【PT/共通】筋収縮の機序についての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

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【PT/共通】骨格筋、筋収縮、運動単位についての問題「まとめ・解説」

目次 非表示

PT専門

51回 午前35

35 筋疲労時にみられるのはどれか。

1. 乳酸の減少
2. ADP濃度の増加
3. グリコーゲンの増加
4. 筋形質中のpHの上昇
5. 小胞体のカルシウムイオン取り込みの増加

解答2

解説

筋収縮の機序

【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)

1.× 乳酸の「減少」ではなく増加(蓄積)する。なぜなら、嫌気性解糖の亢進のため。嫌気性代謝閾値(AT)とは、運動時に有酸素運動から無酸素運動へと切り替わる運動強度の閾値のことである。つまり、筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなり、血液中の乳酸が急激に増加し始める強度の値である。
2.〇 正しい。ADP濃度は増加する。なぜなら、筋収縮により大量のATPが分解されるため。ADP(アデノシン二リン酸)とは、ATP分解酵素の働きによってATPが加水分解すると、ひとつのリン酸基がはずれたものをさす。その際にエネルギーを放出し、このエネルギーを使って筋の収縮が行われる。筋線維の中に蓄えられているATPの量はわずかなので、激しい運動では短時間で使い果たしてしまう。
3.× グリコーゲンは「増加」ではなく減少する。なぜなら、グルコースが嫌気性解糖により分解され、乳酸が蓄積することで筋疲労となるため。
4.× 筋形質中のpHは「上昇」ではなく低下する。なぜなら、筋疲労時には乳酸が蓄積するため。乳酸とは、カラダを動かすエネルギーを作るため糖を分解している際にできる生成物で、その名の通り酸性である。
5.× 小胞体のカルシウムイオン取り込みは「増加」ではなく低下する。筋収縮によりADPなどが増加し、それによりCa2+-ATPaseの活性が低下するため。Ca2+-ATPaseは、筋肉の小胞体膜にあり、Ca2+放出によって収縮した筋線維からCa2+を小胞体の中に回収し、筋肉を弛緩させる。

酸塩基平衡

血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。

 

 

 

55回 午前62

62.骨格筋の筋収縮において筋小胞体から放出されたCa2+が結合するのはどれか。

1.アクチン
2.ミオシン
3.トロポニン
4.オグロビン
5.トロポミオシン

解答
解説

筋収縮の機序

①筋小胞体から放出されたCa2+トロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

よって、選択肢3.トロポニンが正しい。

 

1.× アクチンは、アクチンフィラメントを構成する。
2.× ミオシンは、ミオシンフィラメントを構成する。
4.× オグロビンは、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。
5.× トロポミオシンは、アクチンの働きを調節する繊維状のアクチン結合タンパク質である。 

 

 

 

 

58回 午前26

26.筋収縮で正しいのはどれか。

1.骨格筋の最大収縮時には筋細胞の長さが約10%短くなる。
2.アクチンフィラメントはミオシンフィラメントより太い。
3.筋小胞体からのK+放出により筋収縮が開始される。
4.ATPを分解する酵素はアクチンに存在する。
5.筋収縮時にH帯は短くなる。

解答

解説

筋収縮の機序

【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)

1.× 骨格筋の最大収縮時には筋細胞の長さは、「約10%」ではなく約40%短くなる。このとき、すべての筋節の長さは一様に減少する。
2.× アクチンフィラメントは、ミオシンフィラメントより「太い」のではなく細い。アクチンフィラメントの直径は約7nm、ミオシンフィラメントの直径は約12~15nmである。
3.× 筋小胞体からの「K+」ではなくCa2+放出により筋収縮が開始される。その後、カルシウムイオンはトロポニンと結合し、その立体構造を変えてトロポミオシンをアクチンのミオシン結合部位から引き離す。ちなみに、カリウムイオン(K+)は、細胞内液で最も多い陽イオンである。
4.× ATPを分解する酵素は、「アクチン」ではなくミオシン(頭部)に存在する。ミオシン頭部は、こぶしをつくって腕を曲げたような形でアクチンと結合している。ATPがやってくると、ATPはミオシン頭部のATP分解酵素部位と結合する。ちなみに、ATPを分解する酵素(ATPアーゼ)は、ATPを加水分解してエネルギーを放出し、筋収縮に必要な力を生成する。
5.〇 正しい。筋収縮時にH帯は短くなる。H帯はA帯中央の明るい部分(ミオシンのみからなる部分)である。H帯とI帯はほとんど消失する。これは収縮に伴って細いフィラメントがA帯中に滑り込むことを意味する。

 

 

59回 午前23

23 筋収縮で正しいのはどれか。

1.神経筋接合部の伝達物質はノルアドレナリンである。
2.カルシウムイオンが筋小胞体内に取り込まれる。
3.神経支配比はそれぞれの筋で異なる。
4.エネルギー源はADPである。
5.A帯が短縮する。

解答

解説

筋収縮の機序

【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)

1.× 神経筋接合部の伝達物質は、「ノルアドレナリン」ではなくアセチルコリンである。アセチルコリンとは、代表的な神経伝達物質であり、①運動神経の神経筋接合部、②交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで放出される。アセチルコリンは、中枢神経で働く場合と末梢神経で働く場合で作用が異なる。①運動神経の神経筋接合部では、筋収縮に作用する。
2.× カルシウムイオンが筋小胞体内に「取り込まれる」のではなく放出される(筋収縮時)。カルシウムイオンが筋小胞体内に「取り込まれる」のは筋弛緩時である。筋肉が収縮するメカニズムは、活動電位が発生し、横行小管が脱分極し、筋小胞体からカルシウムイオンが放出されることによって起こる。カルシウムイオンの濃度が上昇すると、トロポニンCと結合し、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが相互作用して、骨格筋が収縮する。
3.〇 正しい。神経支配比はそれぞれの筋で異なる。1つの運動神経が支配する筋線維の数が少なく、神経支配比は小さい。運動単位当たりの筋線維数は、上腕二頭筋:750、虫様筋:110である。運動単位とは、1つの運動神経が支配する筋線維のことである。筋によって支配する線維の数は異なる。
①粗大運動を行う筋:神経支配比が大きく、運動単位は大きい。
②精巧な運動を行う筋:神経支配比が少なく、運動単位は小さい。
ちなみに、神経支配比とは、1つの運動神経が支配する筋線維の数のことをいう。
4.× エネルギー源は、「ADP」ではなくATPである。なぜなら、頭部首振り運動に、ATPエネルギーを利用する必要があるため。ADP(アデノシン二リン酸)とは、ATP分解酵素の働きによってATPが加水分解すると、ひとつのリン酸基がはずれたものをさす。その際にエネルギーを放出し、このエネルギーを使って筋の収縮が行われる。筋線維の中に蓄えられているATPの量はわずかなので、激しい運動では短時間で使い果たしてしまう。
5.× 「A帯」ではなくI帯が短縮する。A帯(暗帯)とは、ミオシンフィラメントがある部分で、アクチンフィラメントと重なり合っている。筋収縮のメカニズム(滑り説)では、アクチンフィラメントがミオシンフィラメント側に滑り込むことで収縮が生じる。この際に短縮するのはアクチンフィラメントのみの部分であるI帯(明帯)である。

心筋の収縮のメカニズム

①隣接する細胞が興奮すると、静止膜電位がプラスに向かい、Na+チャンネルが開き、大量のNaが細胞内に流入する。
②Na+が大量に流れ込むため、膜電位は急峻に上昇する。分極していた細胞内外が極性を失うので脱分極という。
③活動電位となった細胞内にはNa+に引き続きCa2+チャンネルが開いて、Ca2+が入ってくる。Ca2+は心筋収縮の引き金の役割とともに、プラスイオンの性質から活動電位の持続にも貢献する。
④活動電位から静止電位に戻るために、K+チャンネルが開いて、細胞内に多いK+が、細胞外に出ていく。結果的にプラスイオンを減らした細胞内は静止電位まで下がる。再び分極するので、再分極という。

 

 

 

共通問題

48回 午前61

61 骨格筋の興奮収縮連関について正しいのはどれか。

1.筋小胞体からMg2+が放出される。
2.横行小管の中をCa2+が運搬される。
3.アクチンフィラメントのATPが加水分解を生じる。
4.筋線維膜の電位依存性Na+チャネルが開いて脱分極が生じる。
5.トロポニンが移動してミオシンフィラメントの結合部位が露出する。

解答4

解説

1.× 筋小胞体から、「Mg2+」ではなくCa2+が放出される。横行小管(T管)から伝わった脱分極電位により筋小胞体から、Ca2+が放出される。一般的な筋収縮は、細胞外からもしくは、筋小胞体から放出されるCa2+に依存する。
2.× 横行小管(T管)の中を、「Ca2+が運搬される」のではなく、細胞膜で発生した刺激が移動し筋小胞体へと伝わる。
3.× 「アクチンフィラメント」ではなくミオシンフィラメントのATPが加水分解を生じる。
4.〇 正しい。筋線維膜の電位依存性Na+チャネルが開いて脱分極が生じる。活動電位の発生には、Na+が関与する。
5.× 「トロポニン」ではなく「トロポミオシン」が移動してミオシンフィラメントの結合部位が露出する。ちなみに、トロポニンとは、心筋に特異的に含まれる物質で、心筋が障害を受けたときに血液中で増える物質で、筋収縮の機序としては、①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。

筋収縮の機序

①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

 

 

 

54回 午前62

62. 骨格筋の筋収縮で正しいのはどれか。

1. 筋小胞体にはNa+を貯蔵している。
2. 活動電位は筋収縮に遅れて発生する。
3. Ca2+が筋小胞体に取り込まれると筋収縮が起こる。
4. ミオシン頭部の角度が戻るときにATPの加水分解が起こる。
5. 神経筋接合部での興奮の伝達は神経と筋との間で双方向性である。

解答

解説

1. ×:筋小胞体には、「Na+」ではなくCa2+を貯蔵している。
2. ×:活動電位は、「筋収縮に遅れて」ではなく、筋収縮前に発生する。
3. ×:Ca2+が筋小胞体に、「取り込まれる」ではなく、筋小胞体からCa2+放出されると筋収縮が起こる。そのときに、トロポニンと結合する。
4. 〇:正しい。ミオシン頭部の角度が戻るときにATPの加水分解が起こる。ATPのエネルギーを使って、ミオシン頭部が首を振る。ATPが加水分解されると、ミオシン頭部は元の角度に戻る。
5. ×:神経筋接合部での興奮の伝達は神経と筋との間で、「双方向性」でなく一方向である。

 

 

56回 午前62

62 骨格筋について正しいのはどれか。

1.活動電位は筋収縮に遅れて発生する。
2.伸張反射の感覚受容器は筋紡錘である。
3.筋に単一刺激を加えると強縮が生じる。
4.神経筋接合部にはアドレナリン受容体が分布する。
5.筋小胞体から放出されたNa+がトロポニンに結合する。

解答

解説

筋収縮の機序

①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

1.× 活動電位は、「筋収縮に遅れて」ではなく筋収縮前に発生する。活動電位が先行し、筋細胞に加わり閾値を超えることで筋収縮が発生する。
2.〇 正しい。伸張反射の感覚受容器は筋紡錘である。伸張反射は単シナプス反射である。筋紡錘が伸張されることにより、運動神経を興奮させ筋を収縮させる。
3.× 筋に単一刺激を加えると、「強縮」ではなく、単収縮が生じる。単収縮が加重し融合すると収縮力の大きな強縮となる。
4.× 神経筋接合部には、「アドレナリン受容体」ではなくアセチルコリン受容体が分布する。ちなみに、神経筋接合部における抗アセチルコリン受容体抗体によって引き起こされる神経筋疾患が重症筋無力症である。また、アドレナリン受容体は、主に血管心筋の神経接合部に存在している。
5.× 筋小胞体から放出された「Na+」ではなくCa2+が、トロポニンに結合する。その後、ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こり、アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

 

 

 

 

57回 午前61

61 骨格筋の収縮について誤っているのはどれか。

1.筋小胞体はCa2+を貯蔵している。
2.活動電位は筋収縮に先行して発生する。
3.神経筋接合部にはニコチン受容体が分布する。
4.支配神経に単一の刺激を加えると強縮が起こる。
5.単収縮が連続して起こると階段現象がみられる。

解答

解説

筋収縮の機序

①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

1.〇 正しい。筋小胞体はCa2+を貯蔵している。筋収縮の機序として、筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。その後、ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こり、アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。
2.〇 正しい。活動電位は筋収縮に先行して発生する。活動電位が先行し、筋細胞に加わり閾値を超えることで筋収縮が発生する。
3.〇 正しい。神経筋接合部にはニコチン受容体が分布する。神経筋接合部には、アセチルコリン受容体が分布する。ニコチン受容体は、アセチルコリン受容体の1種である。ニコチン性アセチルコリン受容体(ニコチン受容体)に作用してアセチルコリンと同様の効果をしめす。ちなみに、神経筋接合部における抗アセチルコリン受容体抗体によって引き起こされる神経筋疾患が重症筋無力症である。また、アドレナリン受容体は、主に血管や心筋の神経接合部に存在している。
4.× 支配神経に単一の刺激を加えると「強縮」ではなく、「単収縮」が起こる。単収縮が加重し融合すると収縮力の大きな強縮となる。
5.〇 正しい。単収縮が連続して起こると階段現象がみられる。階段現象とは、筋に対し同じ強さの刺激を一定頻度以上で与えると、単収縮が連続して重なり合うように起こり、筋収縮が階段状に強くなる現象のことである。

 

 

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