第50回(H27) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題66~70】

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66 腎臓の尿細管で再吸収されるのはどれか。

1. アミノ酸
2. イヌリン
3. アンモニア
4. クレアチニン
5. ミオグロビン

解答1

解説

1.〇 正しい。アミノ酸である。近位尿細管では、ほとんどの物質(水、ナトリウム、カリウム、クロール、リン、カルシウム、アミノ酸、グルコース、尿酸など)が再吸収される。
2.× イヌリンとは、糸球体漁過量を測定する指標としてよく用いられる。
3.× アンモニアは、遠位尿細管より排泄される。
4.× クレアチニンは、ほとんど尿中に排泄される。腎機能・糸球体機能の指標となる。
5.× ミオグロビンは、ほとんど尿中に排泄される。伸筋や骨格筋に含まれる色素蛋白で、筋の障害を反映する。

糸球体濾過量とは?

糸球体濾過量とは、腎臓の機能を表す指標で「GFR(Glomerular Filtration Rate)」とも呼ばれる。腎臓のなかにある糸球体(毛細血管の集合体)が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示している。推算糸球体濾過量(eGFR)の正常値は、「60ml/分/1.73㎡以上」で、年齢、性別、血清クレアチニン値、シスタチンC値から計算する。①正常(G1:90以上)、②軽度低下(G2:60〜89)、③中等度低下(G3a:45〜59、G3b:30〜44)、④高度低下(G4:15〜29)、⑤末期腎不全(G5:15以下)に分類される。

 

 

 

 

 

67 排便機構で正しいのはどれか。

1. 排便中枢は第10〜12胸髄に存在する。
2. 排便反射では外肛門括約筋が収縮する。
3. 下行結腸に便が貯留すると便意を生じる。
4. 胃結腸反射により結腸の蠕動運動が亢進する。
5. 副交感神経系は消化管運動に抑制的に作用する。

解答4

解説

1.× 排便中枢は、「第10〜12胸髄」ではなく、第2~4仙髄に存在する。
2.× 排便反射では外肛門括約筋が、「収縮」ではなく弛緩する。排便中は、まず内肛門括約筋が弛緩し、その後に外肛門括約筋が弛緩する。外肛門括約筋が収縮すると、便の出口が塞がれることになる。
3.× 「下行結腸」ではなく、直腸に便が貯留すると便意を生じる。
4.〇 正しい。胃結腸反射により結腸の蠕動運動が亢進する。胃結腸反射とは、胃の中に食物が入るとガストリンが分泌されこの刺激により回盲部が開き、便塊が大腸に流れ、結腸の蠕動運動が亢進する反射のこと。
5.× 副交感神経系は消化管運動に、「抑制的」ではなく促進に作用する。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

理学療法士国家試験 泌尿器の解剖ついての問題6選「まとめ・解説」

 

 

 

 

68 基礎代謝について誤っているのはどれか。

1. 安静臥床で計測する。
2. 体温の上昇によって増加する。
3. 同性、同年齢ならば体表面積に比例する。
4. 代謝当量(METs)は、作業時代謝量 ÷ 基礎代謝量で表す。
5. 食後の消費エネルギー増加は、脂質摂取に比べ蛋白質摂取で大きい。

解答4

解説

基礎代謝量とは、生命維持のために最低限必要なエネルギー量(覚醒時)である。

 

1.〇 正しい。安静臥床で計測する。
2.〇 正しい。体温の上昇によって増加する。
3.〇 正しい。同性、同年齢ならば体表面積に比例する。詳しくは、補足説明にて。
4.× 代謝当量(METs)は、「作業時代謝量 ÷ 基礎代謝量」ではなく、運動・作業時代謝量 ÷ 安静時代謝量で表す。作業時代謝量 ÷ 基礎代謝量で求められるのは、エネルギー代謝率(RMR)である。
5.〇 正しい。食後の消費エネルギー増加は、脂質摂取に比べ蛋白質摂取で大きい。

選択肢3の補足説明

基礎代謝量は、ハリス・ベネディクト方程式(改良版)を使って求められる。
男性:13.397×体重kg+4.799×身長cm−5.677×年齢+88.362
女性:9.247×体重kg+3.098×身長cm−4.33×年齢+447.593

体表面積は、デュポア式を使って求められる。
体表面積=身長0.725×体重0.425×0.007184

体重と身長を使用し体表面積を求められ、基礎代謝量も身長と体重が寄与している。

よって、基礎代謝に比例する。

 

 

 

 

 

69 筋と呼吸運動の組合せで正しいのはどれか。

1. 横隔膜 — 吸気
2. 腹直筋 — 吸気
3. 大胸筋 — 呼気
4. 内肋間筋 — 吸気
5. 胸鎖乳突筋 — 呼気

解答1

解説

1.〇 正しい。横隔膜は、(安静)吸気に作用する。
2.× 腹直筋は、「吸気」ではなく(努力)呼気に作用する。
3.× 大胸筋は、「呼気」ではなく(努力)吸気の補助に作用する。
4.× 内肋間筋は、「吸気」ではなく(努力)呼気に作用する。
5.× 胸鎖乳突筋は、「呼気」ではなく(努力)吸気の補助に作用する。

 

 

 

 

 

70 嫌気的代謝の過程で生成される物質はどれか。

1. クエン酸
2. コハク酸
3. リンゴ酸
4. ピルビン酸
5. イソクエン酸

解答4

解説

”クエン酸回路とは?”

クエン酸回路(TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路)とは、ミトコンドリアでアセチルCoAが二酸化炭素と水へと酸化されATPを生成する。

グルコース→ピルビン酸→アセチルCoA→【クエン酸回路】(オキサロ酢酸)+クエン酸→イソクエン酸→α-ケトグルタル酸→サクシニルCoA→コハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキサロ酢酸となる。

1~3.5.× クエン酸/コハク酸/リンゴ酸/イソクエン酸は、クエン酸回路で生成される。
4.〇 正しい。ピルビン酸は、嫌気的代謝の過程で生成される。嫌気的条件下において、グルコースは解糖系によってピルビン酸に代謝された後、乳酸へと代謝される。

嫌気的代謝(解糖系)とは?

解糖系とは、生体内に存在する生化学反応経路の名称であり、グルコースをピルビン酸などの有機酸に分解し、グルコースに含まれる高い結合エネルギー(ATP)を生物が使いやすい形に変換していくための代謝過程である。グルコースから生じたピルビン酸は、還元され最終産物として乳酸になる。このグルコースから乳酸への変換経路は、酸素の関与なしに起こりうるので、嫌気的代謝(解糖)と呼ばれる。

 

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