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次の文を読み5、 6の問いに答えよ。
5歳の女児。左股関節痛を訴えている。エックス線写真(下図)を別に示す。
6 この疾患について正しいのはどれか。
1.外傷が原因である。
2.可動域制限は生じない。
3.感染症が原因である。
4.男児に多い。
5.二次性変形性股関節症になりにくい。
解答4
解説
Perthes病は、小児期における血行障害による大腿骨頭、頚部の阻血性壊死が起こる原因不明の疾患である。骨頭・頚部の変形が生じる。初期症状は、跛行と股関節周囲の疼痛や大腿部にみられる関連痛で、股関節の関節可動域制限も生じる。治療は大腿骨頭壊死の修復が主な目標であり、治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになることが多い。男女比は4:1である。好発年齢は、「6~7歳」である。発生率は1万人に1.5人と言われ、そのうち約10%が両側に発症するが、たいていは片方がなってから2年以内の違う時期に反対側が発症する。
1.3.× ペルテス病の原因は一概に判明されていない。何らかの原因で血流障害が起こる。ちなみに、外傷が原因であるのは症候性大腿骨頭壊死症である。また、感染症が原因であるのは化膿性股関節炎などである。
2.× 股関節の可動域制限や疼痛、さらには跛行や大腿部への関連痛が生じる。特に股関節外転・内旋が制限を生じやすい。治療後は歩容の異常がなく、通常の日常生活を送れるようになる。
4.〇 正しい。男児に多い。子供がかかる病気で、発症年齢は1〜10歳と幅広く、6歳をピークに4〜8歳に多く見られる。男女比は4~6:1の割合である。
5.× 二次性変形性股関節症になりやすい。二次性変形性股関節症とは、何らかの病気(ペルテス病や先天性股関節脱臼)やケガが原因でおこっている。日本では、この二次性が大半を占め、先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全によるものが約90%、圧倒的に女性に多い。壊死部は修復過程を経て正常の骨組織に戻るが、形態異常を伴って修復完了した場合、将来的に変形性股関節症を生じる可能性がある。
7 8か月の男児。脳性麻痺による痙直型四肢麻痺。腹臥位で図のような姿勢を示す。
影響しているのはどれか。
1.緊張性迷路反射
2.屈筋逃避反射
3.非対称性緊張性頚反射
4.Moro反射
5.Landau反射
解答1
解説
・8か月の男児(脳性麻痺による痙直型四肢麻痺)
・姿勢は腹臥位に両上下肢が屈曲位である。
→痙直型四肢麻痺は大脳の広範囲の障害によって主動筋と拮抗筋が同時に作用し続ける。主動筋、拮抗筋の相反性抑制が起き、筋の機能不全がみられる。下肢に関しては両麻痺と同様の変形(両側股関節内転・内旋、尖足)をきたすことが多い。臨床では、緊張性迷路反射の影響を除いて上肢機能改善をはかるためには、頚部・体幹を垂直(抗重力位)かやや前傾を保持する。
1.〇 正しい。緊張性迷路反射がこの児に影響している可能性が高い。緊張性迷路反射は、腹臥位で両上下肢が屈曲位・背臥位で両上下肢が伸展位となる。4~6か月に消失するが、8か月の男児ではあるものの脳性麻痺による痙直型四肢麻痺を呈しており、反射の消失の遅滞が起こり、緊張性迷路反射が影響していると考えられる。
2.× 屈筋逃避反射は、背臥位の新生児の足底を刺激すると下肢を屈曲させて足をひっこめる。生後1~2か月には消失する。
3.× 非対称性緊張性頚反射は、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。生後4~6か月には消失する。
4.× Moro反射は、背臥位の子どもの後頭部に手をやって15 cmほど頭を持ち上げ、頭を落下させると,両上肢が伸展・外転し、続いて内転が起こる。生後3~4か月頃には消失する。
5.× Landau反射は、乳児の腹部を検者の手掌で支えて水平にすると、頭を上げ体幹をまっすぐにし、さらに下肢を伸展する。3つの頭部の立ち直り反応すべての効果が合わさった反応である。
第1相:頸部,体幹軽度屈曲,四肢軽度屈曲(第1相:0~6週)
第2相:頸部水平,体幹軽度屈曲,四肢軽度屈曲(第2相:7週~3,4 ヵ月)
第3相:頸部伸展挙上,体幹伸展,四肢伸展傾向(3相:6 ヵ月から1~2歳で統合される)
8 検査用紙を図に示す。
1から25までの数字を1から順にできるだけ速く線を引いてつなぐのに要する時間を測定する検査はどれか。
1.BADS
2.BIT
3.CAT
4.Stroop test
5.TMT-A
解答5
解説
1.× BADS(Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome)は、遂行機能障害症候群の行動評価である。カードや道具を使った6種類の下位検査と1つの質問紙から構成されている。下位検査は0~4点の5段階で点数化し24点満点で評価する。
2.× BIT(Behavioural inattention test)は、行動性無視検査である。①通常検査(線分抹消試験・文字抹消試験・星印抹消試験・模写試験・線分二等分試験・描画試験)と②行動検査(写真課題・電話課題・メニュー課題・音読課題・時計課題・硬貨課題・書写課題・地図課題・トランプ課題)がある。
3.× CAT(Clinical Assessment for Attention:標準注意検査法)は、注意力や意欲を、標準化された方式で評価できる。視覚性抹消課題用用紙などがある。
4.× Stroop test(ストループ検査)は、認知機能評価、脳血管障害後遺症等の高次脳機能障害(前頭葉)の評価に活用する。文字の色を声に出して、できるだけはやく読む検査である。たとえば、「青」の答えは「あか」と読むといったものである。速度・誤答数を測定する。
5.〇 正しい。TMT-A(Trail Making Test)は、注意機能・遂行機能の向上の評価で、1から25までの数字を1から順にできるだけ速く線を引いてつなぐのに要する時間を測定する検査である。またTMT-Bもあり、1~13の数字と、「あ」~「し」のひらがなを、1→あ→2→い……と交互に結んでもらう。
9 70歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom 法ステージ上肢Ⅲ、下肢Ⅳ。座位にて、肘関節伸展位で肩関節90°屈曲運動を指示したところ、屈曲共同運動パターンがみられた。
この患者で促通すべき筋はどれか。
1.棘下筋
2.広背筋
3.大菱形筋
4.上腕二頭筋
5.上腕三頭筋
解答5
解説
・70歳の男性(脳梗塞による右片麻痺)
・Brunnstrom 法ステージ
上肢Ⅲ(痙性極期):随意的に共同運動またはその一部の要素による運動を起こすことができる状態である。共同運動パターン(屈筋共同運動・伸筋共同運動)が最も強くなる時期である。
下肢Ⅳ:坐位で足を床の後方へすべらせて、踵を90°屈曲。踵を床から離さずに随意的に足関節背屈。
・座位にて、肘関節伸展位で肩関節90°屈曲運動を指示したところ、屈曲共同運動パターンがみられた。
→本症例は、屈曲共同運動パターン(肩甲骨挙上・後退、肩関節外転・外旋、肘関節屈曲、前腕回外)が見られている。したがって、それらの拮抗筋の筋収縮促通が必要となる。
1.× 棘下筋は、肩関節外旋・上部は外転、下部は内転に働く。屈曲共同運動パターンをさらに促通する働きをする。
2.× 広背筋は、肩関節伸展・内転・内旋に働く。そのため、屈曲共同運動パターンに対する拮抗筋だと判断できかねるが、そもそも広背筋は大脳からの指令経路が両側性神経支配のため麻痺の影響が少ない。つまり、促通すべき筋の対象としては見られにくい。
3.× 大菱形筋は、肩甲骨を内上方へ引く。屈曲共同運動パターン(肩甲骨挙上)をさらに促通する働きをする。
4.× 上腕二頭筋は、肘関節屈曲、回外に働く。屈曲共同運動パターンをさらに促通する働きをする。
5.〇 正しい。上腕三頭筋は、肩関節伸展・肘関節伸展に働く。屈曲共同運動パターンに対する拮抗筋の促通が行える。
10 牽引の場面を図に示す。
直達牽引法はどれか。
解答3
解説
牽引とは、持続的に引っ張って負荷をかけることで、骨折を整復する治療法である。骨折により転位している骨を持続的に牽引することで、転位を治し整復する。①直達牽引と②介達牽引の2種類がある。①直達牽引とは、骨に直接牽引力を働かせる方法をという。②介達牽引とは、骨に直接牽引力を加えず、皮膚や筋肉を介して骨に力を加える牽引法である。皮膚に絆創膏や包帯を巻いて牽引を行う。
選択肢③が直達牽引である。選択肢③は、骨に鋼線を通しているため、介達牽引よりもより強い力で牽引でき、部位にもよるが10~15kg程度まで行える。ただ、骨に鋼線を通す時には痛みが伴い、血管損傷や神経損傷、感染のリスクも伴う。
1.× 座位での頸椎の介達牽引である。頚椎症、頚椎椎間板ヘルニアなどに適応がある。
2.× トーマス肢位での腰椎の介達牽引である。急性・慢性腰痛、腰椎椎間板ヘルニア、変形性脊椎症などに適応がある。
4.× スピードトラック牽引である。弾性包帯で圧迫固定したスポンジパッドを介した介達牽引である。
5.× 下肢の重さによって脊椎管の後方を離開している。
Q7ですが、緊張性迷路反射は腹臥位など頸部が屈曲すると上下肢が屈曲し、背臥位など頸部が伸展すると上下肢が伸展すると調べると記載してあったのですが…。
確認お願いします。
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。
いつもお世話になっております。「訂正?」依頼です。
4.× Stroop test(ストループ検査)は、認知機能評価、脳血管障害後遺症等の高次脳機能障害の評価に活用する。文字の色を声に出して、できるだけはやく読む検査である。たとえば、「青」の答えは「あお」と読むといったものである。←解説では「青」の文字が赤色のため、答えは「あか」と答えるのではないでしょうか?
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。