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31 脊髄完全損傷者の機能残存レベルと日常生活動作の到達レベルの組合せで正しいのはどれか。
1. 第4頸髄節 — 手動での車椅子操作
2. 第5頸髄節 — 更衣動作の自立
3. 第6頸髄節 — 寝返りの自立
4. 第7頸髄節 — 介助によるトイレへの移乗
5. 第8頸髄節 — 介助による起き上がり
解答3
解説
1.× 第4頸髄節は、下顎などを用いて電動車いすを操作する必要がある。手動での車椅子操作(ハンドリムに工夫が必要)は、第5頸髄節である。
2.× 第5頸髄節は、更衣動作に全介助~要介助レベルである。第6頸髄節で一部介助で行えるようになる。
3.〇 正しい。第6頸髄節は、寝返りを自立で行える。
4.× 第7頸髄節は、トイレへの移乗を「介助」ではなく自立して行える。プッシュアップ動作が可能であり、トイレの側方移乗が自立して可能である。
5.× 第8頸髄節は、起き上がりを「介助」ではなく自立して行える。車椅子にてほとんどの日常生活が自立する。
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【PT専門のみ】脊髄損傷についての問題「まとめ・解説」
32 膝前十字靱帯断裂の評価で適切な検査法はどれか。2つ選べ。
1. 前方引き出しテスト
2. Barlowテスト
3. Nテスト
4. Ortolaniテスト
5. Patrickテスト
解答1/3
解説
1.〇 正しい。前方引き出しテスト/Nテストは、膝前十字靱帯断裂で陽性となる。
2.× Barlowテスト(バーローテスト)は、発育性股関節形成不全を検査するテストである。開排位から股関節を閉じてゆくとある時点骨頭が臼蓋からはずれるのを触知する。
4.× Ortolaniテスト(オルトラーニテスト)は、発育性股関節形成不全を検査するテストである。新生児で、すでに脱臼している場合は股関節を屈曲位から少しずつ開排位にしていくとある角度で骨頭が臼蓋の中に瞬間的に入り込むのを触知する。
5.× Patrickテスト(パトリックテスト)は、仙腸関節・股関節のストレステストである。
33 アキレス腱周囲炎について正しいのはどれか。
1. 10〜20代に多い。
2. 踵補高の足底板を用いる。
3. Thompsonテスト陽性である。
4. 疼痛は下腿の近位に発生することが多い。
5. 過労性骨膜炎が原因となっていることが多い。
解答2
解説
1.× 「10〜20代」ではなく、中高年齢者(45歳以上)が多い。なぜなら、多くは下腿三頭筋の筋力低下や柔軟性低下が原因で起こるため。
2.〇 正しい。踵補高の足底板を用いる。足関節を軽度底屈位にすることでアキレス腱を緩める。そうすることで、急激なアキレス腱の動き・負担を軽減できる。
3.× Thompsonテスト陽性は、アキレス腱断裂である。アキレス腱周囲炎ではThompsonテスト陽性にはならない。
4.× 疼痛は、「下腿の近位」ではなく遠位(アキレス腱周囲)に発生することが多い。
5.× 過労性骨膜炎が原因となるものはシンスプリントであることが多い。運動などで筋付着部の骨膜に繰り返し強い張力が加わることにより起こる。
34 肘部管症候群を疑う所見はどれか。2 つ選べ。
1. 小指のしびれ
2. Froment徴候
3. Tear drop徴候
4. 母指球筋の萎縮
5. 正中神経伝導速度の低下
解答1/2
解説
肘部管症候群で障害される神経は、尺骨神経である。
1.〇 正しい。尺骨神経領域障害(小指のしびれ)を伴う。
2.〇 正しい。Froment徴候である。Froment徴候陽性とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。
3.× Tear drop徴候は、正中神経麻痺でみられる。Tear drop徴候とは、母指と示指でのつまみ動作を指示したときに、きれいなO形がつくれないことである。
4.× 母指球筋の萎縮は、正中神経麻痺でみられる。猿手となる。
5.× 正中神経伝導速度の低下は起こらない。肘部管症候群は、尺骨神経伝導速度の低下がみられる。
尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞扼性神経障害である。
尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。
35 寒冷療法の作用で正しいのはどれか。
1. 痛覚閾値の低下
2. 血液粘稠度の低下
3. 毛細血管透過性の亢進
4. 組織の酸素需要量の減少
5. a運動ニューロンの活動抑制
解答4
解説
1.× 痛覚閾値の「低下」ではなく上昇である。痛みを感じにくくなる。
2.× 血液粘稠度(血液の粘り気)の「低下」ではなく増大である。
3.× 毛細血管透過性(血管とその周りの組織との間で起こる水分や栄養分などの移動のこと)の「亢進」ではなく低下させ浮腫の抑制が行える。
4.〇 正しい。組織の酸素需要量の減少である。なぜなら、組織細胞の代謝が低下するため。
5.× a運動ニューロンの活動は、「抑制」ではなく活性化する。γ運動ニューロンは抑制される。
寒冷療法の生理作用には、局所新陳代謝の低下、毛細血管浸透圧の減少、血管収縮とその後の拡張、感覚受容器の閾値の上昇、刺激伝達遅延による中枢への感覚インパルス減少、筋紡錘活動の低下等がある。これらの作用により、炎症や浮腫の抑制、血液循環の改善、鎮痛作用、筋スパズムの軽減が期待される。
(引用:「寒冷療法」物理療法系専門領域研究部会 著:加賀谷善教)