第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説【午前問題21~25】

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21. 治療についてのインフォームドコンセントで適切なのはどれか。

1. 治療者は専門用語で説明する。
2. 患者の同意内容は文書で保存する。
3. 治療者は患者の要求があってから説明する。
4. 判断能力に関わらず患者の決定が優先される。
5. 患者は正当な理由がなければ同意を撤回できない。

解答

解説

インフォームドコンセントとは?

 インフォームドコンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味し、医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を決定し、同意のうえで医療を行うことを指す。

1. ×:治療者はなるべく専門用語を使用せず、患者が自ら治療方針を選択できるよう分かりやすい言葉で説明する。
2. 〇:正しい。患者の同意内容は文書で保存する。なぜなら、文章で内容を明示することで、患者側の理解も得やすく確認できるようになるため。
3. ×:治療者は患者の要求がある・なしに関わらず、十分な説明を受けたうえでの医療となる。
4. ×:必ずしも、判断能力に関わらず患者の決定が優先されるとは限らない。なぜなら、言語理解が困難な場合(同意能力が欠如している場合)は、無理に(誘導しながら)本人と同意を得ると後々家族や親族とトラブルになりかねないため。患者に意識障害があったり、認知症などのために判断能力(意思能力)を欠くために、患者自身の意思が確認できない場合は、家族など代理人の同意にて実施される。
5. ×:患者は正当な理由がなくても同意を撤回できる。患者は一度同意しても、無条件でいつでも同意を撤回できる

 

 

 

 

 

22. SOAPで正しいのはどれか。

1. Oには患者の訴えを記載する。
2. Sには検査データを記載する。
3. Pには検査結果の解釈を記載する。
4. 問題志向型診療記録として記載する。
5. Aには理学療法プログラムを記載する。

解答

解説

SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは?

SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。

  • S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
  • O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
  • A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
  • P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)

で、経過を記録する。

1. ×:O(objective)には、「患者の訴え」ではなく検査的データ(客観的データ)を記載する。患者の訴えは、Sである。
2. ×:S(subjective)には、「検査データ」ではなく主観的データを記載する。検査データ(客観的データ)は、Oである。
3. ×:P(plan)には、「検査結果の解釈」ではなく計画を記載する。検査結果の解釈は、Aである。
4. 〇:正しい。問題志向型診療記録として記載する。
5. ×:A(assessment)には、「理学療法プログラム」ではなく評価(SとOからそれぞれの問題点についての解釈)を記載する。理学療法プログラムは、Pである。

 

 

 

 

 

23. 固定負荷にて行う運動負荷試験はどれか。

1. Bruce法
2. ランプ負荷法
3. 6分間歩行テスト
4. マスターシングルテスト
5. シャトルウォーキングテスト

解答

解説

運動負荷試験について

主に負荷の種類として3種類ある。

  1. 単一水準定量負荷試験(固定負荷法):一定強度の運動を一定時間負荷する方法。等尺性負荷試験(ハンドグリップ法)やマスター2段階試験(Master two step test)があり、トレッドミルや自転車エルゴメーターによる一定強度負荷も可能。
  2. Ramp負荷試験(連続的多段階負荷法):数秒から1分以内で負荷強度を少しずつ増やすことにより、ほぼ直線的に負荷強度を増加させる方法。この方法の特徴は、無酸素性作業閾値(AT)を求める負荷法として、主に心肺運動負荷試験(CPX)に用いられる。
  3. 多段階負荷試験:トレッドミルや自転車エルゴメーターを用いて運動強度を一定時間ごとに増加させる方法で、Astrand法やBruce法(ブルース法)が有名。

1. ×:Bruce法(ブルース法)は、多段階負荷試験法として用いられる。
2. ×:ランプ負荷法(Ramp負荷試験)は、連続的多段階負荷法として用いられる。
3. ×:6分間歩行テストは、長く平坦な30mの直線コースをできるだけ速く歩く。途中で息切れしたり、疲れたりするとペースを落としても、必要なら立ち止まって休むこともできるため、負荷の種類としてはどれにも当てはまらない。運動耐容能を評価する方法であり、固定運動負荷法の変法に位置づけられることがある。
4. 〇:正しい。マスターシングルテスト(Master two step test)は、固定負荷法で、高さ9インチ(約23㎝)の凸型階段を5歩で昇降するのを1回と数えて、年齢、性、体重で決められた回数を1分30秒で行う。3分間で行うのがマスターダブルである。
5. ×:シャトルウォーキングテストは、10mのコースを信号音に合わせて歩行するテストである。多段階負荷試験である。

シャトルウォーキングテストとは?

 シャトルウォーキングテストは、平坦な場所に1周10mの測定コースを設け、コースの両端から50cm程度の位置にターンのためのカラーコーンなどを置き、対象者に発信音によるペースに合わせて往復歩行させる。30m/分の歩行速度から開始し、発信音によるペースは10m/分ずつ増加する。ペースに合わせられなくなり、コーン手前50cmに到達できなくなったら測定を中止する。

 

 

 

 

 

 

24. 関節可動域測定法(日本整形外科会、日本リハビリテーション医学会基準による)で足部の内返しを測定する。基本軸と移動軸の組み合わせで正しいのはどれか。

1. 下腿軸への垂直線:足底面
2. 下腿軸への垂直線:足背面
3. 腓骨への垂直線:足底面
4. 腓骨への垂直線:足背面
5. 腓骨への垂直線:第5中足骨

解答

解説
足部の内返しは、【基本軸】(前額面における)下腿軸への垂直線、【移動軸】足底面である。なお、測定肢位は膝関節屈曲位で行う。よって、選択肢1.下腿軸への垂直線:足底面が正しい。ちなみに、(矢状面における)腓骨長軸への垂直線は足関節底背屈の基本軸である。足関節底背屈の移動軸は、2022年改定で、「第5中足骨」→「足底面」と変更となった。足背面の使用はない。

 

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25. 関節可動域が正常な患者に対し、Danielsらの徒手筋力テストの段階5の検査で、軽度屈曲位で抵抗を加えるのはどれか。

1. 肩関節伸展
2. 肘関節伸展
3. 手関節伸展
4. 股関節伸展
5. 頚部複合伸展

解答

解説
1. ×:肩関節伸展は、腹臥位・肩関節内旋位・肘関節伸展位で行う。
2. 〇:肘関節伸展は、肘関節のロックを防ぐため軽度肘関節屈曲位で行う。
3. ×:手関節伸展は、手関節を偏位しないよう真上に伸展する。
4. ×:股関節伸展は、腹臥位・股関節中間位で行う。
5. ×:頚部複合伸展は、腹臥位で頭を検査台の外に出し行う。

 

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