン型しかない。側方支柱は、体幹側屈を制限する。
4.× 胸腰仙椎装具の胸椎バンドの位置は、「肩甲骨の下1/3の高さ」ではなく腰仙椎装具の上縁である。上肢帯の動きを妨げないよう、背部は、肩甲骨下角より2~3cm 下方に位置させる。肩甲骨の下1/3の高さとするのは、胸腰仙椎装具の上縁をなす肩甲間バンドである。
5.× 腹部前当ての上縁の位置は、「剣状突起の高さ」ではなく剣状突起の1~2cm下方にする。胸腰仙椎装具のなかでも腹部前当てがあるものないものがある。ちなみに、腹部前当てがないものは、④スタインドラー型である。

 

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