第53回(H30)理学療法士 国家試験解説【午後問題66~70】

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66.エリスロポエチンの産生を促進するのはどれか。

1.血圧の低下
2.血糖値の低下
3.腎機能の低下
4.動脈血酸素分圧の低下
5.血中カルシウム濃度の低下

解答:4


解説

1.×:血圧の低下により腎血流量が低下し、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が亢進する。
2.×:血糖値の低下により、膵臓のα細胞でグルカゴン産生が促進する。
3.×:腎機能を低下するとエリスロポエチン産生が低下する。
4.〇:正しい。動脈血酸素分圧の低下により、エリスロポエチン産生は促進される。なぜなら、恒常性を維持するため。エリスロポエチンの産生は、血液中の酸素分圧によって調節されている。機序として①動脈血酸素分圧が低下する、②できるだけ多く赤血球中のヘモグロビンと結合させたい、③赤血球を増やす働きのあるエリスロポエチンの産生が高まる。ちなみに、エリスロポエチンは、腎臓で分泌され、骨髄での赤血球新生を促す働きもある。
5.×:血中カルシウム濃度の低下により、副甲状腺でのパラトルモン産生が促進される。

エリスロポエチンについて

 エリスロポエチンは腎臓の間質細胞から分泌されるホルモンの1つで、骨髄で赤芽球に作用し赤血球への分化を促す。腎機能が低下すると腎臓からのエリスロポエチン産生が減り、赤血球を作る能力が低下するため腎性貧血になる。

類似問題です↓
【共通のみ】ホルモンについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

67.ホルモン分泌について正しいのはどれか。

1.プロラクチンは乳腺から分泌される。
2.卵胞刺激ホルモンは視床下部から分泌される。
3.エストロゲンは下垂体ホルモン分泌を促進する。
4.黄体化ホルモンはプロゲステロンの分泌を促進する。
5.性腺刺激ホルモン放出ホルモンは下垂体から分泌される。

解答:4


解説

1.× プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)は、「乳腺」ではなく脳下垂体前葉から分泌される。乳腺に作用し、乳汁産生を促進する。
2.× 卵胞刺激ホルモンは、「視床下部」ではなく脳下垂体前葉から分泌される。卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを性腺刺激ホルモンと呼ぶ。
3.× エストロゲンは、卵巣から放出され子宮に作用して、受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする働きをする。下垂体から、成長ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンなど数多くのホルモンが分泌される。
4.〇 正しい。黄体化ホルモンは、プロゲステロンの分泌を促進する。排卵後に、黄体化(黄体形成)ホルモンは、黄体細胞におけるプロゲステロンの分泌を促進する。
5.× 性腺刺激ホルモン放出ホルモンは、「下垂体から」ではなく視床下部から分泌される。

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【共通のみ】ホルモンについての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

 

 

68.心電図の波形で正しいのはどれか。

1.P波はHis束の興奮を意味する。
2.PR間隔は房室伝導時間である。
3.QRS波はPurkinje線維の興奮を意味する。
4.ST間隔は心室内興奮到達時間である。
5.T波は心室の脱分極を意味する。

解答:2


解説

1.× P波は、「His束の興奮」ではなく、心房の興奮を意味する。
2.〇 正しい。PR間隔は房室伝導時間である。
3.× QRS波は、「Purkinje線維の興奮」ではなく、ヒス束、プルキンエ線維、心室筋の興奮を意味する。
4.× ST間隔は、「心室内興奮到達時間」ではなく、心室の脱分極が完了し、興奮が冷めるまでの時間ある。心室内興奮到達時間であるのは、QRS波である。
5.× T波は、「心室の脱分極」ではなく、心室の脱分極からの回復時に生じる波形(再分極)を意味する。心室の電気的回復などと呼ばれる。

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

類似問題です↓
【共通問題のみ】心電図についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

69.随意運動の制御に関与する部位はどれか。

1.海馬
2.歯状核
3.松果体
4.青斑核
5.扁桃体

解答:2


解説

1.×:海馬は、短期記憶に関与する。
2.〇:正しい。歯状核は、小脳核の一つで、随意運動の制御に関与する。
3.×:松果体は、メラトニンを産生し日内リズムに関与する。
4.×:青斑核は、脳幹にある。覚醒、注意、情動に関与する。
5.×:扁桃体は、情緒と本能行動の中枢である。

 

関連する問題をまとめました。
【PT/OT/共通】運動に関する部位ついての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

70.咀嚼筋はどれか。2つ選べ。

1.咬筋
2.側頭筋
3.口輪筋
4.小頰骨筋
5.オトガイ筋

解答:1,2

解説

咀嚼筋は一般に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類である。
したがって、選択肢1~2.咬筋側頭筋である。

3~5.× 口輪筋/小頰骨筋/オトガイ筋は、表情筋の一つである。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】咀嚼筋、頚部筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

6 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘どおり間違えておりました。
修正いたしましたのでご確認ください。
今後とも宜しくお願いいたします。

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匿名

66 低酸素分圧だとヘモグロビン量を増加させようと造血作用がアップすると言うことでしょうか。

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
解説を詳しく追加しました。
コメントしてくださった通りと認識しておりますが、もしご指摘・修正あればご協力をお願い致します。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
上西

こんにちは、理学療法士専門学生です。いきなりですが、質問です。
53p-66の問題の解答・解説のところで、5番の解説が「血中カルシウム濃度の低下は、パラトルモンである。」となっているのですが、「血中カルシウム濃度の低下は、カルシトニン」ではないのかと思うのですが、どうでしょうか?

返信する
大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認お願い致します。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する

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