【PT/OT/共通】運動に関する部位ついての問題「まとめ・解説」

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※問題の引用:厚生労働省より

※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。

MEMO

・まとめてもらいたい問題や希望、漏れがあったらコメントください。

・当HPに「キーワード検索」の機能がありますので、そちらも積極的にお使いください。

目次 非表示

PT専門

第45回PT 午前32問

32.注視麻痺をきたす疾患はどれか。2つ選べ。

1.中脳出血
2.小脳半球梗塞
3.慢性硬膜下血腫
4.進行性核上性麻痺
5.筋萎縮性側索硬化症

解答1.4

解説

注視麻痺とは?

注視麻痺とは、水平方向または垂直方向のいずれかに両眼を動かすことができない状態である。水平注視の障害が最も多く、中脳病変、水平注視中枢および第Ⅵ神経核を侵す橋病変に起因する。

1.〇 正しい。中脳出血は、垂直注視麻痺が起こる。なぜなら、垂直性注視運動中枢があるため。
2.× 小脳半球梗塞は、非麻痺側への共同偏視が起こる。共同偏視は、被殻出血(病側への共同偏視)や小脳出血(健側への共同偏視)で生じる。共同偏視は、PPRF(水平方向の眼球運動の中枢)の機能障害で起こる。
3.× 慢性硬膜下血腫とは、軽度の外傷により軽微な出血が起こり、経時的に血腫が増大し、やがて症状が現れる。症状として、認知障害、頭痛、尿失禁、歩行障害、片麻痺などである。
4.〇 正しい。進行性核上性麻痺は、下方注視麻痺が起こる。進行性核上性麻痺は、淡蒼球、視床下核、中脳、小脳にある神経細胞が脱落することに起因する疾患である。中年期以降の男性(特に50~70歳)に多く発症し、易転倒性、注視麻痺、パーキンソニズム、認知症(前頭側頭型認知症)などの特徴的な症状を有する。診断にはパーキンソン病、多系統萎縮症、末梢神経障害、大脳基底核変性症など他疾患の除外が必要である。ちなみに、核上性とは、眼球運動を直接支配する神経細胞群(脳神経核)より上位ということを意味している。
5.× 筋萎縮性側索硬化症は、脊髄前角細胞の萎縮が見られ、上位運動ニューロン障害(下肢に強い)と下位運動ニューロンの障害(上肢に強い)の両方を示す。上肢末端(母指球など)から筋萎縮が始まり緩徐に進行する。予後は極めて不良で、一般に発症から3~5年程度で呼吸筋麻痺や誤嚥性肺炎などで死亡するが、人工呼吸器を使用することで10年以上生存する例も多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。

”筋萎縮性側索硬化症とは?”

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。男女比は2:1で男性に多く、好発年齢は40~50歳である。
【症状】3型に分けられる。①上肢型(普通型):上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す。②球型(進行性球麻痺):球症状(言語障害、嚥下障害など)が主体、③下肢型(偽多発神経炎型):下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る。
【予後】症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約 3.5 年といわれている。個人差が非常に大きく、進行は球麻痺型が最も速いとされ、発症から3か月以内に死亡する例もある。近年のALS患者は人工呼吸器管理(非侵襲的陽圧換気など)の進歩によってかつてよりも生命予後が延長しており、長期生存例ではこれらの徴候もみられるようになってきている。ただし、根治療法や特効薬はなく、病気の進行に合わせて薬物療法やリハビリテーションなどの対症療法を行うのが現状である。全身に筋委縮・麻痺が進行するが、眼球運動、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡もみられにくい(4大陰性徴候)。終末期には、眼球運動と眼瞼運動の2つを用いたコミュニケーション手段が利用される。

(※参考:「2 筋萎縮性側索硬化症」厚生労働省様HPより)

 

 

 

第46回PT 午前10問

10. 65歳の男性。多系統萎縮症。日常生活活動では一部に介助を要するが、明らかな廃用症候群はみられない。最近、起床して布団から立ち上がるときに、ふらっきを強く感じるようになった。
 ふらつきの原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。

1.運動麻痺
2.視覚障害
3.アテトーゼ
4.協調運動障害
5.起立性低血圧

解答4/5

解説

多系統萎縮症とは?

多系統萎縮症は、起立性低血圧が起こり得やすい疾患である。多系統萎縮症とは、神経系の複数の系統(小脳、大脳基底核、自律神経など)がおかされる疾患で、3つのタイプがある。小脳や脳幹が萎縮し、歩行時にふらついたり呂律がまわらなくなる小脳失調型、大脳基底核が主に障害され、パーキンソン病と同じような動作緩慢、歩行障害を呈する大脳基底核型、もうひとつは自律神経が主に障害され起立性低血圧や発汗障害、性機能障害などがみられる自律神経型である。

1~3.× 運動麻痺/視覚障害/アテトーゼはみられない。ちなみに、アテトーゼとは、ゆっくり流れるようにうねる連続的な不随意運動である。
4.〇 正しい。協調運動障害は、ふらつきの原因として考えられる。多系統萎縮症(オリーブ橋小脳萎縮症)では、初期には起立・歩行の失調を示し、進行により四肢の協調運動障害を生じる。
5.〇 正しい。起立性低血圧は、ふらつきの原因として考えられる。多系統萎縮症(Shy-Drager症候群)では、起立性低血圧を始めとする広範な進行性の自律神経症状を主症候とする。

 

 

 

 

第53回PT 午前6問

6.75歳の女性。右利き。脳梗塞を発症し救急車で搬入された。発症翌日に症状の悪化を認めた。発症3日目の頭部MRIの拡散強調像を別に示す。
 最も出現しやすい症状はどれか。

1.片麻痺
2.失語症
3.運動失調
4.嚥下障害
5.視野障害

解答:1

解説

本症例のポイント

・75歳女性(右利き)
・脳梗塞。
・発症翌日:症状の悪化。
・頭部MRIの拡散強調像(発症3日目):画像は、側脳室レベルのスライスである。そのため、受傷部位は「放線冠」であると推測できる。
→放線冠は錐体路の一部で、大脳皮質と下位脳を結ぶ上行性・下行性線維のことで、内包から上方の部位を指す。錐体路は、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。ちなみに、視床・内包・被殻・尾状核は大脳基底核レベルの画像で見られる。

1.〇:正しい。片麻痺である。なぜなら、放線冠は錐体路の一部で大脳皮質からの運動線維が収束するため。
2.×:失語症は、視床の症状であるが、一般的には、ブローカ野・ウェルニッケ野の障害で出現する。
3.×:運動失調は、視床の症状であるが、一般的には、小脳の障害で出現する。視床に障害が起こると①視床痛、②運動失調、③視床手、④失語などが特徴である。
4.×:嚥下障害は、大脳皮質から延髄の脳神経核を結ぶ皮質経路で起こる。つまり、延髄梗塞による球麻痺などで出現しやすい。
5.×:視野障害は、視神経から後頭葉の視覚伝導路の障害で起こる。視覚伝導路は、「視神経―視交叉―視索―外側膝状体―視放線―視覚野」である。

 

 

第54回PT 午前6問

6. 56歳の男性。発症時に明らかな運動麻痺はないが、歩くとすぐによろけて物につかまっていないと立っていられなくなり、頭部CT検査で脳出血と診断された。頭部CT画像を別に示す。
 この患者の頭部CT画像として最も可能性が高いのはどれか。

1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

解答

解説

本症例のポイント

・56歳の男性。
・発症時:①明らかな運動麻痺はない。②歩くとすぐによろけて物につかまっていないと立っていられない
・頭部CT検査:脳出血と診断。
→本症例は、小脳が障害されていると疑え、脳出血と診断されていることから「小脳出血」と判断できる。頭部CTを診るときのポイントとして、どの断層(スライスレベル)で見ているのか分かっておくと部位の間違いを防げる。

1. 〇:正しい。小脳出血が疑え、この患者の頭部CT画像として最も可能性が高い。CTのスライスは橋レベルである。
2. ×:右側頭葉皮質下出血が疑われる。CTのスライスは中脳レベルである。左側(優位半球)が障害されていた場合の症状としては、感覚性失語(ウェルニッケ失語)が起こりやすいが、今回は右側である。
3. ×:視床出血が疑われる。CTのスライスは視床レベルである。視床出血は、被殻出血と並んで頻度の高い脳出血である。脳出血全体の30%程度を占めている。そもそも視床は、感覚路の中継点(対側の四肢体幹および顔面の知覚を中継)である。したがって、麻痺に比べ、感覚障害が強くなる。
4. ×:被殻出血が疑われる。被殻・淡蒼球は、大脳基底核を構成している。また、内包後脚には、錐体路が通っているため、この部分に障害が及ぶと錐体路障害が起こる。具体的な症状としては、片麻痺、中枢性顔面神経麻痺、感覚障害、運動性失語(優位半球の場合)などである。
5. ×:左頭頂葉皮質下出血が疑われる。CTのスライスは大脳皮質レベルである。頭頂葉出血の症状としては、劣位半球障害では半側空間無視、優位半球障害ではゲルストマン症候群である。

 

 

 

 

 

第57回PT 午前23問

23 運動に関する中枢神経について正しいのはどれか。

1.一次運動野においては他の部位と比較して手と顔面の運動領域が小さい。
2.中脳黒質に由来するドパミン作動性ニューロンは線条体に至る。
3.皮質脊髄路のうち約30%の線維が延髄錐体で対側に交叉する。
4.Betzの巨大錐体細胞は運動野大脳皮質の第Ⅲ層に存在する。
5.Purkinje細胞の軸索は小脳への求心性線維となる。

解答

解説

1.× 一次運動野においては他の部位と比較して手と顔面の運動領域が「小さい」のではなく「大きい」。ベンフィールド・ホムンクルスの脳地図を参考にするとよく分かる。
2.〇 正しい。中脳黒質に由来するドパミン作動性ニューロンは線条体に至る。ドパミンは、中脳黒質から線条体に投射している中枢神経系に存在する神経伝達物質である。大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。
3.× 皮質脊髄路のうち「約30%」ではなく「約90%」の線維が延髄錐体で対側に交叉する。皮質脊髄路(錐体路)は、大脳皮質から脊髄へ下行する神経経路を指し、脳幹では最も腹側を通り、延髄尾側端で約90%の線維が正中線を交叉(錐体交叉)する。錐体路は、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。
4.× Betzの巨大錐体細胞は、運動野大脳皮質の「第Ⅲ層」ではなく「第Ⅴ層」に存在する。Betzの巨大錐体細胞から出た神経線維が下降して随意運動を司る錐体路となる。上位運動ニューロンは、一次運動野のBetz細胞から始まる。ちなみに、補足運動野は自発的に一連の運動をプログラムする。
5.× Purkinje細胞の軸索は、「小脳への求心性線維」ではなく「小脳からの遠心性線維」となる。Purkinje細胞の軸索は小脳皮質における唯一の出力神経細胞である。ちなみに、プルキンエ細胞は、小脳皮質にあるγ-アミノ酪酸(GABA)作動性の抑制性ニューロンである。 

 

 

 

第57回PT 午前27問

27 律動的な不随意運動はどれか。

1.振戦
2.チック
3.バリスム
4.アテトーゼ
5.ミオクローヌス

解答

解説

不随意運動とは?

不随意運動とは、本人の意思とは無関係に身体に異常な運動が起きることである。主として、無意識の運動をつかさどる錐体外路系(大脳基底核、脳幹、小脳など)が障害された際にみられる。不随意運動の種類は、さまざまなパターンがある(①律動的なもの、②運動の速度が速いものや遅いもの、③画一的な運動が繰り返されるもの、④不規則な運動が雑然と連続しておこるもの、⑤ごく一部(顔面、四肢、躯幹(くかん)など)に生ずるものから全身に及ぶものなど)

・振戦(律動的な無目的の運動が、一部の筋や身体の一部、ときに全身に現れる)
・舞踏病様運動、アテトーシス(おもに四肢や顔面におこるややゆっくりした不随意運動)
・バリスム(舞踏病より激しい腕や手の不随意運動)
・ジストニー(持続性収縮によって非対称性な姿勢をとる)
・チック(不規則で突発的な体の動きや発声が、本人の意思とは関係なく繰り返し起きてしまう疾患。根本的な原因は解明されていない)
・ジスキネジー(目的に合致しない病的運動)

1.〇 正しい。振戦は、律動的な不随意運動である。律動的な無目的の運動が、一部の筋や身体の一部、ときに全身に現れる。
2.× チックとは、不規則で突発的な体の動きや発声が、本人の意思とは関係なく繰り返し起きてしまう疾患。根本的な原因は解明されていない。
3.× バリスムとは、舞踏病より激しい腕や手の不随意運動のことである。
4.× アテトーゼとは、顔や手足をゆっくりと動かしてしまうものである。身体が突っ張ったり捻じれたりするジストニア、顔や手足をゆっくりと動かしてしまうアテトーゼ、踊るように身体を振ってしまう舞踏運動、上肢や下肢をいきなり大きく振り回してしまうバリズムなどがある。
5.× ミオクローヌスとは、一の筋または筋群に生じる電気ショック様の短時間の筋収縮である。筋肉や筋肉群に起こる素早い稲妻のような収縮を指す。

 

OT専門

第50回OT 午後4問

4 70歳の女性。右利き。高血圧性脳出血。急性期の頭部CTを下図に示す。
 この患者で最も出現しにくいのはどれか。

1.片麻痺
2.失語症
3.感覚障害
4.運動維持困難
5.中枢性顔面神経麻痺

解答4

解説

 本症例は、被殻・淡蒼球に高吸収域(出血)が認められる。※わずかながら視床まで及んでいる。被殻・淡蒼球は、大脳基底核を構成している。また、内包後脚には、錐体路が通っているため、この部分に障害が及ぶと錐体路障害が起こる。

1.5.〇 片麻痺/中枢性顔面神経麻痺(対側の顔面を含む)は、被殻出血において出現しやすい
2.〇 失語症(優位半球障害時に運動性失語)は、被殻出血において出現しやすい。ちなみに、本症例は右利きであるため、優位半球は左側である。劣位半球障害時は失行・失認が出現しやすい。
3.〇 感覚障害は、被殻出血において出現しやすい。なぜなら、運動・感覚ニューロンの交叉部位より上にある内包を血腫が圧迫するため。本症例は、わずかながら視床(感覚の中継路)まで出血が及んでいるため、感覚障害は出現しやすい。
4.× 運動維持困難は、出現しにくい。なぜなら、主に劣位半球の前頭葉障害で出現しやすいため。ちなみに、運動維持困難とは、閉眼、開口、挺舌などの定常的動作を、指示に従って1つずつ、または2つ以上同時に維持できない症状である。

 

 

 

 

第55回OT 午前3問

3 頭部MRIを下図に示す。
 正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 第四脳室
2. 尾状核
3. 脳梁
4. 視床
5. 被殻

解答2/4

解説

頭部MRIのスライドは、視床・大脳基底核レベルである。

1.× 「第四脳室」ではなく側脳室前角を示している。ちなみに、第四脳室は脳幹レベルのスライドで所見できる。
2.4.〇 正しい。尾状核/視床である。ちなみに、被殻と尾状核で線条体という。
3.× 「脳梁」ではなく脳弓を示している。ちなみに、脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束のことである。
5.× 「被殻」ではなく第三脳室を示している。被殻は、淡蒼球の前方に位置する。

 

 

 

 

第58回OT 午後10問

10 42歳の男性。右利き。自営業。3年前に脳出血発症後、回復期リハビリテーション病院を経て自宅退院し復職したが仕事中に再発した。初発時の頭部CT(A)と再発時の頭部CT(B)を下に示す。
 再発時の新たな症状として最も考えられるのはどれか。

1.昏睡
2.構音障害
3.右同名半盲
4.回転性めまい
5.Gerstmann症候群

解答

解説

MEMO

初発時の頭部CT(A):被殻出血
再発時の頭部CT(B):被殻出血(広範囲)
→被殻出血の特徴的症状は、①病側の共同偏視、②優位半球障害時に運動失語、③劣位半球障害時に失行・失認などである。出血が次第に増大すると、徐々に意識が薄れて、昏睡状態になることもある。血腫量が31ml以上でかつ血腫による圧迫所見が高度な被殻出血では、手術を検討する。特にJCSで20~30程度の意識障害を伴う場合には、定位的脳内血腫除去術や開頭血腫除去術を検討する。

1.× 昏睡より考えられるものが他にある。ただし、被殻出血に限ったことではないものの脳出血にて昏睡も起こりうる。昏睡とは、覚醒させることができず、閉眼した状態が続く無反応状態である。出血が次第に増大すると、徐々に意識が薄れて、昏睡状態になる。昏睡が起こる機序として、①脳出血→②頭蓋内圧上昇→③固い頭蓋骨の中に入っている脳がむくむ→④脳幹という生命の中枢を圧迫し、昏睡に至る。
2.〇 正しい。構音障害は、再発時の新たな症状として最も考えられる。被殻・淡蒼球は、大脳基底核を構成している。また、内包後脚には、錐体路が通っているため、この部分に障害が及ぶと錐体路障害が起こる。具体的な症状としては、片麻痺、中枢性顔面神経麻痺、感覚障害、運動性失語(優位半球の場合)などである。
3.× 右同名半盲より考えられるものが他にある。右同名半盲の責任病巣は、視覚野(後頭葉)や視覚路、左視索、左外側膝状体、左視放線、左後頭葉などである。障害視野は、両眼の視野の右半部となる。
4.× 回転性めまいより考えられるものが他にある。回転性めまいの責任病巣は、前庭系(耳の内部にある平衡器官)や前庭神経である。回転性めまいとは、自分は動いていないにも関わらず、自分や周囲(天井や壁など)がぐるぐる回っているようなめまいのことである。
5.× Gerstmann症候群より考えられるものが他にある。Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)の責任病巣は、優位球の角回の障害で起こる。ちなみに、Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)とは、①手指失認、②左右失認、③失書、④失算の四徴のことである。

共通問題

第44回共通 9問

レンズ核を構成するのはどれか。2つ選べ。

1. 尾状核
2. 被殻
3. 淡蒼球
4. 扁桃体
5. 前障

解答2,3

解説
レンズ核は、大脳基底核の一つであり、視床の外側にある。厳密には、外側にある被殻と内側にある淡蒼球の2つからなる。
1. × 尾状核は大脳基底核の1つであり、被殻と尾状核とをあわせて線条体ともよぶ。
2. 〇 被殻はレンズ核の外側を構成する。
3. 〇 淡蒼球はレンズ核の内側を構成する。
4. × 扁桃体は大脳辺縁系の一部であり、本能·情動による行動の中枢とされる。また、嗅覚にも関与する。
5. × 前障はレンズ核の外側にある灰白質の層であり、被殻とは白質の外包によって隔てられている視床、扁桃体からの線維連絡を受けるほかに、辺縁帯を含めた大脳皮質の全域と両側性に連絡するといわれている。

 

 

 

第45回共通 午前54問

54.大脳基底核はどれか。

1.嗅球
2.視床
3.淡蒼球
4.松果体
5.歯状核

解答3

解説

大脳基底核とは?

大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。

1.× 嗅球は、前頭葉の下に位置する。嗅細胞からの入力を受ける。
2.× 視床は、間脳に位置する。
3.〇 正しい。淡蒼球は、大脳基底核である。大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。
4.× 松果体は、視床の後に位置する。メラトニンを分泌する内分泌器官である。
5.× 歯状核は、小脳半球にある核である。ちなみに、その他に①球状核、②栓状核、③室頂核がある。ちなみに、①球状核、②栓状核で中位核とも呼ばれる。

 

 

 

第45回共通 午後74問

74.正しいのはどれか。

1.一次運動野は筋緊張の調節に関与する。
2.運動前野は記憶に基づいた連続運動に関与する。
3.補足運動野は視覚情報を運動に変換する。
4.大脳基底核は運動時の感覚情報を中継する。
5.小脳は無意識的な運動スキルの習得に関与している。

解答5

解説

1.× 一次運動野は、筋緊張の調節ではなく「随意運動の指令」に関与する。ちなみに、筋緊張の調節は小脳などが担う。
2.× 運動前野は、記憶に基づいた連続運動ではなく「錐体外路系の運動中枢」である。ちなみに、記憶に基づいた連続運動は補足運動野が担う。
3.× 補足運動野は、視覚情報を運動に変換するのではなく「姿勢保持や運動開始」に関与する。ちなみに、視覚情報を運動に変換するのは前頭眼野が担う。
4.× 大脳基底核は、運動時の感覚情報ではなく「錐体路による運動指令・姿勢調整」を制御する。
5.〇 正しい。小脳は、無意識的な運動スキル(手続き記憶)の習得に関与している。小脳は、運動をスムーズに行う中枢である。

 

 

第47回共通 午後54問

54 大脳辺縁系に含まれないのはどれか。

1.海馬
2.内包
3.帯状回
4.乳頭体
5.扁桃体

解答2

解説

大脳辺縁系とは?

大脳辺縁系は脳梁を取り囲むように大脳の内側部に存在し、本能・情動・記憶などを司る構造物の総称である。構成要素としては、辺縁葉(梁下野、帯状回、海馬傍回)、海馬扁桃体乳頭体、中隔核などがあげられる。

1.3~5.〇 海馬/帯状回/乳頭体/扁桃体は、大脳辺縁系に含まれる。
2.× 内包は、大脳辺縁系に含まれない。大脳基底核と視床の間に挟まれる部分に位置する。ちなみに、錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。

 

 

 

 

 

第47回共通 午後55問

線条体を構成するのはどれか。2つ選べ。

1.前障
2.被殻
3.淡蒼球
4.尾状核
5.下垂体

解答2,4

解答

線条体の構成

①被殻
②尾状核
(※レンズ核は①被殻、②尾状核である)

1.× 前障は、レンズ核の外側にある灰白質の層に位置する。
2.4.〇 正しい。被殻/尾状核は、線条体を構成する。
3.× 淡蒼球は、レンズ核の内側を構成する。
5.× 下垂体は、視床下部の下方に存在する。

 

 

 

 

 

 

第49回共通 午前56回

大脳基底核に含まれないのはどれか。

1. 被殻
2. 網様体
3. 淡蒼球
4. 尾状核
5. 扁桃体

解答

解説

大脳基底核は、①線条体(被殻尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。

したがって、選択肢2.× 網様体が大脳基底核に含まれない。網様体は、睡眠と覚醒のレベルを調整する役割を持つ。

選択肢5.扁桃体は、一般的に大脳辺縁系に分類される。ただ扁桃体の神経核は、3つに分類され、①中心核、②皮質内側核、③基底外側核に分けられる。この③基底外側核が大脳基底核に分類されているのかもしれないが、知識不足で分かりません。もし分かる方いらしたら、コメント欄にて教えてください。

 

 

第49回共通 午前63問

随意運動に関与しないのはどれか。

1.小脳
2.内包
3.大脳脚
4.視床下部
5.中心前回

解答4

解説
1.× 小脳運動は、運動の調節や運動学習に関与している。
2.3.5.× 内包錐体/大脳脚/中心前回は、錐体路である。錐体路は、大脳皮質運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→延髄→(錐体交叉)→脊髄側索→脊髄前角細胞という経路をたどる。
4.〇 正しい。視床下部は、自律神経内分泌系を司る高次中枢である。

 

 

 

第51回共通 午後55問

55 大脳辺縁系を構成するのはどれか。2つ選べ。

1. 下垂体
2. 松果体
3. 線条体
4. 乳頭体
5. 扁桃体

解答4/5

解説

 大脳辺縁系は、脳梁を取り囲むように大脳の内側部に存在し、本能・情動・記憶などを司る構造物の総称である。大脳辺縁系に含まれているものは、①帯状回、②脳梁、③脳弓、④灰白質、⑤扁桃体、⑥乳頭体、⑦中隔野、⑧海馬体である。よって、選択肢4.5.乳頭体/扁桃体が正しい。

1.× 下垂体は、視床下部から漏斗を介した下方に存在する内分泌器官である。
2.× 松果体は、大脳半球の間に位置し、メラトニン(概日リズム調整ホルモン)の分泌、性腺刺激ホルモンの分泌抑制に関与する。
3.× 線条体は、大脳基底核の一部である。大脳基底核には、線条体の他にも淡蒼球、視床下核、黒質が含まれる。

 

 

 

第52回共通 午後56問

56 解剖学的構造のうち、白質に分類されるのはどれか。

1. 視床
2. 脳梁
3. 被殻
4. 淡蒼球
5. 脊髄前角

解答:2

解説

 灰白質は、脳の表面の神経細胞のところである。大脳基底核とか視床とか脳の深部に存在する。白質は、灰白質の内側にあって神経細胞の連絡路(軸索)である。放線冠・内包・脳梁などに存在する。よって、選択肢2.脳梁となる。

 

1.× 視床は間脳に分類される。間脳は左右大脳半球の間に存在し、第三脳室を取り囲む灰白質である。
3~4.× 被殻、淡蒼球は、大脳基底核の一部である。大脳基底核は左右の大脳半球の深部に存在する神経群(灰白質)である。
5.× 脊髄前角は神経細胞体の集まりであり、灰白質に分類される。

灰白質と白質
  • 灰白質:ニューロンの細胞体が多く集まる部分(大脳皮質や脊髄髄質)。
  • 白質:神経線維(髄鞘)が多く集まる部分(大脳髄質、脊髄皮質)。

 

 

第53回共通 午後69問

随意運動の制御に関与する部位はどれか。

1.海馬
2.歯状核
3.松果体
4.青斑核
5.扁桃体

解答:2

解説
1.×:海馬は、長期記憶に関与する。
2.〇:正しい。歯状核は、小脳核の一つで、随意運動の制御に関与する。
3.×:松果体は、メラトニンを産生し日内リズムに関与する。
4.×:青斑核は、脳幹にある。覚醒、注意、情動に関与する。
5.×:扁桃体は、情緒と本能行動の中枢である。

 

 

 

第55回共通 午前82問

82 脳の病変部位と出現しやすい症候との組合せで正しいのはどれか。

1.黒質:感覚障害
2.視床:嗅覚障害
3.赤核:摂食嚥下障害
4.線条体:不随意運動
5.扁桃体:筋緊張異常

解答
解説
1.× 黒質の障害により起こる代表的な疾患は、パーキンソン病である。主な徴候は筋固縮、無動、安静時振戦、姿勢保持障害などである。感覚障害は、視床が病変となると起こることが多い。
2.× 視床の役割は、嗅覚を除き、視覚、聴覚、体性感覚などの感覚入力を大脳新皮質へ中継する。嗅覚障害は、前頭葉眼窩面の障害で多い。
3.× 赤核は、不随意の運動の調節(赤核振戦:粗大な動作で誘発される振戦)を担う。
4.〇 正しい。線条体(被殻と尾状核)が病変となると、不随意運動が出現する。なぜなら、線条体は大脳基底核の一部であるため。
5.× 扁桃体は、情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つ。筋緊張異常が起こるのは、黒質や錐体路障害である。

 

 

 

第55回共通 午後51問

51 大脳基底核に分類されるのはどれか。

1.視床
2.上丘
3.被殻
4.下垂体
5.歯状核

解答
解説

 大脳基底核は、大脳髄質内の神経核群で灰白質の部分をいう。尾状核被殻淡蒼球視床下部黒質などからなり骨格筋の不随意運動に関与する。よって、選択肢3.被殻が正しい。

1.× 視床は、間脳に分類される。
2.× 上丘は、中脳の一部である。
4.× 下垂体は、視床下部の下方に位置する。
5.× 歯状核は、小脳核の一つである。

 

第56回共通 午前89問

89 進行性核上性麻痺について正しいのはどれか。

1.延髄が萎縮する。
2.L-Dopaが著効する。
3.頚部が前屈位となる。
4.垂直方向の眼球運動障害を呈する。
5.MIBG心筋シンチグラフィーで心/縦隔比が低下する。

解答

解説

進行性核上性麻痺とは?

進行性核上性麻痺は、淡蒼球、視床下核、中脳、小脳にある神経細胞が脱落することに起因する疾患である。中年期以降の男性(特に50~70歳)に多く発症し、易転倒性、注視麻痺、パーキンソニズム、認知症(前頭側頭型認知症)などの特徴的な症状を有する。診断にはパーキンソン病、多系統萎縮症、末梢神経障害、大脳基底核変性症など他疾患の除外が必要である。ちなみに、核上性とは、眼球運動を直接支配する神経細胞群(脳神経核)より上位ということを意味している。

1.× 「延髄」ではなく、主に中脳が萎縮する。
2.× L-Dopaなどの抗パーキンソン病薬は効かないことが多い。抗うつ薬などで一時的に症状が改善することがあるが、確立した治療法はない
3.× 症状が進行すると頚部は、「前屈」ではなく後屈し、後ろに反り返ったような姿勢になる。
4.〇 正しい。発症初期には現れないが、進行するにつれて垂直(上下)方向の眼球運動障害を呈する。特に、下方への眼球運動障害が著明であるため、階段を下りる・段差を跨ぐ動作は注意が必要である。
5.× MIBG心筋シンチグラフィーで心/縦隔比が低下するのは、「進行性核上性麻痺」ではなく、パーキンソン病である。パーキンソニズムでは低下しない。

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