第51回(H28) 理学療法士国家試験 解説【午前問題6~10】

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6 6歳の男児。1か月前から左足部痛を訴えた。下図を別に示す。
 最も考えられるのはどれか。


1. Sever 病
2. 舟状骨骨折
3. Freiberg 病
4. 足根骨癒合症
5. 第1Köhler 病

解答5

解説

ケーラー病とは?

ケーラー病は、足の舟状骨への血液供給が途絶えるためにその部分が壊死する病気(無腐性壊死)である。ケーラー病は骨軟骨症の一種である。ケーラー病の原因は、足の舟状骨への血液供給不足であるが、なぜ血液の供給が不足するのかは分かっていない。この病気は通常、3~5歳の小児(男児に多い)の片足のみに起こる。足が腫れて痛み、足のアーチ部分に圧痛が生じる。体重支持と歩行によって不快感が増すため、歩き方(歩様)に異常がみられる。スポーツの中止やアーチ足底板の利用により、舟状骨へのストレスを低減させることで良好な予後が期待できる。レントゲンの特徴として、正常よりも小さな舟状骨が確認できる。

(※参考:「ケーラー病とは?」MSDマニュアル様HPより)

よって、選択肢5.第1Köhler 病が正しい。

1.× Sever病(セーバー病)は、踵骨骨端部に生じる骨端症である。
2.× 舟状骨骨折は画像から確認できない。
3.× Freiberg病(フランバーグ病)は、中足骨頭に阻血性骨壊死が起きる疾患である。
4.× 足根骨癒合症とは、先天的に複数個の足根骨に癒合を認める疾患で、外傷や関節リウマチによる二次的な癒合は含まれないものをいう。第二次性徴期のスポーツ活動時軽微な外傷を契機に癒合部位の疼痛として発症する。距踵骨癒合症では脛骨神経の絞扼性神経障害である足根管症候群を呈することもある。また、腓骨筋痙性亢進により重度の内がえし制限を認めることもある。

 

 

 

 

 

 

7 脳卒中右片麻痺の麻痺側運動機能についてBrunnstrom法ステージの検査を行ったところ、図に示す段階までの運動が可能であった。
 評価の組合せで正しいのはどれか。


1. 上肢Ⅳ — 手指Ⅳ — 下肢Ⅳ
2. 上肢Ⅳ — 手指Ⅴ — 下肢Ⅳ
3. 上肢Ⅳ — 手指Ⅳ — 下肢Ⅴ
4. 上肢Ⅴ — 手指Ⅴ — 下肢Ⅳ
5. 上肢Ⅴ — 手指Ⅴ — 下肢Ⅴ

解答5

解説

 上肢:肘関節伸展位での肩関節90°外転・挙上可能でありstageⅤである。

 下肢:立位にて股関節伸展位での膝関節屈曲が可能でありstageⅤである。

 手指:対向つまみのD型つまみが可能であり、stageⅤである。

よって、選択肢5.上肢Ⅴ—手指Ⅴ—下肢Ⅴが正しい。

 

 

 

 

 

8 正常な胸部エックス線写真を下図に示す。
 番号と解剖学的名称の組合せで正しいのはどれか。


1. ① 肺静脈
2. ② 肋骨
3. ③ 下行大動脈
4. ④ 気管支
5. ⑤ 左房縁

解答4

解説

1.× ①は、「肺静脈」ではなく右肺動脈である。
2.× ②は、「肋骨」ではなく横隔膜である。
3.× ③は、「下行大動脈」ではなく大動脈弓である。
4.〇 正しい。④は、気管支(左主気管支)である。透過性が低下する(白く映る)場合は気道内異物を疑う。
5.× ⑤は、「左房縁」ではなく左室縁である。

 

 

 

 

 

 

9 44歳の女性。1か月前から腰痛および左下肢痛を訴える。腰椎MRIの矢状断像(図:A)と水平断像(図:B)とを下図に示す。なお、水平断像は矢状断像で最も所見がある椎体間の高位のものである。
 この患者にみられる所見はどれか。


1. 左下腿内側の感覚障害
2. 左足部の感覚障害
3. 左大腿四頭筋の筋力低下
4. 右下外側の感覚障害
5. 右長母指伸筋の筋力低下

解答2

解説

椎間高位がL5/S1である場合

・アキレス腱反射減弱・消失。
・足背および足底の外側に感覚障害。
・下腿三頭筋や長母趾屈筋、長趾屈筋の筋力低下。

1.3.× 左下腿内側の感覚障害/左大腿四頭筋の筋力低下は、L3/L4高位の所見である。
2.〇 正しい。左足部の感覚障害は、L5/S1の所見である。
4.5.× 右下外側の感覚障害/右長母指伸筋の筋力低下は、病巣は左側である(右側に症状は出ない)ため不適切である。

 

 

 

 

 

 

10 70歳の男性。15年前の脳出血による右痙性片麻痺。右尖足に対して機能的電気刺激を行うこととした。
 刺激部位として適切なのはどれか。


1. A
2. B
3. C
4. D
5. E

解答1

解説

本症例のポイント

・15年前の脳出血による右痙性片麻痺。
・右尖足に対して機能的電気刺激を行う。
→脳出血による右痙性片麻痺で、痙縮(痙性)による尖足が出現していると考えられる。

機能的電気刺激(FES)とは、筋もしくは末梢神経を刺激して麻痺筋を収縮させることで、その筋の随意性及び消失した機能を代償させることを目的とした治療法のことをいう。適応症例は、脳卒中、脊髄損傷等により運動麻痺を呈している方である。

 尖足に対しての電気刺激治療には、足関節背屈に関与する筋(前脛骨筋・長指伸筋など)を支配し、深腓骨神経を分枝する総腓骨神経を刺激し、尖足状態を軽減させる必要がある。総腓骨神経は、腓骨頭を後ろから回り込むように骨に沿って表層を走行しているため、電気刺激を与えやすい。よって、選択肢1.A(総腓骨神経)が正しい。Aは、総腓骨神経の走行部位で、電気刺激を行いやすい部位である。

2.3.× B/Cは、総腓骨神経から分枝した浅腓骨神経・深腓骨神経の走行部位であるが、遠位すぎて前脛骨筋や長趾伸筋の刺激にはならない。
4.5.× D/Eは、腫骨神経(足関節底屈を支配する)の走行部位である。

 

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