第53回(H30)理学療法士 国家試験解説【午前問題66~70】

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66.排尿機構について正しいのはどれか。(※解 2つ)

1.排尿時には内尿道括約筋が収縮する。
2.膀胱に尿が溜まり始めるとすぐに尿意を感じる。
3.尿道を尿が通る知覚は排尿筋の収縮を抑制する。
4.膀胱括約筋はノルアドレナリンの作用で収縮する。
5.排尿を我慢するときには大脳皮質から抑制がかかる。

解答:4/5(複数選択肢を正解とする)


解説

1.× 排尿時には内尿道括約筋が、「収縮」ではなく弛緩する。内尿道括約筋は、下腹神経の刺激により収縮する不随意筋であり、排尿を抑制する。外尿道括約筋は陰部神経支配の随意筋であり、収縮することで排尿を抑制する。
2.× 膀胱に尿が溜まり始めても、すぐに尿意を感じることはない。成人では初発尿意の膀胱内の尿量は約200mlである。膀胱に尿が溜まり膀胱内圧が上昇すると、骨盤(内臓)神経の求心性線維を刺激し、尿意として感じられる。
3.× 尿道を尿が通る知覚は、排尿筋の収縮を、「抑制」ではなく促進する
4.〇 正しい。膀胱括約筋(内尿道括約筋)はノルアドレナリンの作用で収縮する。蓄尿に関わる。
5.〇 正しい。排尿を我慢するときには大脳皮質から抑制がかかる。大脳では排尿の意思が生じるまで、排尿反射が起こらないように排尿中枢を抑制し、蓄尿が形成される。

 

 

 

 

 

67.副甲状腺ホルモンで正しいのはどれか。

1.骨吸収を促進する。
2.好酸性細胞で分泌される。
3.リンの再吸収を促進する。
4.重炭酸イオンの再吸収を促進する。
5.遠位尿細管でのカルシウム再吸収を抑制する。

解答:1


解説

1.〇 正しい。骨吸収を促進する。
2.× 「好酸性細胞」ではなく、主細胞がホルモンを分泌される。主細胞と好酸性細胞が存在する。
3.× リンの「再吸収」ではなく、排泄を促進する。近位尿細管で行う。
4.× 重炭酸イオンの「再吸収」ではなく、排泄を促進する。近位尿細管で行う。
5.× 遠位尿細管でのカルシウム再吸収を「抑制する」のではなく、促進する。ビタミンDを活性化して、腸管からのカルシウムの吸収を高めることなどで、血中のカルシウム濃度を高める。

副甲状腺ホルモン(パラトルモン)の働き
  • 破骨細胞を活性化して骨吸収を促進し、骨からCa2+を遊離させる。
  • 骨からCa2+とともに血中に遊離したP、HCO3-の腎臓(近位尿細管)からの排泄を促進する。
  • 腎臓(遠位尿細管)でのCa2+の再吸収を促進する。
  • 腎臓(近位尿細管)での活性化ビタミンDの産生を促進する。

 

 

 

 

 

68.摂食嚥下の際の運動で正しいのはどれか。

1.嚥下後の呼吸は吸気から再開される。
2.口腔内の食塊は反射運動で咽頭へ送られる。
3.嚥下反射が起こると舌骨は下方に移動する。
4.食塊の咽頭への送り込み時に口蓋帆張筋が緊張する。
5.食塊の食道への送り込み時に輪状咽頭筋が収縮する。

解答:4


解説

1.× 嚥下後の呼吸は、「吸気」ではなく呼気から再開される。咽頭期には嚥下時無呼吸が起こることで気道に食塊を流入するのを防いでいる。
2.× 口腔内の食塊は、「反射運動」ではなく、随意的に咽頭へ送られる。食塊が咽頭粘膜に触れることで嚥下反射が誘発される。
3.× 嚥下反射が起こると舌骨は、「下方」ではなく上方に移動する。咽頭が前上方へ挙上し、喉頭蓋が下方へ回転する。
4.〇 正しい。食塊の咽頭への送り込み時に口蓋帆張筋が緊張する。咽頭への送り込み時に口蓋帆張筋が緊張するすることにより、軟口蓋が挙上し、咽頭後壁に接し鼻咽頭への逆流を防止する。また耳管咽頭口も開く。
5.× 食塊の食道への送り込み時に輪状咽頭筋が、「収縮」ではなく弛緩する。蠕動運動と舌根部の働きにより形成された咽頭内圧により食塊は食道に送られる。

嚥下の過程

①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。

 

 

 

 

 

 

 

69.等張性運動について正しいのはどれか。

1.角速度は一定である。
2.等尺性運動に比べ血圧が上昇しやすい。
3.等尺性運動に比べ収縮時の筋血流が増加しやすい。
4.等尺性運動に比べ心拍数が増加しやすい。
5.負荷に抗して姿勢を維持するときに起こる。

解答:3

解説

1.×:角速度は一定であるのは、等速性収縮である。
2.×:等尺性収縮は、屈曲伸展などの関節運動を伴わない運動である。したがって、等張性収縮より等尺性収縮の方が、毛細血管圧迫による血流遮断が起こるため、血圧の上昇がしやすいのが特徴である。
3.〇:正しい。等張性収縮は、筋の収縮・弛緩の反復によるポンプ効果で、血液循環が良くなる。よって、等尺性運動に比べ、等張性運動の収縮時の筋血流が増加しやすい。
4.△:等張性運動は、等尺性運動に比べ心拍数が、減少しやすい意見と増加しやすい意見の両方が存在する。そのため△とさせていただいているが、基本的に等張性運動は、等尺性運動に比べ心拍数が、減少しやすい。以下、理由を述べる。選択肢2.でも前述したとおり、等尺性収縮は、毛細血管圧迫による血流遮断が起こり血圧の上昇がしやすいのが特徴である。血液反射機能(圧受容器は、頚動脈洞と大動脈弓に存在し、血圧の変動を感知している。血圧が上昇すると、圧受容器が反応し、反射的に、心拍数が下がり、心筋の収縮力が低下し、結果的に、動脈が拡張し血圧が下がって正常値に復帰すること)によって、血圧が上昇すると心拍数は反射により下がる特徴がある。よって、等張性収縮の特徴は、等尺性収縮よりも血圧が上昇しにくく、心拍数は増加しやすい働きがある。
5.×:負荷の抗して静止姿勢を保つときは、静止性収縮(持続性収縮)である。

余談「等張性運動は、等尺性運動に比べ心拍数が、増加しやすい意見」

 獨協医科大学  リハビリテーション科学の古市照人先生の文献「運動機能のリハビリテーション」の「5. 筋力トレーニング時のリスク管理」を一部抜粋すると、”等張性運動では酸素摂取量,心拍数,心拍出量が増加して血管抵抗が低下するため,収縮期血圧の上昇と拡張期血圧の低下が生じ,平均血圧はほぼ一定である.しかし,等尺性運動では酸素摂取量,心拍数,心拍出量の増加は軽度であるが収縮期血圧と拡張期血圧ともに上昇するため,手技は簡単であるが注意が必要である.”とある。

 

 

 

 

 

70.頸椎の伸展に作用する筋はどれか。

1.頸長筋
2.頭長筋
3.頚板状筋
4.後斜角筋
5.前頭直筋

解答:3

解説

1.×:頸長筋は、両側が働けば頸椎を前方に曲げ、片側時は同側に曲げる。
2.×:頭長筋は、両側が働けば頸椎を前方に曲げ、片側時は同側に曲げる。
3.〇:正しい。片側が働けば、頭と頚をその側に回転し、かつその方向に傾ける。両側が同時に働けば、頭と頚を後ろに反らせる(背屈・伸展)
4.×:後斜角筋は、肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)。肋骨を固定すれば、頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。
5.×:前頭直筋は、両側が働けば頸椎を前方に曲げ、片側時は同側に曲げる。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【暗記用】咀嚼筋、頚部筋の起始・停止・作用・神経を完璧に覚えよう!

 

10 COMMENTS

なこ

いつも勉強させてもらってます!
69番の問題の解説で、結局等尺性か等張性収縮どちらが血圧が上がるのかよくわかりません。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
解説が分かりにくかったと思いましたので修正いたしました。
等尺性収縮と等張性収縮を比較した際は、等尺性収縮の方が血圧は上昇します。

返信する
なこ

早速の返信ありがとうございます🙇‍♀️
等尺性が血圧上昇し、心拍数が低下するなら、4番は正解になりませんか?
何度もすみません…

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大川 純一

コメントありがとうございます。
知識不足で申し訳ないです。
確かに、選択肢4も正解になると思います・・・。
調べてみましたが分かりませんでした。
逆に教えていただければ幸いです”(-“”-)”

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ぷにたん

等尺性収縮は血管が圧迫されるため血圧が高くなりやすく、筋血流が阻害されやすい収縮です。なので、等尺性収縮より等張性収縮は筋血流が上昇し、持久力トレーニングに向いていると言えます!

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大川 純一

ふにたんさん
分かりやすいコメントありがとうございます。
修正いたしましたので、ご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。

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ぼん

上皮小体には、主細胞と好酸性細胞が存在するんですが、ホルモンを分泌するのは主細胞の方ですね!

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大川 純一

コメント・ご教授ありがとうございます。
勉強になります(*´▽`*)
今後とも宜しくお願い致します。

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ぶん

53回AMの69なのですが、答えが3となっているのが解説では4が正しいとなっています。

返信する
大川 純一

コメント、ご指摘ありがとうございます。
確認し修正させていただきました。
よろしくお願いいたします。

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