第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説【午前問題66~70】

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66. 末梢組織への酸素供給を増やすのはどれか。

1. pHの低下
2. 体温の低下
3. PCO2の低下
4. 赤血球数減少
5. ヘモグロビン濃度減少

解答

解説
 末梢組織への酸素供給について、ボーア効果というものを覚えておく。ボーア効果とは、血液内の二酸化炭素量の変化による赤血球内のpHの変化によりヘモグロビンの酸素解離曲線が移動すること。ヘモグロビンの酸素解離曲線がpHの低下や温度上昇などの変化によって右方変移することで、末梢の酸素を解離しやすくなり、pHの上昇や温度低下などで左方偏移することで結合しやすくなる効果である。

1. 〇:正しい。pHの低下で末梢組織への酸素供給を増やす。
2. ×:体温の低下で、末梢組織への酸素供給は減少する。
3. ×:PCO2の低下で、末梢組織への酸素供給は減少する。
4. ×:赤血球数減少で、末梢組織への酸素供給は減少する。
5. ×:ヘモグロビン濃度減少で、末梢組織への酸素供給は減少する。

 

 

 

 

67. 摂食嚥下の咽頭期に生じる現象で正しいのはどれか。

1. 吸気
2. 咀嚼
3. 喉頭蓋反転
4. 鼻咽腔開放
5. 輪状咽頭筋収縮

解答

解説

嚥下の過程

①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。

1. ×:咽頭期では、吸気(呼吸)は一時停止(嚥下時無呼吸)する。なぜなら、気道に食塊が流入するのを防ぐため。
2. ×:咀嚼を行うのは、「咽頭期」ではなく準備期(嚥下前)である。
3. 〇:正しい。喉頭蓋反転とは、喉頭蓋が反転して気管への通路が喉頭を閉鎖することをいう。咽頭期で起こる。
4. ×:咽頭期では、鼻咽腔を閉鎖する。なぜなら、食塊が鼻腔へ流れるのを防ぐため。
5. ×:咽頭期では輪状咽頭筋は、「収縮する」のではなく弛緩する。蠕動運動と舌根部の働きにより形成された咽頭内圧により食塊は食道へ送られる。

 

 

 

 

68. 集合管における尿の濃縮に関わるホルモンはどれか。

1. グルカゴン
2. メラトニン
3. オキシトシン
4. パラトルモン
5. アルドステロン

解答

解説
1. ×:グルカゴンは、膵臓から産生され血糖を上昇させる作用を持つ。
2. ×:メラトニンは、松果体から産生され、体内時計を調整する作用(睡眠ホルモン)を持つ。
3. ×:オキシトシンは、下垂体後葉から産生され射乳、子宮収縮に作用を持つ。
4. ×:パラトルモンは、副甲状腺ホルモンとも呼ばれ、副甲状腺から分泌されるホルモン。血液中のカルシウムの濃度を維持する作用があり、骨に働いてカルシウムを放出させ、腎臓に働いてその再吸収を亢進させる作用を持つ。
5. 〇:正しい。アルドステロンは、副腎皮質から産生され集合管における尿の濃縮に関わるホルモンである。他の作用として、血圧上昇、K排泄促進、Na再吸収促進作用を持つ。

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【共通のみ】ホルモンについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

69. 代謝で誤っているのはどれか。

1. 呼吸商<RQ>は摂取する栄養素によって異なる。
2. 特異動的作用<SDA>とは食物摂取後の体温上昇である。
3. 基礎代謝量<BM>は同性、同年齢なら体表面に比例する。
4. エネルギー代謝率<RMR>は基礎代謝量を基準とした運動強度である。
5. 代謝当量<MET>は安静臥位時の代謝量を基準とした運動強度である。

解答

解説
1. 〇:正しい。呼吸商<RQ>は、摂取する栄養素によって異なる。呼吸商とは、単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。呼吸商は栄養素によって異なり、ブドウ糖が1.0タンパク質は約0.8脂質が0.7である。
2. 〇:正しい。特異動的作用<SDA>とは、食物摂取後の体温上昇である。通常、どのような食事をしても熱産生の亢進が起こり、これを特異動的作用<SDA>という。ちなみに、脂質に比べてタンパク質の方が特異動的作用<SDA>は大きい。
3. 〇:正しい。基礎代謝量<BM>は、同性・同年齢なら体表面に比例する。基礎代謝量は体重、体表面積、性と年齢などの要因に依存する。
4. 〇:正しい。エネルギー代謝率<RMR>は、基礎代謝量を基準とした運動強度である。エネルギー代謝率は活動による代謝量の増加が基礎代謝量の何倍であるかを表す。※基礎代謝率 = (作業時の代謝量 - 安静時の代謝量) ÷ 基礎代謝量で表す。
5. ×:代謝当量<MET>は、「安静臥位時」ではなく安静座位時の代謝量を基準とした運動強度である。ある郷土の運動時における代謝量が、安静座位の時の代謝量の何倍に相当するかを表す。

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【共通のみ】代謝(計算式)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

70. 肩甲骨を胸郭に押し付ける作用のある筋はどれか。

1. 大胸筋
2. 広背筋
3. 前鋸筋
4. 鎖骨下筋
5. 肩甲挙筋

解答

解説
1. ×:大胸筋は、肩関節を内転・内旋する。胸骨部は肩関節を屈曲する。腹部は肩を下げるときにも働く。なお、手を壁につけているときのように上肢が固定されているとき、または腕を前にあげて深呼吸するときなどに胸郭を上げて吸息を補助する。
2. ×:広背筋は、肩関節を伸展・内転・多少内旋する。
3. 〇:正しい。前鋸筋は、肩甲骨を胸郭に押し付ける作用がある。他にも下2/3は下角を前に引いて肩甲骨を外方に外旋し、上腕の屈曲と外転を補助する。最上部は肩甲骨をやや引き上げる作用を持つ。
4. ×:鎖骨下筋は、鎖骨を下方に引く。
5. ×:肩甲挙筋は、肩甲骨を上内方に引く。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】体幹筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

2 COMMENTS

匿名

国家試験勉強の参考にいつも活用させてもらってます。
70番の選択肢2の広背筋の作用は外旋ではなく内旋ではないでしょうか?
確認よろしくお願いします。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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