第50回(H27) 理学療法士国家試験 解説【午後問題26~30】

 

26 前大脳動脈閉塞で最も生じやすい症状はどれか。

1. 観念運動失行
2. 強制把握現象
3. 地誌的失見当
4. 着衣失行
5. 物体失認

解答2

解説

 前大脳動脈は、前頭葉内側頭頂葉内側を支配している。

 

1.× 観念運動失行は、優位半球の頭頂後頭葉の障害(縁上回)で生じやすい。つまり、中大脳動脈の障害で起こる。
2.〇 正しい。強制把握現象(前頭葉の障害)である。強制把握現象とは、触覚的刺激から把握反射によりずっと把握し続けてしまう現象である。
3.× 地誌的失見当は、両側または右頭頂後頭葉などとされており、主に中・後大脳動脈領域の梗塞で生じる。地誌的失見当の症状は、①自己中心的失見当、②道順障害、③街並失認に分類される。
4.× 着衣失行は、劣位半球の頭頂葉の梗塞で生じやすい。つまり、中大脳動脈の障害で起こる。
5.× 物体失認は、劣位半球の頭頂~後頭葉の障害で生じやすい。つまり、中大脳動脈の障害で起こる。物体失認とは、物体は見えるがそれが何か理解できないという症状である。

 

 

 

 

 

27 Duchenne型筋ジストロフィーのステージ6(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類による)に対する理学療法として適切なのはどれか。2つ選べ。

1. 四つ這い移動練習
2. 脊柱の可動域運動
3. 電動車椅子操作の練習
4. 短下肢装具装着での立位バランス練習
5. 台やテーブルを利用した立ち上がり練習

解答2/3

解説

 Duchenne型筋ジストロフィー機能障害分類のステージ6は、「四つ這いは不可能だが、いざりは可能」なレベルである。

 

1.× 四つ這い移動練習は、ステージ5で行う。ステージ5は、「起立歩行は不可能であるが、四つ這い移動は可能」である。ステージ6になると、四つ這い移動は不可能であるため理学療法として不適切である。
2.〇 正しい。脊柱の可動域運動である。可動域運動を全ステージで行う。なぜなら、筋ジストロフィーや神経疾患では関節拘縮の発生頻度が高いため。
3.〇 正しい。電動車椅子操作の練習である。ステージ5~7において車椅子の操作が必要になる。操作練習はステージ5~6程度から理学療法を行っていく。
4.× 短下肢装具装着での立位バランス練習は、ステージ4で行う。ステージ4は、「歩行可能レベル」である。
5.× 台やテーブルを利用した立ち上がり練習は、ステージ4で行う。選択肢4~5は、ステージ6のレベルでは不可能であることが考えられる。

厚生省「筋萎縮症」対策研究会による障害段階分類

ステージ1 歩行可能 介助なく階段昇降可能(手すりも用いない)
ステージ2 階段昇降に介助(手すり、手による膝おさえなど)を必要とする
ステージ3 階段昇降不能 平地歩行可能 通常の高さのイスからの立上がり可能
ステージ4 歩行可能 イスからの立上がり不能
ステージ5 歩行不能 四つ這い可能
ステージ6 四つ這い不能だが、いざり移動可能
ステージ7 這うことはできないが、自力で坐位保持可能
ステージ8 ベッドに寝たままで体動不能 全介助

 

 

 

 

 

28 アテトーゼ型脳性麻痺について誤っているのはどれか。

1. 痙直型より少ない。
2. 原始反射が残存しやすい。
3. 不随意運動を主症状とする。
4. 上肢より下肢の障害が重度であることが多い。
5. 成人以降の二次障害として頸椎症性脊髄症がある。

解答4

解説

1.〇 正しい。アテトーゼ型脳性麻痺は、痙直型より少ない。痙直型が最も多い。
2.〇 正しい。アテトーゼ型脳性麻痺は、原始反射が残存しやすい。特に、非対称性緊張性頸反射が残存しやすく、左右対称な姿勢がとりにくい。
3.〇 正しい。アテトーゼ型脳性麻痺は、不随意運動を主症状とする。アテトーゼは、不随意運動が含まれ、頚部から上肢を中心とした筋緊張をともなう粗大運動である。
4.× 上肢より下肢の障害が重度であることが多いのは、痙直型両麻痺である。アテトーゼ型は、上下肢ともに支持性が低下し、不随意運動は、頚部から上肢にみられることが多い。
5.〇 正しい。アテトーゼ型脳性麻痺は、成人以降の二次障害として頸椎症性脊髄症がある。頚椎症性脊髄症とは、頚椎の変形によって内側の脊髄が圧迫されて、巧級性の低下や手足のしびれが生じる疾患である。

 

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

理学療法士国家試験 脳性麻痺についての問題9選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

29 PEDI (pediatric evaluation of disability inventory)で正しいのはどれか。

1. 機能的スキルを測定する。
2. 脳性麻痺は対象にならない。
3. 出生直後から使用可能である。
4. 社会的機能は評価項目に含まれない。
5. 評価に要する時間はWeeFIMより短い。

解答1

解説

1.〇 正しい。検査項目に、機能的スキルがある。
2.× 脳性麻痺も対象となる。なぜなら、子ども(生後6か月から7歳半)を対象とした包括的機能評価表であるため。
3.× 出生直後から使用は不可能である。生後6か月から7歳半の子供が対象である。
4.× 社会的機能も評価項目に含まれる。
5.× 評価に要する時間はWeeFIMより長くなる。なぜなら、PEDIは全217項目、一方WeeFIMは全18項目であるため。

PEDI (pediatric evaluation of disability inventory)

子ども(生後6か月から7歳半)を対象とした包括的機能評価表である。
評価は、【機能的スキル】と【複合活動】からなる。

それぞれ、①セルフケア、②移動、③社会的機能の3領域に分類される。
機能的スキル:197項目。
複合活動:20項目。

個々の項目では、特定の動作について両親や児をよく知る者に質問して能力を評価する。
介護者による援助尺度や、補助具等の使用についての調整尺度も設定されている。

 

 

 

 

 

30 ASIA機能障害尺度でL4のkey muscleはどれか。

1. 腸腰筋
2. 腓腹筋
3. 前脛骨筋
4. 大腿四頭筋
5. 長母指伸筋

解答3

解説

1.× 腸腰筋は、L2のkey muscleである。
2.× 腓腹筋は、S1のkey muscleである。
3.〇 正しい。前脛骨筋は、L4のkey muscleである。
4.× 大腿四頭筋は、L3のkey muscleである。
5.× 長母指伸筋は、L5のkey muscleである。

 

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