第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説【午前問題86~90】

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86. 改訂日本版デンバー式発達スクリーニング検査<JDDST-R>の個人-社会領域で最も早く可能になるのはどれか。

1. 手を洗ってふく。
2. 簡単なお手伝い。
3. コップから飲む。
4. 上着などを脱ぐ。
5. ビスケットを自分で食べる。

解答

解説
 改訂日本版デンバー式発達スクリーニング検査<JDDST-R>は、乳幼児の発達について『個人―社会』、『微細運動―適応』、『言語』、『粗大運動』の4領域、104項目から全体的にとらえ、評価する。

1. ×:手を洗ってふくのは、3歳~3歳半(通過率75~90%)からである。
2. ×:簡単なお手伝いは、17~19か月(通過率75~90%)からである。
3. ×:コップから飲むのは、15~16か(通過率75~90%)からである。
4. ×:上着などを脱ぐのは、2歳(通過率75~90%)からである。
5. 〇:ビスケットを自分で食べるのは、7~8か(通過率75~90%)である。

 

 

 

 

 

 

87. 帯状疱疹で正しいのはどれか。

1. 発疹は左右対称にみられる。
2. 感染後数日で発症する。
3. Koplik斑が出現する。
4. アロディニアを伴う。
5. 帯状絞扼感を伴う。

解答

解説
 帯状疱疹は、子供の頃にかかった水痘ウイルスが数十年の潜伏期間を経て、免疫力が低下した時などに再活性化(回帰感染)して起こる。赤い斑点や水痘、激しい痛みを生じる。

 

1. ×:発疹は、「左右対称」ではなく、左右どちらか一方にみられる。一般に、身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状にあらわれるのが特徴。胸から背中にかけて最も多くみられ、全体の半数以上が上半身に発症する。また、顔面、特に眼の周囲も発症しやすい部位である。
2. ×:「感染後数日」ではなく、数十年の潜伏期間を経て発症する。水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染の潜伏期は10~20日である。
3. ×:Koplik斑が出現するのは、麻疹(はしか)である。Koplik斑(コプリックはん)とは、麻疹 (はしか) 患者の大部分に現れる頬粘膜の斑点である。臼歯に対する部分に境界明瞭なやや隆起した粘膜疹ができる。
4. 〇:正しい。アロディニアを伴う。アロディニアとは、常では疼痛をもたらさない微小刺激が、すべて疼痛としてとても痛く認識される感覚異常のことである。異痛症とも呼ばれる。帯状疱疹後神経痛、糖尿病性ニューロパチー、がんの神経湿潤、片頭痛などでみられることがある。
5. ×:帯状絞扼感は伴わない。帯状絞扼感とは、脊髄の病巣部位に一致して、体幹を帯できつく締められているような痛みが出ることをいう。また動作をきっかけに、意思とは関係なく痛みを伴って激しいつっぱりが起こることがあり、これを「有痛性強直性痙攣」という。多発性硬化症によくみられる症状である。ちなみに、帯状疱疹は片側性に肋間神経や顔面神経、三叉神経の支配領域に沿う神経痛様疼痛がみられる。

 

 

 

 

88. 骨折の名称と部位との組み合わせで正しいのはどれか。

1. Bennett骨折:脛骨
2. Duverney骨折:橈骨
3. Jefferson骨折:大腿骨
4. Malgaigne骨折:骨盤
5. Smith骨折:上腕骨

解答

解説
1. ×:Bennett骨折(ベネット骨折)は、「脛骨の骨折」ではなく、母指の中手手根関節部の脱臼骨折のことである。
2. ×:Duverney骨折(デュベルニー骨折)は、「橈骨の骨折」ではなく、腸骨翼単独骨折のことである。
3. ×:Jefferson骨折(ジェファーソン骨折)は、「大腿骨の骨折」ではなく、環椎骨折のことである。
4. 〇:正しい。Malgaigne骨折(マルゲーニュ骨折)は、骨盤骨折の一形態で,前方骨盤輪骨折と後方骨盤輪骨折が合併した骨折で垂直方向にずれているものである。
5. ×:Smith骨折(スミス骨折)は、「上腕骨の骨折」ではなく、橈骨の遠位骨片が掌側に転位して、コーレス骨折と逆の変形を生じた場合をいう。

 

 

 

 

 

89. 脳血管障害に対して行われる検査で、誤っているのはどれか。

1. 頸動脈狭窄の検索に頚部MRAが用いられる。
2. 出血病変の検索にMRIのT2*(スター)強調像が用いられる。
3. 陳旧性梗塞の検索にMRIの拡散強調像が用いられる。
4. 脳塞栓の原因検索にHolter心電図が用いられる。
5. 脳動脈瘤の検索に脳血管撮影が用いられる。

解答

解説
1. 〇 正しい。MRAでは、造影剤を使用せずに脳全体に張り巡らされている血管だけを描き出すことができる。血管の一部が瘤状に盛り上がった脳動脈瘤や、動脈と静脈が直接つながってしまう動静脈奇形などを早期に発見することができる。つまり、頸動脈狭窄の検索に頚部MRAを使用する。頸部血管超音波検査も用いられることがある。
2. 〇 正しい。MRIのT2*(スター)強調像では、局所磁場の不均一に敏感で、出血性病変は常磁性体の還元ヘモグロビンや赤血球内メトヘモグロビン、超磁性体であるヘモジデリンにより、無信号で黒く表示され、出血性病変の検出能が高くなっている。つまり、出血病変の検索にMRIのT2*(スター)強調像が使用される。またCTが用いられることが多い。
3. × 誤っている。MRIの拡散強調像は、水分子の動きやすさを反映した画像である。著明な高信号は急性期脳梗塞や低酸素脳症などの細胞性浮腫を来す病変、脳膿瘍、脈絡叢嚢胞などの粘稠な液体、出血、悪性リンパ腫などの細胞密度の高い腫瘍性病変などでみられる。陳旧性梗塞の検索には、T2強調画像が用いられることが多い。
4. 〇 正しい。脳塞栓の原因検索にHolter(ホルター)心電図が用いられることが多い。ホルター心電図検査では長時間(24時間)にわたり心電図を記録する。この心電図の解析を通して日常生活における心臓の動き(拍動)を調べ、異常がないかを検査する。不整脈や狭心症などの検索に用い、脳塞栓の原因を探ることが多い。
5. 〇 正しい。脳動脈瘤の検索に脳血管撮影が用いられる。また、頸部血管超音波検査が用いられることが多い。

 

 

 

 

90. Parkinson病でみられないのはどれか。

1. 便秘
2. 運動失調
3. 動作緩慢
4. 静止時振戦
5. レム睡眠行動障害

解答

解説
 パーキンソン病は、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

2. ×:運動失調は、主に小脳の障害でみられることが多い。

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【共通問題のみ】パーキンソン病についての問題「まとめ・解説」

 

2 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
確かにおかしかったです。
修正いたしましたので、今後ともよろしくお願いいたします。

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