第54回(H31) 理学療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

26. 検査結果を表に示す。6か月前と比べてバランス機能の低下を示すのはどれか。

解答

解説
1. 〇:正しい。FBS(機能的バランス指標)とは、14項目の日常的な動作からなり、0~4点で最も良い状態が56点である。患者が課題を遂行したときの安全性や安定性を観察して評価するものである。転倒の危険性のあるスクリーニング得点は45点以下である。問題文から、6か月前は47点だったものが33点となっており、バランス機能の低下を疑える結果となっている。
2. ×:TUG(Timed Up and Go test)とは、立ち上がり、歩行、方向転換の動作を着見合わせて、動的バランスを評価するものである。正常範囲は10秒以内であり、20秒以上では転倒の危険性がある。短い時間がでればでるほど良い結果となる。
3. ×:10m歩行時間は、助走路(各3m)を含めた約16m(直線歩行路)を歩行し、定常歩行とみなせる10mの所要時間計測する。10秒未満が屋外歩行レベルとされる。短い時間がでればでるほど良い結果となる。
4. ×:片脚立位は、開眼時30秒以下・閉眼時10以下でバランスの障害を疑う。長くできればできるほど良い結果となる。
5. ×:Functional Reach Test(機能的上肢到達検査)は、立位姿勢をとらせ、片方の上肢を前方90°挙上し、手指をできるだけ遠くに位置してもらう距離を測る。距離が大きいほど良い結果となる。

 

 

 

 

 

27. 認知症の原因になりにくい疾患はどれか。

1. 葉酸欠乏症
2. 正常圧水頭症
3. 慢性硬膜下血腫
4. 甲状腺機能亢進症
5. ビタミンB12欠乏症

解答

解説
1.5. ×:葉酸欠乏・ビタミンB12欠乏によって、DNA合成障害になったものを巨赤芽球性貧血という。心筋梗塞、脳梗塞を発症しやすくなり、高齢者においては認知症も発症しやすくなるといわれている。ちなみに、悪性貧血は、胃壁および内因子に対する抗胃壁細胞抗体、抗内因子抗体などの自己免疫が生じたためにビタミンB12が欠乏するものである。これも心筋梗塞、脳梗塞を発症しやすくなり、高齢者においては認知症も発症しやすくなるといわれている。
2. ×:正常圧水頭症の3徴として①歩行障害、②認知症、③尿失禁である。
3. ×:慢性硬膜下血腫とは、軽度の外傷により軽微な出血が起こり、経時的に血腫が増大し、やがて症状が現れる。症状として、認知障害、頭痛、尿失禁、歩行障害、片麻痺などである。
4. 〇:甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。甲状腺機能低下症が認知機能低下の原因として有名である。

 

 

 

 

28. 歩行周期で立脚相直前から活動し、踵接地時に大きな活動を示す下肢の筋はどれか。2つ選べ。

1. 下腿三頭筋
2. 前脛骨筋
3. 大腿四頭筋
4. 長母指屈筋
5. 腸腰筋

解答2,3

解説

(図引用:Eberhart,H. D. et al.:「Human Limbs and their Substitutes」Mc Graw Hill Book Co. Inc 1954より)

 立脚相直前から活動し、踵接地時に大きな活動を示す下肢の筋は、解答の前脛骨筋・大腿四頭筋の他にもハムストリングスや大殿筋、脊柱起立筋も同様の活動が認められる。よって、解答は選択肢2.前脛骨筋、3.大腿四頭筋である。

類似問題です↓
【PT専門】歩行周期についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

29. 内反足に対する最も適切な靴の補正はどれか。

1. Thomasヒール
2. 内側フレアヒール
3. クッションヒール
4. メタタルザルバー
5. 外側ソールウェッジ

解答

解説
1. ×:Thomasヒール(トーマスヒール)は、外反扁平足に使用する。内反足に適応となるのは、逆Thomasヒール(トーマスヒール)である。
2. ×:内側フレアヒールは、外反足に使用する。内反足に適応となるのは、外側フレアヒールである。
3. ×:クッションヒールは、踵足骨棘の疼痛軽減に使用する。
4. ×:メタタルザルバー(メタタルザルパット)は、中足骨骨頭の免荷に使用する。開張足に適応となる。
5. 〇:正しい。外側ソールウェッジは、内反足に使用する。ちなみに、内側ソールウェッジは、外反足に使用する。

 

 

 

 

 

30. 関節リウマチにおいて、余暇、仕事、身の回りのことの3つの要素から機能状態の程度を示す指標はどれか。

1. CMI
2. DAS28<disease activity score 28>
3. Larsen分類
4. Sharp score
5. Steinbrockerのclass分類

解答

解説

”関節リウマチとは?”

関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

 Steinbrockerによる分類(スタインブロッカー分類)は、class分類Stage分類があるため混合しないように覚えておく。ちなみに、Stage分類はリウマチの関節破壊の進行度(病気)を表すものである。

1. ×:CMI(Cornell Medical Index)は、心の健康度を測るテストである。心身面の自覚症状を多数列記し「はい」「いいえ」の項目に本人が○を記入する方式のテスト。リウマチ患者の心のケアとして使われることがある。
2. ×:DAS28<disease activity score 28>は、28ヵ所の関節の状態、赤沈(または CRP)、患者さんの全般的な健康状態から、関節リウマチの状態を評価する方法である。関節リウマチの総合的疾患活動性指数を測る。
3. ×:Larsen分類(ラーセン分類)は、単純X線を用いた関節破壊の評価を目的で行われる。
4. ×:Sharp score(シャープ・スコア)は、手と足のレントゲン写真を撮り、関節裂隙狭小化(関節破壊)や骨びらん(骨破壊)の程度を点数化して、関節破壊の程度を評価する方法である。
5. 〇:正しい。Steinbrockerのclass分類は、余暇、仕事、身の回りのことの3つの要素から機能状態の程度を示す指標である。

Steinbrockerの病気分類

【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。

 

【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。

類似問題はこちら↓

【PT専門のみ】関節リウマチについての問題「まとめ・解説」

 

4 COMMENTS

なし。

27番の解説

葉酸欠乏もしくはビタミンB12欠乏によってDNA合成障害になったものは巨赤芽球性貧血ですね。悪性貧血は胃壁および内因子に対する抗胃壁細胞抗体、抗内因子抗体などの自己免疫が生じたためにビタミンB12が欠乏するものです。訂正お願いします。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘の通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘の通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)