第47回(H24) 理学療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

 

46 絞扼性神経障害と症状の組合せで正しいのはどれか。

1.肘部管症候群:母指外転障害
2.後骨間神経麻痺:母指内転障害
3.手根管症候群:母指対立障害
4.梨状筋症候群:大腿前面のしびれ
5.足根管症候群:足背のしびれ

解答3

解説

1.× 肘部管症候群は、尺骨神経障害が起こる。肘部管症候群は、尺骨神経が肘関節背面内側にある尺側骨手根屈筋下の肘部管を通過する際に生じる絞拒性障害である。尺骨神経麻痺を来し、指の開閉運動障害や鷲手変形を生じる。ちなみに、長・短母指外転筋の支配神経は、橈骨神経深枝(C6~C8)である。
2.× 後骨間神経麻痺は、橈骨神経(深枝)の障害が起こる。下垂指(手首の背屈は可能だが、手指の付け根の関節の伸展ができなくなり、指のみが下がった状態)がみられる。ちなみに、母指内転筋の支配神経は、尺骨神経深枝である。
3.〇 正しい。手根管症候群は、母指対立障害が起こる。他にも、正中神経が障害され、猿手がみられる。ちなみに、手根管症候群は、正中神経が手根管を通過する際に生じる絞扼性神経障害である。
4.× 梨状筋症候群は、大腿前面のしびれではなく、大腿後面のしびれを生じる。なぜなら、梨状筋症候群は、坐骨神経が大坐骨切痕と梨状筋との間で圧迫を受ける絞扼性神経障害であるため。
5.× 足根管症候群は、足背のしびれではなく、足底のしびれを生じる。なぜなら、足根管症候群は、座骨神経が脛骨内果後下方の報帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害であるため。

 

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47 DDSTで10か月児が通過率75 %以上で可能なのはどれか。2つ選べ。

1.立位へ引き起こすとついてくる。
2.しゃがんだり立ったりする。
3.つかまり立ちする。
4.ひとり立ちする。
5.ひとり歩きする。

解答1/3

解説

DDSTとは?

DDSTとは、『デンバー式発達スクリーニング検査』のことである。発達分野を『個人-社会』『微細運動-適応』『言語』『粗大運動』に分け、それぞれの各発達項目で25%、50%、75%、90%の通過月齢が長方形で示されている。

1.〇 正しい。立位へ引き起こすとついてくるのは、9~10か月で可能になる。10か月児が通過率75 %以上で可能となる。
2.× しゃがんだり立ったりするのは、14~15か月で可能になる。
3.〇 正しい。つかまり立ちするのは、8~9か月で可能になる。10か月児が通過率75 %以上で可能となる。
4.× ひとり立ちするのは、13~14か月で可能になる。
5.× ひとり歩きするのは、14~15か月で可能になる。

 

 

 

 

 

 

48 慢性腎不全患者に対する運動療法として正しいのはどれか。

1.高血圧症合併例では等尺性運動を避ける。
2.運動負荷の指標に自覚的強度は適切でない。
3.腹膜透析(CAPD)導入後は歩行訓練を避ける。
4.むずむず足症候群では下肢運動は禁忌となる。
5.下肢の浮腫には起立台での起立訓練が有効である。

解答1

解説

1.〇 正しい。高血圧症合併例では等尺性運動を避ける。運動療法は、等尺性運動より有酸素運動が好ましい。なぜなら、降圧効果があるため。運動の種類としては、歩行や軽めのランニング、水泳などである。高血圧症合併例に対し、等尺性運動は禁忌である。なぜなら、血圧を上昇させる作用があるため。
2.× 運動負荷の指標に自覚的強度(Borg指数など)は、適切である。運動強度は、運動時の負荷やきつさに相当し、指標には、心拍数や酸素摂取量、自覚的運動強度、エネルギー代謝率(RMR)、METSなどが使用される。
3.× 腹膜透析(CAPD)導入後も、歩行訓練を実施する。なぜなら、腹膜透析は血液透析より循環動態への影響は少ないため。透析中に適度な運動を行うことにより、透析効率が上昇することがあると報告がある。施設によっては、腹膜透析中に、歩行や自転車エルゴメーターを実施するところもある。透析効率が上昇すれば、1回の透析治療で更に多くの毒素を除去することができる。
4.× むずむず足症候群に対し下肢運動が禁忌といったことはない。むずむず足(脚)症候群とは、腎機能障害や透析患者に多く、日本において成人の3%程度にみられるとされる。就床すると足がむずむずする、ほてる、かゆいなどの異常な感覚が生じ、下肢を動かさずにいられなくなる。症状が軽い患者の場合は、①脚のストレッチや②マッサージの実施、③日常生活における指導(飲酒・喫煙・カフェインを控えるなど)をする。
5.× 下肢の浮腫に、起立台での起立訓練はむしろ逆効果である。なぜなら、重力により循環不全が起こるため。下肢の浮腫には、下肢の挙上や下肢の運動、マッサージが有効である。

慢性腎不全患者に対する運動療法の効果

最大酸素摂取量の増加
左心室収縮機能の亢進(安静時・運動時)
心臓副交感神経系の活性化
心臓交感神経緊張の改善
栄養低下、炎症複合症候群の改善
貧血の改善
不安・うつ・QOLの改善
ADLの改善
死亡率の低下
前腕静脈サイズの増加
透析効率の増加など

 

 

 

 

 

 

49 熱傷患者の理学療法で誤っているのはどれか。

1.温浴時に関節可動域訓練を併用する。
2.植皮術直後から関節可動域訓練を行う。
3.ゆっくりした持続的な皮膚の伸張を行う。
4.スプリントの圧迫によってケロイド形成を抑制する。
5.初期の安静肢位として肩関節外転・外旋位をとらせる。

解答2

解説

熱傷の理学療法

①変形拘縮の予防
②瘢痕形成予防
③浮腫の軽減
④筋力維持改善
⑤全身体力の維持など。

1.〇 正しい。温浴時に関節可動域訓練を併用する。なぜなら、熱傷では皮膚組織の破壊により可動域が制限されるため。関節可動域訓練は、時間をかけ持続的・愛護的に行う。
2.× 植皮術直後から関節可動域訓練を行う必要はない。なぜなら、移植直後から関節可動域訓練すると、移植された皮膚の生着を妨げるため。ちなみに、生着とは、移植した細胞や組織、臓器が正常に機能している状態のことである。
3.〇 正しい。ゆっくりした持続的な皮膚の伸張を行う。なぜなら、皮膚の瘢痕形成・組織の収縮化を防ぐため。
4.〇 正しい。スプリントの圧迫によってケロイド形成を抑制する。ケロイドとは、皮膚の深いところにある真皮という部分で炎症が続いてしまうことにより生じる疾患である。炎症であるため、痒みや痛みを伴う。ケロイドは審美的、機能的に障害を残すため、その予防が必要となり、スプリントの圧迫を実施する。
5.〇 正しい。初期の安静肢位として、肩関節外転・外旋位をとらせる。なぜなら、体幹の熱傷では肩関節の内転・内旋拘縮を予防するため。

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理学療法士国家試験 熱傷についての問題7選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

50 癌患者の緩和ケアにおけるリハビリテーションについて正しいのはどれか。

1.肺癌がある場合は呼吸介助が禁忌となる。
2.病名告知を前提として、理学療法を行う。
3.疼痛コントロールを目的とした理学療法は行わない。
4.この段階ではリンパ浮腫に対する理学療法は行わない。
5.患者の意思に合わせて理学療法の目的を変更する。

解答5

解説

緩和ケアにおける理学療法の目的

①症状緩和:楽に休めるように疼痛や苦痛を緩和すること。
②ADL 向上:痛みや筋力低下をカバーする方法を指導して、ADL 拡大を図ること。
③心理支持:まだ治療が続けられているという精神的な援助を行うこと。

1.× 肺癌がある場合でも、呼吸介助は禁忌ではなく、むしろ必要となる。呼吸困難を伴うため、体位変換なども駆使し痛みや苦痛を緩和する。
2.× 病名告知を前提として、理学療法を行う必要はない。なぜなら、患者本人や家族の意向によって告知がなされないこともあるため。
3.× 疼痛コントロールを目的とした理学療法を中心に行う。疼痛コントロール(ペインコントロール)を目的として、温熱・寒冷療法、経皮的電気刺激(TENS)、およびマサージなどが用いられる。
4.× この段階に至っても、リンパ浮腫に対する理学療法は行う。リンパ浮腫があれば、下肢の挙上、弾性包帯・弾性ストッキングによる圧迫、マッサージ、関節可動域訓練などを行う。
5.〇 正しい。患者の意思に合わせて理学療法の目的を変更する。緩和ケアでは月単位、週単位、日単位で容態が変化するため、患者の意思、状況を最優先とするケア及び理学療法を行っていく。患者が前向きな生活ができるように援助する。

 

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