第51回(H28) 理学療法士国家試験 解説【午前問題1~5】

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※問題の引用:第51回理学療法士国家試験、第51回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

 

 

1 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しい方法はどれか。

解答4

解説

1.× 肩甲帯屈曲は、【基本軸】両側の肩峰を結ぶ線。【移動軸】頭頂と肩峰を結ぶ線である。図は肩甲帯挙上であるため不適切である。
2.× 肩屈曲は、【基本軸】肩峰通る床への垂直線【移動軸】上腕骨である。ちなみに、【測定部位及び注意点】①前腕は中間位とする。②体幹が動かないように固定する。③脊柱が前後屈しないように注意する。立位または座位で測定するため不適切である。
3.× 肩外旋は、【基本軸】肘を通る前額面への垂直線【移動軸】尺骨である。ちなみに、【測定部位及び注意点】①上腕を体幹に接して、肘関節を前方90°に屈曲した肢位で行う。②前腕は中間位とする。
4.〇 正しい。肘屈曲は、【基本軸】上腕骨【移動軸】橈骨である。前腕は回外位とする。
5.× 前腕回外は、【基本軸】上腕骨【移動軸】手指を伸展した手掌面である。ちなみに、【測定部位及び注意点】肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。

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2 Daniels らの徒手筋力テストを図に示す。
 段階5の抵抗を加える位置が正しいのはどれか。2つ選べ。(※第10版:解3つ)

解答4/5
(※第10版を参考にすると選択肢1も正答となりうる)

解説

1.〇(※第10版) 肩甲骨下制と内転の抵抗は、「前腕遠位部」に加える。第9版までは抵抗の位置が上腕骨遠位に加えていたが、第10版で変更となったため正解といえる。
2.× 肩関節外旋は、前腕遠位部で抵抗を与える。設問の図の抵抗は、上腕近位部に加えている。
3.× 肘関節伸展は、前腕遠位部で抵抗を与える。設問の図の抵抗は、前腕近位部に加えている。
4.〇 正しい。手関節背屈は、第2と第3中手骨(手の橈側の背面)に抵抗を加える。
5.〇 正しい。母指MP関節屈曲は、前腕回外位、手関節中間位、手根中手(CMC)関節およびIP関節は0°とし、母指は内転位で脱力させ第2中手骨の隣に置く。検査者は第1中手骨をしっかりと固定し、他方の手の1本の指で基節骨に対し、MP関節が伸展する方向に抵抗を加える。最大抵抗に抗して全可動域を動かせれば段階5である。

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3 Daniels らの徒手筋力テスト(足関節底屈の検査)を図に示す。
 正しいのはどれか。

1. 図1で完全な底屈運動ができるが抵抗に耐えられなければ段階2-である。
2. 図1で完全な底屈運動ができて最大抵抗に負けずに保てれば段階2である。
3. 図2で疲れなしに完全な底屈運動が1回行えれば段階3である。
4. 図2で完全な底屈運動が20回行えれば段階5である。
5. 図3は腓腹筋単独のテスト肢位である。

解答3

解説

1.× 図1で完全な底屈運動ができるが抵抗に耐えられなければ「段階2-」ではなく、2である。可動域のー部だけ底屈を行うことができる場合、段階2-となる。
2.× 図1で完全な底屈運動ができて最大抵抗に負けずに保てれば「段階2」ではなく、2+である。
3.〇 正しい。図2で疲れなしに完全な底屈運動が1回行えれば段階3である。図2で完全な底屈が1回~9回行うことができれば、段階3である。
4.× 図2で完全な底屈運動が「20 回」ではなく、25回以上行えれば段階5である。
5.× 図3は「腓腹筋単独」のテストではなく、ヒラメ筋単独テストの肢位である。ヒラメ筋単独テストでは、膝関節は屈曲位にし、膝関節をまたぐ腓腹筋を弛緩させる必要がある。

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4 右股関節の可動域を表に示す。
 予想される歩行時の特徴はどれか。

1. 左Trendelenburg徴候
2. 上肢の振り幅の増加
3. 左の歩幅の減少
4. 腰椎後弯
5. 右鶏歩

解答3

解説

本症例のポイント

屈曲90°(参考可動域角度:125°)、伸展ー15°(15°)、外転0°(45)、内転15°(20°)
屈曲・伸展・外転・内転すべてに可動域制限を認める。歩行に大きく影響するのは股関節伸展制限である。本症例は、常に屈曲位にあり伸展ができないことをイメージできる。

1.× 左Trendelenburg徴候は不適切である。なぜなら、Trendelenburg徴候の原因として、中殿筋筋力低下(股関節外転筋力低下)で起こるため。上記の表からは中殿筋筋力低下(股関節外転筋力低下)は読み取ることができない。
2.× 上肢の振り幅の増加は不適切である。上肢の振り幅の増加は、下肢によって推進力が得られにくい場合に起こりやすい。上記の表からは上肢のふり幅の低下は読み取ることができない。
3.〇 正しい。左の歩幅の減少である。なぜなら、右股関節が伸展できないと右下肢の蹴り出しが不十分となるため。正常歩行において、立脚相後期には、立脚側股関節の伸展、立脚側足関節の底屈によって蹴りだすことで遊脚側下肢の踏み出しへとつなげている。ちなみに、歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
4.× 本症例の場合、「腰椎後弯」ではなく、腰椎前弯する。なぜなら、腰椎前弯によって右股関節伸展制限を代償する。
5.× 右鶏歩は、足関節の背屈筋力低下(前脛骨筋の筋力低下)でみられる。鶏歩とは、垂れ足になり、踵を高く上げつま先から投げ出すように歩くこと。

 

 

 

 

 

 

5 反射検査の刺激部位で正しいのはどれか。

解答2

解説

1.× 掌オトガイ反射の刺激部位は、手掌の母指球であり、同側のオトガイの筋に収縮が起こるものである。
2.〇 正しい。把握反射の刺激部位は、母指と示指との間であり、成人で把握反射がみられる場合には前頭葉障害を意味する。
3.× Babinski反射の刺激部位は、踵部から足底外側であり、陽性で母趾が背屈する。
4.× Chaddock反射の刺激部位は、腓骨の外果下部を後方から前方であり、陽性で母趾が背屈する。Babinski反射の変法である。
5.× Oppenheim反射の刺激部位は、脛骨内縁を上方から下方であり、陽性で母趾が背屈する。Babinski反射の変法である。

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

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4 COMMENTS

大川 純一

コメントありがとうございます。
私なりに第10版を参考にして解説の更新を行いました。
さらに修正箇所ございましたら、ご教授いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。

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大川 純一

コメントありがとうございます。
評価と申しますと「ROM、MMT」の問題でしょうか?
それとも感覚検査や腱反射、Brsなども含まれますか?
ご返信お待ちしております。

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