第55回(R2) 理学療法士国家試験 解説【午後問題1~5】

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※問題の引用:第55回理学療法士国家試験、第55回作業療法士国家試験の問題および正答について

 

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にて誤字・脱字等、ご指摘お待ちしています。よろしくお願いいたします。

 

 

 

1 小児を裸足で方眼紙の上を歩行させた図を示す。
 重複歩距離はどれか。

1.10cm
2.20cm
3.35cm
4.40cm
5.55cm

解答
解説

歩行の用語説明

 1歩とは、右踵が接地して、次に左踵が接地するまでの動作のこと。その距離を歩幅という。
 重複歩とは、片側の踵が接地して、つぎに同側の踵がふたたび接地するまでの動作のこと。その距離を重複歩距離という。重複歩距離は一般的に身長が高いほど長く、身長の80~90%の長さとされている。また、速い歩行では100~110%ほどになるが、小児や高齢者では短くなる特徴を持つ。

 図を見ると、最初の右踵から次の左踵まで、8マスある。1マス5cmなので、(8マス×5cm=)40cmとなる。よって、重複歩距離は選択肢4.40cmが正しい。

 

 

 

 

2 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で、正しいのはどれか。

1.手屈曲
2.手伸展
3.手橈屈
4.母指掌側外転
5.母指橈側外転

解答
解説
1.× 手屈曲(掌屈)は、【基本軸】橈骨、【移動軸】第二中手骨、【注意点】前腕は中間位とする。図は尺側で測定しているため不適当である。
2.× 手伸展(背屈)は、【基本軸】橈骨、【移動軸】第二中手骨、【注意点】前腕は中間位とする。図の移動軸が母指となっているため不適当である。
3.× 手橈屈は、【基本軸】前腕の中央線、【移動軸】第三中手骨、【注意点】前腕を回内位で行う。図の移動軸が第二中手骨となっているため不適当である。
4.〇 正しい。母指掌側外転は、【基本軸】示指(橈骨の延長上) 、【移動軸】母指、【注意点】運動は手掌面に直角な面とする。
5.× 母指橈側外転は、【基本軸】示指(橈骨の延長上) 、【移動軸】母指、【注意点】 運動は手掌面とする以下の手指の運動は、原則として手指の背側に角度計を当てる。図の基本軸が中指となっているため不適当である。

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3 Danielsらの徒手筋力テストによる検査方法を【図1】に、前腕中央部の断面図を【図2】に示す。
 図1の方法で段階3を判定できる筋は図2のどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答
解説

 図1は、中指のPIP関節屈曲していることから、浅指屈筋の検査方法であることが分かる。よって選択肢1.①(浅指屈筋)を選択する。ちなみに、図2の断面図は、尺骨に比べ橈骨が比較的に小さいことから肘に近い断面図である。

2.× ②は、橈側手根屈筋である。
3.× ③は、円回内筋である。
4.× ④は、深指屈筋である。
5.× ⑤は、回外筋である。

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4 図に示す方法で筋力測定器を用いて膝関節伸展等尺性筋力を測定したところ、測定値は28kgfであった。
 膝関節伸展トルクはどれか。

1.約6.9Nm
2.約17.2Nm
3.約34.5Nm
4.約51.8Nm
5.約68.6Nm

解答
解説

公式

モーメントはトルクの言い換えたものとざっくり覚えておく。
モーメント(トルク)を求めるには、【M= F×l】で求められる。
(M:モーメント[N・m]、F:力[N]、l:距離(下腿の長さ)[m])である。

さらに、1kgf = 9.80665 N(ニュートン)である。言い換えると、kgf×9.8[N/kgf]=9.8Nmと表せる。

問題に当てはめて考えると、28 kgf × 9.80665 N = 約274Nm

274Nm × bの長さ:25cm(0.25m)=68.5Nm。

よって、選択肢5.約68.6 Nmが正しい。

 

 

 

 

次の文を読み5、 6の問いに答えよ。
 5歳の女児。左股関節痛を訴えている。エックス線写真(下図)を別に示す。

5 疑うべき疾患はどれか。

1.大腿骨頭壊死症
2.大腿骨頭すべり症
3.単純性股関節炎
4.発育性股関節形成不全
5.Perthes病

解答
解説

本症例のポイント

・5歳の女児。
・左股関節痛を訴えている。
・エックス線写真:左股関節の骨端は右に比べると低くなり(潰れている)、白っぽくなっている(骨壊死)が認められる。
→5歳女児で股関節痛を訴え、変形骨壊死が生じやすい疾患を選択する。したがって、選択肢5.Perthes 病が正しい。Perthes病は、小児期における血行障害による大腿骨頭、頚部の阻血性壊死が起こる原因不明の疾患である。骨頭・頚部の変形が生じる。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛や大腿部にみられる関連痛で、股関節の関節可動域制限も生じる。治療は大腿骨頭壊死の修復が主な目標であり、治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。男女比は4:1である。好発年齢は、「6~7歳」である。発生率は1万人に1.5人と言われ、そのうち約10%が両側に発症するが、たいていは片方がなってから2年以内の違う時期に反対側が発症する。

1.× 大腿骨頭壊死症とは、大腿骨の上端の大腿骨頭の骨組織が壊死し、関節が変形・破壊する病気であり、このうち原因がはっきりしないものをいう。エックス線写真は初期では変化が見られないことが多いが、悪化すると壊死に伴う骨折となり関節面直下の軟骨下に起こりやすく(圧潰)、軟骨下骨に円弧状に走向する線状透亮像として認められる。30~40歳代の男性に多い。
2.× 大腿骨頭すべり症とは、大腿骨の股関節部分にある成長軟骨層である骨端線がずれてしまうことである。エックス線写真は、正面像頚部外側縁に引いた接線が正常では骨端核を貫通するが、すべり症では通らない。肥満時の男性に多く、思春期(10~16歳)の成長が盛んな時期に多い。
3.× 単純性股関節炎とは、原因は不明で、1週間ほど安静にしていれば痛みも治まり、自然治癒する。エックス線写真は特段所見は見られない。3~10歳に好発する。超音波検査やMRIで関節液の貯留が確認される。
4.× 発育性股関節形成不全とは、生下時の女児におこる股関節の脱臼などの状態である。エックス線写真は、本来の股関節の位置から大きく上方へ偏位している(脱臼)している。

 

2 COMMENTS

匿名

いつもお世話になっております。「誤字?」の訂正です。

モーメント(トルク)を求めるには、【M= F×l】で求められる。(M:モーメント[N・m]、F:力[N]、l:距離(腕の長さ)[m])である。←肢の長さではないでしょうか。

間違っていたらすみません。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
確かにご指摘通り間違えておりました。
問題文に沿うように[下腿の長さ]に修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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