第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説【午前問題71~75】

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71. 膝蓋骨で正しいのはどれか。

1. 関節面は外側面に比べて内側面で広い。
2. 膝関節屈曲位で可動性が高くなる。
3. 膝関節伸筋の作用効率を高めている。
4. 膝関節の屈曲にも伴い上方に引かれる。
5. 膝関節の伸展に伴い接触面は上方に移動する。

解答

解説
1. ×:逆である。関節面は、内側面に比べて外側面で広い。
2. ×:膝関節「屈曲位」ではなく、伸展位で可動性が高くなる。なぜなら、膝蓋骨は屈曲に伴い大腿骨の下方(遠位)および後方(大腿骨側)に移動し、顆間窩に挟まれるよう固定されるため。
3. 〇:正しい。膝関節伸筋の作用効率を高めている。なぜなら、膝蓋骨は大腿四頭筋腱を前方へ変位させ、アームを長くしているため。
4. ×:膝関節の屈曲にも伴い、「上方」ではなく下方(および後方)に引かれる。
5. ×:膝関節の伸展に伴い接触面は、「上方」ではなく下方に移動する。ちなみに、膝蓋骨は上方に移動する。

 

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【共通のみ】膝関節の構造についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

72. 膝関節の運動で正しいのはどれか。

1. 側副靭帯は屈曲時に緊張する。
2. 関節包の後面は前面に比べて伸縮性が高い。
3. 半月板の内外縁とも遊離して可動性に関与する。
4. 大腿骨の脛骨上の転がり運動は、最終可動域まで見られる。
5. 大腿骨の脛骨上の転がり運動は外側顆部の方が内側顆部より大きい。

解答

解説
1. ×:側副靭帯は、外側・内側側副靭帯ともに伸展時に緊張する。屈曲時に弛緩する。
2. ×:関節包の後面は、前面に比べて伸縮性が、「高い」のではなく低い。前面の方が伸縮性は高い。なぜなら、後方関節包は伸展位で緊張し過伸展を制限する必要があり、また前方関節包は屈曲時に高い伸縮性を要するため。
3. ×:両側の半月板は、「内外縁とも遊離している」のではなく、内縁のみ遊離しており可動性に関与する。ちなみに、外縁は関節包に付着している(わち様のコメントより)。また、内側半月板は内側側副靱帯に固定され、外側半月板は外側側副靱帯から遊離して可動性を持つ(まあ様のコメントより)。
4. ×:大腿骨の脛骨上の転がり運動は、最終可動域ではみられない。初期に転がり運動がみられ、最終域周辺では滑り運動のみである。
5. 〇:正しい。大腿骨の脛骨上の転がり運動は、外側顆部の方が内側顆部より大きい。なぜなら、大腿骨の脛骨上の運動は半月板が関与し、外側半月板は内側半月板より移動量が大きいため。

 

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【共通のみ】膝関節の構造についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

73. 腰椎への負荷が大きい順に並んでいるのはどれか。(解答 2つ)

1. A>B>C
2. A>C>B
3. B>A>C
4. B>C>A
5. C>B>A

解答 3/4(複数選択肢を正解として採用)
理由:複数の正解があるため

解説
 不適切問題に近い。椎間板内圧と限定すると、選択肢4の「B>C>A」となるが、問題文では、腰椎となっている。「腰椎」だけだと、どこを指しているか不明である。例えば、椎間関節などの後方支持要素の場合では姿勢による負荷の加わり方が、前方支持要素とでは異なる。脊柱管狭窄症に大きく関与する硬膜外圧についても、体幹の前屈によって低下する。よって、3もしくは4で限定できない。
 ちなみに、体位による椎間板内圧の変化をみると、立位を100としたとき、座位は140、前傾座位は185となる。

 

 

 

 

 

74. 努力性呼気時に働く筋はどれか。2つ選べ。

1. 腹直筋
2. 横隔膜
3. 外肋間筋
4. 内肋間筋
5. 胸鎖乳突筋

解答1,4

解説
 努力性呼気に働く筋は、内肋間筋、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋などがある。

 よって解答は、選択肢1. 腹直筋選択肢4. 内肋間筋である。

 

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【暗記用】体幹筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

 

 

 

 

75. 病原体と腫瘍発生との組み合わせで誤っているのはどれか。

1. A型肝炎ウイルス:肝細胞癌
2. Epstein barrウイルス:Burkittリンパ腫
3. HTLV-Ⅰ:成人T細胞白血病
4. ヒトパピローマウイルス:子宮頸癌
5. ヘリコバクター・ピロリ菌:胃癌

解答

解説

1. ×:A型肝炎ウイルスは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残される。つまり、慢性化しないため癌化しない。HAVは糞便中に排泄され、糞口感染で伝播するので、 患者の発生は衛生環境に影響されやすい。主な感染源は、牡蠣などの海産物に多い。肝細胞癌の原因には、その約90%が肝炎ウイルス、すなわちB型やC型肝炎ウイルスが関与し、その内訳はC型肝炎ウイルス(HCV)が約70%、B型肝炎ウイルス(HBV)が約20%である。
2. 〇:正しい。Epstein barrウイルスは、Burkittリンパ腫である。
3. 〇:正しい。HTLV-Ⅰは、成人T細胞白血病である。主に母乳を介して母子感染し潜伏期を経た後、発症する。
4. 〇:正しい。ヒトパピローマウイルス(16,18型)は、子宮頸癌である。
5. 〇:正しい。ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃癌である。感染した胃は萎縮性胃炎、腸上皮化正などを経て、胃がんに至る。

癌の発生病理と関係のある感染症

①肝細胞癌:B型、C型肝炎ウイルス
②子宮頸癌:ヒトパピローマウイルス(16,18型)
③上咽頭癌:Burkittリンパ腫、NK細胞リンパ腫:Epstein barrウイルス
④胃癌:ヘリコバクター・ピロリ菌
⑤胆管癌:肝吸虫

 

4 COMMENTS

まあ

72番の3番の解説なのですが、某参考書には、内側半月板は内側側副靱帯に固定され、外側半月板は外側側副靱帯から遊離して可動性を持つとあります。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
わち

初めまして。福岡のPTsです。いつも参考にさせて頂いております。ありがとうございます。
1点、ご質問させて頂きます。

72番の3番の解説ですが、内側半月板・外側半月板と個別で考えるのはなく、
単体として見ているのでは?と思いました。
半月板の内縁は遊離していますが、外縁は関節包に付着しています。
そのため、選択肢の「半月板の内外縁とも遊離して可動性に関与する。」は誤りで、内縁のみ遊離するということではないでしょうか?

ご検討よろしくお願い致します。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
わち様視点の解き方も素晴らしいと思います。
以前にも違う方からコメントいただいていたので、お二人の解説を残しておきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

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