第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説【午前問題61~65】

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61. 遺伝情報伝達で正しいのはどれか。

1. リボゾームRNAはATP産生に関与する。
2. DNAではアデニンはシトシンと結合している。
3. 核の中のすべてのDNAの塩基配列をゲノムという。
4. DNAから転移RNA<tRNA>に塩基配列が転写される。
5. 伝令RNA<mRNA>上では2個の塩基の組み合わせが1つの暗号の単位を形成する。

解答

解説

1. ×:リボゾームRNAは、遺伝子情報をもとに、タンパク質を合成する場所である。ATP産生に関与するのは、ミトコンドリアである。
2. ×:DNAではアデニンはチミンと、グアニンはシトシンと結合している。
3. 〇:正しい。核の中のすべてのDNAの塩基配列をゲノムという。ゲノムとは、一つの細胞、または生物が持つすべての遺伝子情報のことである。ヒトゲノムは、23本の染色体に含まれるDNAの遺伝情報全体のことを指す。
4. ×:DNAから塩基配列が転写されるのは、「転移RNA<tRNA>」ではなく、伝令RNA<mRNA>である。
5. ×:伝令RNA<mRNA>上では、「DNAと同じく2個の塩基の組み合わせ」ではなく、3個の塩基の組み合わせが1つの暗号(コドン)の単位を形成する。そのとき、RNAはチミンがなく、代わりにウラシルがある。

 

 

 

 

62. 骨格筋の筋収縮で正しいのはどれか。

1. 筋小胞体にはNa+を貯蔵している。
2. 活動電位は筋収縮に遅れて発生する。
3. Ca2+が筋小胞体に取り込まれると筋収縮が起こる。
4. ミオシン頭部の角度が戻るときにATPの加水分解が起こる。
5. 神経筋接合部での興奮の伝達は神経と筋との間で双方向性である。

解答

解説

1. ×:筋小胞体には、「Na+」ではなくCa2+を貯蔵している。
2. ×:活動電位は、「筋収縮に遅れて」ではなく、筋収縮前に発生する。
3. ×:Ca2+が筋小胞体に、「取り込まれる」ではなく、筋小胞体からCa2+放出されると筋収縮が起こる。そのときに、トロポニンと結合する。
4. 〇:正しい。ミオシン頭部の角度が戻るときにATPの加水分解が起こる。ATPのエネルギーを使って、ミオシン頭部が首を振る。ATPが加水分解されると、ミオシン頭部は元の角度に戻る。
5. ×:神経筋接合部での興奮の伝達は神経と筋との間で、「双方向性」でなく一方向である。

類似問題です↓
【PT/共通】筋収縮の機序についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

63. 左上肢の感覚と伝導路が通る部位との組み合わせで正しいのはどれか。

1. 圧覚:左脊髄前索
2. 位置覚:右脊髄後索
3. 温覚:右脊髄後索
4. 振動覚:左脊髄側索
5. 痛覚:右脊髄側索

解答

解説

1. ×:粗大な触圧覚は、前脊髄視床路を通る。つまり、「左」ではなく右脊髄前索を通る。
2. ×:意識できる位置覚は、「右」ではなく左脊髄後索を通る。
3. ×:温覚は、右脊髄の「後索」ではなく側索を通る。
4. ×:振動覚は、左脊髄の「側索」ではなく後索を通る。
5. 〇:正しい。痛覚は、外側脊髄視床路であり、右脊髄側索を通る。

温痛覚の伝導路

感覚神経→脊髄後角→対側前角→外側脊髄視床路→後外側腹側核(視床)→後脚→大脳皮質体性感覚野となる。

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

神経伝導路を1から分かりやすく解説します。

 

 

 

 

 

64. 交感神経の機能で正しいのはどれか。

1. 膵液分泌を促進する。
2. 心収縮力を減少させる。
3. 直腸平滑筋を収縮させる。
4. 水晶体の厚さを減少させる。
5. 肝臓でのグリコーゲン合成を促進する。

解答

解説

1. ×:膵液分泌を「促進」ではなく減少させる。
2. ×:心収縮力を「減少」ではなく増加させる。
3. ×:直腸平滑筋を「収縮」ではなく弛緩させる。
4. 〇:正しい。水晶体の厚さを減少させる。ちなみに、交感神経刺激により毛様体が弛緩し、チン小帯が収縮することによって水晶体が引っ張られ薄くなる。
5. ×:肝臓でのグリコーゲン合成を「促進」ではなく減少させる。

 

 

 

 

65. 心筋の再分極に最も影響するのはどれか。

1. Ca2+電流
2. K+電流
3. Na+電流
4. 細胞外電流
5. ペースメーカー電流

解答

解説
①隣接する細胞が興奮すると、静止膜電位がプラスに向かい、Na+チャンネルが開き、大量のNaが細胞内に流入する。
②Na+が大量に流れ込むため、膜電位は急峻に上昇する。分極していた細胞内外が極性を失うので脱分極という。
③活動電位となった細胞内にはNa+に引き続きCa2+チャンネルが開いて、Ca2+が入ってくる。Ca2+は心筋収縮の引き金の役割とともに、プラスイオンの性質から活動電位の持続にも貢献する。
④活動電位から静止電位に戻るために、K+チャンネルが開いて、細胞内に多いK+が、細胞外に出ていく。結果的にプラスイオンを減らした細胞内は静止電位まで下がる。再び分極するので、再分極という。よって、心筋の再分極に最も影響するのは、選択肢2. K+電流が正しい。

活動電位一覧
  • Na+:活動電位発生時の急速な脱分極。
  • Ca2+:脱分極の維持(プラトー)に関わる。
  • K+:再分極の際に関わる。

 

2 COMMENTS

匿名

63の問題で回答4は右の脊髄側索となっていますが、左脊髄後索ではないですか?

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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