第48回(H25) 理学療法士国家試験 解説【午前問題36~40】

 

36 伝い歩きが可能なレベルの脊髄小脳変性症患者で姿勢バランスを崩す危険性が高いのはどれか。

1.閉脚立位
2.片膝立ち位
3.四つ這い位
4.タンデム肢位
5.踵接地でのしゃがみ位

解答4

解説

”脊髄小脳変性症とは?多系統萎縮症とは?”

脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とし、原因が、感染症、中毒、腫瘍、栄養素の欠乏、奇形、血管障害、自己免疫性疾患等によらない疾患の総称である。遺伝性と孤発性に大別され、①純粋小脳型(小脳症状のみが目立つ)と、②多系統障害型(小脳以外の症状が目立つ)に大別される。脊髄小脳変性症の割合として、孤発性(67.2%)、常染色体優性遺伝性(27%)、が常染色体劣性遺伝性(1.8%)であった。孤発性のものの大多数は多系統萎縮症である。(※参考:「18 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く。)」厚生労働省様HPより)

多系統萎縮症とは、成年期(多くは40歳以降)に発症し、進行性の細胞変性脱落をきたす疾患である。①オリーブ橋小脳萎縮症(初発から病初期の症候が小脳性運動失調)、②線条体黒質変性症(初発から病初期の症候がパーキンソニズム)、シャイ・ドレーカー症候群(初発から病初期の症候が自律神経障害であるもの)と称されてきた。いずれも進行するとこれら三大症候は重複してくること、画像診断でも脳幹と小脳の萎縮や線条体の異常等の所見が認められ、かつ組織病理も共通していることから多系統萎縮症と総称されるようになった。(※参考:「17 多系統萎縮症」厚生労働省様HPより)

支持基底面の広さを考えると、選択肢3.四つ這い位>選択肢2.片膝立ち位>選択肢5.踵接地でのしゃがみ位>選択肢1.閉脚立位>選択肢4.タンデム肢位である。

 また、Berg Balance Scale(バーグバランススケール)の評価方法から、バランスの難易度が分かる。①椅子からの立ち上がり、②立位保持、③座位保持、④着座、⑤移乗、⑥閉眼立位保持、⑦閉脚立位保持、⑧フェンクショナルリーチ、⑨拾い上げ、⑩振り返り、⑪360°の方向転換、⑫踏み台昇降、⑬タンデム立位、⑭片脚立位である。つまり、選択肢4.タンデム肢位は13番目であるためバランスを崩す危険性が高い。

 

 

 

 

 

37 Duchenne型筋ジストロフィーで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.関節拘縮は生じにくい。
2.知覚障害はまれである。
3.筋萎縮は遠位筋から始まる。
4.Gowers 徴候が特徴である。
5.5歳ころまでに歩行不能になることが多い。

解答2/4

解説

筋ジストロフィーは、骨格筋の変性・壊死と筋力低下を主張とする遺伝性の疾患の総称である。

 

1.× 関節拘縮を生じる。特に、ハムストリングスの短縮による膝関節の屈曲拘縮がみられる。
2.〇 正しい。知覚障害はまれである。なぜなら、筋ジストロフィーは、筋原性の疾患であるため。
3.× 筋萎縮は、遠位筋ではなく下肢近位筋(大殿筋)から始まる。
4.〇 正しい。Gowers徴候(ガワーズ徴候:登はん性起立)が特徴である。立ち上がる際に手を膝でおさえつつ、体を起こしていく方法である。
5.× 歩行不能になることが多いのは、5歳ころではなく、10歳前後である。

 

 

 

 

 

 

38 軸索変性型のGuillain-Barré症候群で適切なのはどれか。

1.発症後1週間経過すれば高負荷の訓練は可能である。
2.γ-グロブリン大量療法中に運動療法は行わない。
3.下垂足に対して軽量の短下肢装具を作製する。
4.手内筋麻痺は3か月以内で回復する。
5.発症後6か月間で症状は固定する。

解答3

解説

”Guillain-Barré症候群とは?”

Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。

(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)

1.× 発症後1週間の時点では、両側上下肢の運動麻痺や四肢の感覚障害が進行中である。また、高負荷の訓練は末梢神経障害に対して行うと更なる筋力低下を招くことになる。そのため、低負荷高頻度の筋持久力訓練を行う。
2.× γ-グロブリン(免疫グロブリン)大量療法中であっても、運動療法(ベッド上やベッドサイドで行う運動)は取り入れていく。活動能力の低下や廃用予防となる。
3.〇 正しい。下垂足に対して軽量の短下肢装具を作製する。筋力低下を考慮して、プラスチック製短下肢装具など軽量のものが望ましい。
4.× 手内筋麻痺などの症状の回復は、3か月以内ではなく、6か月~1年程度で寛解する。運動麻痺は、近位部から回復する傾向にあり、また、脱髄型に比べ軸索型が予後不良である。
5.× 症状の固定は、発症後6か月間ではなく、約1か月程度である。

 

 

 

 

 

 

39 遠城寺式乳幼児分析的発達検査で2歳0か月までに獲得されるのはどれか。

1.2語文を話す。
2.色の区別ができる。
3.左右の区別ができる。
4.自分の姓名を言うことができる。
5.シャツのボタンをかけることができる。

解答1

解説

1.〇 正しい。2語文を話すのは、2歳である。
2.× 色の区別ができるのは、2歳9か月~3歳である。
3.× 左右の区別ができるのは、4歳4~8か月である。
4.× 自分の姓名を言うことができるのは、2歳3~6か月である。
5.× シャツのボタンをかけることができるのは、3歳~3歳4か月である。

 

 

 

 

 

 

40 小児疾患と理学療法の組合せで適切なのはどれか。

1.先天性内反足:徒手矯正
2.二分脊椎:移動動作訓練
3.発育性(先天性)股関節脱臼:トロント装具装着
4.Perthes病:患部の等張性筋力増強
5.Down症:床上座位移動練習(シャフリング)

解答2

解説

1.× 先天性内反足には、徒手矯正ではなく、ギプス矯正を行う。ギプス矯正で効果が見込めなかった場合、間欠的な矯正術が施行される。
2.〇 正しい。二分脊椎は、移動動作訓練を実施する。二分脊椎では、麻痺レベルに応じて種々の装具が処方される。例えば、交互式歩行装具などである。
3.× 発育性(先天性)股関節脱臼は、トロント装具装着ではなく、乳児期にリーメンビューゲル装具装着により整復をはかる。ちなみに、トロント装具はPerthes病に適応となる。
4.× Perthes病は、患部の等張性筋力増強ではなく、トロント装具股関節外転装具を用いて改善をはかる。ちなみに、ペルテス病の保存療法では、外転位を保持して骨頭の変形防止、外転位を保持して荷重することによる骨頭と臼蓋の適合調整・免荷をしながら松葉杖歩行訓練などの運動療法が行われる。
5.× Down症は、床上座位移動練習(シャフリング)ではなく、運動発達を促す。床上座位移動練習(シャフリング)とは、上肢と体幹の力を用いての移動である。いわゆる「いざり這い(※差別用語であるため使用は極力控えること)」である。獲得を目指し運動療法を獲得する移動方法ではない。

 

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