第53回(H30)理学療法士 国家試験解説【午後問題61~65】

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61.骨格筋の構造で筋収縮時に長さが一定なのはどれか。2つ選べ。

1.A帯
2.H帯
3.I帯
4.Z帯
5.筋節

解答:1,4


解説

1.〇 正しい。A帯は、暗帯ともいい収縮時は変化しない。A帯(暗帯)とは、ミオシンフィラメントがある部分で、アクチンフィラメントと重なり合っている。筋収縮のメカニズム(滑り説)では、アクチンフィラメントがミオシンフィラメント側に滑り込むことで収縮が生じると説明しており、この際に短縮するのはアクチンフィラメントのみの部分であるI帯(明帯)である。
2.× H帯は、短縮する。H帯はA帯中央の明るい部分(ミオシンのみからなる部分)である。
3.× I帯(明帯)は、短縮する。
4.〇 正しい。Z帯は、変化しない。Z帯はI帯(明帯)の中央部分に存在し、アクチンを束ねている。
5.× Z体とZ体の間のことを筋節(サルコメア)といい、収縮時はその間が短くなる

 

苦手な人向けに、まとめました。参考にどうぞ。

【PT/共通】骨格筋、筋収縮、運動単位についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

 

62.視覚について正しいのはどれか。

1.一次視覚野は側頭葉にある。
2.視細胞の杆体は色覚を司る。
3.空間分解能は全視野で均一である。
4.暗順応は明順応より速やかに行われる。
5.毛様体筋は近くを見るときに収縮する。

解答:5


解説

1.× 一次視覚野は、「側頭葉」ではなく後頭葉にある。
2.× 視細胞の杆体は、「色覚」ではなく、周辺視野と暗所視を担い、黄斑周囲部に多い。一方、色覚を担うのは錐体であり、黄斑部に多い。
3.× 空間分解能は、全視野で均一ではない。中心視野ほど空間分解能が高い。空間分解能とは、どれだけ微小な空間を捉えられるかを意味する。
4.× 逆である。明順応は、暗順応より速やかに行われる。つまり、明順応の方が速く行われる。明順応では杆体細胞のロドプシンが分解され、暗順応では合成される。ロドプシンは合成の方が分解に比べて長い時間を要する。
5.〇 正しい。毛様体筋は近くを見るときに収縮する。ちなみに近くで見るとき、毛様体小帯が弛緩し、水晶体が厚くなる。

類似問題です↓
【共通問題のみ】視覚器についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

63.副交感神経の作用で収縮する筋はどれか。

1.立毛筋
2.排尿筋
3.血管平滑筋
4.瞳孔散大筋
5.内肛門括約筋

解答:2


解説

1.× 立毛筋は、副交感神経が興奮すると、弛緩する。
2.〇 正しい。排尿筋は、副交感神経が興奮すると、収縮する。
3.× 血管平滑筋は、副交感神経が興奮すると、弛緩する。
4.× 瞳孔散大筋は、交感神経支配のみで収縮(散瞳)する。副交感神経支配は、瞳孔括約筋のみで収縮(縮瞳)ある。
5.× 内肛門括約筋は、副交感神経が興奮すると、弛緩する。内尿道括約筋も副交感神経で弛緩する。

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【共通のみ】自律神経についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

64.胃での栄養素の消化・吸収で正しいのはどれか。

1.ペプシンは脂質を分解する。
2.セクレチンは胃液分泌を促進する。
3.内因子はビクミンB6の吸収に関与する。
4.胃内の停滞時間は糖類より脂肪の方が長い。
5.胃液分泌の増加は食物が胃に到達してから起こる。

解答:4


解説

1.× ペプシンは、「脂質」ではなくタンパク質を分解する。脂質はリパーゼである。
2.× 胃液分泌を促進するのは、「セクレチン」ではなくガストリンである。胃相では、幽門洞の粘膜が刺激されることにより、ガストリンが内分泌され、胃液分泌・ペプシノゲン分泌が起こる。セクレチンは胃液分泌を抑制する。
3.× 内因子は、「ビクミンB6」ではなくビクミンB12の吸収に関与する。
4.〇 正しい。胃内の停滞時間は、糖類より脂肪の方が長い。消化しにくいものほど胃の中に停滞する。油・脂肪は停滞時間が長い。
5.× 胃液分泌の増加は、「食物が胃に到達してから」ではなく、頭相(視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌)で起こる。視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌の増加が始まる。

胃液分泌の3相
  1. 頭相:視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌が起きる。
  2. 胃相:幽門洞の粘膜が刺激されることにより、ガストリンが内分泌され、胃酸分泌、ペプシノゲン分泌が起きる。
  3. 腸相:十二指腸上部粘膜の消化食物による刺激により、セクレチンが内分泌されガストリンの分泌を抑制し、また、胃の運動が抑制される。

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【PT/OT/共通】胃(解剖・生理・病態)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

 

65.排便機構について正しいのはどれか。

1.排便時には横隔膜が弛緩する。
2.排便に関与する神経は下殿神経である。
3.直腸平滑筋と内肛門括約筋は同時に収縮する。
4.直腸壁が加圧されると骨盤神経が刺激される。
5.直腸の収縮を促す神経伝達物質はアドレナリンである。

解答:4


解説

1.× 排便時には、横隔膜が「弛緩」ではなく収縮する。腹圧が高まることで排便を促す。排便時には、腹腔内圧と直腸内圧の上昇、直腸筋の収縮、横隔膜の押し上げ(収縮)などの運動が協調して起こる。
2.× 排便に関与する神経は、「下殿神経」ではなく、骨盤(内臓)神経陰部神経である。
3.× 直腸平滑筋と内肛門括約筋は、「同時に収縮する」のではなく、順番に収縮する。便が直腸に入り、直腸内壁が便により伸展すると、その刺激が仙髄の排便中枢に伝達され、直腸の収縮、内・外肛門括約筋の弛緩が起こって排便が起こる。
4.〇 正しい。直腸壁が加圧されると骨盤神経が刺激される。その後、興奮が仙髄の排便中枢に伝わり便意を催す。
5.× 直腸の収縮を促す神経伝達物質は、「アドレナリン」ではなく、アセチルコリンである。直腸の収縮は副交感神経で起こる。

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【共通問題のみ】排尿・排便(過程・神経)についての問題「まとめ・解説」

 

4 COMMENTS

匿名

63.副交感神経の作用で収縮する筋はどれか。
4.瞳孔散大筋は、交感神経支配のみで収縮(縮瞳)する。副交感神経支配は、瞳孔括約筋のみで収縮(散瞳)ある。
瞳孔散大筋は散瞳、瞳孔括約筋が縮瞳
よろしくお願いします。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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