第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午前問題21~25】

 

21 臨床研究を実施する上で適切でないのはどれか。

1.研究対象はポスターを用いて募集した。
2.研究の内容について対象者に書面を見せながら口頭で説明した。
3.データ処理を匿名化で行った。
4.得られたデータはパソコンの共有フォルダで保管した。
5.対象者からの研究の同意への撤回請求に応じた。

解答
解説

 臨床試験で高いエビデンスを得るためには様々なバイアス(偏り)を排除しなければならない。そのため患者を無作為に抽出し、治療対照群と比較群で検討する無作為化(ランダム)比較試験の結果からは非常に有効なデータを得ることができる。半面、大規模になり時間がかかるため膨大な費用を要し容易には思考できないことがデメリットとしてあげられる。
1.〇 正しい。研究対象はポスターを用いて募集することは、研究対象者を無作為に抽出することにつながりバイアスを排除できる。
2.〇 正しい。研究の内容について対象者に書面を見せながら口頭で説明することにより、より正確に伝えられバイアスを排除できる。面接調査等で質問者が対象者に情報を聞き取る際に、正確に情報を得られないことによって生じるバイアスのことを「調査者バイアス」という。
3.〇 正しい。守秘義務の観点から、データ処理を匿名化で行うことは正しい。
4.× 適切でない。得られたデータはパソコンの共有フォルダで保管した場合、漏洩の危険性が高くなる。
5.〇 正しい。大規模な調査になるほど、費用や時間がかかる。そのため、対象者への負担も避けられない。そういった時にも対象者からの研究の同意への撤回請求を応じる準備が必要である。

 

 

 

22 ICFの評価点とその内容の組合せで正しいのはどれか。

1.活動と参加の能力の評価点:促進あるいは阻害する程度
2.環境因子の第一評価点:個人の遂行能力
3.身体構造の第一評価点:機能障害の程度や大きさ
4.身体構造の第二評価点:各身体部位における変化の性質
5.心身機能の第一評価点:構造障害の程度や大きさ

解答
解説

 ICFにおける領域リストは、評価点を使う際に、一つの分類となる。評価点は身体、個人、社会レベルでの生活機能の問題の存在と程度を記録する。例として、心身機能と身体構造の分類に関して、第一評価点は、機能障害の存在と、心身機能や身体構造の機能障害の程度(問題なし、軽度の問題、中等度の問題、重度の問題、完全な問題)を5点のスケールで示す。心身機能の第二評価点は「ない」が、身体構造の第二評価点は、「各々の身体構造の変化の性状を示す」ために用いられる。これは、私個人的な感想であるが、この問題は細かなところすぎていて落としてもよいと考えている。

1.× 活動と参加の能力の評価点は、個人の遂行能力である。
2.× 環境因子の第一評価点は、促進あるいは阻害する程度
3.5× 心身・身体構造の第一評価点は、機能障害の程度や大きさではなく、機能障害の存在と、心身機能や身体構造の機能障害の程度である。
4.〇 正しい。身体構造の第二評価点は、各身体部位における変化の性質である。

 

 

 

23 インシデントレポート収集の目的で正しいのはどれか。

1. 責任者を処罰する。
2. 監督官庁に報告する。
3. 医療事故発生防止策を検討する。
4. 施設管理者が解決策を検討する。
5. 当事者間でインシデントの原因を検討する。

解答
解説

 インシデントを直訳すると「出来事・事件・異変」である。インシデントレポートとは、いわゆるインシデントについて報告するレポートのことである。一方、その行為によって患者に傷害や不利益を与えてしまった事象を、アクシデントという。なお、インシデントの本来の意味は、偶発的や付随的と解釈される。インシデントレポート収集の目的は、インシデントの発生を報告することによって再発防止に役立てるためである。よって、選択肢3. 〇 正しい。医療事故発生防止策を検討する。が正しい。

 

 

 

 

24 肺音で正しいのはどれか。

1.気管呼吸音は吸気より呼気の方が大きい。
2.気管支呼吸音は吸気のみに聴取される。
3.笛音(wheezes) は吸気初期に聴取されやすい。
4.捻髪音(fine crackles)は呼気に聴取されやすい。
5.肺胞呼吸音は呼気終末に強くなる。

解答
解説

 肺音は、呼吸に伴う気道中の空気の流れに生じる生理的な音である呼吸音と、正常な状態では通常聴取されない呼吸音以外の肺音である副雑音に分けられる。下に「肺音の分類」を乗せたので参考にしてください。
1.〇 正しい。気管呼吸音は吸気より呼気の方が大きい。
2.× 気管支呼吸音は吸気のみではなく、吸気時・呼気時の持続時間が等しく高調な音が聴取される。
3.× 笛音(wheezes) は吸気初期ではなく、呼気相に「ヒューヒュー」という音が聴取される。
4.× 捻髪音(fine crackles)は呼気ではなく、吸気相終期に「パリパリ」「パチパチ」という高調で短い音が聴取される。
5.× 肺胞呼吸音は呼気終末ではなく、吸気の初めによく聴かれる。

肺音の分類

正常呼吸音肺胞呼吸音:低調で柔らかい音。吸気の初めによく聴かれる。
気管・気管支呼吸音:高調な音。吸気時、呼気時の持続時間が等しい。
気管支肺胞呼吸音:肺胞呼吸音より高調で、呼気時にも明瞭に聴かれる。
副雑音連続性ラ音(気道狭窄による)笛様音(高音性):呼気相の「ヒューヒュー」という音
いびき様音(低音性):吸気、呼気ともに聴かれる「ボーボー」「グーグー」という音
断続性ラ音水泡音(粗い):吸気相~呼気相初期に聴かれる「ブツブツ」「ポコポコ」という音。低調で短い。
捻髪音(細かい):吸気相終期で聴かれる「パリパリ」「パチパチ」という音。高調で短い。

 

 

 

25 健常成人の血圧に関して正しいのはどれか。2つ選ぺ。

1.背臥位では立位に比べて脈圧が小さい。
2.足関節上腕血圧比の基準値は1.5~2.0である。
3.上腕部では足部と比べて収縮期血圧が低くなる。
4.座位での測定はマンシェットを心臓の高さに合わせる。
5.Korotkoff 音が聞こえなくなった時点での圧を収縮期血圧とする。

解答3,4

解説
1.× 背臥位は立位に比べて脈圧が、小さいのではなく大きい。脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差である。血圧は重力の影響を受けるため体位に影響され、臥位が最も高く立位で低くなる。
2.× 足関節上腕血圧比の基準値は1.5~2.0ではなく、0.9~1.4である。足関節上腕血圧比は、動脈壁の硬さや動脈のつまりを評価することができる。0.9以下であれば、末梢動脈疾患の疑いがあり、1.4以上であれば石灰化の疑いとなる。
3.〇 正しい。上腕部では足部と比べて収縮期血圧が低くなる。理由としては、上腕部より下肢の動脈の方が、深部を走行するため10~20mmhgほど高くなる傾向にある。
4.〇 正しい。座位での測定はマンシェットを心臓の高さに合わせる。血圧は測定部位の高さによる影響を受けるためである。
5.× Korotkoff 音が聞こえなくなった時点ではなく、聞こえた時点での圧を収縮期血圧とする。Korotkoff 音(コロトコフ音)血液が心臓の拍動に合わせて断続的に流れ始めたときに発生する血管音。

 

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