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71. 肩関節外転90°の時の肩甲骨上方回旋角度で正しいのはどれか。
1. 15°
2. 30°
3. 45°
4. 60°
5. 75°
解答2
解説
肩甲上腕リズムは、1944年にInmanらが初めて提唱し、以来様々な研究で検証され、現在においても上腕骨と肩甲骨の運動における基準である。肩関節外転は、肩甲上腕関節のみでは外転90~120°までしかできない。これは肩峰と烏口肩峰靭帯によって阻害されるためである。さらなる外転位を取るには、肩甲骨・鎖骨を動かすことにより可能となる。上腕骨の外転だけでなく、肩甲骨の動きを合わせて肩甲上腕リズムという。90°外転位では、「肩甲骨上方回旋が30° + 肩甲上腕関節外転が60°」となり1:2の関係となる。180°外転位も同様に、「肩甲骨上方回旋が60° + 肩甲上腕関節外転が120°」となり1:2の関係となる。
よって、選択肢2. 30°が正しい。
72. 右膝の内側面を図に示す。矢印の筋の作用で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 股伸展
2. 股内転
3. 股外旋
4. 膝伸展
5. 膝屈曲
解答3,5
解説
矢印の示す筋は、縫工筋である。作用は股関節の屈曲と外転・外旋、膝関節の屈曲と内旋である。よって、選択肢3..5 股外旋/膝屈曲が正しい。
苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓
【暗記用】下肢筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!
【PT/OT/共通】解剖・横断図についての問題「まとめ・解説」
73. 【採点除外問題】体幹の伸展かつ右回旋に作用する筋はどれか。(※解答なし)
1. 右最長筋
2. 右多裂筋
3. 右半棘筋
4. 右腰方形筋
5. 右内腹斜筋
解答 解なし
理由:選択肢において正解を得ることが困難なため。
解説
体幹の伸展は、両側の脊柱起立筋の収縮が必要になるため、右と断定している時点で正解を得ることが困難である。以下、それらの筋の働きを書く。
1. ×:最長筋は、両側作用で体幹伸展、片側作用で体幹を同側へ側屈する。回旋作用はない。
2. ×:多裂筋は、両側作用で体幹伸展、片側作用で体幹を同側へ側屈、対側へ回旋する。したがって、右多裂筋の作用は体幹の左回旋である。
3. ×:半棘筋は、両側作用で頭部・体幹伸展、片側作用で体幹を同側へ側屈、対側へ回旋する。したがって、右半棘筋の作用は体幹の左回旋である。
4. ×:腰方形筋は、同側作用で腰を反らし、片側作用で体幹を同側へ側屈する。
5. ×:内腹斜筋は、上体を同側に回す。
苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓
74. 成人の正常立位で正しいのはどれか。
1. 腰仙角は約10度である。
2. 胸椎と仙椎は前弯を示す。
3. 矢状面上における重心は仙骨の後方に位置する。
4. 矢状面における身体の重心線は足関節中心を通る。
5. 両上前腸骨棘と恥骨結合を含む面は前額面とほぼ一致する。
解答5
解説
1. ×:腰仙角とは、骨盤傾斜の指標であるL5/S1の角度である。平均143°である。ちなみに、仙骨傾斜角(水平線と第1仙椎上部を通る直線とのなす角)は、約30度が正常である。
2. ×:胸椎と仙椎は、「前弯」ではなく後弯を示す。ちなみに、頸椎と腰椎は前弯を示す。
3. ×:矢状面上における重心は、仙骨の「後方」ではなく前方(第2仙椎)に位置する。ちなみに身長の55%の高さにある。
4. ×:矢状面における身体の重心線は、「足関節中心」ではなく外果の中心から4~5cm前部(足関節前方)を通る。
5. 〇:正しい。両上前腸骨棘と恥骨結合を含む面は前額面とほぼ一致する。
75. 疾患と病理学的変化の組み合わせで正しいのはどれか。
1. Parkinson病:大脳白質の変性
2. 多発性硬化症:中枢神経の脱髄
3. Lewy小体型認知症:大脳白質の虚血
4. 筋萎縮性側索硬化症:脊髄後索の変性
5. Guillain-Barré症候群:脊髄前角の変性
解答2
解説
1. ×:Parkinson病は、「大脳白質」ではなく中脳の黒質の変性である。
2. 〇:正しい。多発性硬化症は、中枢神経の脱髄である。中枢神経系の白質のいたるところに炎症性の脱髄性病変が現れる。
3. ×:Lewy小体型認知症は、「大脳白質」ではなく後頭葉の血流低下である。Lewy小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動障害、自律神経障害などが特徴である。
4. ×:筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、「脊髄後索」ではなく、脊髄側索・前角細胞の変性である。
5. ×:Guillain-Barré症候群は、「脊髄前角の変性」ではなく、自己免疫反応による免疫・炎症性ニューロパチーである。近年、軸索を直接障害する病型ともいわれていきている。
Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。
(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)