11 49歳の女性。多発性筋炎で入院中である。ステロイドによる寛解を認め、ベッドサイドでのリハビリテーションが開始された。
この患者の運動負荷を調節する際に指標となる血液検査はどれか。
1. 総ビリルビン
2. クレアチニン
3. 血中尿素窒素
4. クレアチンキナーゼ
5. アルカリフォスファターゼ
解答4
解説
多発性筋炎は、数週間から数か月にわたって進行する、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす炎症性筋疾患である。手指、肘関節や膝関節外側のがさがさした紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な皮膚症状がある場合は、皮膚筋炎と呼ばれる。その原因は、今のところわかっていないが、免疫の異常が病気の成り立ちに重要な役割を果たしている。男女比は1:3で、発症ピークは中年発症が最も多いです。多発筋炎/皮膚筋炎は、筋炎を中心に、皮膚症状、関節炎、間質性肺炎などを併発するが、すべての症状が起こるわけではなく、一人一人によって、出てくる症状、障害される臓器の種類や程度が異なる(筋肉の症状すらない、皮膚症状だけのかたもいる)。
1.× 総ビリルビンは、肝機能の指標となる。高値で急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝癌などが疑われる。
2.3.× クレアチニン・血中尿素窒素は、腎機能の指標となる。高値で急性腎臓病・慢性腎臓病・心不全などが疑われる。
4.〇 正しい。クレアチンキナーゼは、筋障害により高値を示すため、多発性筋炎発症後のリハビリテーションにおいて運動負荷を調節する際に指標となる。
5.× アルカリフォスファターゼは、肝機能の指標となる。高値で、閉塞性黄疸あるいは閉塞性胆道疾患などが疑われる。
12 70歳の男性。右利き。右内頸動脈閉塞による左片麻痺のため回復期リハビリテーション病棟に入院中。意識清明。日用物品の使用に不便はないが、右側を向いていることが多く、左側の対象物への気付きが遅れることがある。物事には積極的に取り組む一方で、他者へ脈絡なくたびたび話しかけてしまう。
この時期の患者の評価法として適切なのはどれか。2つ選べ。
1. Apathy scale
2. BIT
3. FAB
4. GATB
5. WAB
解答2/3
解説
本症例は、右内頸動脈閉塞による左片麻痺を呈している。右半
1.× Apathy scaleとは、対象者のやる気を客観的に評価する方法である。合計16点以上でapathy(意欲の低下)ありと判断する。
2.〇 正しい。BIT(Behavioural Inattention Test:行動性無視検査)は、通常検査と行動検査の2つに分類され、半側空間無視の検査として用いられている。
3.〇 正しい。FAB(Frontal Assessment Battery:前頭葉機能検査)は、前頭葉機能に対するスクリーニング検査である。注意障害があることから前頭連合野の障害があると考えられる。
4.× GATB(General Aptitude Test Battery:一般職業適性検査)とは、職業適性検査の代表的なものである。9つの「適性能(知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手腕の器用さ」を測定する。
5.× WAB(Western Aphasia Battery:WAB失語症検査)は、失語症検査であり、その得点により、全失語、プローカ失
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13 78歳の女性。脳梗塞による左片麻痺。身長160 cm。発症後7か月経過。便座上座位保持時、立ち上がり時および立位保持時には手すりが必要で、下衣着脱は手すりに右肩を当てて行う。トイレに図のようなL型手すりを設置する。
設置位置の寸法で適切なのはどれか。
1. a:40 cm、b:50 cm、c:120 cm
2. a:65 cm、b:75 cm、c:150 cm
3. a:65 cm、b:25 cm、c:150 cm
4. a:80 cm、b:75 cm、c:150 cm
5. a:80 cm、b:25 cm、c:120 cm
解答3
解説
a(横手すりの高さ):62~65cm(便座の高さが40cmで、それよりも20~25cm上の高さが良い。)
b(縦手すりの便座の先端からの距離):25~30cm
c(床から縦手すりの先端までの距離):140~150cm
つまり、すべて適しているのが、選択肢3.a:65 cm、b:25 cm、c:150 cmであるといえる。
14 32歳の女性。アルコール依存症。美容師として働く兼業主婦。25歳ごろから飲酒量が増えた。現時点では、仕事や家事に大きな支障はない。このまま飲酒を続けていると大変なことになると思い、飲酒量を減らそうと努力しているが、飲み始めるといつも深酒してしまう。人の力では断酒できないと悩み、自ら精神科病院を受診し入院治療を受けることになった。
回復を目的とした作業療法の評価で最も重要度が高いのはどれか。
1. 見当識
2. 基礎体力
3. 金銭管理
4. 自己評価
5. 日常生活能力
解答4
解説
本症例は、仕事や家事には支障を来しておらず、本
1~3.5.× 見当識・基礎体力・金銭管理・日常生活能力は、仕事や家事には支障を来していないことからも考えにくい。
15 51歳の女性。パート勤務。職場で突然、動悸がして息苦しくなり口をパクパク開けて過呼吸となった。「出勤するとまた発作が起こりそうだ」と言って自宅に閉じこもっている。
この患者の症状で考えられるのはどれか。
1. 適応障害
2. 身体化障害
3. 解離性昏迷
4. パニック障害
5. 急性ストレス反応
解答4
解説
1.× 適応障害とは、社会生活上の変化に順応する過程で起こる様々な精
2.× 身体化障害とは、多くの身体的訴えはあるものの、その原因がわか
3.× 解離性昏迷とは、意識は清明だが意志の発動がないため、言葉を表出でき
4.〇 正しい。パニック障害とは、誘因なく、突然起こる発作(動悸、発汗、胸痛、息切れ、めまい、窒息感などの自律神経症状、それらの症状から2次的に起こる「気が狂うのではな
5.× 急性ストレス反応は、「その人の生命を脅かすような大きな出来事